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監督 吉田大八
出演 神木隆之介(前田涼也)   橋本愛(東原かすみ)   大後寿々花(沢島亜矢)
        東出昌大(菊池宏樹)   清水くるみ(実果)   山本美月(飯田梨紗)   松岡茉優(沙奈)
        落合モトキ(竜汰)  浅香航大(友弘)   前野朋哉(武文)
        高橋周平   鈴木伸之   榎本功   藤井武美(詩織)
ジャンル ドラマ
製作年 2012年
配給 ショウゲート

高校生活をリアルに描いた青春エンターテイメント。原作は、朝井リョウの同名のベストセラー小説だ。成績優秀でスポーツ万能、校内のエース的存在の桐島が部活をやめるという噂が流れ、生徒はざわめき立つ。そんな時、黒縁メガネをかけた、教室では影の薄いオタク男子が嬉々として動き始める。映画部の彼らは、桐島のニュースで騒ぐ生徒たちを映像に収めようとするが…。それぞれの登場人物からの視点から、学校の事件を見つめ、思春期の少年少女らが持つ心の闇を描いている。出演は、神木隆之介、橋本愛、大後寿々花ほか。二枚目より、一癖ある役で実力を発揮する神木隆之介に注目。監督は、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の吉田大八。劇団ナイロン100℃に所属し俳優として活動する傍ら演劇ユニットブルドッキングヘッドロックの脚本・演出を手がける喜安浩平が、吉田大八監督と共に脚本を担当。高橋優が主題歌『陽はまたのぼる』で高校生の葛藤と希望を力強く歌う。

いつもと変わらぬ金曜日の放課後、バレー部のキャプテンで成績優秀、誰もがスターとして一目置いていた桐島が突然部活を辞めたというニュースが学校内を駆け巡る。桐島の恋人でさえ彼と連絡が取れないまま、桐島と密接に関わっていた生徒たちはもちろんありとあらゆる生徒に波紋が広がっていく。人間関係が静かに変化し徐々に緊張感が高まっていく中、桐島とは一番遠い存在だった映画部の前田(神木隆之介)が動き出す……。 (gooより)
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思えば僕が映画好きになったのは、高校時代に映画研究部に入部したからである。映画が好きだったからではなく、映画好きの友人に誘われて入って活動するうちに映画の世界に嵌り込んでしまったのだ。だから入部していなかったら、今の僕はなかったかも知れないと思うと、本当に不思議な気分である。これだけ映画に人生の大半を浪費している分、もし違う趣味だったら一体何をしているのだろう。高校時代、この映画ほど極端ではないが、確かに体育系部活の連中とは相容れない部分は感じていた。僕はスポーツが得意ではなかったから、映画部でなくても、文化系か帰宅部を選んだことだろう。僕達も仲間と一緒に校舎の屋上を使って、8mm映画を撮ったことを、懐かしく思い出してしまった。

さて、映画は冒頭から同じ金曜日を繰り返す。何度も同じシーンが出てくるが、視点の中心となる登場人物が変わっていくので、カメラポジションも変更される。その前のシークエンスでは画面の隅にいた他の登場人物が、どう感じていたかが分かってくる。複雑に入り組んだ画面構成のジグソーパズルのピースが嵌っていく。そして最後に現れた画は、我々に何を伝えようとしていたのか…。

バレー部のキャプテンで成績優秀の桐島が、部活を辞めるという噂が拡がる。本人も何故か登校していないので、真相は分からない。校内でも公認の恋人・梨紗(山本美月)や、親友の宏樹(東出昌大)も聞いていない。携帯も繋がらない。そんな重要なことを教えてもらえないことに、恋人、親友という特別なはずの絆が揺らいでいく。理想のカップルとして、誰からも羨望のまなざしを受けていることをはなにかけていた梨紗は苛立ち、焦りが隠せない。

野球部をずっとさぼって帰宅部同然の宏樹は、帰宅部仲間の竜汰(落合モトキ)、友弘(浅香航大)と三人で、放課後バスケをして遊んでいた。桐島の部活が終わるのを待っていたのだ。全てが桐島中心に動いていた。桐島の仲間というだけでステータスで、周囲からも一目置かれる存在のグループだ。女子からの視線も熱い。しかし、今、桐島からの断絶が、彼らのアイディンテイティを揺るがしてしまう。

彼らの対極としての存在が、前田(神木隆之介)と武文(前野朋哉)らの映画部だ。校内では明らかに下のランクの生徒達で、トップグループの梨紗達からも蔑まれている。彼女達は実に残酷なことを平気で言ってのける。話題のネタにして、蔑んでは優越感に浸っている。確かに映画部の連中は風采の上がらない容貌の連中ばかりで、その他大勢という感じである。剣道部の部室の片隅を仕切って間借りしているようで、狭くて暗い場所で、男ばかりで窮屈そうだ。この部室からだけでも、校内での映画部のポジションは明確だ。作った映画が予選を通過しただけで、朝礼で紹介されたのだが、これが嘲笑の的になってしまう。タイトルが「君よふけ…」というものだが、女生徒達から笑われるセンスのなさで、僕もタイトルを覚えられなかった(笑)。やはり映画はタイトルが重要だと、改めて思う。覚えられるような印象的なものでないと、その時点でもうかなりのハンデを背負うことになる。

神木隆之介がメガネをかけて、ダサい映画部長役を好演している。女子に笑われても黙ってその場から姿を消すことしか出来ない遣る瀬無さ、サッカーでもチームに最後まで入れてもらえない屈辱、いざ試合でもまごつくばかりで相手にされない孤独。オドオドした様子がなかなか良いので、終盤の頑張りが活きてくる。かすみ(橋本愛)との思いがけない交流の喜びと、目撃してしまった事実の衝撃。やはり映画撮影で意地を貫き通すしか、彼の存在意義は確立できない。
 
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沙奈(松岡茉優)は宏樹の恋人であるが、どうも宏樹自身の気持ちとは温度差が感じられる。沙奈はお熱なのだが、宏樹は距離を置いているように見える。沙奈はまた、厭な女子の代表のようで、宏樹の前ではかわい子ぶっているが、仲間内での会話では最低な発言ばかりして空気を硬直させる。その一言が誰かを傷つけていることに気付かない。宏樹との親密さを亜矢(大後寿々花)に見せつける行為の残酷なこと。

亜矢は吹奏楽部の部長で、部は成果を挙げている。部活前に一人で屋上で練習しているのには訳がある。そこから見えるもの、聴いてもらいたい人。気持ちを打ち明けられない分、楽器に想いを込めて演奏する。しかしまた、トップクラスの男子達からは、からかわれる対象に過ぎない。それを知ってか知らずか、それでもサックスを吹き続ける乙女心はピュアである。

そんなダメ同士の亜矢と前田の対決は、笑えるが切ないものがある。屋上や校舎裏での場所の奪い合い。校内では下のランクと自他共に認めるものではあるが、自分達のやりたいことを譲ることは、それこそ自分の存在価値を失ってしまう可能性があるだけに、必死だ。亜矢の真剣さを感じ取った前田の行動は、妥協ではなく共感だと思う。

やがて物語は、登場人物達を屋上に一同に集めて、クライマックスを迎える。亜矢達吹奏楽部の演奏する曲が、バックで感情を盛り上げる。これまでじっと耐えていた前田の叫びは、ほんの少しだけ体育部と文化部の接点を作る。前田にもこれ以上譲れないプライドがある。トップクラスからその存在すら無視されている人間にも、悩み傷付く心はあるのだ。前田と宏樹の会話が、胸に沁みてくる。

3年冬になっても野球部を辞めない宏樹の先輩の存在が心に残る。ドラフトが終わるまでは在籍したいという先輩に心動かされる宏樹。前田との会話で、前田が自分が将来映画と関わることに対する諦観。自分は一体何をしているのか、夢と希望と現実の狭間で揺れ動く高校生の心理描写が素晴らしい。

僕も高校時代は映画関係の道を進むことが夢であった。しかし、進路指導の教師や親に反対され、自分の夢を諦めたことが、今でも悔しくてならない。高校生ではもう自分の実力は自分でも分かっている。どこかで現実との妥協点を見出さなければならない、悲しい年代でもあった。


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閉じる コメント(21)

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評価高いですね!金曜日の視点の違う繰り返しはこの作品に合ってた感じでした。神木隆之介君がとても良かったと思います。屋上での頑張りはツボでした(^^♪原作未読なので読みたいです。ポチポチ

2012/8/17(金) 午前 7:54 [ 猫やす ] 返信する

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くらげさん
これ映画ファンには結構ツボだと思われます。
終盤ちょっと終わり方が何なんですけどね…。
で、実は桐島はこの映画では…、あ、言うのやめとこっと(笑)。

2012/8/17(金) 午前 9:40 出木杉のびた 返信する

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猫やすさん
これは結構凄いと思って観てました。
僕の今年のベストテン候補に入れたいと思います。
神木くんが良かったですね。
ポチポチありがとうございます。

2012/8/17(金) 午前 9:41 出木杉のびた 返信する

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あ、原作買って、今読んでます。

2012/8/17(金) 午前 9:41 出木杉のびた 返信する

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まだ、見ることができていません。近いうちには、、、。
ナイス!&映画村、Wクリック

2012/8/20(月) 午前 10:06 ぴくちゃあ 返信する

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ぴくちゃあさん
これはとても良い作品でした。
Wクリックありがとうございます。

2012/8/21(火) 午前 5:37 出木杉のびた 返信する

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のびたさん、映研だったんですか〜しかも屋上で8mm映画を!
まさに神木くんじゃないですか。それは共感しまくりでしたね。
橋本愛ちゃんにはちょっとガッカリさせられちゃいましたが、それもまた青春のほろ苦さを感じてヨカッタです。
ナイス!

2012/8/22(水) 午後 11:16 Swan 返信する

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Swanさん
はい、英研でした。そして屋上で撮影しました。
その時、ブラバンの女子はいませんでしたけどね(笑)。
橋本愛ちやんとは脈がありそうなので、期待しちやいましたね。
あのミサンガが見事な伏線となっておりました。
ナイスありがとうございます。

2012/8/23(木) 午前 5:08 出木杉のびた 返信する

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吹奏楽部が演奏する音楽が、あの屋上を盛り上げていた!という仕掛けが良かったですね。
高校時代に夢をあきらめていなければ、それこそ将来は映画監督、女優と結婚、
だったかもしれませんね。僕も映画の宣伝をしたくて映画会社を目指しましたが、
結局ダメでした(汗)♪。

2012/9/12(水) 午前 0:30 ffa**77 返信する

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ふぁろうさんは、映画宣伝をやりたかったのですか。ふぁろうさんの映画を応援する立場での記事から察するに、本当にその道が合っていたのではないかと思います。
そのうちに淀川長治さんみたいなカリスマになっていたかも知れませんね。
で、僕が監督になっていて、是非、作品をふぁろうさんに褒めていただきたかったです(笑)。
あ、一瞬楽しい夢を見させていただきました(爆)。
で、本作はとても好きで、今年のベストテン候補です。
現実音をそのままクライマックスの音楽にしてしまうというのは、実にうまいと思いました。

2012/9/12(水) 午前 4:22 出木杉のびた 返信する

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その職業についていないからと言って、夢をあきらめたことにはならないと思います。
こうやって、ブログを続けることも、映画に関わっているのではないでしょうか。
TBさせてもらいました。

2012/9/12(水) 午前 8:21 ぴくちゃあ 返信する

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ぴくちゃあさん
励ましのお言葉ありがとうございます。
でも、やっぱ映画関係の仕事につきたかった。
しかし、実際に仕事になると、厳しいことも多いでしょうから、こういうブログで言いたいこといってた方が、楽しいでしょうね。

2012/9/12(水) 午後 0:35 出木杉のびた 返信する

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ますます見たくなってきました。
映画ファンにはうれしい映画、というのがありますね。これもそんな映画でしょうね。

2012/9/12(水) 午後 8:47 fpd 返信する

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fpdさん
これは映画ファンの方なら、きっと気に入ってくれると思います。
作り方も面白いです。
今作での映画部はゾンビ映画好きなんですけど、原作は日本映画好きという設定でした。

2012/9/13(木) 午前 5:08 出木杉のびた 返信する

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それぞれのシーンを想い浮かべて、高校時代の屈折した思いに共感できますね。
面白い映画です。こんなおっさんにも共感できるのは、逆に新しい時代さがないのかもしれませんが。TBさせてくださいね。

2012/9/29(土) 午後 8:08 シーラカンス 返信する

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シーラカンスさん
はい、経験している高校時代の思いには、多くの方が共感できるのではないでしょうか。
いつの時代にも変わらないものがあるのだと思います。

2012/9/30(日) 午前 6:54 出木杉のびた 返信する

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やっと見ました。映画好きの主人公で、ポンポン映画の固有名詞が出てきて心地よかったですね。それに引き替え、橋本愛は・・・「「タランティーノの、なんだっけ、人がたくさん殺される作品・・・」(笑)。

TBさせてください。

2013/2/26(火) 午後 5:50 fpd 返信する

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”君よ、拭け、僕の熱い涙を!”(笑)生徒一同、吹き出してしまいました。

2013/2/26(火) 午後 5:53 fpd 返信する

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fpdさん
これは映画ファンは皆さん喜ばれたのではないかと思います。
「タランティーノの…」は『キル・ビル』ですね。
思わず答え言っちゃいそうでした(笑)。

2013/2/27(水) 午前 4:21 出木杉のびた 返信する

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映研の作った作品のタイトルは、わざわざダサくして、聞いている方が恥ずかしくなってしまいました。

2013/2/27(水) 午前 4:23 出木杉のびた 返信する

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