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1. City Of Blinding Lights ついさっき読んだ新聞のコラムの記事を思い出しながらボノを見上げる。 どんな思惑とも無関係に(ワタシのそれも同様)掲げられる日の丸を見る機会は今までなかったし、これからもたぶんないだろう。 純粋に敬意と愛によってひらめく旗は美しかった。ありがとう、ボノ。 今日もボノの声は見事に伸びて、瞬時にワタシたちを支配する。ステージの上も下も真っ白な光に覆われる。もう美しいものしか目に入らない。 「Tokio」を何度も呼ぶ。それはもはや都市の名前ではなく、ワタシたちの代名詞だ。 2. Vertigo (snippet:She Loves You, Sunshine Of Your Love) 「イチ! ニィ! サン! Catorrrceeee!」 スクリーンが爆発したように輝く。赤と黒の渦巻きはまるでスクリーンに棲む生命体のようにうねる。細胞分裂を繰り返して、無限に広がる無機生命体。さまざま形を変えるけど、ハートにもなるんだよね。 ワタシが密かに大好きな「no-one gets hurt…」のあとの「ぼくたちのいる場所」はTokio。 1日のMステでとうとうそう歌ってくれていたから待っていた。 お約束と言えばそうなんだけど、どこででもそう歌ってくれるわけではないから。 間髪入れずにShe Loves Youのsnippet。そしてCreamの"Sunshine Of Your Love"と、ボノは歌いっぱなし。 Creamの曲をもちろんワタシが知っているわけはない。でも歌ってる意味はわかるよ。ワタシたちの愛が「Sunshine」だって。本当にそう感じてくれているなら嬉しい。 そしてこの歌は、Vertigo tour.comによれば正真正銘あの日のワタシたちしか聴いていない。 他の歌詞も顔が赤くなっちゃうようなストレートさ。 3. Elevation この曲の冒頭はボノのメッセージタイム。今日はなんて言ってくれるんだろうと思ったら。 「アイ・シテマス」! ひゃああああああ、また新しい日本語だ! 「ワタシ・タチハ、アンタヲ、アイ・シテマス」と、もう一度。 もう、もう……特殊な言語圏の人間でよかったよ……こんなに大切な「I Love You」は絶対ほかでは聞けない。 ワタシたちも愛・してるって、もっともっと強く伝えたい。みんなそう思ってるに違いないグルーヴ。 結局この日もボノは「I Believe In You」のあとに歌詞を続けることはなく、情熱な吐息を聴かせてくれた。もう、恥ずかしい。 4. Out Of Control (snippet:I Wanna Be Sedated) そして、4曲目。 ラリーのカウント、アダムの刻むベース、エッジのギター……! 「First single! ぼくが18才の時に書いた曲! ラリーは16才、エッジは16才半、アダムはもうオトナだった。Out Of Control!!」 あまりにも予想外の曲! オールディーズの中でもそのメジャーさとは裏腹に、Vertigo Tourでのこれまでの演奏回数は8回(うち1回はオーディエンスとの共演)と、あまりにも少ない。 そしてワタシたちの中では特別な曲でもあった。昨夜の合い言葉、トリビュート・フェスのサブタイトルだったんだもの。 これがワタシたちに捧げられたものだなんて言うつもりは毛頭ない。でももしかしたら、波状攻撃のように手渡したフライヤーが(中でもボノにサインをしてもらったにもかかわらず突っ返したjiroさんの1枚が)、彼らにここで演奏する気を起こさせたのかも。 あっちでも向こうでも、友人たちがたまらずに飛び上がっている姿が目に浮かぶ。ワタシ同様何人かは涙を流しちゃったに違いない。雄叫びをあげながら。 なんてサプライズ……!! リハーサルで開場が遅れたのも、きっとこの曲のせいに違いなかった。だとしたら、なんて幸せな待ち時間だっただろう! 「The Edge, Go! Go!」 ボノが叫ぶ。エッジのギターソロにワタシたちは跳ね続ける。 最後にボノが歌ったのは「I wanna be sedated」、Ramonesの曲。これもまた、ほかでは歌ったことのないsnippet。 自分ではもうどうしようもない、頭のてっぺんから指先、つま先までコントロールできないから、誰か「ぼくを鎮めてくれ!」 そんなのワタシたちには無理だよ。 5. I Still Haven't Found What I'm Looking For (snippet: In A Little While) 穏やかなギターを背景に「サイコウ、サイコウ」とボノ。短いハミングのあとに言葉を続ける。 「Thank you for waiting, for such a long time, for this group to return. Thank you. ドウモ、アリガトウ。ミンナ、サイコウ!」 うん……長い時間だったけど待っててよかった。ここで会うことができて、会いに来てくれて、よかった。 「アツイ……」だって。 「昨日、ぼくは光の教会を訪ねた。大阪にある美しくて小さな建物なんだ。日本だけじゃなく世界的にも素晴らしい芸術家、タフな精神とガラスのハートを持った安藤忠雄によって建てられたんだよ。アンドウサン」 会場に来ていたという安藤氏にメンション。 昨日の時点でボノは大阪とは聞いてたけど……30日に安藤氏の名前は聞き取れてたのに……。いや、オレはもちろん行けないよ。でもね。誰か張り込めたかも。昨日は「日曜」だったんだもん。 その30日にはやらなかったStill Haven't。この曲のオーディエンス合唱を、ボノは愛していると思う。ワタシたちも上手に歌えたと思う。 ボノの声が昂揚してかすれる。SEXY。 「光の教会へ行こう!」 ここが光の教会になる。ワタシたちはアンセムを歌い続ける。 この曲に入るsnippetとして定着した"In A Little While"を、今夜もたっぷりと歌う。 「ほんの少ししたら、きみは確かにそこにいる。ぼくも。傷を負ってはいるけれど、これ以上傷つけられることはないよ。家に帰るから。夜が深い吐息をついても、昼が息苦しくても、ぼくがもがきながら家に帰ったら、きみはそこにいてくれるかな」 Sometimesで、HouseだけじゃHomeにならないと歌ったボノの描く、これがHomeの姿。ボノが何にもがいているのか、たぶんワタシたちにはわかっている。ボノが望んだから、ワタシたちはここにいる。ここが今夜の彼の家。 6. Beautiful Day (snippet:Presence Of The Lord) さっきまでの頼りなげなボーカルはどこへやら。力に満ちたボノが帰ってくる。 この曲の通り、毎日が美しい日だった。光に満ちていたね。 See the world in red and white See Sigh-tama in front of you tonight See the xxxxx the temples of Kyoto From Nagasaki to Sapporo See Japan in its Christmas hour I'm waiting for the Sakura to flower See the bird with the leaf in her mouth After the flood all the colours came out.... サクラの花が咲くのを待ってる。 サクラの花のころに会いに来るって約束だったから? 「Beautiful……ウ・ツ・ク・シ・イ!」 絶唱するHallelujah。ボノが祝福を与えてくれている。 それに続いたのは今夜はBlack Birdではなく、"Presence Of The Lord"。会場にいるエリック・クラプトンのために。クラプトンは「オレの曲だ」と言ったとか。 誰のためであっても、これもまた初めて歌われたsnippetだった。 7. Angel Of Harlem 5th Legに入ってレギュラー入りしたこの曲。でも実は「a cold and wet December day」は今日だけなんだ。ハワイ行ったら暖かいもんね。それどころじゃないか、寒かったのウチだけじゃないか。 何はともあれ、今夜のワタシたちはもちろんあなたのもの。 「Sing for us!!」 言われなくても歌うけど! 長いヴァースのあと、ボノは余程昂揚したらしく、最後のコーラスをぶっ飛ばしてハーモニカを始めてしまった。途中で気づいたのかどうかわからないけど、吹き切っちゃってから 「Sorry Edge!……I'm so sorry」 ほんとにごめん、エッジ。だって。 エッジはしれっといつも通りのギターを続ける。ワタシたちもコーラスを続ける。 ボノはまたちょろっとハーモニカを吹いて、コーラスに戻って、短いsnippet。プレスリーの"Suspicious Minds "。Love Town Tour以来のお目見え。 歌ったのは「I'm caught in a trap」という歌詞。誰も罠なんてしかけてないよ。 こういうsnippetはボノの精神状態のバロメータだと思うけど、今夜は山盛りだね。パーティーみたいに楽しそうで、ワタシもうきうきする。 そうだ。旗のことをすっかり書かずにいたけど、この曲は旗投げ入れポイントの第一候補だった。一番楽しい時間だからって。
それまでに何度も旗を振ろうとしたんだけど、ワタシたちの前の人も旗を持っていて(それも2組も!)、ボノがこっちに来ると当然ながら掲げる。それに隠れないように上げようとすると、後ろの視界をすっかり遮っちゃう。ちょっと焦っていた。 ついに曲が終わりに近づき、jiroさんが投げ入れようとした瞬間、誰かが白い折り鶴をBステージにスローイン。ボノはそれを拾い上げた。 ああ……最大のチャンスを奪われてしまった。考えることはみな同じって事だろうか。 ほどなく、ワタシはjiroさんから旗を取りあげてしまった。手にしてたらずっとそのことばっかり考えてるんだと分かって。 これまでの2日間のことを思って、後悔した。ワタシは最初から自分がそんな心の余裕を持てないだろうと言うことが分かっていて、ショウに集中したかったから、丸投げしたんだもの。 ごめん。ずるかった。こうなるって分かってて、ひどいことした。 (jiroさんはそれでも楽しかったんだよって言うけど、後ろめたいんだ、ワタシ自身が。いま謝るのは余計にずるいけど。) |

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