おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

カンボジア編

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中央祠堂西側の4体の中では、入口左側の2体は個性表現が弱く形式的、良くいえば理想化された正統な美を感じさせる。

やはり、直射日光ではなく内庭からの反射光を想定した繊細な彫りが特徴的だ。上画像はその典型ともいえる中央側の1体(上半身は右下画像)の腰部分。

外側の1体である左下画像のデヴァターは、中央祠堂の16体中最も形式的で冷たい印象を受ける。この像は実在のモデルがいたという印象がほとんどない。理想化されたもので、当時のクメール美人の典型がこういうクールビューティーだったのかも知れない。

中央側が壮年期、外側の像が若く見えるのは、中央祠堂の東西南北どの面にも共通する。このペアがそう見える理由として、若い左画像は目尻が上がって肩が張り乳房の位置も高く、右座像はその逆になっていることがあげられる。

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アンコールワットの中で最もセレブなデヴァター達が居並ぶ中央祠堂。像の様式としては西塔門西側(< http://blogs.yahoo.co.jp/sugafuto/29069658.html>以降)ほど古風でなく、西塔門東側(<http://blogs.yahoo.co.jp/sugafuto/29992579.html>以降)より厳格といったところか。誇張のない美しいプロポーションと端正な顔立ち、贅を尽くしたコスチュームの精緻な彫りを堪能できる。

中でも、かつてはヒンドゥー教の神像を祭っていた東西南北それぞれの祠の入口両脇に2体ずつ並ぶ計16体は、表面の金が失われた今も内庭の反射光を受けブリリアントな偉容を誇る。

その16体の内、画像の西面4体は正面に当たるからかオーソドックスな印象を受ける。左の2体は眼を開け、右の2体は眼を閉じた瞑想的な雰囲気を漂わせるが、4面にわたって規則性はなく、画竜点睛のように最終段階で眼を刻み込んだり、または閉じたまま残したようだ。
 
中央側の2体は高位の女官か王妃の様に豪華な衣装で、外側の2体はそれに比べシンプルな出立ちで若々しく、両者は母娘くらいの年齢差に見える。このことは4面共同じことがいえる。

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他の第3回廊エリアより明らかにレベルが低い南側。プロポーションが崩れていて、コミカルな作風が多い。

にもかかわらず、第3回廊で最も良く紹介されるのが、南東隅塔に彫られた上画像左の “二枚舌のデヴァター” である(牙みたいにも見える)。異形のイメージということで話の種にされるのだろう。実際にこういう舌の女官か踊り子がいたのだろうか?

その右側のデヴァターは、こだわりの無いいきいきとした造形が楽しい気分にさせてくれる。

正中線はずれるわ左右非対称になるわの、頭部・身体表現のデフォルメは下画像左が最も異様。だからといって、ふざけてこうなったとは思えない。きっと作者は大マジメだったのだろう。

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第3回廊東側の門の両脇に彫られた2組のデヴァター達。丸顔に細長い手足、高い乳房の位置など基本的なプロポーションは共通している。

その共通する基本的な造形はお世辞にもレベルが高いとはいえないが、その後の細部の仕上げによってそれぞれが一風違った作品に見えるのも事実だ。

左画像はその基本的な造形を担当した彫工より、明らかにハイレベルで精緻な仕事が細部に施され、仕上げられている。さらに、この2体のデヴァターもそれぞれ細部を担当した彫工が違うようで、左側のほうが明らかに上手かったりする。

従って、稚拙な土台にハイレベルな仕上げというアンバランスぶりを一番堪能できるのは左画像左側のデヴァターということになる。他の3体は肩の辺りがかなりいい加減な造形だが、この左端の1体はしっかりそれを修正している。耳も正面を向いていない写実的な処理で、やはり各の違いが伺える。

右画像は基本的な造形と同レベルの仕上がりといったところか。頭飾は平面的な彫りで、耳は完全に正面向き。2体のデヴァターの組んだ腕は軟体動物のように長く伸びて絡み合う。

しかしこれはこれで見ていて楽しいし、当時の分業体制を勝手に想像してみることはなかなか面白い。

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東側ではこれまで見て来た西側や北側のデヴァターの内のいくつかのようなモダンな作品(例えば西側外壁その2 <http://blogs.yahoo.co.jp/sugafuto/40599738.html>や北側その1<http://blogs.yahoo.co.jp/sugafuto/40802171.html>あたり)は見られないが、上の画像のような古風で実直な造形を見ることが出来る。

左画像は胸や腰の立体的で精緻な装飾が見事。顔や上半身もアンコール・ワット様式をふまえながらも写実的で、生身のぬくもりを感じさせ、装身具と肉身の描き分けが互いを引立てている。頭飾の尖塔だけ作風が違って繊細さに欠け、しかも正中線からずれている意外は充実した作品だ。

右画像は彫りも浅くやや形式化していて、その分破綻が無い。だからといって決して無個性な作風ではなく、胸から肩にかけての造形感覚が独自性を感じさせる。


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