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ジャンル : ドラマ 
製作年 : 2010年
製作国 : 日本
配給 : 東宝
上映時間 : 106分
キャスト・スタッフ - 告白
監督・脚本 : 中島哲也
原作 : 湊かなえ
出演 : 松たか子 、 岡田将生 、 木村佳乃

[ 2010年6月5日公開 ]

女教師・森口悠子の3歳の一人娘・愛美が、森口の勤務する中学校のプールで溺死体にて発見された。数ヵ月後、森口は終業式後のホームルームにて「私の娘はこの1年B組生徒二人に殺されたのです」と衝撃の告白をし、ある方法にてその二人の生徒に復讐する。そして4月、クラスはそのまま2年生に進級。犯人のひとりAはクラスのイジメの標的になっていた。そして、もうひとりの犯人Bは登校拒否し、自宅に引きこもっていた…。

2009年の本屋大賞を受賞した湊かなえの同名小説を、『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督が映画化。娘を殺されたシングルマザーの教師を、松たか子が鮮烈に演じている。中島監督は、これまでのポップな演出とは打って変わったリアリティあふれる映像を見せる。一見無邪気に見える13歳の中学生たち。彼らの中に潜む残酷な心の闇が巻き起こした事件が、女教師の告白をきっかけに拡散していく様子は、観る者の心を波立たせずにはおかないだろう。娘を殺された母を演じた松たか子、犯人Bの母を演じた木村佳乃、二人の母親を演じた女優たちも会心の演技。子どもと母親の関係性、現代の子どもたちの生き辛さを、痛いほどに生々しく描き出した問題作だ。   (gooより)

内容が内容だけに、嫌悪感を抱く方もいるだろうが、映画としては、ほぼ完璧な仕上がりではないだろうか。

冒頭から30分。教師・森口(松たか子)がほとんど一人でしゃぺっている。しかし、中島哲也監督の映像表現は、観客を決して飽きさせない。抑えられた暗い色調。しかし、登場人物の表情はよく判る、絶妙な照明。無機質な印象を与える、装飾感に乏しいセット。細かいカット割りと、スローモーションで見せる美しい映像。森口の話の合間に挿入される、生徒たちのリアクションのショットの積み重ねが、この常軌を逸したクラスの異常さを、的確に表現している。

それにしても、これだけ大勢の生徒たちのバラバラな行動を画面に詰め込みながら、よく破綻なく森口の告白とシンクロさせていけたものだ。その語り口としての編集も見事だ。一見、森口の話を聞いていないような生徒たちも、森口の語りのキーポイントとなる部分では、それぞれに勝手に反応をし始める。話が核心に近づくにつれ、無駄口が減っていく。クラスが静かになっていく。決定的な注目のさせ方として、森口が黒板に書く「命」という文字の、最後の伸ばす部分での、ひっかくような、あの誰もが嫌がる不快なチョークの音。

森口の娘が、このクラスの生徒の手によって殺された、という衝撃的な告白で始まる物語は、それぞれの登場人物の告白という形の視点で語られ、いまどきの中学生たちの、心の闇に迫っていく。

物語の根底には、やはり未成年者の犯罪に対する被害者家族の、やりきれない思いがある。少年法の壁だ。今では多少対象年齢が下げられたとは言え、重い罪には問われないことには、変わりあるまい。自分の子供は殺されたのに、何故犯人はのうのうと生きていられるのだろうか。こんな理不尽なこともあるまい。誰も罰してくれないのなら、自分の手で犯人を殺してやりたい。そう思うのも無理はない。

しかし、教師である森口の復讐は、ただ、相手を殺すことではない。その対象を、精神的に追い詰めていくのが、目的のようだ。

感情を表に出さないで丁寧な言葉で語る森口を演じる、松たか子の演技には感心するしかない。心の奥深くに秘めた、憎しみ、悲しみ、苦しみが、目の力の入れ方や語り口の端々に垣間見える。当初、話を聞こうとしない生徒たちの雑音にも全く屈せず、信念を持ってひとり言のように話すだけでも、とてつもない集中力のいる作業だ。

終盤の、道路に一端泣き崩れてから、また立ち上がるその姿は、弱さと強かさの両面を併せ持つ、森口のキャラクターが見事に表現された名シーンだ。

一方、犯人の母親役の木村佳乃の、息子を溺愛する、その盲信振りの演技も、また鳥肌ものだ。引き籠ってしまった息子と、一対一で向かい合わなければならない。その息子の行動に、ビクビクしながらも、息子を守るのは自分しかいないと、一人で抱え込んでしまう余裕のなさ。切羽詰まった感情の発露が、更なる悲劇を招いてしまう。

加害者の母親も、被害者の母親も、結局は自分の子供が一番可愛いのだ。被害者の母親はその悲しみを復讐で紛らわせようとし、加害者の母親は子供の罪を認めようとはしない。

映画は、どうしてこのようなモンスターみたいな、命の重さを分かろうとしない子供たちが作られてしまったのかを、それぞれの母親との関係性から見出そうともしている。子供の心自体は、そもそも真っ白なキャンバスみたいなものだろう。そこにどんな風景が描かれるかは、親の育て方、親の接し方が重要なファクターとなる。

森口の復讐の刃は、犯人の母親にも向けられるが、それは犯人の精神を、更に追い詰めるためのものだ。そして、森口のラストの、人を小馬鹿にしたような一言は、真相の重要な部分を覆しかねない、とんでもない一言なのだ。

人は必ずしも、本当のことを告白するとは限らない。人の目に触れるかもしれないことほど、自分を美化しようという作用が働く。そして陰謀を巡らすものには、その嘘は罠として利用される。

陰惨な話であるが、中島監督の映像テクニックや音楽の使い方により、鑑賞後の後味は、僕には悪くは感じられなかった。

カーブミラーを利用した、意味深なシーンの数々。歌や踊り。シャボン玉が消えたり、逆回転で現れたりするファンタジックな画像。

逆回転時計は、失われた過去を取り戻そうとするような、そんな意識の表れだろうか。

何れにせよ、今年最大の問題作と言えるだろう。

閉じる コメント(42)

いつもの中島作品だと、、原色の色使いが印象に残ってますが、
今回はモノトーンに抑えた映像が、映画のテーマとあってたような
気がします。感情を押し殺した復讐をする、森口先生の心境を
示してたのかも知れないですね。

2010/6/12(土) 午前 11:10 [ ティルク ] 返信する

僕も評価は★★★★★です!!!
中島監督の作品「パコと魔法の絵本」とは真逆の作品でしたが、
湊かなえさん原作の告白、今までに無い毛の色をした作品だと感じました!
かなり内容としては重かったので、いろいろと考えさせられました。
ウェルテルのように生徒に接すれば心を開いて入れると思いがちですけど、それは勝手な自己満足・・・本当の意味で生徒のことを100%理解できる先生なんていないと思うし、とても難しいですよね。。。

2010/6/12(土) 午後 9:05 ken 返信する

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どっかーん映画でしたね。予定は無かったのですが、あまりにブロガーのみなさんの評判がいいので、気になって見てきました。共感はできないのに理解ができる映画だと思いました。TBさせてくださいね。

2010/6/13(日) 午前 7:33 ヒッチさん 返信する

私は原作を受け入れることができなかったので、中島監督が「嫌われ松子〜」並に、すごい魔法をかけてくれることを期待したのですが、やっぱりドヨーンとしてしまい、受入れがたいものがありました。
トラバさせて下さいね。

2010/6/13(日) 午前 11:53 金平糖 返信する

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kenさん
パコを撮ったかと思うと、今度は7これですからね。
中島監督の引き出しの多様さには、まいりました。
ウェルテルは影で森口先生に操られていたわけですから、ちょっと責められないかも。

2010/6/13(日) 午後 4:39 出木杉のびた 返信する

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ティルクさん
内容が内容ですから、このモノトーンの画像は、合っていたと思います。
森口先生の心境を思うと、とても原色カラーの世界は不似合いですよね。

2010/6/13(日) 午後 4:41 出木杉のびた 返信する

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ヒッチさん
まったくドッカーン!でした(笑)。
映像ファンとしては、この作品は堪能出来ました。
ただ、本当に共感出来る人が、一人もいないですよね。生徒も先生も親も、まったく信じられない人たちばかり。
なのにこの映画が高評価なのは、やはり映画として優れているということだと思います。

2010/6/13(日) 午後 4:44 出木杉のびた 返信する

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金平糖さん
原作からして、ダメだったのですね。
僕は映画観てから原作読んだので、かえって原作も面白く読んでしまいました。
中島演出は「嫌われ松子〜」とは違ったマジックのかけ方をしてくれましたね。

2010/6/13(日) 午後 4:46 出木杉のびた 返信する

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私も映画としては完璧だと思いました。
残酷だし救いのないお話なので人様にはおススメしにくいですけど、面白かったです。
TBさせてくださいね。

2010/6/13(日) 午後 6:20 Swan 返信する

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Swanさん
はい、映画としては、100点満点ですね。
復讐方法としては、こんなものではまだまだ甘いですね…イッヒッヒヒ…(←大変だ、のびたが壊れた!)。

2010/6/13(日) 午後 10:03 出木杉のびた 返信する

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邦画はほとんど観ないのですが、評判がよいので観ました。満足です。のびたさんのレヴューも完璧。ポチです!
私はやはり母親としての視点から見てしまいました。
TBお願いします。

2010/6/16(水) 午前 0:51 オネム 返信する

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オネムさん
僕は邦画も洋画もたくさん観ますが(笑)、この作品はかなり手ごたえありました。多くの映画ブロガーさんのおメガネに適っているようですね。それだけの作品だと思います。
僕もいまのところ、ベストテンの上位に入れる予定です。
ポチッ、ありがとうございました。

2010/6/16(水) 午後 0:37 出木杉のびた 返信する

評価とともに興行成績もバンバン上がっているようですね。
DVDになったら、再度じっくり観直したいと思っています。
わたしからも、トラバさせて下さいね。

2010/6/21(月) 午後 7:18 [ ほし★ママ ] 返信する

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ほし★ママさん
興行成績も伸びてますか。やはり良いものは、伝わるのですね。
ほし★ママさんは後味がよろしくなかったということで、残念でしたね。

2010/6/21(月) 午後 10:48 出木杉のびた 返信する

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原作は読んでないのでストーリー的にはなんとも言えませんが、
この作品は、ひとえに監督の脚本、脚色と松さんの演技の成果でしょうね。
私個人的には、凄惨なシーンは不要だったような気もしますが、
あれがなければ、インパクトもなくなりそうだし。。。
確かに今年のベストテンの上位間違いなしです。(~~)
TBさせてください。

2010/6/27(日) 午前 1:29 ■Doobie■ 返信する

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Doobieさん
原作も素晴らしいのですが、先にストーリーが分かっていると、後半少し読むのが面倒くさくなってしまいました(汗)。同じストーリーの繰返しを、違う視点で描いていますので、もう分かってるよ、と思ってしまったのです。この映画の場合は、先に原作読んだ方が良かったかな。
しかし、映画はやはり賞レースに値しますね。

2010/6/27(日) 午前 8:27 出木杉のびた 返信する

ようやく観てきました。
子供の計算された打算やしたたかな悪意、大人たちのそれを上回る子供への思い。
原作の風味を消さずあの美しい映像美を映し出してくれて嬉しくなりました。

2010/6/30(水) 午前 0:26 あこまる 返信する

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あこまるさん
子供が少年法を盾に取るなんて、なんと小賢しいことでしょう。その浅知恵に、鉄槌です!
中島監督の映像表現は、実に美しく、素晴らしいものでした。

2010/6/30(水) 午後 8:00 出木杉のびた 返信する

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カラフルさこそなく、ダークな映像の中にちりばめられたテクニックの数々は、
さすが中島監督、というところでしょうね。
松たか子が凄いですね、これまでこんな恐ろし〜役は見た記憶ないです。
木村佳乃は、たまにこういう役やってくれますね、ちょっと汚れ役というか、これも巧いです。

2010/7/3(土) 午前 3:28 ffa**77 返信する

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ふぁろうさん
いつもならカラフルな色使いする中島監督が、モノトーン調のカラーで押し通しましたね。テクニックもたいしたものです。
くどいようですが、松さんと、僕とは『ヴィヨンの妻』で共演してますから、同じ役者として、心から拍手を送りたいと思います。
今年も女優賞?

2010/7/4(日) 午後 0:43 出木杉のびた 返信する

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