おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

ラウンジ(雑記)

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数年前、アートショップで見かけた”MODELS”という画集がいたく気に入っていたのだが、気がつけばもう会期修了間近、あわてて時間を作って東京都現代美術館へ……。

3階の大きな部屋の展示が素晴しい。1階の他作家とのコラボレーションはやや中途半端な印象。

デュマスの場合、油彩と水彩(ドローイング)作品の質的な差がほとんど無いと思っていたが、こうして実際に複数並べられると、その違いが際立った。

油彩作品は、ヨーロッパ表現主義の伝統を強く感じた。かつてナチスがその均整を欠いた表現に病理性を嗅ぎ取り、頽廃芸術の烙印を押した表現主義絵画は、普遍性、画一性、合理性からの自由という特性を担いつつも、重く、束縛感がある。それに対し、水彩はより自由度が高く、そこが作品に質的な差異をつくり出しているように思えた。

例えば、100点近い水彩をグリッド状に並べた、<女>のシリーズ。いろんな女性の顔だけを描いた画面で、色はモノクローム。技法的な制約が多いのに、一点として似た作品が無く、全く飽きさせない。

画家の技量と造形力によるところの大きい、圧巻な作品ではあるが、これが油彩で描かれていたとしたら、ここまで豊かなヴァリエーションを展開できただろうか?

油彩は対象の能動的なモデリングに向いた画材で、その分、画家の自我意識と表現を切り離しにくく、作品には描くという“行為”が常にまとわりついてくる。つまり、画家が多様な描き方を習得していたとしても、それには限界がある。

その点水彩は、にじみ、かすれ、ムラなど、僅かな水の量の違いでもその表情は大きく変わる。“水”の引き起こす偶然性は、画家の表現の限界を打ち破る強い見方になり得る。

デュマスは驚くべき慎重さと大胆さで、女性の顔の表現に自発性(スポンティニアスな技法)を取り込み、個体の多様性と尊厳を生み出すことに成功している。

0:04の暴動

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“スライとストーン一家”のCDが、やっとまともなリマスターでリイシューされたからといって、このアルバムを喜々として買うことができるだろうか。何せ、見なくてもやり過ごせるかも知れない“白々とした残酷な真実”を、まざまざと見せつけられるような内容である。正直、買うのは躊躇してしまった。

だったら買わなきゃいいようなものだが、恐いもの見たさというか、学生の頃、中古レコードによって、その“究極のリアル”を体験してしまった以上、避けて通れるようなものでもない。

そこで、リマスターによる高音質が期待できそうな、比較的ポジティヴで洗練された『フレッシュ』を先に買って聞き、心の準備ができてから『暴動』を買うという、随分まどろっこしいプロセスを踏むことにした(この場合『スタンド』を先に買ってからという、時系列に沿った順序は衝撃が大きく、逆効果なので避けなければならない)。……まあ、それほど自分にとって特別なアルバムだと言える。

音質は、リマスターとはいえ、以前からの音の歪みはマスターテープによるものだろうから変わっていない。反面、音の分離は良くなったので、混沌としていたミックスが整理され、その独創性(というか、時々私には異星人の音楽のように聞こえる)と完璧さが増したようだ。リズムギターやキーボードの切れ味も鋭くなったし、リズムボックスとベースのサウンドは、聞く者の心理を深く抉る。そして、何と言ってもスライのヴォーカルが、より生々しくなった。

おかげで、軽い曲調の「ファミリー・アフェアー」もヴォーカルがエグくなって、鳥肌立ちっぱなしである。

残念なのは、CDになってから、タイトルトラックの存在感が無くなってしまったこと。アナログでは針が上がる音によって、A面最後の「暴動」という無音トラックの存在を確かに感じ取ることができた。ところがCDでは、5曲目のあとに4秒間(以前のCDでは8秒)の空白があるのみ。ほとんどその存在に気付くことなく次の曲に移ってしまう。

いっそのこと30秒ぐらい空白を設けてもいいのでは?


かつて、このアルバムには無音のメッセージが刻み込まれていた。リスナーはA面終了後の寂寞に、様々な思いを巡らしていたはず。今聞くことができるのは“有”のみで、最早“無”から何かを聞きとることは叶わない。

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それにしても「ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展」とは、タイトル長過ぎ。その割には人は良く入っていた。

”190点の選りすぐり”とうたってはいるが、退色を避けるため、当のギメ美術館ですら常設展示をおこなっていないのに、本当に色の状態の良いものを、何ヶ月も巡回する展覧会に貸し出すわけが無いと思う。だから海外の所蔵品は保存状態がいいと行っても、出品作の色に関しては最初から期待していなかった。

最近、新しいシリーズのモチーフとして明和期の錦絵をイラストレーターで描き起こしているのだが、美人画の髪の生え際が細すぎて、印刷物の図版では確認できない。尤も、オリジナルをそのままパスで再現するつもりは無く、制作に用いる素材にあわせてアレンジしていくつもりではある。でもだからといってオリジナルの細部がどうなっているか全くわからないのでは話にならない。

そこで、せめて線の摺の状態の良いものを期待して、単眼鏡を携え、ハイセンスな花壇のある天王寺公園を通り抜け、大阪市立美術館にやってきたわけである。

というわけで、自分にとってこの浮世絵名品展のテーマは、勝手ながら“生え際”である。

いざ入館してみると、線はとてもシャープで、エッジが欠けているような状態の悪い出品作はなかったので一安心。生え際に関しては,髪の太さなど単眼鏡で見たらかなりまちまちだろうとタカをくくっていたのに、拡大しても等間隔で同じ太さの線が整然と並んでいるので愕然……一体どうやって彫ったのやら。

それでも、明和年間のは規則的な直線なので、まだなんとかパスで再現出来そう。寛政年間の大首絵になると、線ではなくもうリアルな“髪”。実際の髪の毛より細いかもしれない複雑な曲線を、筆のしなやかさを損なわずに彫っているのだから恐れ入る。


この展覧会の目玉である北斎の竜虎図は、これが本当に対幅だとしたら、虎図と龍図両者の構図と色のコントラストは驚く程大胆だ。両者の共通点と言えば、青い色の眼だけなのだから。

寄生動植綵絵

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相国寺承天閣美術館「釈迦三尊像」、「動植綵絵」展示室に入ると、ガラスにびっしりへばりついた来場者がなかなか次の絵に移動しようとしない。混雑を避けて平日に観に来たのにこの有様、20日のテレビ放映後になったら、三十三幅全部見終わるのにどれくらいかかるのだろう。

やはり若冲居士、他の作品群とは気合の入れ方が違った。こうして全幅に囲まれると、その高純度な幻覚作用にクラクラしてしまう。それでみんなも動けないのか?

“バンテアイスレイその1”<http://blogs.yahoo.co.jp/sugafuto/16280218.html>で、寺院の幾何学的草花模様の幻覚性について触れたが、美術史では恣意的構図で幻視的、マニエリスティックと評される彼の表現もまた、“生命の摂理”を描写しているのかもしれない。


ところで、数年前の若冲展でも展示されていながら気付かなかったのだが、「芦雁図」落款下の芦の穂が異様だ。雪が粘液のようで、穂はエイリアンの卵に見える。

この「芦雁図」の雁が既に“宿主”なら、何故落下しているのかという謎も解けそうだが……!?

苦行としての絵画展

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マイカーなしで岡崎市美術博物館へのアクセスは大変だ。何せトヨタのお膝元。“マイカー持タザルハ人ニアラズ”とでも言いたげな車社会。最寄りの駅から美術館へのバスは一時間に一本しか無い。しかもタクシーだと2千円以上かかる。さらに、閉館後、ミュージアムショップで時間をつぶすと帰りのバスが無くなる(中腹の病院前のバス停まで歩いた経験アリ)。

とはいえ、この美術館、上記の三重苦を乗り越えて行く価値のある、ユニークな建物。なんでも、地上に展示室を設けるつもりが頓挫し、地下の収蔵庫自体が展示室になったとか。こういう“怪我の功名”みたいな話は好き。

それで、地上は、受付とミュージアムショップとちょっとした図書閲覧コーナーのみ。山林を切り開いた山上に、がらんとした総ガラス張りの建物という、不思議な景観を創り出している。

開放感のある地上とは裏腹に、薄暗い地下の展示室は森というにふさわしい。作品の質も高く、見応え十分だった。只、森を散策するようなワクワク感は無く、むしろ酸欠の息苦しさを感じた。

東京で「笑い」展を見た後だけに余計そう思うのか、この息苦しさは、ある種の苦行に似た感覚を受ける。

絵画制作に携わる作家の立場からいえば、素材や技法、平面性、イリュージョンの問題など、“絵画とは何か”という問いかけは常につきまとうものであっても、それを観る側に投げかけ、同じ重荷を背負い込ませるのは、今やどれほどの意味があるのか。

既に無効となったパラダイムに接ぎ木しているような、モダニズムのテーゼを蒸返し、息切れしているのに、カンフル剤を注射して無理にがんばっているような、作品を“絵画”という檻に閉じ込めているような…、これが精進というものか。

もっとも、“絵画”というテーマの縛りとこの会場が無かったら、これほど濃密な展示にはならなかった気もする。

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