おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

ネパール編

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パタンその3

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シッディ・ラクシュミー。数々の女神が統合されたマハー・デーヴィー(大女神)を形象化した金銅製ネワール彫刻の傑作。

ベースとなるイメージは、神々の十の武器を十臂に具えた最強の女神ドゥルガー。そこに、彼女の怒りから発出する血に飢えた女神カーリーの“持物”である魔神の首と、生首を数珠繋ぎにした首飾り等が付け足され、密教色が濃厚になっている。

その他の手にも、ドゥルガー本来の持物ではない密教法具が見られ、さらに、頭部は背面も入れて、計五面。カーリーは通常、横たわる伴侶、シヴァを踏みつけているが、ここでは、横たわる人体の上に跪くバイラヴァ(シヴァの畏怖相)に支えられている。

この三段構造の、上ほど身体が大きくなる構成は女神のパワーの強大さを見事に表現している。

ネパールでよく見られる大女神の形象は、大抵がシンメトリーで単調な構成で十本もしくはそれ以上の腕が表されることが多い(日本でも多面多臂像の代表、千手観音などは、シンメトリー過ぎて動感に欠け、十一面観音に比べても、個体数が多いわりには傑作といわれる作品が少ない)。それに比べ、この像は向かって左側の腕を変化に富んだ動的な構成にし、右側をコンパクトに静的にまとめて、豊かな表情を演出している。

完全に正面観(正面から見ることだけを意識してつくられている)なので、彫刻的おもしろさはないが、4年前に、この決して大きくない(40cm)女神像の神秘的かつ艶かしい像に魅了されて以来、再会できることを楽しみにしていた。

それにしても3つの目の表情がすごい。

パタンその2

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パタン美術館でまず出迎えてくれるのは、展示室のある2階への階段の壁面に飾られた古い方杖彫刻。

右はカタログによれば、インドの二大叙事詩の一つ「マハーバーラタ」のパンダヴァ一族五王子の一人 ビマセン(ビーマ)で、ネパールでは現世利益の神として崇められてたらしい。これも例(パナウティその2参照)によって “シェ〜” のポーズ。それにしても、古木の木目と造形の相乗効果が美しい。広隆寺弥勒半跏思惟像を国宝第一号に頂く日本人ならグッとくるはず。

上部の欠けた中央の写真は、シヴァ(向かって左半身)とヴィシュヌ(右半身)を合成した“ハリハラ”。腕が欠損しているのでわかりにくいが、頭部が右半分は豪華な宝冠なのに、左半分は宝冠越しに髻(もとどり=高く結い上げた髪)が見えていたり、足下にそれぞれの乗物であるナンディン(左の牡牛)とガルーダ(右の半鳥半人)が小さく彫られているのでわかる。ハリハラはクメール(カンボジア)彫刻でも、ポピュラーな神像。

左はかなりおどろおどろしい。カタログには "mythical pair" とだけあるのでよくわかってないのだろう。ヤクシャ(夜叉)のような精霊信仰の鬼神の形象化のようだ。

これらパタンの古い方杖は、古木となった今では、日本の霊木信仰を思わせる趣きがある。

パタンその1

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ベルトルッチの映画「リトルブッダ」でキアヌ・リーヴス扮するシッダールタ王子(釈迦)の王宮として、ロケーションされたことで有名なパタン旧王宮の一角は、中庭を持つ回廊式美術館として改装されている。

国立博物館が、いわゆる啓蒙目的の博物学、考古学、民俗学、歴史学などの要素を含む古いタイプの博物館であるのに対し、パタン美術館は宮廷をモダンに改装した洒落た造りと展示で、収蔵品も美術的価値が非常に高い。でも、まだ新しい美術館のせいか、ネワール美術の粋という言葉がぴったりくる展示品のわりには、東洋美術関連の本ですら紹介されることがまれだ。

国立博物館のように小学生が団体でぞろぞろやってくることもなく、館内は空いているので、三脚を使って撮影し放題。ただし、肉眼で見ると美しい照明は、素人が撮影するには曲者のようで、今年の9月に再訪したときも、タングステンフィルムを使って再挑戦したがまた失敗。白黒で撮影したものか、白黒画像に変換したものしか、アップできそうにない。

というわけでパタン美術館は白黒でいきます。

写真上は、パタン美術館中庭から2階展示室をのぞいたもの。屋内に見えるのは四面シヴァ・リンガ。頭部だけでなく、胸も腕もある。写真右下はその拡大図。

シヴァ神の四つの相が表されているわけだが、その内、こっちを向いているのは畏怖相のバイラヴァ。といっても全然こわくないし、しかも、私達日本人には仏陀にしか見えない。そう、髪型が例の螺髪(らほつ=仏像に見られるパンチパーマみたいな渦巻状の頭髪)なのだ。でも、よく見ると仏陀のように肉髻(頭頂の盛り上がり)がない。インドの菩薩像や、アフガニスタンの仏像なら、このように肉髻のないパンチ頭の作例も見たことあるけど。いずれにせよ、額の第3の目と、髪留めみたいな三日月があるからシヴァには違いないが…。

左側はネワール美術でよくあるタイプの宝冠をつけている。こういった貴族のイメージは通常ヴィシュヌ神のイメージとして多用される。右側のは長髪を高く結い上げた髻(もとどり)。こっちは最もポピュラーな行者姿のシヴァイメージといえる。

ここにもシヴァ派、ヴィシュヌ派、仏教それぞれの図像のミクスチュアを見ることが出来る。

左下は三軒隣のスンダリ・チョーク。沐浴場の彫刻が有名だが、閉っていて今回も見ることが出来なかった。

カトマンドゥその4

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カトマンドゥの街を歩いていて驚かされるのは、ヒンドゥー教のシヴァ派、ヴィシュヌ派、シャ−クタ派及び仏教、そして土着信仰といった様々な信仰のミクスチュアぶりだ。それぞれが仲良く並存しているだけでなく、ひとつの礼拝対象自体が著しくミックス(習合)していたりする。所謂タントリズム(特にネパールに残る後期密教)というやつだが、そこが、私をネパールに惹き付けて止まないところでもある。

そうしたものが、如何わしく、禍々しく私達に映るのは、明治維新で神仏分離を経験したが故の色眼鏡だろう。近代以前の日本においても、この如何わしさ、禍々しさこそ“聖なるもの”ではなかったか。

右の写真は、仏塔だが、なんとシヴァリンガ(シヴァ神の男根、“パナウティその1”で紹介)の基壇であるはずのヨーニ(女神の女陰)の上に乗っかっている。

仏塔を取り囲む4面のブッダは、日本でも金剛界曼陀羅でお馴染みの四仏。正面は施無畏印(掌を胸の辺りでこちらに向けたポーズ)の不空成就如来ということで北側になるから、向こう側は南で旧王宮広場へと続く。

従って、これは曼陀羅でもある。この縁を蛇に囲まれたヨーニは四大元素(地水火風)を表わし、蓮華上の仏塔は、世界軸たる須弥山(メール山)とその頂上の仏の住まう楼閣を表しているということになる。

つまり、シヴァ派のリンガ・ヨーニとこの仏塔は同じインド思想の世界観に基づいている。リンガはヨーニを貫いて屹立しているからリンガ・ヨーニの祀られた祠は子宮となる。それが祠内でなく屋外ならば、この現実世界が女神の胎内なわけである。

となると、この仏塔の背景に映っている世界(撮影しているこっち側も)は女神の胎内なのか?

カトマンドゥその3

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地味な色彩で人がほとんど映っていないこのブログの画像に、いきなりのこの人数。クマリ(国家の守護神タレジュの化身)の祭インドラ・ジャトラをねらって9月にカトマンドゥを訪れたわけではなかったが、ホテルのオーナーに教えてもらい、いそいそとダルバール広場へ出かけた。内政不安の為、4年前に来たときより観光客(特に日本人)が少ないとはいえ、祭となると盛大。

左は、国王が到着する随分前から寺院の雛壇に陣取ったご婦人方。祭といってもデコレーションらしきものといえば、クマリの館の正面に質素な竹が2本飾られるのみで、祭気分を盛り上げる演出効果はむしろ、観客であるはずの彼女達のカラフルな民族衣装によるところが大きい。右下の写真でもわかるとおり、けっこうなスペクタクル。

右上は、着飾った子供を抱いた青年達が人ごみをかき分けて、クマリの館の方へ走り去っていくところ。絵はがきで見たクマリとは違うので、恐らくガネーシャの山車に乗る稚児(ガネーシャ)だろう。

右中、国王がクマリを参詣する時間が近づくと、寺院が林立するこの旧宮廷広場はもう人でぎっしり。大きなガルーダの石像が人の海に呑み込まれそう。

右下、クマリを参詣後、国王の宮廷バルコニーからの挨拶が終わると、クマリを乗せた山車の巡行がはじまる。

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