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5日より作品の公開が始まった。
芝生面への作品の固定は問題ない。会期中このままの状態で行けそう。
7日は気温が上昇したのでほんの少し銀箔が黒変し始める。
以下は現地に設置したキャプションの文章。
寝殿モジュール
2011年
素材・技法:八足の机、硫黄粉末のシルクスクリーンプリント、銀箔
八足の机の基本寸法:22.5㎝(H)×90㎝(W)×40.5㎝(D)
源氏物語絵巻(12世紀作 徳川美術館、五島美術館蔵)の現存19面から庭のある絵を9点選び出し、八足の机(神事に使う供物台)に硫黄(火山活動のような大地のエネルギーと排気ガスなどの環境汚染の両義的イメージを持つ)でその図柄をプリント、上から銀箔(銀は金の永遠性に対して移ろいのイメージを持ち、銀粉は源氏物語絵巻の主要色材でもある)を張って、絵の庭部分が地中に埋まるように配置したインスタレーション(仮設展示)です。ここでは、想念世界〈絵〉と現実の人工物〈机〉、自然環境〈芝生〉の関係性が提示されています。
タイトルは、源氏物語絵巻の構図が幾何学的で電子基板のように見えることから、大地をPCに、作品をそこに組み込まれたモジュール(交換可能な構成部品やソフト)に見立てたものです。また、展示方法には石庭のイメージが盛り込まれており、遊閑地で朽ちるままに放置された様には〈廃棄された国宝〉というアイロニーも込められています。
硫黄は、気候変化や太陽光線による温度上昇でガスを出して、銀箔を黒変させることでプリントされた図柄を浮かび上がらせ、やがてそのイメージも見えなくなるほど全体を腐食してゆきます。自然に対する人の営みの儚さがテーマでもあります。
源氏物語の舞台となる貴族の邸宅は、三方を山に囲まれた都の中に小さな自然環境である庭園を作り、そこに寝殿造の建築を設けるという入れ子構造を成しています。この作品もまた、自然環境に囲まれた大学の敷地内の芝生という小さな自然の上に作品を設置する入れ子構造となっています。
わたしたちは、自然を加工して快適な生活を送っていますが、それはあくまで〈小さな自然〉に過ぎず、気候・地殻変動、天体運行などの〈大きな自然〉の営みは支配できません。わたしたちの命運を握っているのはむしろ自然の方なのです。
地球を守ろうなどというメッセージが人類の慢心に過ぎないことは、この度の震災が証明してしまいました。わたしたちは、自然とのつきあい方を、平安びとの自然に対する畏怖心や感受性に学ぶべきなのかもしれません。震災犠牲者の方々への鎮魂の念を込めてここに展示します。
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