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プルメリアの花のように 神聖な名気持ちで・・・

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あいちゃん

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朝から腰が痛くて

整骨院へ・・・

交差点で停まっていたら

横断歩道を小さな小さな赤ちゃんを抱いて

サンダルにTシャツジーンズ姿の若いお母さん

普通のなにげない光景だけれど

本当に小さな赤ちゃんで

薄着のその子を

いま流行の抱き上げ紐もなく

ただ両手で抱っこしていたので

つい目に留まった。

その女性が僕の車の方へ振り返ったとき

あ!
・・・そうだったんだ!

そうなんだねぇ〜・・・



もう15年くらいだろうか

僕は公営のプールで臨時職員として

夕方から夜まで 働いていた。

管理士も持っていたので

教えるだけじゃなく 

水質検査もやれば

プールの点検掃除などもやれば

もちろんお客さん相手の

受け付けもする。

・・・

公営なので当然厳しい 

それなりのルールがあった。



ちょうど今頃の夏のはじめ・・・

学校が終わると友だちを誘って

子どもたちがプールへやって来る季節。

夕方6時前に入場すればセーフ

それ以降は親の同伴

もしくは送り迎えが必要になる。

子どもたちはそれを良く知っていて

お母さんが迎えに来る 言って入るけれど

迎えに来る親は少なかった・・・

当然 帰りは危ないので

僕が一軒一軒子どもを玄関先まで送っていく。

・・・

そうじゃないとプールへ入れてはいけないのだ。



そんな季節に

まだ小学一年になったばかりの

愛ちゃん(仮名)がやって来た。

この子は身体が小さくて

そのせいじゃないだろうけれど

内気でいつもひとり

友だちが少なかった・・・

両親が共働きでいつもひとり

ときどき 虐められたと

しくしく泣きながらプールへやってくることもあった。



とある夏の日 

やはりひとりでやって来た愛ちゃんだけど

もう7時を過ぎていた・・・

他の職員が6時過ぎたから

 入場はできないから帰りなさい と

そう言っていた。

ちょうどプールから上がってきた僕は

幼稚園の頃から知っている愛ちゃんに

間に入るように 声をかけた・・・

 こんばんは 
 愛ちゃん ひとりで来ちゃった?

・・・うつむいて返事がない。

 あのさ お母さん家にいるかな?

首を振る 愛ちゃん

僕は電話番号を前に聞いていたから・・・

愛ちゃん待ってね!と

・・・
ぷるぷるぷる施設の電話から
僕の財布から10円を出して
電話を入れる

電話を呼び出しても誰も出ない。

帰りなさいと言っていた職員に

小さな声で

 もう6時過ぎてさ
 家に誰もいないんだよね
 ひとりで帰す方が危ないからさ
 俺が送るから
 入れさせてもらえるかな
 責任は俺がとるから・・・

 ・・・

 ねぇ愛ちゃん
 本当は規則違反なんだけど
 せっかくここまで1人でやってきて
 6時過ぎてちゃって入れないんだけれど
  ここからまた
  1人で帰るのはそれも危ないんだよねー
 ・・・
 車もいっぱいで 危ないからさ
 おじちゃんが送ってあげるから
 プール入って良いよ。
 9時過ぎになっちゃうけど 良いかな?
 お母さん まだその頃帰ってないんだよね?

うん と首を縦に振る。

口に人差し指を立てて
 小さな声で
 他の子には内緒だよ
 今日だけ特別・・・

なんて受付にいる人に聞こえるように

愛ちゃんに耳打ちする。



愛ちゃんは気が小さく

男の子からプールでも水をかけられると

隅っこでしくしく泣いちゃうような子だった。

僕はプールから上がってきたばかりだけれど

監視も兼ねて入ることにした。

僕は愛ちゃんには

水遊びと浮くことの大切さを

泳ぐという行為よりも大事なんだよと

小さい頃から時間があれば教えていた・・・

彼女はそのせいで

泳げなくてもゴーグル無しで

目を開けて 浮くことが出来た。

うまいうまい!

そうやっていつも手を叩いて上げると

恥ずかしそうに下を向いて

はぁ・・・なんて笑顔を見せた。



プールが終わるのが 夜8時30分

早めに終わらせてもらって

受付の〆をしたら

プールの掃除をチャチャッと済ませ

一緒に愛ちゃんと手を繋いで帰る・・・

彼女は僕と2人になると

会話が成立する・・・

プールにやって来るようになってから

ずっとそうだ。

手を繋いで帰る・・・その道すがら

その日の事はちゃんと覚えている。

 ご飯は食べたの?

 うん 
 ハンバーグとジュースを食べてきたの
 おかあさんが
 これ食べておきなさいって
 用意してあるの

 あいちゃんは偉いね〜

 言われたことをちゃーんと出来るんだ!

僕を向いてニコリとする・・・

 おかあさんも自慢の女の子だねぇ〜
 もうすぐ七夕だよ
 七夕って知ってる?

 うん・・・

 笹の枝に願い事を書いた紙を下げて祈るんだよ
 知ってる?

 うん 学校で作った・・・

 愛ちゃんは なにをお願いしたかなぁー

 ・・・ニコリとして うーんと

首をかしげた。

結局その時は 解らなかった。 けど・・・

 ピノキオって知ってる?

 うん ビデオ家にあるよ 見たことあるもん。

そうか〜

 おっちゃん 
 ピノキオのお話が
 大好きなんだよね!
 
 キツネとか猫とかに
 欺されちゃうだろ?

 うん

 でもね
 ちゃーんと反省するし
 虐められても
 めげなかっただろ?
 ゼペットおじいちゃんが
 やっぱり好きで
 それはおじいちゃんだけど
 ピノキオを作ってくれたお父さんなんだねぇ・・・
 お父さんがいなくなって
 探しに行っちゃって
 ちゃんと
 おじいさんを助けるんだよ
 そして心配かけたことを
 ちゃーんと
 あやまるんだよね
 ごめんなさいって
 すごいねー

 ひとりで考えて
 悪い事 
 良い事
 クリケットの話を聞きながら
 ケンカしながらも
 やさしっくなって
 人に欺されないようになって
 最後に本当の
 人間になっちゃったもんねー

 うん! 
 クリケットって光るコオロギの
 小さいお友達でしょ

 そうそう
 光ってたねぇ
 学校の先生みたいなものだよね〜!

 それにさ・・・
 たーららーららら〜♬
 って
 音楽知ってる?

 うんしってる!
 たららら〜・・・

 そうそう
 あれはね 英語で歌ってるのかな?

 でもねおっちゃん
 日本語も知ってるんだ・・・
 星に願いをっていうんだ
 なんだか
 七夕みたいでしょ〜
 あのね・・・
 愛ちゃんがこころに願ってるものを
 星にお願いすると
 それが正しいことなら
 ちゃんと敵います!
 正しい願いに無理な願いはありません!
 わかるか?
 だからー
 星にお願いすれば
 ちゃ〜んと敵いますよ!

 って・・・そんな歌なんだよね。
 ビデオは英語かなぁ
 難しいね!

 うん・・・
 愛はね・・・
 
口に手をあてて
僕の顔においでおいでするから

耳を口の近くにかがんだら
ちーさなこえで

 愛ねっ
 おはなやさんになりたいの

ちーさな声でささやいて

にこっとはにかんだ・・・

アパート前で別れて

ひらひらと手を振っている。



バスを待ってため息ひとつ・・・

バスにゆられて帰る僕には

車内の灯りで天の川なんて見えなかったのだけれど・・・



それから数年

ぼっーと街をあるいていたら

 水泳の先生だ!だよね!ね!
 愛だよ!

すこしぶかぶかの中学の制服を着ていた

彼女は・・・少し輝いて見えた。



そして今朝 横断歩道を

赤ちゃんを抱いて歩いていたのは

確かに愛ちゃんだった。

彼女が花屋さんになったのかどうかは解らない

でも

軽やかにサンダルにジーパンTシャツで歩く

その赤子を抱いた姿は

確かに

昔の小さく内気な愛ちゃんではなかったように感じた。



 むとうさーん どうぞー
 腰にお灸からでーす・・・
 はい
 あつくなりまーす!

 あちちちちち

目を閉じる 
我慢する・・・

終わったあとも目を瞑ったまま

ベッドに横たわって

施術を待っていた・・・



映画ミュージック 

星に願いを・・・が流れはじめた。

いつかまた大会出るんだろ?

頭の中の小さなクリケットがささやく・・・

うるせえーよ
でもなぁ〜・・・

僕がつぶやく

出るよな?
出るって決心してるって
いつもいってるじゃん?
下位でも良いじゃん!

そうなんだよねぇ〜・・・



あの頃から比べると

ずいぶん シワだらけになった

握りしめたこぶしを見つめて・・・

僕はは口ずさむ



 When you wish upon a star
 Make no difference who you are
 Anything your heart desires
 Will come to you
 ・・・

 全ての人が心を込めて願うのなら
 きっと夢はかなうでしょう・・・

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