おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

カンボジア編

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中央祠堂の塔の北東(左画像)と北西(右画像)の壁面のデヴァターたち。

位置関係としては祠堂入口両側のデヴァター( “その1” http://blogs.yahoo.co.jp/sugafuto/42497670.html)と階段状に連続している。例えば “その1” 左画像(祠堂入口左側)の右の像が最も手前で、その左側の像は少し奥まった壁面の少し高い位置、続いて上の左画像の右端の1体がさらに奥の壁面の高い位置に彫られ、最後に3体並んだデヴァター達が最も奥まった高い位置に彫られているという構造である。

そんなわけで、上の画像の像は近くで見ることはかなわず、数メートル先から見上げることしかできない(といっても、よじ登って近づけば話は別だが)。そのためか、かなりエッジの効いた彫りで、遠くから見ても輪郭がはっきりしている。

右画像は左画像の反対側(北西エリア)の3体で、北東の3体(左画像奥)より保存状態が良く細部まで抜かりのない彫りを見ることが出来るが、いずれも肉厚な体躯表現(乳房は男性の厚い胸板に見えなくもない)が共通している。

3体のデヴァターの間を仕切る柱状の物は、その前に腕が彫られている為に後ろに湾曲している。これはあくまで装飾としての平面的空間処理であって、建造物の柱をあらわしているのではなかったことに気づかされた。

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中央祠堂左側に対し、右側の2体は装飾細部の彫り込みに節度が感じられて浅く、彫りの深い肉身部の量感が際立っている。

中央側(上左画像、”その1”<http://blogs.yahoo.co.jp/sugafuto/42497670.html> の画像右から2体目)などは顔の表現も丁寧で柔らかく、肉身部、装身具、背景の装飾各部のバランスもよく、豊かな調和を感じさせる。肩と脇下の彫りの深さが丸彫り彫刻的な量感を演出し、細部は装飾過多ながらも彫りが浅くうるさすぎないなど、各部が比較的適度な彫りになっており、彫刻的要素と装飾的要素が上手く融合している。

外側の若い方(上右画像、”その1”の画像右端)は顔の表現がお粗末ながら、少しひねった肉身部の彫刻的ダイナミズムは迫力充分である。こういう鍛え上げられた肉体美というのは、類型的なアジアの女性イメージを払拭してあまりあるものだろう。

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浅い彫りで上品な西側< http://blogs.yahoo.co.jp/sugafuto/42273753.html>に比べ、北面の4体は彫りが比較的深く、彫刻的なボリュームを感じさせる。

祠堂入口左側の2体(左画像)は身体部のみならず装身具や周囲の装飾も彫りが深くてうるさすぎるくらいにぎやかだ。顔も、取り澄ました様子より俗っぽい親しみやすさがある。

顔の真ん中に寄った小さな眼を持つ中央側のデヴァターなどは、こういう裕福なオバさんどこかで見たことあるなと思わせる。片や端の若いデヴァターは、顔と肉身部が形式化した生硬な表現で、美術作品としてみれば中央祠堂16体中最も出来が悪い。

カリカチュアされた前者と単純化された後者の表現。ようするに両方ともマンガチックということなのだが、画像の様に内庭の反射光があたると最もゴージャスに輝く存在でもあった。

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中央祠堂は東西南北4面の祠堂に挟まれた列柱が並ぶエリアの壁面にもデヴァターが彫られている。1体1体を隈無く眺めることのない場所でありながら、さすがに中央祠堂だけあって全く抜かりなく精緻に造形されている。

中央祠堂以外のエリアのような、顔、肉身、コスチューム等担当する箇所によって石工の技量や作風の違いが丸見えという様式的齟齬がなく、それぞれ個性豊かで、かつ統一感ある作風を見せている。

理想化された様式の厳格さと風格に、俗っぽい肖像性を加味したアンコール・ワットの女神像特有のキッチュな美学はこの場所でも健在。古典とはなり得ないその存在はポストモダン的だ。

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中央祠堂入口両脇のデヴァターは、極端に縦長の石材に浅めの龕を曲面状に穿つところが、中国唐代の宝慶寺石仏群の十一面観音を連想させる。堆く頭上を飾る十の頭が、デヴァターの冠飾のように盛り上がっているのもその一因だろう。

宝慶寺系十一面観音は東博、奈良博など日本に複数存在し、持物や衣装のみならず、作風もそれなりのバラエティーがあるが、デヴァター達のような肖像性を感じさせるものではない。画像の中央指導西面向かって右側の2体は、実在の母娘がモデルではないかと思わせる程親子のように似た容姿と年齢差を表現している(その1 <http://blogs.yahoo.co.jp/sugafuto/42273753.html> 右画像に同じ)。

落ち着き払った左画像に対して右画像のデヴァターが若々しく見えるのは、頬や四肢の張りのある肉付きが最大の要因だろう。わずかに身体をひねった三屈法的ポーズも妖艶というよりは溌剌としている。

宗教施設の本堂にありがちな厳粛さや神秘性とはほど遠いこのポップな親しみやすさは、“宗教的偶像” という本来の意味ではない意味の “アイドル系” である。

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