酔月亭

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U2 Night // 満月日記 #1

あっという間に流れ去った時間だからこそ、振り返るのはゆっくりゆっくり、ぜいたくに。
この歓びを少しでも引き延ばせるように。
相変わらず「オレのため」なレポですが、よろしかったらお付き合いを。



6月24日18時。
キャスター付の旅行鞄を持ったnekoさんと、いったいどうしてこんなことになったんだか分からない大きさにふくれあがったバッグを背負ったワタシとは、新宿駅東口の改札を出て、ケーキの箱を提げた「他称」と合流。
長い夜に向かって英気を養うため、ビア&カフェ「BERG」で決起集会。ギネスのパイントグラスを合わせた。
ギネスの善し悪しが分かるほど舌が肥えているわけではないけれど、日本で飲むんだったらこの店のギネスが一番好き。雰囲気も、料理もいいから、必然、ギネスもおいしく感じるというものです。
なにより大事なのはひとりで気軽に入れるというところかもしれないけれど。

19時半の集合を目指しつつ、なんとも暢気に前祝いをしている最中、DJから2度の電話でお遣いを言付かる。
その中身に思わずうなってしまった。むむむ。さてはヤツ、眠ってないか。ともかく無事に辿り着いてほしいわと思いながら、お遣いをすませ、いざシモキタへ。
U2 Nightのためとしては4度目のシモキタだが、4度目にして初めて、雨が降っていない。最大の懸念が解消されたようなもんである。
道々、nekoさんと他称にウェブにあげた写真のポイントを説明する。

もう何度も通って通い慣れた気分でadd cafeの扉を引くと、壁際の席に数人のグループ。
関係者っぽいわね。バンドのメンバーたちかしらと思っていたら、いたいた、okazuさん。あっちには顔合わせをしていたゆのわんさんのA班が。
DJも到着して、みんなわらわらと集まった。
そうよね、もう7時半だ。班長会議、始めましょう。
3人の班長―ゆのわんさん、okazuさん、アベケイさん―、nekoさん、他称あたりを前にして、すでにテンパリ気味のワタシにうまいしきりなどできるわけもなく、とりあえず渡すものは渡し、必要最低限の手順を説明した。

add cafeの一般営業が終わるころ、他のスタッフが続々と集まる。jiroさんが描いた見取り図を前に、いざ設営開始。
当初の予定では男性陣に設営をお願いし、女性陣は班別ミーティングを行う予定だったが、よく考えればそんな場所はないし、圧倒的に女性が多いしで、さすがに重いものの上げ下げはお任せしたけれど、人海戦術での設営となった。
一応、jiroさんの見取り図どおりにテーブルと椅子を配置してみたところで、オイラとokazuさんは顔を見合わせた。
いや、ちょっと、これじゃあいくらなんでもダンスフロアが狭いでしょう。テーブルの数を減らし、何とか半分くらいのフロアを確保したところで、一つ目のトラブル。
階段の踊り場に使わないテーブルや椅子を置く予定だったのがNGになってしまった。
土曜日だから上階の事務所は閉まっていると聞いていたのだけれど、そういえば電気が付いてたな〜。しまった、一度でも土曜日に来ておくんだったと思ったけれど、後の祭り。
こうなったら多少スペースが狭くなるにしても、余った椅子やテーブルを壁際に積みあげるしかない。
結局、jiroさんの見取り図は棚上げして、ダンスフロアを確保しつつ、できるだけ多くの人が椅子に座れるようにと考えながら配置して設営終了。
いかにもにわかづくりの会場だけれども、まあ、照明落とすしね。壁際眺める暇なんてないよね。せめて暗幕があるとよかったね。

ここで3人の班長のもと、班別ミーティングに入るわけです。人数が少ない方が細かく打ち合わせやすいだろうと思っていたのだけど、なにしろテーブルは一つにつなげてしまったし、大きな輪になって「班別」もないもんだということで、急遽ゲスト担当全体ミーティングに変更。
オイラは他称と顔つき合わせて、ここまでの流れをチェック。Lillyさんの段取りについてもチェック。
そうしているうちにもゲスト担当のテーブルから疑問の声が挙がり、そのたびに失念していた事柄が判明し、申し訳ないと言うよりは正直ホッとする。

背後では機材が設置され、着々と準備が整っていく模様。
が、あれ? リハはまだ始まらないの?
すでにこのとき、第2のトラブルは始まっていたんだった。音が出ない、というのである。
携帯電話を片手に必死に調整を続けるjiroさん。刻々とスタート時間が迫る。
クラブでオープンが遅れるのなんて当たり前みたいなもんよとは思いつつ、今夜はそういうわけにもいかないんである。
さあ、ゲスト担当のお仕事開始。外に行列を作り始めている来場者に、開始時間が遅れるというアナウンスをしてもらう。目安は30分。
何とか音が出て、リハーサルが始まる。きらびやかなオレンジ色の衣装を身にまとったLillyさんが軽く全体を流す。
本番ではばたばたして見られないかもしれないなという言い訳を胸に、写真を撮りながらしばし注視。
う〜ん、そうだよ、これだよ。ほんとにやっちゃうんだな〜。
アベケイさんが花束をを持って上がってきてくれる。添えられたカードの署名は、ハニさん。
慌てて飛び出して、階段を転がり落ちる途中、U2Japanのzooさんがいた。オープンから来てくれたんだ〜と感激。しかもおみやげつき。
こっっ、このつつみはっっ、もしやっっっ。
思いがけずにお誕生日おめでとうといってもらい、お返事に「おみやげ独占宣言」をかましてしまったワタクシ。「店内で撒くと出禁になっちゃうから」など、それらしいことを言いつつ。恥ずかしい人だわ、ほんとに。
だって、ブブちゃんだよ〜。ボノたんも大好きな(らしい)シャンペンをいただいちゃったのでした。
ご挨拶もそこそこにハニさんのところまで辿り着き、初対面にもかかわらず、感激のあまり抱きつき記念撮影など。アベケイさん、カメラマン役ありがとう。
気がつけば来場者の列はビルの外まで続いていたけれど、この分だと心配していた混乱には陥りそうもない。入場制限の必要が出てくるとしても、まだ先のことだ。
okazuさんがリクエストカードを配っている。A班が出張受付をしてる。素晴らしいフォローぶり。
と、列が動き出した。
U2 Nightが始まったみたい。


しばらく外に立っていたと思う。アベケイさんと他称と、パラパラとやってくるゲストを迎えてたと思う。
上の様子を尋ねたら、問題ないという。まだまだ余裕あって、落ち着いてるって。
落ち着いてる? フロアは? 踊ってないの?
こりゃたいへんと、慌てて上へ戻る。
う〜ん、なるほど、DJ&VJショウだね、これは。ゲストは三角座りこそしていなかったけど、目は2面にすえられた画面に釘付け。
これはこれでいいのかなあ。滅多にない機会だしなあ。と一瞬思ったんだけど、いやいやいや、DJを煽らなければ。okazuさんと一緒にぐぐぐいっと前方に突進する。

会場を見回すと、まだドリンクを持っていない人もいるみたいだ。注文を取ってカウンターへ、数往復。ついでに階下の兄弟にもギネスを配達。
さてさて、それじゃあまあ、しょうがないからちょっと盛り上げてみるか。
踊りたいけど一番は恥ずかしいって人もいるだろうから、そこはやっぱりスタッフが先頭を切らないとね。
これも仕事の一環よね。
DJブースの前にぽっかり空いたスペースを何とか埋めるべく、U2の音楽に乗ってみる。
気持ちいい! 当たり前だけどさ!
あっというまに腹の底からわき上がってくる興奮。
ためて、ためて、上へ! 何度も何度も突き上げる。
腕を大きく伸ばして、拳は握らずに指を開いて、前へ、上へ!
こうなっちゃったらもう、なんにも分からないです。お仕事終了って感じ。
隣にいるokazuさんもむっちゃ楽しそう。
見回すと、何人か踊り始めてる人もいるし、ゲストの入場は続いているんだろう、フロアの人数も増えている。
でも、もう少しいいか。
機材の不具合は続いているようで、jiroさんが苦労しているのが見て取れる。
でも音は鳴ってるし、ボノは歌ってる。

エレベイション、みんなの大合唱。
Wild Horses、オイラのテーマソングのLevitate、上へ! 引っぱりあげてくれ!
汗びっしょりになっていったん脇に引っ込んだところへ、nekoさんの携帯が回される。Jさんからのメッセージだ。
みんなの顔を見てご覧って。
ダメだよ、Jさん、見えないよ。にじんだ涙で視界が曇ってさ。
この声が聞こえるかな、熱が感じられるかな。
熱い熱い塊に手を引かれてフロアに戻ると、運命の曲"With Or Without You"が待っていた。
なんて最高のタイミング。ありがとう、jiroさん。
アダムとラリーのリズムが足下を揺さぶる。エッジの旋律が世界を広げる。ボノの声が、意識を彼方まで連れていってしまう。
ああ、うん、一年前と同じだ。
あの日もワタシは立ちつくして、声を出すことができずに、ボノとみんなの声が混ざるのを聞いていたんだった。
これはそういう曲なんだね、みんなに歌ってもらう曲なんだ、と改めて思う。
もっと声を、もっと大きな声を聞かせて。
涙が溢れるとか頬を伝うとかいうレベルじゃなくって、ワタシは顔を手のひらに埋めて、涙に浸していたよ。
アウトロ、みんなが歌い続ける「Shine like stars」に、ボノの声が加わる。
One Heart。果てた。

Badがかかって、okazuさんが一番好きな曲だと叫んだ。
ワタシはまたスクリーンの端っこにハウス。煙草に火をつけて、今度はゆっくりとみんなの顔を見回す。
うん、いいじゃないか。
いい空間じゃないか、愛に満ちて。
立って踊っている人も、座って歌っている人もみんな、U2の夜を楽しんでいる。
ワタシはこれを望んでいたんだな、と思った。

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