酔月亭

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Review:HTDAAB

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How To Dismantle An Atomic Bomb//U2 私感
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My "A Man And Woman"

第一印象は、なぜU2がこの曲を? だった。きれいなメロディで、ボノいうところの「シネマティック」な世界が広がる歌詞なんだけど、それでもなぜ、と思った。まるで映画の主題歌のよう。カラーとセピアのパートが入り乱れるような。
同じような印象を抱く人は世界中にいるわけで、たぶんドイツの英語サイトだったと思うんだけど「映画のサントラの曲みたいだ。アルバムでの位置的には、前作の"Wild Honey"みたいな曲」と書いてる人がいた。このサイトでは4人が合評して、それぞれ10点満点で評価してるんだけど、一致して低い評価なのはこの曲だけだったように記憶してる。
この合評を読んで、ワタシも自分にとって「Wild Honey」みたいな曲になるだろうなと思った。そこまでは一緒。ただ違うのは、ワタシにとっての「Wild Honey」は、前作のBest Tuneの一つなんだよね。周りの評価は低いんだけど、そんで自分でも「すごい曲!」とは絶対思わないんだけど、そこに描かれている世界観がなんだか親しくて、気に入ってしまう。
ドイツのサイトではそんな感じで、アメリカあたりではあんまりこの曲には触れられてないみたいだけど(U2の曲で初めて"sex"が歌詞に出てきたとはどっかにあったな)、日本では結構受けがいいみたいで、ライブでやるのが楽しみって人がいた。う〜ん、やってくれるのかなあ。Wild Honeyと一緒だったら、やらないってことになっちゃうよね。ボノは今回のアルバムは全曲ライブでやりたいって言ってるけど、アダムは10〜11曲って言ってたし。リストには入ったとしても、毎晩やる曲って感じではないから、あたるかどうかってとこだろうか。

最初はとても好印象とは言い難いんだけど、聴き終わるころにはもう、はまる曲だなと思ってた。
たとえば、このアルバムの中で最初に耳から覚えた歌詞は "I've been sleeping in the street again / Like a stray dog" だった。こんなロマンティックな曲で、なんでホームレスが出てくるんだろうと思うよね。
それから "I could never take a chance / Of losing love to find romance"。やらしい歌詞だよなと思うんだけど、ボノはこの曲を熱唱してる。やりすぎなくらいロマンティックにもなるはずのこの曲が、なんだかとても寄る辺ない印象を与えるのは、無防備に歌うからだね。それがとても好き。

仕事中、時々一服休憩とか食後休憩とかのたびにU2を聞くけど、晴れた日にちょうどこの曲がかかることが多くて、そうするとボノが "don't you worry about a thing today / Take the heat from the sun" って歌ってる。そだね、じゃ今だけは何も考えないでひなたぼっこするよ、ってなぐさめられるんだ。ワタシもすべてがうまく行ってるわけじゃないってのは承知してるけど、あなたの声は蜂蜜みたいに甘いしね。

My "All Because Of You"

HTDAABの発売直後だったか、またはフライングの時期だったかもしれないけど「スルメみたいなアルバム、噛めば噛むほど味が出てくる」という感想がどっかにあった。繰り返し聴いてるとどんどんよくなってきたというのも。
だいたい、U2のアルバムって基本的にそれだよね。もちろん初聴きもいいんだけど、曲の印象も変わってくるし、聴くたび新しい発見があったりして。曲のバックグラウンドを知ったり、歌詞をちゃんと読むだけでも変化が大きかったりする。
中毒症状というか、依存症というか、まあそんなようなものをもたらす効果がある。前作ATYCLB、3年聴きましたよ。HTDAABが出なかったら今も聴いてる。
でも「スルメ説」には賛成できないな。もうちょっと高級食材にしようよ。せめてカラスミとか。

で、このアルバムで一番印象が変わってきたのが、この曲。いい曲だってことは最初からわかってる。
歌詞はもともと大好き。"I saw you in the curve of the moon / In the shadow cast across my room" なんてすごくロマンティックだし。
ただ、このアルバムの私の好きな曲は他の曲です、ってかんじだった。正直、アメリカでのセカンド・シングルだって噂を聞いたとき、へええと思いました。
でも最近、いいんだよねー、大好きなんだ、ABOY。
エモーショナルに歌う曲の多いアルバムだけど、中でもこの曲が一番無邪気に歌っているように聞こえる。無邪気は無防備につながるから、すごくセクシーな要素なんだな、ワタシにとっては。

ボノはもともと、自分の声を好きじゃなかったという。それもかなりの長い間。たとえばDVDになってる「JOSHUA TREE」でダニエル・ラノワがボノの声をほめても、ぜんぜん気のない様子。照れてるというよりはいたたまれない感じ。それでラノワに「この話はしたくないんだね」って言われちゃう。
ライブの映像見てても、あー、この人はエッジの声を愛してるよなーと思う。SLANEの「Stuck In 〜」とかね、CDUKのMDも。いや、確かにエッジの声は綺麗ですけども。
ワタシたちはこんなにボノの声の方を愛してるのにね。ボノの声じゃなかったら「With Or Without You」にもはまらなかったと思うのに。

"I like the sound of my own voice / I didn’t give anyone else a choice"
今、ボノはこう歌う。
ATYCLBの頃のインタビューで、やっと自分の声が好きになってきた、ボイス・トレーナーにもほめられたんだ、なんて答えていたのが、とうとうここまで来ましたか。ますますもって無敵だね!
最近のインタビューでは「父が死んで、自分の声が今までになくよくなったんだ」と言ってるし、ほんとにこの人は、自分の声に抵抗があったんだなあと思う。不思議だね。

そして、例のNYを駆けめぐるPV。ほんっっと、なんてことをしてるんでしょうか、この人たちは。それも楽しげに。
MTVでMakingの様子を少しだけ見たけど、朝の8時半だかからやってる。世界一のロックバンドが8時半集合って! 高校生じゃないんだからさあ。スタートはハーレムというのも、彼ららしい。もう、NY中の綺麗な女の子たちが、気も狂わんばかりの興奮ぶりで、携帯電話に向かって「U2がいる!」って叫んでるのを見ると、こっちがどきどきしちゃうよ。
PVの中の一番好きなシーンは、歩道に立ち止まったブラックのお兄ちゃんだかおじさんだかが黙って腕を上げてピースをするところ。日本語になってるピースじゃない。Peaceだって思うよ。

My "City Of Blinding Lights"

暗闇を象徴するかのような導入部分に続くのは、一つ、二つと明かりがついて、やがて街が眩しい光の固まりになっていくような、そんな広がりをもったメロディの始まり。そして、この曲を聴く度にワタシがイメージするのは、飛行機の窓から見下ろした夜景。ハリウッド謹製映画で時々見るような、疾走感をはらんだ俯瞰の夜景。

この曲に触れて、ボノは二つのイメージについて語っている。
一つは「New Years Day」の頃の自分自身。若かった彼自身についてボノは言う。"he's absolutely right"「彼はまったく正しいんだ」。今では無垢なることの強さを知っている。
"The more you see the less you know" "The more you know the less you feel"
見れば見るほどわからなくなるし、知れば知るほど感じなくなる。それでもボノは "But time won’t take the boy out of this man" 自分はまったく少年でなくなったわけではない、という。その少年の部分があるかぎり、自分は感じる力を失わないでいられる、ということか。

「Vertigo」では "A feeling is so much stronger than a thought" 考えることよりも感じることの方が強いと歌っているし、「A Man And A Woman」では "The only pain is to feel nothing at all" 唯一の痛みは何も感じないこと、「Fast Cars」では feel という単語は使っていないものの「痛みを失うことの方を心配しなくちゃ。ぼくがそれを時々恋しがるの、知ってるだろう?」と、(痛みを)感じることについて歌っている。
この痛みというのはもちろん自分自身のことでもあるだろうけれど、たとえば「Crumbs...」に歌っているようなアフリカの状況を目の当たりにして、ちゃんと痛みを感じることができるかどうか、ということだと思う。
あまたの戦場で傷ついた子どもたちのことでもいい、またはこの国で虐待の果てに殺された子どもたちのことでもいい、そういった「理不尽な暴力の犠牲者」たちのことを考えたとき、なんの痛みも感じずにいることは、実はそんなに難しいことではない。
ただ想像力を放棄して、鈍く生きていれば、他者の痛みなんて感じずにすむのだから。
ボノが怖れるのは、そういう鈍さだと思う。

もう一つのイメージは "Oh you look so beautiful tonight" だけれど、「ステージでの最も偉大な瞬間の一つ」、つまり9.11以後のニューヨークで初めてライブをしたバンドとして出会った瞬間について。
ある曲を演奏してるとき、客席のライトをつけたら、そこにいた2万人がみんな目を見開いて、涙をこぼしている。それはすばらしい瞬間だった。それで口をついて出たのがこのフレーズだという。
(この「ある曲」というのは「Walk On」かもしれない。なぜならスレイン城ライブで「Walk On」を演奏してるとき、やっぱりボノは同じことを言っている。)

ニューヨークでも、サラエボでも、傷ついた人々にとってのU2というのは何よりかけがえのない存在に違いない。それはボノが彼らの痛みを感じようとするからこそ。
痛みを失うということはその原因を忘れるということに等しい。忘れたいほどの痛みをもたらしたものならば、何であれ大切な、または重要な経験でもあろう。ならばたぶん、その原因のことを忘れてはいけない。だからボノは痛みの感覚を失って安寧に生きるよりも、痛みを抱きながら生きる方を選ぶ。それはとても勇気のいることだ。痛みを感じつづけるというのは、文字通り苦痛に違いないだろうから。

My "Love And Peace Or Else"

子どもが生まれたとき、その子が幸せに暮らすよう、長生きするように祈るのは当然のことだけれど、それをどのように死ぬのか、と言う形でイメージするのはあまり普通じゃない気がする。
生まれてきた途端、「この子がこんな風に死にますように」って祈るんだよ。不思議。

でも、どこかの誰かが言っていたように、どんな死に方をするかということはどんな生き方をするかに等しく、この歌の "With a wrinkled face, And a brand new heart"「しわだらけの顔と、真新しい魂で」死ぬと言うことは、幸せに長生きするという言葉以上の、なんだか崇高感さえ漂うような生を期待する。
「真新しい魂」。汚れなく、傷のない。しわだらけの顔になるまで生きて、そんな魂を保持できるなんて考えられないけど、人は回復するからね。汚れたら洗えばいいし、傷も治せばいい。そうしたら真新しい魂で死ねる、ということだろうか。

ボノ言うところの「very cinematic」なイメージ。恋人と電話で話している傍で、音を消したテレビに映し出される戦争のニュース。
日常の中にそういう(戦争でも、貧困でも)ニュースが溢れているということを意識するかしないかというのは、非常に重要な分かれ目だと思う。
ワタシたちは、世界で何が起こっているかということへの関心と想像力を失いやすいから。もし想像力を忘れなかったら、やっぱり「愛はどこにあるんだろう」と思うよな。

My "SYCMIOYO"

今回のアルバムタイトルについて、ボノは冗談とも本気ともつかない口調で「Atomic Bomb ってのは、ぼくにとっては亡くなった父のこと」と繰り返し言っている。そりゃもう、しつこいくらいに。
本気で"Atomic Bob"にすればよかったと思っているのかどうかはさておき、HTDAABのそこかしこに故ボブ・ヒューソン氏の存在を感じるのは確かなこと。もちろん、その最たるものがこの曲。

"Sometimes You Can't Make It On Your Own"。長くてインデックス以外は常にイニシャルでしか書かないし、口頭でも最初の一語しか呼びませんが、何とも含蓄のある言葉ですね。
ボノは曲の中で父に向かってこの言葉を投げかけているけれど、ワタシには自分に言い聞かせているようにも聞こえる。
"The best you can do is to fake it"という歌詞さえも。

これはほんとに最近気づいたんだけど、ワタシにとってのボノの最大の魅力は、「一人でできない」ってとこにあるんじゃないかと思うんだ。いやー、大の大人に向かって失礼な発言ですね。
でもね、メンバーと一緒にいないときのボノって、すごく友達が少なそうに見えるんだよ。
そんで、メンバーと一緒にいるときのボノって、特にライブ、しかもスレイン城のDVDだけど(ボストンもか?)、ずーっとメンバーに見守られてるんだよね。

ともかくボノは、一人でやらないことの強さと重要性を、すごくよくわかってると思う。
DATAの活動もそうだし、ブレアだのゲイツだのと一緒に記者会見するのもそう。政治家だけよりも、ロックスターだけよりも、そうすればより力が増す。そのことを批判されたって、よりよい方法を見つけるまではきっと揺らがない。だって急がなかったら死人の数は増えるばかりなんだから。
悪い言葉を使えば「利用してる」んだけど、でも、彼はもっと「利用させてる」から。自覚して利用させるって、すごいよ。ワタシもそう思うよ、ワタシを利用してくれてかまわないって思う相手がいるよ。でもさあ、実際は結構むかつくこともあるし。利用しろって言っちゃったからしょうがないって、我慢するしかないし。すり減るよ。

閑話休題。
なんのインタビューだったか、「僕らは死んだ人のほうを大切にする」って言っていた。これはお母さんのことだよね。14歳の時に死んでしまった母親を、ボノは繰り返し曲のモチーフにしている。「I Will Follow」に始まって「All Because You」まで(って言われてる)。
だけど父親のことは、生きている人のことはあまり触れてこなかった。それが父親のガン発病から死を経て、この曲に至る。

"And it’s you when I look in the mirror"
"And it’s you when I don’t pick up the phone"
大事な人の不在を存在として感じるとき、死の記憶の痛みは増す。
限りなく優しい声でボノが歌うこの曲は紛れもない名作。

そんで、PVがまたいいんだよね。街を歩きながら歌う声と、スタジオで歌う声が重なって溶けあうという演出は、ボノの心情を伝えることこの上ない。
幼いころに暮らした家での撮影ということで話題になったシーンでは、久しぶりにサングラスをはずしたボノの顔も見られるし。素顔のボノの方、好きなんだね、ワタシ。
う〜ん。何でこの顔がかっこよく見えるんだろう。と、最後まで失礼しっぱなしだ。

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