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まだあまり活字を読んでいない時期だったけれど、噂に聞いていた本が目の前に置かれたので、ぱらぱらとめくった。 そしたらやめられなくなって、2冊とも即購入。 著者はイラク・バグダッド在住の20代女性、リバーベンド。 「いま」のイラクが市井に生きる立場から克明につづられている。 軍でも、ジャーナリストでもなく、街で暮らす人間の報告をリアルタイムで読めるのは、インターネットの正しい使い方のような気がする。 それにリバーの文章は読んでいて楽しい。 状況からしたら楽しいわけなんてないんだけど、アメリカに対しても自国政府に対しても機知に満ちた皮肉たっぷりに書いているから、つい笑ってしまう。 リバーはときどき、かつてのイラクがどうだったかを語る。 それを読んで、スンニ派とシーア派の対立とか、クルド人弾圧とか、そういうキーワードで解釈していたイラク像が、がらがらと音を立てて崩れた気がした。 「イラクの国内情勢」としては正しいんだろうけれど、少なくともリバーの身辺ではスンニ派もシーア派もクルド人も共生しているし、クリスチャンの友人とパーティーをしたりもする。 それが市民生活なんだと思う。 ワタシの知らないイラクの姿が、ここに描かれている。 知らない、というのはちょっと違うか。今だってワタシはイラクのことを何一つ知らないんだから。 想像できなかったイラクの姿。そんなところか。 更新の間隔が空くと、読者はリバーの生死が心配になる。 彼女は確かにイラク・バグダッドに住んでいる女性ではあろうけれど、どこの誰かはわからないから、挨拶もなくブログの更新が止まってしまったら……彼女が死んで/殺されてしまったことさえ想像するしかなくなる。 幸い、いまもリバーのブログ更新は続いている。 ただ、かつてはユーモアに溢れていた彼女の文章が、ここのところとても苦しそうで、心配。 自国のことを少し突き放したような、客観的な口調で語っていたのが、そんな余裕もなくなってしまったということなのだろうか。 まったくよい方向に向かわない事態に追いつめられているのが感じられる。 リバーは英語でブログを書いているけれど、ボランティアで日本語翻訳ページを運営している人たちがいる。 Baghdad Burning バグダードバーニング by リバーベンド よかったら、はじめの方から読んでほしい。 リバーがどんなに自由な心を持った人かわかるのは、はじめの方だから。 ワタシには何が真実かなんてわからない。
米軍属の記者が言うことが正しい可能性だってゼロとは言いきれない。 リバーベンドなんてほんとは存在しなくて、ヨーロッパの安全圏にいる反戦主義者が作り上げた虚構なのかも。 サダム・フセインはもう殺されているか、あるいは逮捕されていなくて、死刑判決を受けたのは影武者なのかも。 サダム・フセインなんて最初からいなかったのかも。 北海道では竜巻なんて起こってなくて、北朝鮮は核実験してなくて、アフリカの子どもたちは飢えてないのかも。 ボノは口パクで、エッジはエアギターだっていうのと同じくらいの可能性だと思うけど、ありえないとは言いきれない。 |
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2006年11月11日
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