酔月亭

ブログを引っ越しました! 今後ともよろしくお願いします。

Vertigo//2005/06

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U2 Vertigo//2005 Tour にまつわる諸々
各セットリストは詳細がわかり次第更新します。
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はいはい、おばかさんがやって参りました。9ページ半のために1950円も使っちゃったおばかさんです。
『U2 BY U2』って全ページU2で6300円なんて、コストパフォーマンスがいいですね。まだ買ってないんですが。
実はZoo-TVもU218も買っていません。明らかに間違ってるんだけど、Vertigo in Japanから抜け出せなくて。早く買わなくっちゃ。

で、今日買った9ページ半の内訳。

『CROSSBEAT』2007.2月号 550円 
ツアレポ写真2p、記事2p
「熱狂の渦を巻き起こした全公演徹底ルポ」の割に記事が短かった。記事2pって書いたけど、半分写真だし。
でもボノの登場シーンの写真がよくて買っちゃった。

『INROCK』2007.1月号 600円
    イメージ 1
エッジへのインタビュー4p半、ツアレポ半p
ツアレポに事実誤認が多いと聞いていたので買う気ゼロだったのに、表紙がボノ×ビリー・Jの例の咆吼フォトセッション。やられた。
でも、エッジのインタビュー(翻訳記事)がよかったので後悔していません。

『MUSIC MAGAZINE』2007.1月号 800円 リンクはamazon.co.jpへ。
ツアレポ半p(写真入れると4分の3になる。コーナータイトルのイラスト入れると1p)
もしかして……と思ってパラパラめくったら、あったんです、ちょっとだけ。しかもいい記事でね……。2006.4月号の特集の時も書いてた宮子和眞さんという人なんだけど、いい記事でね……。
半ページに800円かよって、自分で突っ込んだんだけどね。
どんな記事かといいますと、ライブ終了後にかかった曲、ゴー・ビトウィーンズの"Streets Of Your Town"についてが半分。今年5月に急逝したゴー・ビトウィーンズのグラント・マクレナンを悼んだのだろうと。
残る半分も、とくに最後の部分、「(会場の内と外で政治や社会と向きあっていながら)胡散臭さがない」というところがね、我が意を得たりという感じでやられてしまった。
この宮子さんという方、ミシェル・ンデゲオチェロという米国人女性ジャスベーシストのCDの紹介コラム(p.193)でもU2の事に触れててね。買ってよかったと思った。
当誌の最初のコラムが某紙夕刊の記事の書き手だというのはご愛敬。
バックナンバーリスト、2006年のレビュー総索引、記事一覧が掲載されていて、少なくともあと2冊は買っちゃいそうだ。

どれもぱらぱらっと立ち読みできる分量です。
で、どれも余計な思惑が入っていなくて、安心して読めます。
さて。「#2」があるといいな。

Vertigo//2006 in Japan analysis

分析なんてできるわけもなく、単なるセットリストのまとめです。
ワタシたちが聴いた曲とその演奏回数。

4回:1曲
Vertigo(12/4に2回演奏)

3回:15曲
Angel Of Harlem
Beautiful Day
Bullet The Blue Sky
City Of Blinding Lights
Elevation
Miss Sarajevo
Mysterious Ways
One
Pride (In The Name Of Love)
Sometimes You Can't Make It On Your Own
Sunday Bloody Sunday
The Fly
Where The Streets Have No Name
Window In The Skies
With Or Without You

2回:5曲
Bad(11/29,12/4)
I Still Haven't Found What I'm Looking For(11/29,12/4)
One Tree Hill(11/29,30)
The First Time(11/30,12/4)
The Saints Are Coming(11/29,12/4)

1回:7曲
All I Want Is You(11/30)
Desire(11/30)
I Will Follow(11/29)
New Year's Day(11/30)
Out Of Control(12/4)
Until The End Of The World(11/30)
Walk On(11/29)

計28曲(のべ66曲)を演奏してくれました。
この他に"In A Little While"と"40"がsnippetで登場。
最終日しかやっていない曲が"Out Of Control"のみというのがちょっと意外。曲順シャッフルのせいかな。

ワタシはこれにダブリン1日目(2005/6/24)でやった下記の8曲を加え、36曲(のべ90曲)を聴いたことになります。
うわー、8曲もあったか。半分はHTDAABだ……。
The Electric Co.
Who's Gonna Ride Your Wild Horses
Miracle Drug
Love And Peace Or Else
Running To Stand Still
Zoo Station
All Because Of You
Yahweh

12回見たokazuさん、何曲聴いたんだろう……。
いやいや、欲張っちゃいけないですね。

なかでもVertigoはやっぱり特別。6回も聴いちゃった。
12月4日のセットリストにつけたノートでちょろっと書きましたが、ダブリンのオープナーはVertigoだったので(クローザーもだけど)、Vertigoに始まりVertigoに終わったVertigo Tourとなりました。
1番よかったVertigoは最後に聴いた12月4日のクローザー。いろんな意味で。

今はその日の音源を毎日聴いています。
理由ははっきりとしていて、"Out Of Control"の最後にボノが叫ぶように口ずさんだ「I wanna be sedated!!」が頭を離れないから。
聞き取ろうとして何度も繰り返し聴いたからというのもあるんだけど、まさしく今のワタシの気持ちそのままだから。
「誰か、ぼくを鎮めてくれ!」(うそうそ、このまま制御不能で構わないよ)という日々が終わりません。
20. The Saints Are Coming
なんでこんなに楽しいんだろう。最後の夜なのに、その瞬間が近づいているのに、ワタシはわくわくし通しだった。
こんなの、想像しなかった。とくに30日のあの醜態を思えば、嘘みたいだ。
なんだかもう、すっかーんと心が晴れ渡っていて、ただただ楽しい。信じられない。嬉しい。
また少し、待つ。今夜はアンコールの間が長い気がする。歓声が時折大きく波打つ。
やっと帰ってきた。
「この曲はユニヴァーサルのユキコへ」
こうやってスタッフに対して感謝をはっきりと表す彼らが大好き。ユキコさん、羨ましい。
ボノがひとりで歌うSaintsを聴くのは、これが最後かもしれない。
「サンディエゴから始まって、いま東京まで。もう一つ、ショウがある。Can you your own rockin' on? グリーン・デイとやる曲だけど、今日はぼくらだけでやってみるよ」
最後のコーラスまで、あとは一気に。初日よりもずっと、オーディエンスものっていた。

21. Window In The Skies
「This next song, we first played in TOKIO. This is our third time to play ソラノ、マド。Window in the Skies」。切れた息を整えながら、ボノが言う。
今日で3回目。プラス12月1日のTVで、ワタシはすっかりこの曲がワタシたちのものだと思いこんでいる。
エッジの声にボノの声が混じり合う、美しいコーラスで幕開け。
スタジオバージョンよりもボノの声が綺麗なような気さえする。ストリップのマイムがかわいい。
「あなたは私を連れだしてくれる。この頭の中から」。いつも、そうだ。もうここから出ていきたくない。4人の愛に満たされたこの空間から。
「愛が何をしたか分かるかい? このぼくがいったいどうなったか」。
ライブで聴かなかったら、その答えをこんなにも実感できはしなかったと思う。本当に、聴かせてくれてありがとう。
3月のあの日、ワタシたちのハートは砕かれてしまった。きっとワタシたちだけじゃない、U2も、延期の決定を下すのにワタシたち以上に心を痛めたはず。ワタシたちのことを思って。
でもあの時に空いた穴は、今は開け放たれた窓となって世界中の空につながっている。
それが愛が残してくれたもの。二度と失われないもの。
もちろんこの曲のテーマはもっと大きくて深いけれど、目の前で歌われるときはずっとそう考えていた。
「Oh, Oh, TOKIO, TOKIO, TOKIO……」
ワタシたちの名を呼んでくれる。何度も繰り返し、繰り返し。

22. Vertigo (snippet:Pump It Up, Tokyo Storm Warning, She Loves You)
"KITE"? "40"? そのどちらかだと思っていた。
「Encora in ……」
ボノの声に一瞬遅れてドラムが響いた。
ワタシが一番望んだクローザー、Veerrrrrtigoooooo!!!!
絶対それはないだろうって諦めていた。もうセットリストなんてどうでもいい、聴かせたいと思う曲をやってくれればいいと思っていたし。
でも、諦めていたものをもらえるのは、格別の喜び! わああああああ! やったあああ!!! 叫んで、跳ね上がってしまった。
「Encora in the Italian says meaning xxxxx play one more time. This one is for us! This xxxxx is boys in U2, Larry Mullen Jr., Adam Crayton, on guitar of The Edge! イチ! ニィ! サン! Catoooorrrceeeee!!!!」
アリーナ中が跳ね上がる!
ああ、もう……どこに行っちゃったのか、影も形もなくなってた涙が、一気にこみ上げてきた。
歌い叫びながら、センターステージのボノの姿を追う。
「All of this, all of this can be yours!」
アダムサイドの花道の入口まで来るのはいつものこと。でもボノはそこで立ち止まらなかった。歌いながら、大きな歩幅でまっすぐ、まっすぐこちらに歩いてくる!
ワタシは慌てて腰に提げていた旗を手にした。ボノがくれた、最後のチャンス。
Bステージにボノが辿り着く瞬間、投げ入れた。
目には入った? でもそのまま歌い続ける。セキュリティはぎりぎりまで待って、ボノが旗の方向に歩き始めたところで、どかした。そこまで見て、ワタシはボノを見つめ直した。
最後の最後、この場所にいるワタシたちのそばで歌ってくれるのが嬉しかった。
センターステージに戻って、エッジとひとつのマイクでコール&レスポンス。
コステロの"Pump it up"の、歌詞を変えたsnippet。たぶんこんな感じ。
    Pump it up, give me a feeling.
    Pump it up, give me some healing.
そして同じくコステロの"Tokyo Storm Warning"。
Stormだって! Warningだって!!!!
定番"She Loves You"の「yeah, yeah, yeah, yeah, yeah……」の最後の最後まで、渾身の声で歌い続けた。
「Good night!! God bless you!!!」
最後に響きをとどろかせたのはエッジのギター。ステージを去り際に、ボノがかき鳴らしたノイズ。パーティーの終わりを告げるベル。



余韻を感じる間もなくスピーカーから音楽が流れ始めた。
Vertigoでカット・アウトしてもらってよかったと、つくづく思う。KITEや40の後にこれは堪えられないよ。
柵の中を覗き込んで、落ちていた旗を拾ってもらった。こいつは仕切直し。みんなの目の前で渡せなかったのは残念だけど、ワタシは落ちこんでないよ。むしろ最後の最後に投げるチャンスを与えてもらって満足だった。ボノのセキュリティもぎりぎりまで待ってくれたような気がしたし。
大丈夫、絶対に届けるから。手紙添えて送りつけるから。

これで終わったんだという実感が全くなかったわけじゃないはず。
でも、不思議な気分。1年半前にダブリンで見たVertigo twiceとは、何もかもが違う。ワタシが恐れていた脱力感も喪失感も、どこを見渡してもなかった。まさにCOMPLETE!!という、充実感と達成感に全身を満たされている。
ワタシの目には、センターに戻ってからのボノではなく、ステージを去っていくボノでもなく、花道をまっすぐ(ワタシの方へ)歩いてくるボノの姿が目に焼き付いていた。なんて幸せな記憶。
(今でも一番はっきり憶えているのは、そのボノなんだ。いなくなるのではなく、向かってくるボノ。)

解体作業が始まったステージを何度も振り返りながら、ワタシたちはアリーナを出た。
いつもの場所に、みんなが集まってくる。これが最後だなんて思わなかった。
"40"を待っていた人たちには申し訳ないと思いつつ、"Vertigo twice"の話。当たり前のことだけど、みんな楽しかった、はじけた、よかったって言う。
あれはワタシたちのためのクローザーであると同時に、彼らのためのクローザーでもあった。「This one is for us」。パーティーを楽しく終わりにするための。
Twiceがお約束だった2nd Legを除くと、9回目のクローザー。「楽しかった!」っていう、何よりのメッセージだとワタシは思っている。

sumomoさんがワタシとDJにビールをおごってくれた。今までで一番おいしかった。
旗をもう一度出して、記念撮影もしたっけ。
誰彼となく話をしながらいたら、jiroさんがやってきた。旗とCDをツアークルーに渡してきたいという。
うん、わかった。がんばれ。ここで待ってるから。
いま思えば、なんでひとりで行かせたんだろうね。

ビールをもう一杯。
何人かの友人たちとはここでお別れ。みんな地元に帰ったり、明日の仕事に備えたりしなくちゃいけないから。でも、笑って「またね」と言える。「またすぐにね」と。
その「すぐ」には、何日後だったり何ヶ月後だったりの違いがあるけど、たとえどれだけの月日がたったとしても懐かしいとは思わないだろうという気がした。また会うときには、今と同じ気持ちに戻れるんだと。
ワタシが関東圏の住人で、二度と「仲間」に飢えることのない身の上だからかもしれないけれど。

やがてjiroさんが旗を手にしたまま戻ってきた。日本人のスタッフしか見あたらなかったという。
うん、大丈夫。直接手渡しはできなくても、マネージメントで止まるなんて事はないから、絶対に。ことU2に限っては、ちゃんとメンバーに渡してくれるんだから。
だから安心して。今夜はパーティーの余韻を楽しもう。時間を気にせずに、喋り疲れるまで。
CDと旗を、一緒の袋にしまった。

12,3人で浦和へ移動する。その中には新しい友人たちも含まれていて嬉しい。
何より、彼らをひとりぼっちのホテルに帰さずにすんだことが嬉しい。
さいたまスーパーアリーナが聖地なら、浦和はワタシたちのホームタウンだね。みんなで帰っていった場所だもの。不思議。
移動している間、別れたばかりの友人から興奮を抑えきれない様子のメールが入る。みんな、本当は一緒にいたかったよね。ごめんね。ありがとう。U2最高!
和民の座敷に陣取って、ライブの話に始まって、いろんな、いろんな話をした。
ワタシはとても楽しくて、3日間で一番解放された気分。不思議とみんなと一緒にいる間は吐き気も起こらないし。久しぶりに食べ物もおいしかったし。

明日はU2が離日する予定。この時点では「4時」という情報しかなくて、それが午前なのか午後なのか、羽田なのか成田なのかも分からなかった。
いくらかの疑念を残しつつも、今から撤収積み込みやっても午前4時はないだろうと決めこむ。
宴の最中もその件で連絡を取り合うワタシたちに、新しい友人たちは目を白黒させている。
そうなの、こうやってきたの、ずっと。
だからひとりでいる間も、ひとりじゃなかった。

午前3時ごろかな、ようやくお開き。
ワタシはsumomoさんと一緒に家に帰った。合宿予定だったDJは、男子チームと一緒に誰だかのホテルにしけ込むって。よかったね。
みんな、おやすみなさい。
家に向かうタクシーの中でも、家に着いてからもずっと、これでもかってくらいsumomoさんと話した。独り占めで、誰にも言ったことのない愚痴まで聞かせた。
なんだかすっきりして、朝を迎えて、やっと眠る気になった。
明日に備えて。
明日がほんとの終わりだから。
14. Pride (In The Name Of Love)
不動のセットの始まり。ボノはEDUNのONE-Tシャツに衣替え。ウチのコスプレ王子・アベケイも背後でごそごそストリップティーズ。チミは偉い。
「LOVE, LOVE!!」とボノが投げるハートをみんなでつかみ取り。きっと魂たちにも当たってる。
ワタシのプライドの在処は、あのステージの上で歌う人。
Dr.Kingの言葉を借りながら、キング牧師だけじゃない、U2とワタシたちが共有し、アフリカのものでもある夢について考えるセクションだけれど、「オッオオッオ!」と叫ぶうちに、ワタシを地上につなぎ止める諸々のことが頭のてっぺんから全部どこかへ飛び立ってしまった。
何もいらない、何も考えられない。

15. Where The Streets Have No Name
コーラスから歓声へ、波が大きく変わる。エッジのギターで会場中が揺れた。なんてドラマティックな曲だろう。イメージとは頭の中で思い描くだけのものではなく、体中、ひとつひとつの細胞を沸騰させる力を持っている。言いようのない震えに心が支配される。
「From Mt.Fuji to Mt.Kilimanjaro. From Sea of Japan to Cape of Good Hope. From Drop the Debt to Hottokenai campaign. The journey of equality goes on! ooooon! Oh! Oh! Oh……」
ボノの叫びに応えて跳び、声を上げる。共に旅をする仲間たちと一緒に。
遠くに見えるボノに向かって手を伸ばしながら、求めながら歌う。会場中がフルコーラス歌っている。みんな大好きな曲だから、当たり前なんだけど。
ワタシたちの熱とU2の熱が、閃光を放ちそうなほど激しく行き交う。
ボノがアダムにキス! ふたりとも幸せそうな笑顔で!
キスをしたふたりは左右に分かれる。アダムがやってきて、ワタシたちにキラキラと笑顔を振りまいてくれた。今夜はそれをたっぷりと堪能できる。不思議。
「OOOOOOHHHHHHHH!!」とボノが叫んだ。負けじと叫び返した。

16. One
いつもよりも遅れてステージに戻りながら「ドーモ、ドーモ、ドーモ……ワオ!」。
イントロが始まって、ボノはギターを背負わないままに話し始めた。
「サイコウ! ミンナ、サイコウ!」と、また。
「Merry Christmas. Take out your cellphones. Let's turn this place into a Christmas tree. Oh Look! xxxxx xxxxx is on the top of tree」
携帯を高く掲げたまま、誰もが周りを見回した。美しいイルミネーション。ひとりひとりの明かりは小さくても、ワタシたちは大きなクリスマス・ツリーを華やかに飾ることができる。ひとつひとつの明かりが集まって、1本の巨大なツリーとなる。
「ワオ……ワオ……イッショニ、イッショニ。It's merry christmas. I know I want for christmas. I know we want for christmas. We want an end to the extreme poverty. Poverty just not make sense in 21st century. These phones are powerful in do all kinds itself. Call your mother, xxxxx the complete stranger, listen to your man, play a game xxxxx.(laugh) And you can e-mail, you can call, you can text to join Hottokenai campaign to make poverty history. That will be nice. That's all we like for christmas. We can do so much if we work together as ONE」
スピーチを終えて、ギターを手にする。
ボノの決して上手じゃないギターの弦が音を鳴らすたび、彼の指がワタシの心の琴線に触れるのを感じる。
いつにも増してエモーショナルで、ボノの声がときどき震える"ONE"。
4人の背後に大きく「1」が映し出される。
「Thank you! ドウモ、アリガト。Thank you!!!」
大きな拍手をくれた。

Encore(s):
17. The Fly
これまでの3日間で一番長い不在の時間だったと思う。
ワタシは何かみんなと話したんだっけ? 思い出せない。
でもちっとも泣いていなくて、なんだか満たされていた。ONEが終わってしまったというのに。
あと6曲しか残されていないのに。
やっとスロットマシーンが回った。Babyが揃って、ボノの息子のイライジャがアリを呼ぶ声。
エッジのギターが落ち着きかけていた空気を再びひっくり返す。掻き消されそうな最後のボノギター。
『Achtung Baby』を象徴するこの曲をアンコールのオープナーに据えるのは、War & Peace Chapterとアフリカ・ユニットで終わったメインセットとは一線を画し、気持ちを切り替えてめいっぱい盛り上がろう!ということなんだと思う。
いつもセンター・ステージの真ん中で演奏し、歌い続けるボノが、今日はアダム側の花道まで来て、スタンド席にアピール。
「Look, I gotta go, yeah I'm running outta change. There's a lot of things, if I could I'd rearrange」
走り続けるU2を象徴するこの歌詞は、今もはっきりと意味を持って聞こえる。
エッジ、ボノ、アダムがラリーの前に集まる。この瞬間は4人だけのものだと思っていたけれど、ラリーからはワタシたちが見えるし、3人の背中にはワタシたちの歓声が襲いかかっているんだ。ワタシたちは3人と同じ方を―ラリーを向いて立っているし。
巨大なスタジオで、2万人でセッションしている気分。
だからこの光景が好きなんだ。

18. Mysterious Ways
この曲でボノはBステージに来るはず。もっとも、旗を投げ入れるような瞬間を見つけるのは難しいけれど。
今日はいったい誰がステージに上がるんだろう。okazuさんとunoさんのプロモーションは成功してるかな?
初日は全然見えなかったし、30日はご愛敬のパフォーマンスだったし、ついでに言うとダブリンではやらなかった曲だしで、ワタシは結局ボノの幸せそうなオヤジ面をまだ見ていない。目の前にしたら嫉妬の炎とボノをいとおしむ気持ちとどっちが勝るのか、ちょっと確かめてみたかった。
「I met three girls last night」で始まった。
はい? なんのことでしょうか。
ともかく楽しい楽しいMW。両腕を上げて、声を上げて踊り出す。
「Love! Hoo, Hoo!」
叫びまくりのボノ、エッジの名前を連呼する。セクシーな曲の、セクシーなギター。目を閉じて体を揺らす。
「Lift my days, light up my nights! Looooooooooooo…ve…」長く尾を引いて、ハミングにかわる。
その時がやってきた、と思ったんだけど、Bステージの下に現れていたのは、着物を着た女性……それどころじゃない、3人の舞妓だった!
「Three friends from Kyoto」と、ボノ。
うわ! そう来ましたか! 京都でナンパですか!
今までに例がないだろう「お座敷」に戸惑い気味の舞妓たちが、アダム側Bステージに上がった。
ボノはセンターステージで彼女たちを迎える。
これもワタシたちへのサプライズ、プレゼント? いや、自分たちへのご褒美?

19. With Or Without You
傍らに誰も抱き寄せずに始まるWOWY。合唱の時間。
オーディエンスの歌声が好き。今夜はほとんど涙もなく歌え、聴けた。美しかった。
「Goog night Tokio. Thank you. …… Thank you for waiting around. Good night!」
最後のコーラス、ボノは一節だけ歌って、耳のモニターを両方とも外した。会場をぐるりと見回しながら、ワタシたちの声を聴く。喜びに満ちた表情で。こんな顔をさせているのが、ワタシたちだなんて。
4人がステージに並んだ。
「Good night from Larry, good night from Adam, good night from Edge, good night from Bono」
ピースサインを掲げて、ステージから降りていった。
8. The First Time
「We just had most special, special week. Really amazing week. And……truly, truly fell in love with Tokio, Kyoto, Osaka. With Japan, we fell in love. YOU break our heart.」
静かなギターの調べに乗せて、ボノがゆっくりと語る愛の言葉。「本当に、恋に落ちた」なんて。
ワタシたちはすでに12月1日のMusicステーションで望んだ以上の讃辞をもらっていたけれど、こうやって何度も繰り返してくれることでカラダの芯まで染み通っていく。まるでボノは、疑い深いワタシたちを説き伏せているようだ。
人生の中でとてつもなく特別な一週間。想像もしなかった驚きに満ちた日々。きっと同じ気持ちで過ごしていたんだね。嬉しい。
この曲がVertigo Tourのセットリストに加わったのは3rd Legの初期。もともとZooropaの曲はアルバムの特性上どれも演奏回数が少ないけど(Stayだけ別格)、Zoo-TV Tourでも一度もライブで演奏されたことのなかった曲。やるならStayだろうと思っていたので驚いた。
しかもまさかの準レギュラー化。
でも、歌詞を読むと分かる。エレベ・ツアーでやってもおかしくない曲だったと思う。
「ぼくには兄弟がいる。必要なときには。走り続けるぼくのあとを走ってくれる兄弟がいる」。そう歌いながらエッジを指し示す。
ああ、そうだ。エレベの時よりも今の方が、きっと互いに必要だった時間が増えているはず。
もう一つ印象的なのは「I threw away the key」。父が与えてくれた王国の鍵を投げ捨てたぼくだったけれど、ボノはいま、歌詞を加えて歌う。「神は知っていたんだ。それがぼくの元に戻ってくることを」と。
この曲のあとにはSometimesが続く。やはり、父のことを歌った曲が。
そういうことなんだろう。

9. Sometimes You Can't Make It On Your Own (snippet:Torna A Surriento)
ボノはエッジ側のBステージに立ち、サングラスを外した。
「ぼくの父は労働階級の男だった。でもオペラが大好きだった。いつもステレオの前に立って、指揮の真似をするんだ」と、ボノがボブの真似をしてみせる。もしかしたら鏡の前でやってみたことがあるのかもしれないと、ふと思う。
「この曲はぼくの父のために。ギャビンの父親、グッギの父親、そしてすべての父親のために」。
12月1日のNEWS23の筑紫氏との対談の中で、ボノはアイルランドのマッチョイズムに言及していた。男らしさを解体しなければならないんだと。その言葉と、この曲と、ボノ・インタビューズの中で「父のようにはなりたくないと思っていた」と語っていたのを思い出す。
父の愛情を感じつつも受け入れがたかったという葛藤が、この曲に集約されている。ラリーは「演奏していて最も一体感を感じる曲」と評していたけれど、それは、ラリーの父親もまた、ボブと同じタイプの「アイリッシュ・タフ・ガイ」だったからなのかも。
今夜のオペラ・パートも美しい。ボノの声が一段と高みに向かうのと同時に、ラリーのドラムも前面に出る。
父からもらったテノール。その声で、"Torna A Surriento"を一節。

10. Bad (snippet:Ruby Tuesday)
青い光の中、ボノがセンター・ステージに戻る。さいたまで2度目のBad。
淡々とした演奏が少しずつ、少しずつ力を増していく。ボノの、ワタシたちの感情を高ぶらせるように。
「I'm wiiiide awaaaaaaake!!!」で頂点へ。
決して目は閉じない。見届ける。
これで3日間すべて、"Love And Peace Or Else"は演奏しなかったことになる。Vertigo TourでLaPoEを演奏しなかったのは、オークランドの2日目を加えた僅か4日だけ。
日本では実質上War & Peace Chapterが短くなっていたということだ。なぜなのか?
それはたぶん、60年間以上に渡って日本が戦争をしていないからだと思うよ。
あるいはあの太鼓の皮がもう1枚しか残っていなくて、それは「アメリカ」まで温存しておこうという算段だったのかもしれないけれど。

11. Sunday Bloody Sunday
snippetの"Ruby Tuesday"を歌う優しいボノの声を掻き消すように、激しいドラムが鳴り響く。
すぐに「オーオオー」の合唱が始まる。はちまきを締めたボノがマイクの前に戻る。
怒りの曲を歌い続けるのは根気のいることだと思う。けれどアイルランド紛争を歌った歌の光景が今もあり続ける以上、ボノは歌い続けることを自らに架している。
「Sing this song, Up myself. この歌を歌い、自分を鼓舞する」と言っているように聞こえた。
楽しいことと美しいことが溢れている世界に生きながら、なお怒りを忘れずにいるために歌う。自分が立つ場所から遠く離れた怒りの現場を直視しようと目を開き続けるために。
それだけ強く意識しなければ、人は忘れる。
今夜のボノには、少し難しかったのかも、と思う。そんなことがあるとは、考えてもみなかったのだけれど。
「CoeXisT」。ほとんどスピーチなしで、レバノンの名を呼んだ。
「イスラムの月、ダビデの星、キリストの十字架、その間に〈昇る太陽〉があるんだ」
今夜初めて、赤く塗った「O」に言及した。
ボノ、ボノ。もしあなたにもっとたくさんの時間があったら、そして言いたいことをすべて言える立場にあったら、あなたはワタシたちにどんな話をしてくれるんだろう。
ワタシはいつか、その話を聞きたい。「いつか」がたとえあるとしても、それはきっとあなたがアフリカへの旅から帰ったあとのことで、その日がいったいいつ来るのか、誰にも分からないけれど。
ボノはオーディエンスの中から白人系に見える少年をひとり、センターステージに上げた。「エイブラハムの息子、おいで」と呼んで。
ふたりで「No More」のコール&レスポンス。少年のテンションは低め。
彼をフロアに戻して、「Wipe your tears away」と歌いあげる。何かを言ったあと、初めて聴く囁くような「Sunday……bloody sunday」。エッジのコーラスで、いつものペースに戻った。
ブレイクのあと、ラリーが再びドラムを激しく叩き、Bulletに雪崩れ込む。カタルシスさえ感じるような、ワタシが好きな瞬間のひとつ。

12. Bullet The Blue Sky (snippet:When Johnny Comes Marching Home, The Hands That Built America)
これがせめて元どおりの「自国内にあって、傷つけ合うための武器」を糾弾する曲に戻ってくれればいいのに。皮肉に札束を数えていられるような曲に。
目隠しをしたボノが血を這い、炎と煙を上げる。自らの手で、というのも重要なのかもしれないと思う。
"Saints Are Coming"のPVで、彼らはカトリーナ被災地の救援活動のためにイラクから兵士たちが帰ってきた、という幻想を描いた。実際そうしたかった兵士もいるだろう。
何が国を守るということなのか、と問う。
そして「帰ってくるんだ」と呼びかける。すべての国の、すべてのJohnnyにむかって。

13. Miss Sarajevo
めずらしく曲の名を紹介したボノ。
炎と煙が去ったあとの、静けさに満ちた曲。歌が彼を上に向かわせるのが分かる。美しいボノの顔を見上げながら、小さく口ずさみながら、じっとしていた。
余計なことかもしれないけれど、パヴァロッティ・パートの英訳(Vertigo Tour.comのバージョン)。
    You say that the river / finds the way to the sea
    And as the river / you'll come to me
    Beyond the borders / and the thirsty lands
    You say that as river / As river
    Love will come / Love
    And I cannot pray anymore
    And I cannot hope in love anymore
    And I cannot wait for love anymore

もっと余計だけど、ワタシの訳。
    きみは、川は海への道を見つけるという。
    そしてあなたは川のように私の元へやってくると。
    国境線を越え、渇いた地を越えて。
    川のように愛はやってくるのだと、きみは言う。
    でもぼくはもう、これ以上は祈れない。
    愛に希望を見いだせない。
    愛を待てない。

世界人権宣言が流れる。
ボノが口の端に微かに笑みを湛えて、スクリーンに向かって歩き出す。
人は誰も人として認められなければならない。それが戦場であっても。戦場よりもひどい場所であっても。
この地上には、殺人を甚大な罪悪だとみなしている国の人間が、殺人を許される場所がある。
殺される人間だけが人権を奪われるのではない。殺す人間も、人権を踏みにじられている。
ワタシはどちらにもなりたくはないけれど、自分が殺人者になるという想像の方が恐ろしい。その後も生き続けなければならないのだから。

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