おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

分室(制作日記)

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今年3月にオープンしたオルタナティヴスペースの雅景錐 <http://gakeigimlet.org/2012/04/futoshisugahara_solo/> で ”菅原布寿史 壁画のシリーズ" が6月2日まで開催中。
初期のシルクロード石窟寺院壁画に取材した平面作品から最新作の立体作品までを展示。

中国西域の遺跡を巡ったとき、シルクロードは中国・インド・ペルシア・ヨーロッパ等の宗教や文化が一つながりの身体として形成されていた時代の中枢部だと感じた。そうした想いが展示作品にも反映されている。大航海時代以降それらは海を渡って全く別の文化として対立・受容されるようになる。
シルクロードの衰退によって分断された ”身体” はインターネットの時代に再び一つながりになるのだろうか。一体化されたとしても、風土を伴わない情報の流通は最早 "身体” とは呼べないものなのかも知れない。

*木金土以外はアポ制
アクセス:
市バス206系統乾隆校前下車千本寺之内西入る徒歩5分
車の場合は西大路通わら天神前東入る
酒屋の向かい、黒暖簾が目印

春信見立虫合

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今日から始まったギャラリーマロニエ3Fの「日本画家のオブジェ展」<http://www.gallery-maronie.com/base.html>に新作を出品中。
タイトルは「春信見立虫合(はるのぶみたてむしあわせ)」鈴木春信の美人画を昆虫(ツノゼミとビワハゴロモ)に見立てたオブジェ。
「虫合」は平安貴族が虫にちなむ歌を競ったり、持ち寄った虫の鳴き声や姿の美しさを競ったりした遊び。浮世絵では絵を切り抜いて立体にする“立版古”があったり、“当世風見立・やつし”などと平安文化のパロディーを盛んにやっていたりしたので、それらの趣向を拝借した。

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5月も半ばを過ぎて芝は濃い緑色になり、借景の裏山もうっそうと木の葉が生い茂る。太陽熱の上昇とともに硫黄がガスを発生、硫黄粉末をプリントした部分の銀箔も濃く変色して、はっきりと図柄を浮かび上がらせて来た。

それまで作品と芝生が似たような色で一体化していたのが、緑が濃くなると作品が浮かび上がり全体としてこじんまりしたレイアウトになってしまったので、いくつか作品間の距離を広げた。

これから夏に向かって、更なる気温の上昇とともにイメージが見えなくなる程に作品が黒変してゆく。草花が生い茂るに従って人工物が朽ちてゆく様を見てもらうことになる。

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5日より作品の公開が始まった。
芝生面への作品の固定は問題ない。会期中このままの状態で行けそう。
7日は気温が上昇したのでほんの少し銀箔が黒変し始める。

以下は現地に設置したキャプションの文章。


寝殿モジュール
2011年
素材・技法:八足の机、硫黄粉末のシルクスクリーンプリント、銀箔
八足の机の基本寸法:22.5㎝(H)×90㎝(W)×40.5㎝(D)

源氏物語絵巻(12世紀作 徳川美術館、五島美術館蔵)の現存19面から庭のある絵を9点選び出し、八足の机(神事に使う供物台)に硫黄(火山活動のような大地のエネルギーと排気ガスなどの環境汚染の両義的イメージを持つ)でその図柄をプリント、上から銀箔(銀は金の永遠性に対して移ろいのイメージを持ち、銀粉は源氏物語絵巻の主要色材でもある)を張って、絵の庭部分が地中に埋まるように配置したインスタレーション(仮設展示)です。ここでは、想念世界〈絵〉と現実の人工物〈机〉、自然環境〈芝生〉の関係性が提示されています。

タイトルは、源氏物語絵巻の構図が幾何学的で電子基板のように見えることから、大地をPCに、作品をそこに組み込まれたモジュール(交換可能な構成部品やソフト)に見立てたものです。また、展示方法には石庭のイメージが盛り込まれており、遊閑地で朽ちるままに放置された様には〈廃棄された国宝〉というアイロニーも込められています。

硫黄は、気候変化や太陽光線による温度上昇でガスを出して、銀箔を黒変させることでプリントされた図柄を浮かび上がらせ、やがてそのイメージも見えなくなるほど全体を腐食してゆきます。自然に対する人の営みの儚さがテーマでもあります。

源氏物語の舞台となる貴族の邸宅は、三方を山に囲まれた都の中に小さな自然環境である庭園を作り、そこに寝殿造の建築を設けるという入れ子構造を成しています。この作品もまた、自然環境に囲まれた大学の敷地内の芝生という小さな自然の上に作品を設置する入れ子構造となっています。

わたしたちは、自然を加工して快適な生活を送っていますが、それはあくまで〈小さな自然〉に過ぎず、気候・地殻変動、天体運行などの〈大きな自然〉の営みは支配できません。わたしたちの命運を握っているのはむしろ自然の方なのです。

地球を守ろうなどというメッセージが人類の慢心に過ぎないことは、この度の震災が証明してしまいました。わたしたちは、自然とのつきあい方を、平安びとの自然に対する畏怖心や感受性に学ぶべきなのかもしれません。震災犠牲者の方々への鎮魂の念を込めてここに展示します。

人間環境大学での展示

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愛知県岡崎市の人間環境大学内での作品展示の依頼があり、構内図書館前の7×14メートルくらいの芝生にインスタレーションを行うことになった。

素材自体は昨年のギャラリー揺での作品<http://blogs.yahoo.co.jp/sugafuto/41714767.html>と同じく、神前で供えものを置くのに使う八足の机になる。その天板に源氏物語絵巻のイメージ(画中に庭が描かれているもの)を硫黄でプリントしてから銀箔を張ったものを9脚用意する。

ただ、今回は机を水平に置くのではなく絵の中の庭の部分が地中に埋もれたような状態、つまり机が地面に突き刺さったようなものにするので形状が複雑である。しかも設置場所は風が吹き抜けるので、強風にさらされることが多い。実際は机を地面に埋めるわけではなく、地中にあたる部分をカットしたものなので、それをただ置いただけでは簡単に吹き飛ばされてしまう。

そこで、机の天板に鉄線を数本埋め込み、突き出た部分を地面に差し込んで固定しようと計画。現場で実際に試してみると、地面は硬すぎず柔らかすぎずで思ったより上手くいきそうだが、念のため接地面に目立たない様に金属板を添えて補強することにした。

展示期間は4〜6月。銀箔が硫黄で黒変して源氏絵のイメージを浮き上がらせ、さらに腐食が進んでイメージが見えなくなってしまうまでを想定している。それまで机がしっかり地面に固定できていればいいのが……。

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