おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

ネパール編

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カトマンドゥその1

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私がネパールに興味を持ったのは、『女神たちのインド』(立川武蔵著 せりか書房)という本に出会った事に始まる。4年前、インドのタントリズム(密教)や女神信仰に興味を持ち、1ヶ月間の東インドを中心とした旅を計画していたときに読んだのだが、内容はネパールに残る女神信仰の話がほとんど。その中で研究対象となっているヒンドゥー寺院の“方杖”(屋根を支える木板で、この本では“ほおづえ”と表記。)の彫刻に惹かれるものを感じた。

本で紹介されている方杖の彫刻自体は、美的関心の対象ではない。従って学術研究のための図像学的解釈の容易な、破損が少なくて色彩も良く残った比較的新しいもので、美術的に素晴らしいというものではないだろう。でも、なぜかもっと美しい彫刻にも出会えるような気がして、とりあえず1ヶ月の旅の最後の数日はネパールで過ごす事に予定変更。

実際のネパールは、町をうろつけば、本の中でいうところの“町の住人”としての神像、仏像のたぐいに出会え、大気汚染に閉口させられる意外は、とても楽しい気分にさせられた。やはり美しい方杖彫刻にも多数出会えた。

写真は観光でにぎわうダルバールスクエア(旧王宮広場)内のバサンタプル宮の方杖。上部のミトゥナ(男神、女神の交歓像)は4臂(4本腕)なのでヒンドゥー神像としてはオーソドックスで、多面多臂の密教色の濃いものではない(とはいっても、2体合わせて8臂で、腕が破損する前の制作当初はかなりにぎやかで密教的だったかも)。持物(じもつ)は失われているし、彩色も無い。乗り物である蓮華台下部の動物だけが神格を同定する鍵のようだが、中央の動物は牛だからシヴァとその神妃ウマー(ルドラとルドラーニー?)と単純に考えていいのかどうか。図像学的知識に乏しい自分としては判断しかねる。

その下部には例によってエロティックな彫刻が配される。こういったイメージは大抵、五穀豊穣・多産祈願のためとか、悪霊の“邪視”をそらす魔除けとか、“カーマ・スートラ”、はたまた“性的ヨーガ”の実践図等と説明される。単に上部を”聖”、下部を“俗”と解釈するのはちょっと単純すぎか。

左のは実に大胆だが、宇宙と身体を同一視するインド思想を思えば納得!? 中央は3P。これでも充分アクロバティックなのに、右のになると7Pで、女性の幾人かは楽器を演奏中。…常人のなせる技ではない。こういった図像に直接関係するテキストはあるのかな?ご存知の方あったら教えてください。

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