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空港へレンタカーを借りて、一路西へ。 アイルランドの都市間は道路の整備が進んでいてとても走りやすい。そのうえ日本と同じ左側通行なので違和感がない。何度かランダバウトで出口を間違えたのと、ウィンカーとワイパーの位置が逆で右に曲がりたいのに窓拭いたのと、ときどき猛烈なスコールに見舞われる以外は全く問題なかった。 久しぶりのマニュアル・トランスミッションはことのほか楽しかった! バックがめちゃくちゃ入りづらかったけど。 Galwayに向かう道すがら、高速道の終点でもあるAthloneという町に立ち寄る。U2ファン的にはこの旅のハイライト、Moydrum Castleを訪ねるのが目的。 とはいいながらほとんど何の準備もしてなくて、ただGPSに通りの名前をぶち込んだだけ。見つからなかったらちゃんと調べて帰りにもいっぺんくればいいやとか思ってた。 案の定、それらしき建物はいっこうに見当たらない。日曜日の昼頃だからか庭先にさえ人影がなく、道を尋ねることもできない。 あとから考えると、GPSはかなりそばまで連れていってくれてたのだけど、石造りの廃墟をさがしていたワタシたちはその存在に全く気づくことができないままに方向転換、町を外れてしまった。 これはいよいよいかんとUターンをして戻りかけたところ、前方から歩いてくるおっさんが。車を止め、思い切って話しかけてみる。めちゃくちゃにっこりしてくれた。 「Moydrum城? もちろん知ってるよ、書くものある?」とかなんとか言われて、慌ててメモ帳を引っ張り出す。大量のハエにぶんぶん唸られながら、たどたどしい筆先で、3枚目のメモで出来上がったのがこの地図。 左上の道ばたにある黒い点がワタシたちの車。 この道を町のほうに戻ると、学校があって、道がカーブしてる。まっすぐ行くとAthloneだけど左に曲がって、またすぐ右に。あとはまっすぐ行くんだ。まっすぐ。そしたら左に森が見えてくるんだけど……そのあたりで人に聞けばわかるよ。 いや、この町で見かけた人間、あなたが初めてなんですが、別の人に聞けと? もう、ここに至って、全く辿り着けないような気がしてきた。 でもともかくベストを尽くしてくれたおじさんにお礼を言う。なんか日本的なものがあればあげたいぐらい嬉しかった。あるいはギネスをおごりたいぞ。 別れ際、「あの城はU2がレコードジャケットで使ったんだよね!」とおじさん。そうそう、それで来たんだよー。あのおじさんは、迷えるU2ファンを案内するために散歩をしていたに違いない。だとしたらすごい演技派だけど。 地図を頼りに、おじさんの言葉が鮮明なうちに道を引き返す。 学校の先を左に曲がり、右に曲がるとさっきも通った見覚えのある道。住宅が並んで、その先に牛糞が落ちてるのが目印。 左のほうに森が見えるはず……ああ、あれのことかな。あの2本の樹、やけに四角くないか? と思った瞬間、角張った樹が建物に見えた。これはわからんわー。あるって確信持ってないと気づかない。 なんかすごくドキドキしてきた。 いくつかカーブを過ぎて、見え隠れする目標物を追うこと数十秒で、それがはっきりとした形で目の前に現れた。足元が見えてやっと、石でできている建築物だとわかる。 周囲はごくふつうの放牧地。馬がいる。 盛夏だから緑が繁ってるだろうとは思ってたけど、蔦じゃなくって樹だよ! 小さめの葉の照葉樹がぴっちりと全体を覆っていた。少し行き過ぎたところに車を止め、引き返してためつすがめつ堪能する。 なんかねー、急にテンション上がったさ。もう無理かもって思ったのと、ニコニコおじさんの存在のおかげもあるんだろうけど、ともかく辿り着いた! という心境でとても嬉しかった。 裏側。 私有地なのに加え、放牧地なので人馬双方の衛生のために踏み込むまではしなかったです。車もチャリも通ってたしね。
いつか持ち主と仲良くなった暁にはジャケ写と同じ角度の写真を撮るんだ。なんてな。 |
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