暇人の戯言<Ocurrencias de un ocioso>

徒然なるままに、日ぐらし硯に向かいて、よしなし事を、そこはかとなく書いております

等々力渓谷

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等々力渓谷

 世田谷区に、東京23区内唯一の渓谷「等々力渓谷」がある。渓谷内にある「不動の滝」から流れ落ちる水の音が一帯に轟いていたことから、「等々力」の地名が生まれたという。
 「とどろき」とは読みにくい。「とうとうりき」と読んでしまう人もいるらしい。愛川欣也が冗談で「ららちから」と読んで、番組の皆から総反発を受けたという話もある。
 等々力という地名は、等々力陸上競技場やとどろきアリーナなどがある川崎市中原区にも存在する。かつて多摩川の改修により、同じ等々力村が多摩川を挟んで世田谷区と川崎市に分かれたためだ。このようなケースは、江戸川にもある。
 東急大井町線等々力駅で横浜の友人と待ち合わす。花見である。ゴルフ橋の袂に、「等々力渓谷入口」の看板が立っている。階段を下りると、武蔵野台地の南端を矢沢川が浸食してできた等々力渓谷だ。
 川沿いの遊歩道の回りには、白樫や欅、椋などの森が広がり、せせらぎの音が静けさを引き立ててくれる。野鳥も集い、23区内とは思えない静けさだ。環状8号線の下を潜り、不動の滝へ向かう。
 途中に東京都指定名勝「等々力渓谷」の案内板がある。国分寺から世田谷区、大田区へと、高さ10〜20mの国分寺崖線が約30km続く。その最南端に位置する約1劼侶銘。矢沢川が国分寺崖線に切り込んで浸食したものだ。至る所に湧水が認められると書かれてある。
 その湧水の吹き出すところが、不動の滝。大した水量とは言えないが、竜の口から2条の滝が流れ出る。滝口に不動明王が祀られていた。写真を撮ろうとするが、水質検査なのか、係員がなかなかそこをどいてくれない。滝というには忍びないが、かつては修行僧が各地から訪れたという。
 滝脇の階段を登ると、等々力不動尊である。関東三十六不動尊霊場の第17番札所。本堂前に「天上天下唯我独尊」の釈迦像がある。花で埋もれていた。よく見ると造花である。手で触っても、生花と間違うほど良くできている。恐れ入った。
 境内から見下ろす桜が、今日の目的である。山桜など500本ほどの桜が見どころと書いてあったが、正面に見事な満開の桜が1本だけあった。臥竜の松、月見の松のような、枝振りのいい松も見事だった。
 山門の扁額「瀧轟山」を拝み、等々力不動の対岸にある日本庭園へ向かう。昭和48年に庭師・飯田十基により作庭されたもので、良く整備されていた。日当たりのいい芝生広場では、おじいちゃん・おばあちゃんたちが弁当を広げ、花見を楽しんでいた。
 黄色いサンシュの花が咲いていた。「マンサクみたいな花だね」と言うと、横浜の友人に「サンシュ」だと教えられる。「山茱萸」と書き、ミズキ科の花で、秋にはグミのような赤い実をつけることから、「アキサンゴ」とも呼ばれる。温めた牛乳にサンシュの枝を入れるとヨーグルトができることから、ブルガリアでは「ヨーグルトの木」と呼ぶらしい。
 「庭の山椒(さんしゅ)の木 鳴る鈴かけて ヨオー ホイ」と唄う宮崎県民謡「稗つき節」のサンシュは、ミカン科の山椒(さんしょう)であり、山茱萸とは違うようだ。なかなか奥が深い。
 「綺麗なボケの花が咲いている」と言うと、今度は「カイドウ」と言う。ボケ(木瓜)はバラ科ボケ属、カイドウ(海棠)はバラ科リンゴ属。カイドウの方が、花が大きいようだ。鬱蒼とした竹林を抜けて、冠木門を出た。
 矢沢川を下ると多摩川に出る。東京は満開と報じられていた桜も、多摩川堤は3分咲きだった。川風が冷たい。今や人気急上昇の武蔵小杉の高層マンション群が、異様な高さを誇っていた。
 多摩川通り沿いの玉堤に、メキシコ料理店「Fiesta del amigo」がある。メキシコ国旗を掲げ、マリアッチが流れてくる。「Hola! Como esatá?」と入ったが、それに対する反応はなかった。
 昼食を済ませ、田園調布まで歩いた。この辺りまでが国分寺崖線である。眺めの良さは格別だ。武蔵野台地上に「田園都市」が開発された大正末期から昭和にかけて、政財界人が競って崖線の傾斜を利用した別邸や別荘を建てた。
 放射状に街づくりされた田園調布駅前のスタバで、疲れを癒しコーヒーを飲む。パソコン先生である友人が言うには、「おばあちゃんは既にスマホを使っている。おじいちゃんは未だガラケー。ところが孫にせがまれ、スマホを教えてくれと言うおじいちゃんが増えた」とのこと。自分は今もガラケーだ。何の不便も感じない。孫の要求には皆弱いようだ。
 話し言葉が、そのままメールで届くのには驚いた。最早、手で打つ必要はないらしい。おじいちゃん向きなのだ。ITの進化は留まることを知らない。恐ろしい時代になってきた。
 そんないつものパソコン&スマホ談義を終えて、東急東横線を「じゃあまた」と左右に別れた。
「さまざまの ことを思い出す 桜かな」芭蕉

平成31年3月29日

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俳句ー82


紺碧の 空に綿雲 手でつかむ

同窓会 今が蛙の 目借時

葉ごぼうは 春の香りぞ 農家めし

古里に 父母はなく 家もなし

夕暮れに 子ら買食いの 悪ふざけ

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日比谷の昔と今

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日比谷の昔と今

 日本プレスセンターで開催されたフォーラム「守ろう!海の生態系」を聞いた後、開業して間もない東京ミッドタウン日比谷など、有楽町駅界隈をぶらついた。様変わりした日比谷と昭和の香りを残すガード下「けむり横丁」が、日比谷の昔と今を混然と表現している。
 日比谷は、400年ほど前は海だった。細長い袋状の「日比谷入江」が、江戸城の足元まで入り込んでいた。江戸に徳川幕府が開かれると、江戸城を拠点に付近の湿地帯が埋め立てられ、長閑な漁村は整然とした大名屋敷の並ぶ街並みに変貌した。
 明治に入ると、帝国ホテルや鹿鳴館、東京府庁や社交クラブの東京倶楽部などが建設され、近代化を象徴する街になった。その後、公園や劇場が造られ、日本を代表するエンターテイメントやビジネスの街が形成された。
 そもそも日比谷は、漁民の住む村落だった。漁民が海苔を取り、魚を捕えるために海の中に立てる竹の小枝のことを「ひび」と言った。「ひび」が立つ入江(谷)であったことから、日比谷という地名に転じたと言われる。
 東京ミッドタウンは赤坂にあるが、東京ミッドタウン日比谷は、旧三井銀行本店と三信ビルの跡地を再開発し、35階建て商業施設として昨年3月に開業した。鹿鳴館を意識して、外観は「ダンシングタワー」というコンセプトで、曲線美の形状となっている。
 入ると、いきなりワインの試飲券をくれた。地下1階のHIBIYA FOOD HALLには、手軽に酒を楽しめる雰囲気の店が8店舗入っている。1人だったので、試飲は止めておいた。凄い商業施設ではある。金持ちは購買意欲をそそられそうだが、こしとら年金生活者には余り関係ない。
 4階TOHOシネマズ日比谷には、映画劇場の街・日比谷のシンボルであるゴジラ像が設置されている。小林智己制作の平成ゴジラ像が、日比谷シャンテの合歓の広場から移設されたものだという。
 6階には、開放感のある空中庭園「パークビューガーデン」がある。日比谷公園や皇居外苑を見渡せる。まるで異次元の世界である。
 向いに日比谷ゴジラスクエアがある。日比谷シャンテのリニューアルに合わせて、合歓の広場がリニューアルされたものだ。ブロードウェイのシンボル・ゴジラが、新ゴジラ像として設置されていた。
 日比谷から銀座方面へ抜けるガード下は、いつしか「けむり横丁」と呼ばれるようになった。いつも活気と煙が充満しているガード下の飲み屋街である。興味本位の外国人が、多く屯している。ミッドタウンより落ち着ける場所なのかもしれない。
 けむり横丁の最古参は天ぷら屋「天米」、創業は昭和27年という。名物はどっぷりとつゆにくぐらせた海鮮かき揚げ丼、古くからの常連が集う店だ。5時過ぎというのに、店は満席であった。
 串焼きの人気店「登運とん総本店」は創業60年。我ら戦後生まれは、こういうところが性に合う。しかし今や、外国人観光客で賑う観光スポットでもある。有楽町をはじめとするカード下の飲食店が外国人に大人気。「レトロな雰囲気がいい」「狭いところがいい」など、日本の文化を感じられる場所らしい。
 新橋から続くこのガードが生まれたのは、なんと明治43年(1910)のこと。日本初の高架線が造られたためだ。「飲み屋ばかり」「薄暗い」というガード下のイメージが、最近変わりつつあるようだ。大人の社交場として、人気のガード下でもある。
 煙の立ち込める有楽町ガード下の「けむり横丁」と、超近代的な商業施設「東京ミッドタウン日比谷」が隣り合わせにある日比谷の昔と今が、色々な意味で格差を感じさせ、興味深かった。

平成31年3月23日

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俳句ー81


ベランダに 新聞読むや 春溜り

釣果なし おいてけ堀の 太公望

足袋つぐや 針を通せぬ おやじ妻

飯を炊く 出来損ないも 釜の所為

この始末 おばかをするも 齢のせい

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海の生態系

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海の生態系

 生物は他の生物を食べたり、食べられたりする関係にある。これを食物連鎖という。海の中では植物プランクトンや海藻、それを食べる動物プランクトン、動物プランクトンを食べる小魚、といったように生態系は食物連鎖で繋がっている。これらの生物の死骸を分解するバクテリアによって、死骸は栄養塩となり、再び植物プランクトンに取り込まれる。
 生物は自分が生きていくために、体重のおよそ10倍の餌を食べなければならない。食物連鎖を考えると、体重100圓離泪哀蹐生きていくためには1トンのイワシが、1トンのイワシが生きていくためには10トンの動物プランクトンが、10トンの動物プランクトンが生きていくためには100トンの植物プランクトンが必要となる。バランスのとれたピラミッド型の生態系が崩れると、海だけでなく地球全体のバランスが崩れる。
 東京新聞と日本UNEP協会(国際環境計画日本協会)が主催するフォーラム「守ろう!海の生態系」が、東京都千代田区の日本プレスセンターで開催された。250人ほどの聴衆が集まった。
 第1部では、日本UNEP協会の鈴木基之代表理事が「人間活動と海」と題し、基調講演を行った。「現代社会の生み出す窒素化合物やブラスチックごみの増加が、地球の生態系を大幅に変える危機に直面している」と指摘する。
 海は地球の70.8%を占め、水の96.5%は海にある。その深さの平均は3729mで富士山とほぼ同じ。プランクトンから海藻類、魚介類、哺乳動物、鳥類などで構成する海の生態系を支えているのは、海面の0.1%に過ぎない沿岸域である。
 この20年間で人口は1.38倍の76億人、経済活動の指標である世界総生産は3.31倍、地球温暖化に影響の大きい二酸化炭素の排出量は、1.63倍になった。
 人間活動により、生態系が大きな影響を受ける三大要素は、二酸化炭素の排出による温暖化と増加する人口を養うために広まった窒素化合物、そして丈夫で軽く安価で便利なプラスチックだという。
 プラスチックの生産は、経済活動の増大と共に急増し、安価なためにすぐ捨てられ、丈夫だから分解されず残り続け、一部は海に放出され、軽さゆえに漂い続ける。紫外線や波にもまれて微細化したマイクロプラスチックは魚類に取り込まれ、それはやがて人体へと、多様な被害が拡大している。かけがえのないこの地球を、どう次世代へ残すのか、問われていると提起した。
 続いて、東京農工大の高田秀重教授が、「海のプラスチック汚染と持続可能性」と題して発表した。プラスチックによる海洋汚染は、北極から南極、海底、そしてプランクトンからクジラまで、生態系全体に広がっているという。
 波と共に押し寄せ、海岸を埋め尽くすプラスチックの山。洋上はるか無人島の浜にも打ち上げられるペットボトル。海流に乗って何千キロも浮遊を続けるビニール袋。海底の泥の中に大量に堆積するマイクロプラスチック。経済の成長や便利なライフスタイルと共に、増加の一途を辿ってきたプラスチックごみ。今や海に大量に流入するプラスチックが、世界的大問題になっている。マイクロプラスチックへの懸念が国際的に高まっている。
 世界で1年間に作られるプラスチックは4億トン。そのうち半分程度は、ペットボトルやコンビニの弁当箱、お菓子の包装、レジ袋といった使い捨てに使われている。それはやがて川から海に運ばれ、波を受け、太陽光や紫外線を浴び、やがて細かなマイクロプラスチックとなる。
 マイクロプラスチックは南極や北極の氷の中にも見つかり、世界中に5兆個、30万トンが海に浮遊していると推定される。20年後には10倍に、2050年には、海にいる魚を上回るとの計算もある。
 日本では、焼却によって発生する熱エネルギーを回収する「サーマルリサイクル」という考え方から、使い捨てのプラスチックの50%以上が焼却され、リサイクルが進んでいない。国内でリサイクルできないプラスチックはアジア諸国に輸出され、現地や地球規模での環境汚染が深刻化している。
 環境問題では、よく3R(リデュース=減らす、リユース=繰り返し使う、リサイクル=再資源化)と言われるが、リフューズ(断る)を入れた4Rとし、余分なものを提供しないことも大事という。
 第2部は、地球環境の保護をテーマにしたアートを手掛ける書道家・岡西佑奈、イオン株式会社で環境・社会貢献を担当する三宅香執行役を交え、パネルディスカッションが行われた。
 経済成長と共に、便利さと豊かさを求め普及したプラスチックが、今や人類と地球に逆襲を開始した。目に見えない海からその進行が始まっている。「待てば海路の日和あり」と、暢気なことを言っていられない。
 海に限らす、地球全体のパランスのとれた生態系を維持することが、我ら地球人としての責務であろう。

平成31年3月23日

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