酔月亭

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もちろん80年代にはエコー・アンド・バニーメンやティアドロップ・エクスプローズみたいなもっとファッショナブルなバンドがいて、英国のプレスはU2よりも彼らの方を称賛していたね。
彼らを追い越したって感じた時があっただろう? アメリカに進出した時かな。

きみが話してるのはどっちも素晴らしいバンドだったけど、自分の国での競争に勝たなければならなかった。ぼくらはイギリスのバンドじゃなかった。
U.K.はぼくらを受け入れた――決して完全にではなかったけど。なぜなら、アイルランド人はイギリス人と違っていたからね。
ぼくはイギリス人の慎み深さや厳しさが好きだけど、ぼくらは彼らにとって手に負えないひどいものだったと思うよ。感情的すぎるし、まともに当たりすぎる。彼らはクールで、ぼくらはホットだった。
ぼくらにはバンドを表現する時の決まり文句があった――バニーメンやティアドロップ・エクスプローズのことじゃないよ――ロンドンのキングス・ロードを歩いてる時に見つけたあんまり言うようなことがないようバンドにさ、「すべてがある。それ以外は」って言うんだ。ぼくらはその逆で、「なんにもないけど、それだけはある」バンドだった。それが違いだった。
いくつかのバンドはほんとに競争力があったけれど、時代やメディアのムードは、ビートルズやストーンズや、あるいはセックス・ピストルズもそうかな、そういう世界征服をするようなバンドを望まなかった。彼らは野心を明らかにしなかった。文化大革命みたいなものだよ。毛沢東のね。音楽雑誌はバンドを欄干の上に上げるようなまねはしないんだ。
きみはカスタード・パイを持ってたんだよ。ぼくは「ちくしょう、オレは諦めない。王様になってパイを投げるんだ」って思っていた。
だってぼくの芸術の定義は、「皮膚の下に手を差し込んで、胸の骨を壊して、肋骨を開け」ってところから始まってるからね。本当に何かを書きたいと望むなら、そうすべきなんだ。
きみにはその準備ができてる? あるいは、きみにとってロックンロールは一足の靴か散髪か、不快な実存主義か甘美な腐敗なのかな。
ぼくの友人のひとりの芸術についての定義はそれだよ。血だ。アイルランドの文学から、オスカー・ワイルドの『獄中記』から、ブレンダン・ベーハンがオーディエンスの前で演じながらステージの上を歩き、人々に「ファック・オフ」って言うところから来ているんだ。

それはアイルランド人だけじゃないだろう。『Journey to the End of the Night 夜の果てへの旅』を書いたルイ−フェルディナン・セリーヌからの有名な引用がある。「文章を書くには、自分の皮膚をテーブルの上に差し出さなければならない」。

ロックンロールはしばしばその反対だね。テーブルの上に皮膚を差し出すというよりは、別の皮膚を、マスクを見つけることだ。

それはぼくみたいな外側の人間にとっては大きい矛盾のひとつだな。きみは自分のまじめさとショウビジネスに求められる表面性とをどうやって折り合っているんだい?

決してパフォーマーを信じるな、パフォーマーは最も優れた嘘つきだ。やつらは生きるために嘘をつく。
きみはある意味、アクターだ。でも作家は嘘つきではない。
聖書にこういう一節がある。「真実を知りなさい。そうすればあなたは自由になれるでしょう」。
まだ子どもだったころ、ぼくは教室に座り、教師が偉大なアイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イエイツについて話すのを聞いていた。彼は作家としての壁にぶち当たっていた――書けない時代があったんだよ。
ぼくは手を挙げて言った。「どうして彼はそのことについて書かなかったんですか?」ってね。
「ばかなことを言うんじゃない。生意気な真似はやめて手を下ろしなさい」。
でもぼくは小賢しい冗談を言ったつもりはない。ぼくはそういう考えで生きてきたんだ。「真実を知りなさい。そうすればあなたは自由になれるでしょう」。
もしぼくが何も言うべきことを持たなかったら、それが歌の1行目になる。実際、セカンド・アルバムの『October』で、ぼくは言うべきことを持たない歌を歌っている。
「この歌を歌ってみよう……立ち上がろうとするけど、足が見つからない/正直に話そうと思うけど、あなたといる時だけぼくは完璧でいられる*」
    *"Gloria"
ぼくにとってはいつだってこれがコツなんだ。そして多分、単にコツであるに過ぎない。でもそれで、ぼく自身をだますことができるんだ。
ぼくはいつだって書くことができる。作家としては、ぼくはいつも真実に目をつぶることはできないんだ。
パフォーマーとしてはそうだとは限らない。
きみは、一体何がぼくをパフォーマーとして誠実でいさせているか、わかるかい? ぼくが歌わなくちゃならないクソ高い音程だよ。まったくあのキャラクターになりきらなければ、歌うことはできないんだ――ぼくの音域じゃないよ。それがステージの上のぼくを誠実でいさせているんだ。
もし一歩でも引いてパフォーマンスができるって言うんなら、ぼくはそうしてるだろう。
ところで、ツアーを続けて毎晩歌の中に踏み込んでいかなければならないってのは、かなり高くつくことなんだよ。
ぼくはノン・メソッドの俳優を目指すべきだったね。

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