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彼は正しかったと思うよ。 そう、彼は正しかった。彼はこう思ったんだ。 「神はユーモアのセンスを持ってるに違いない。まったく金に興味のないうちの息子に大金を与えるなんて。さあ、みんなでちょっと笑おうじゃないか。この坊やときたらすべて間違ったものに費やそうとしているんだから」 お父さんはきみの子どもたちに対してはどうだったんだい? 愛してたよ、孫たちのことを愛してた。 もちろん、ぼくが子どもを持つこと、ぼくが父親がどういうものかって知ることは、彼にとって重要だった。痛み、苦痛、ほかにも色々ね。 アリが妊娠したって言いに行った時、彼は吹き出したんだ。笑いを止められなかった。 ぼくが「何がそんなにおかしいんだ?」って聞くと、一言(ひどく低い声色で)「復讐だな」って。 それは正しかったのかい? きみの父親としても経験も、彼と同じくらい難しいものだったのかな。 いいや。家の中で金切り声が上がることはすごく稀だったよ。アリのムードに満ちていたからね。どちらかといったら静かだった。 お父さんはアリとはどういうふうに付き合ってたんだい? ああ、すごくいい感じだったよ。女性はみんな彼のことが好きなんだ。彼はまったく魅力的だし、素晴らしい友人なんだ。 誰かが親しくなりすぎようとさえしなければ、彼は幸せだった。 多分、これはぼくと父との共通点なんだけど、彼は男性に対するよりも、女性に対する方がらくに自分を出せたんだと思う。 彼は素晴らしい友人だったと思うよ。たくさんの女友達がいた。ぼくもそうだけど。何かがあるんだろうね。 お金の扱い方について、何かアドバイスはあった? 「人を信用するな」 それに従った? まったくそうはしなかったね。信用っていうのは、ぼくにとってとても重要だから。 ちょっと脱線するけど、いいかな。 スーパーマーケットには、値段の付け方があるだろ。バーコードのことだけど。何か食べ物でも持っていって、レジにおくと、レジ係が器械で読みとるよね。 エッジがMITで研究した人の話をしてくれたんだけど、このシステムの10%が間違っているんだって。10%を除いた、ふたつの場合、つまり…… ある時は勝つ…… ある時は勝つし、ある時は負ける。で、それは完全にイーブンなんだ。
誰もこのシステムの問題について真剣に悩んだりはしないよね。ある意味、これは信用のレッスンなんだ。 もし人を信用したら、10%の割合で痛い目を見る。 ぼくはかなり人を信用する方だ。でも、より用心深くしていれば、10回に1回、そうはならないだろう。つまり危険を冒さなければ、痛い目には遭わないってことさ。 これがぼくと父との違いだと思うよ。 |

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