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3月7日、長い間待ったVertigo Tourの記録映画「U23D」が封切られた。初日初回を祝福すべく、U2ファンの友人たちとともに新宿バルト9に足を運んだ。 実にばかげた待ち合わせ人数は23名。何しろ上映時間の発表が3日前だったから、事前に呼びかけはしていたにしてもよく集まったものだと思う。 バルトでは実質最前列となるB、C列をチケット発売とともに予約購入し(これがまた楽しいミッションだった)、ずらりと並んで鑑賞。 ワタシはC列の左の方だったので思わずエッジサイドは初めてだなんて思ってしまったけれど、これは間違い。固定カメラじゃないんだからね。 バックヤードを駆け抜ける若い女性スタッフ、フィールドを埋め尽くす観客。 オープニングに"Wake Up"こそないものの、静寂に染み渡るようにボノの声で「Everyone」という呼びかけが繰り返され、開演前の緊張が高まる。 この「静寂」というのは実際のライブでは絶対にあり得ないもので、生の会場とはまた違った形でワタシたちの興奮を促したと思う。なんと言うのか、押さえ込まれてぎりぎりまで膨らむ期待とかエモーションとか、そんな感じ。 幕開けは"Vertigo"。そういえばアルゼンチンはスペイン語かーと思いつつ、例のカウントアップを聴く。 ここから始まる全18曲、いろいろと意外と言えば意外な感じではあるので、セットリストを書くのはやめておこう。 あの曲やあの曲やあの曲をやらなかったけれど、唯一日本でだけやらなかった"Love And Peace Or Else"をやってくれたので、ワタシ的には差し引きプラスというところ。 南米ではボノはたぶんほとんどアフリカの話をしていない。streetsの時に流れる国旗もラテンアメリカの各国のもので、彼らに直接エールを送っている。 アフリカへの支援を呼びかける対象は北米、欧州、日本と言った先進国だということがはっきりしている。 これまであまり南米の映像や音源に触れてこなかっただけに、それは少し新鮮だった。 これはまさにコンサートだと感じる人も多いだろう。さいたまはじめ自分の見たライブと比較しても楽しい。 ワタシはといえば、「これは映画だ」と強く感じた。ひとつには見えるはずのない場所を映すカメラワーク(特にラリーのドラム回り!)。ひとつには前述したような静寂―完璧な静寂も、あるべき歓声がないことも含め。 もう一つ決定的なことが、目の前で行われているコール&レスポンスに自分が無関係だと言うこと。客観的な見方しかできない、と言うこと。 そして客観的に見ても(自分が興奮のるつぼに身を投じることができなくても)U2のライブは素晴らしいものだ。 技術としての3Dは充分に効力を発揮していたと思う。 ラリーのドラムセットはこの上なく美しく浮かび上がっていたし、特に2つのBステージを映した場面や、手前のオーディエンス越しにメインステージを映した場面などで画面に奥行きが感じられるのも非常にリアルだった。 そしてもちろん、メンバーは手が届きそうなほど近くにいる。 それぞれの演奏を間近に見ることができるのは楽器をやる人にとってはこの上ない経験だろう。 ワタシのようなボノファンにとっては言うまでもない。SBS(他の手法では決して味わうことのできない素晴らしい瞬間が訪れる)とWOWYだけでもいい、延々と繰り返し見たいと思う。 そして何より特筆すべきは、ライブでは背景に過ぎなかったスクリーンワークに施された効果だろう。 特にFlyで背後に閃いていたテキストワークが画面から迫りくるさまと、ラストのあの曲のアニメーションの演出は3Dでなければできない演出だった。 たとえばVertigoシカゴやエレベ・スレインを映画館でやってくれたとしたら、画面と音量が尋常ではないだけで充分満足できるだろうけれど、3Dはそれとは比べ物にならない喜びの価値がある。
とにかく映画館に何度でも足を運ぶべきだと思った。 観客が少なければそれも僥倖。席が離れていたら声を出して歌っても気づかれないと思うよ。 |

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