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とうとう とうとう最終話になりました
皆さまへのご挨拶は 後ほど・・
とりあえず ラスト・・お楽しみください
「COLORS」
最終話
「早くしろ。 今なら閉会式で人通りも少ない」
促され控室を出たキリコは、先程から考えていた事をバーコフに言った。
「ザキは今日の試合の立役者だ、閉会式に出してやれないか?」
「出してはやりたいがな。 ザキはお忍びでメルキアに通っていたんだ。
公にはできん。 俺の立場も解ってくれ」
苦虫を噛み潰した様に答えるバーコフにキリコは更に言った。
「小柄なザキが優勝旗とともにネット配信されれば画的にもメルキア人気が上がる。
それこそがロッチナの望みなんだろ?
それにザキがプロになった時、出身校として名実ともに名が上がる」
「オレの名前を、ドロカ家の名前を出さなきゃ良いんだろ」
ザキも足を止め、バーコフに意見する。
「記事を書くのはキリコだ、もともとドロカの名は伏せているし、悪い様には書かねぇよ?」
「見る者が見ればわかるだろうが、そこから噂が立ってもザキはイプシロンを倒した覇者として悪く言われる事はないだろう。それに」
バーコフに一歩詰め寄り、キリコは続けた。
「大人の事情に振り回されるザキが不憫だと言っただろ?
だったらこっちは学生の事情で振り回してやる」
キリコは拳を作り、バーコフの顎にパンチを喰らわせた。
もんどり打って倒れ込むバーコフに
「すまん、バーコフ、お前が迎えに来た時、俺達はもう居なかった事にしておいてくれ。
ザキ、走れ!」
と言い残し、キリコはザキとともに閉会式の行われている闘技場へと走り出した。
「おい、ああは言ったけどバーコフは大丈夫なのか?」
走りながらも不安そうに問い掛けるザキにキリコは言った。
「一応公務員だからな。 滅多な事はされないだろう。
それにここでお前がプロを目指す事を公にして世間に名を知らしめておけば、将来を嘱望される身として養父もおいそれとお前に手出しできんだろう」
「キリコ...」
立ち止まり、キリコを見詰めようとするザキの手を引き、キリコは走った。
「急げ、 その為にも閉会式にお前が居る画が欲しい」
だがザキは泣き出し、並んで走るキリコの腕を引き、片手を首に巻き付けるようにして口付けてくる。
躊躇なく巻き付いてくる舌先を一瞬激しく吸って抱き締め、抱擁に応えると、すぐに唇を離してキリコは言った。
「お前が独立するまで俺がお前を守る。 だから今は急げ!」
「キリコ、キリコ...!」
泣きじゃくるザキの腕を引き、キリコは闘技場の扉を開けた。
眩いライトが溢れる闘技場は既に閉会式を終え、記念撮影の準備を始めているところだった。
沢山の報道カメラとレフ板に囲まれ緊張した面持ちの選手達が目敏くザキを見つけ、一斉にその名を呼んで駆け寄ってきた。
笑顔のゴダンや部員達がザキを取り囲み、中央へと連れて行く。
本日の真の勝者をカメラに収めようとあちこちから盛んにフラッシュが焚かれ、闘技場は騒然とし始めた。
ザキと離れ、報道側へと戻ったキリコは写真部の部員を探し出し、ザキを中央に据えたバランシング部の写真の他に、幼い頃と同じように準優勝のトロフィーを持つイプシロンと優勝旗を持つザキのツーショット写真を撮影させた。
「キリコ、ザキ様は内密にと言っていたが、良いのか? 私も対戦相手の感想を聴かれ、答えに困っている」
撮影を終えたイプシロンがキリコに訊ねてきた。
「ああ、ドロカ家の名を伏せ、プロを目指す良きライバルとして語っておいてくれ。」
「...何か考えがあっての事だな。
よかろう、記事を楽しみにしている。
来年の優勝はバララントが頂くぞ」
笑いながら次の撮影ポーズに応えるイプシロンの向こうに、キリコはバーコフとSPの姿を捉えた。
「ゴダン、バーコフから訊いているとは思うがザキは家の事情で学校を辞める。
迎えが来ているのでザキを帰さねばならん」
事情を飲み込んだゴダンはキリコとともに部員や報道に囲まれているザキに別れを告げさせた。
車を停めてある裏口の門が見えた時、ザキはバーコフに礼を言った。
「色々済まなかった、バーコフ。 あんた 結構良い教師だな」
キリコに喰らったパンチの痕を痛そうに撫でながらバーコフは言った。
「この件で教職剥奪されるかもしれんがな。
まぁお前のメルキアでの思い出が良いものになってくれるんなら、教師冥利に尽きるってもんだ。
チャラにしてやるよ」
「安心しろ、あんたの教師生命くらいオレが保証してやる」
ザキは微笑みながら バーコフに握手した。
「無理すんなって。 俺ぁ典型的なデモシカ教師だからな。
クビんなったらタブロイドのブンヤにでもなるさ。
とにかく達者でな。 プロになったら観戦チケット寄越せよ」
「あんたはデスク派で観戦は好まないんだろ?」
意外そうに訊ねるザキにバーコフは言った。
「教え子がプロになったんなら重い腰も上がるってもんだ、そうだろ?」
教え子、という言葉にザキは目頭がツンと熱くなり、手を離しながら言った。
「じゃ、あんたはオレの恩師って訳だ」
「ハハハ、そう言うこった。
...じゃ、元気でな。」
手を上げ、バーコフは闘技場へと戻って行った。
残されたキリコはザキに握手を求められ、手を握りながら言った。
「約束だ、一日も早くプロになれ」
「キリコ...」
ザキは溢れる涙を拭おうともしない。
「俺も約束を守る。いいな?」
頬に手をやり、キリコが流れる涙を指先で拭った時、SPが声を掛けてきた。
「ザキ様。 お乗り下さい」
促され、車に乗り込んだザキは窓を開けようとするがSPに阻まれ、それが最後の別れとなった。
広大なバララントの丘を下り、ザキの乗った車の姿が見えなくなってもキリコはずっとそこに佇んでいた。
キリコの書いたWeb新聞は大会記事を扱った為、驚異的なアクセス数をカウントしてメルキアとバララントの校名は世間を席巻、首位奪還を果たしたバランシング部を中心に校内は暫く沸きに沸いた。
騒ぎも一段落した一ヶ月後、授業を終え部室に向かう途中だったキリコは、バーコフに呼び止められ歩みを止めた。
「お前進路はどうするんだ? 確か理系だったな。 何かなりたいものでもあるのか」
「いや、特には。 ただ何となく、だ」
「今回の件で思ったんだが、お前はジャーナリストが向いているんじゃないのか?」
「ジャーナリスト? いや...、執着心のない俺には無理だ」
「まあ座れ」
部室に入った二人は衝立で隔てたミーティングスペースで机を挟み、向かい合って座った。
「実は公式発表はまだだがザキの養子縁組は破談になる」
バーコフの言葉にキリコは眼を見開いた。
「俺の記事が原因か?」
「そうだ」
「じゃあ、アイツとアイツの家族は...」
俯き、絶句するキリコにバーコフは神妙な顔をして衝立の向こうへ呼び掛けた。
「入れ」
「キリコ!」
バーコフの背後から姿を現したのはザキだった。
「ザキ! お前...!」
「キリコ、オレも今朝知らされんだけど、お前に一番に知らせたくって、オレ、オレ...!」
驚き、立ち上がるキリコの手を取り、握り締めてくるザキは泣き笑いと興奮で言葉がまともに紡げない。
「プレス発表までに時間がない。俺が説明する」
立ち上がったままのキリコとザキを座らせ、バーコフは説明を始めた。
「カンジェルマン財団からザキの為にドロカ家へ援助の申し出があったらしい」
カンジェルマン財団とは国技であるバランシングを後援する団体、とキリコは認識している。
「お前のWeb記事を読み、ザキのバランシングの腕前とドロカ家の窮状を知った財団トップ、カンジェルマン氏直々の申し出らしい。 但し、ザキは未成年の為カンジェルマンの母校であるバララント学園にて就学、プロデビューの後は収益金の10%を財団へ納め、それを返納分とする、という条件だ」
「バララントで就学...。 ロッチナが臍を噛むな」
「だが、お前の記事がカンジェルマンを動かした。」
机の上で腕を組んだバーコフはキリコを見詰めて言った。
「お前が決勝の前に書いた記事に感動したらしい。 あの愛校精神溢れる記事、な。
それにイプシロンからもライバルが居てこその精進、と提言があり、ザキは希望通りメルキアへの復学が叶う事になった」
顔を上げるキリコにバーコフは言った。
「どうだ、キリコ。 これがジャーナリズムだ。
お前の記事ひとつで多くの人間が動く」
キリコの頭に様々な想いが交錯した。
「ザキ、支度をしろ。 財団との調印とプレス発表がある。
もう出るぞ、急げ」
名残惜しそうにしているザキを立たせ、バーコフは支度を急がせた。
「送る...!」
急ぎ足で校舎の階段を駆け下りていくバーコフの後を追うザキは、付き従う様に走るキリコに言った。
「オレもお前はジャーナリストになるのが正解だと思う。
お前は約束通りあの記事でオレを守ってくれた。 家族もばあやも...、
お前は多くの人間をあの記事で救ったんだ」
そして迎えの車に乗り込み
「今日はもう戻れねぇ。 プレス発表が終わったら連絡する。
やっと携帯も返して貰えそうだからな」
と話しながらシートベルトに手を掛け、キリコを見上げる。
「キリコ」
キリコを見詰める瞳は希望に溢れ、キラキラと光を放ち、煌めいている。
「オレの専属記者になって、これからもオレを守ってくれ」
勢いよく扉が閉まり、走り去る車を見詰めながらキリコは困惑していた。
ジャーナリストなどという未来を、自分の将来に思い描いた事はただの一度も無かった。
だが、自分の書いた記事が人を動かしたというのは事実らしい。
イプシロンにも記事を楽しみにしていると言われた。
だからと言ってすぐにジャーナリストを目指すのは短絡的ではないのか。
『だが...』
あの多彩な光を纏う小さなザキは思いもかけず早く、自分の許へと帰ってくるのだ。
くるくると絶えず表情を変える、さっき怒ったかと思えばすぐに笑う、なんとも生命力に溢れたあの小さなザキは、俺の記事に守られたと言った。
ザキを育み、メルキアへと送ったまだ見ぬ乳母をも救ったと言った。
そう仕向けたのは確かに自分が書いた記事が原因なのだ、と。
ザキが帰ってくるきっかけを作ったのが自分なら、最後まで守るのもまた自分でいてくれ、と...。
その為の勉強をするのは
『必然、か』
部室へ戻ったキリコはパソコンを起動し、Web新聞の記事を纏め始め、見出しを打ち込んだ。
「ゲレンボラッシュ・ドロカ・ザキ 復学」
ENTERキーを押した時、いつの間にか退色していた周囲の景色が鮮やかな色彩に包まれていった。
written by Sad illustration by sunko Thank you See You Again
※むむ・・またまた ヤフブロ500文字のカベに阻まれてしまいました
皆さまにご挨拶しないわけにはいかないんで 続き記事として すぐ載せます(・∀・;)ゞ
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ボト腐ず
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とうとうSad姐さんから「ギャグ禁止令」が発行されました
た・・確かに〜〜〜〜
「COLORS」
第9話
勢い良く水音をたて、ザキがシャワーを浴びている間、手持無沙汰となったキリコは控室の棚に所狭しと並べられたおびただしい数のトロフィーや盾、記念写真を観ていた。
幼少の頃から数多くの大会へ出場したと思わせる数多の写真の中に幼いザキが居た。
準優勝のトロフィーを持つ、やはり幼いイプシロンの隣で大きな優勝トロフィーを両手で抱えるようにして持つザキは、幼いながらも凛々しい顔つきをしている。
『こいつは女みたいに見える時もあるのに、こんなガキの頃から勝負となると武道家の顔になるんだな』
「キリコ、話って...」
いつの間にシャワーから上がったのか、洗い髪もそのままのザキが後ろに立っていた。
「ちゃんと拭け」
椅子に置いてあったタオルを一枚ザキに投げ、もう一枚のタオルでキリコは雫を滴らせているザキの頭を拭き始めて言った。
「お前、イプシロンを知っていたからバララントへは編入しなかったんだな?」
「ああ...」
落胆の混在する声でザキは呟く様に答えた。
キリコの問いに逡巡を繰り返す様に眼を瞑り、小さく溜息を吐き、そして言葉を続ける。
「...話ってその事か...」
項垂れるようにゆっくりとタオルを纏った腕を握り締め、とつとつと呟く。
「バーコフが話したんだな? オレの事」
キリコに頭を預けながらザキは抑揚無く問い掛ける。
「ああ。 なかなか言わなかったんで締め上げた」
「なんで...だよ?」
タオルの中からザキが問い掛ける。
「なんでって、お前が心配だった」
「なんで心配だったんだ?」
「休み方が不自然だっただろ?」
「それだけかよ!?」
キリコの手からタオルを取り上げ、床に叩きつけるようにして投げ付けると、ザキは正面に向き直って叫んだ。
シャワーの湯で上気した頬の上の瞼が赤く、涙がうっすらと浮かんで見える。
『この瞳...』
つい先程まで闘志を宿していた瞳が、今や秘密を知られた憂いに濡れそぼり、なのに前以上の煌めきを湛えて真正面からキリコを射抜く。
『これだ、この幾通りにも表情を持つこの瞳に俺は...』
どくん、とキリコの胸が高鳴った。
「...あんな風に姿を消されて気にならないヤツは居ない」
うろたえを隠す為、キリコは努めて落ち着いた声を出そうと意識する。
「でも他の誰もバーコフを問い質したりしてねぇんだろ?
言え、キリコ、なんでそんなにオレの事知りたかったんだ?」
両腕を掴み、更にザキはキリコに詰め寄ってくる。
「お前の事が気になった...」
詰め寄られ、キリコは目を逸らせて言った。
「だからそれはなんでだよ!? なんで気になった!?」
「それは」
答えながらキリコは発すべき言葉とは裏腹に全く別の事を思考していた。
間近で観るとこいつの睫毛は本当に長い。
その睫毛に縁取られた瞳は今怒りに燃え、その怒りは俺に向けられたものだ。
やっと逢えたのに、なんでこいつはこんなに怒っているんだ?
しかもすぐにまた行ってしまう、そして...。
キリコは自分の腕を掴んでいるザキの手を振り払い、引き寄せるとその細い背中を抱き込んで耳元で囁くように語り始めた。
「お前が現れるまで俺はただなんとなく生きてきた。
流されるまま、何に逆らうでもなく、与えられるモノのみをこなす。
自分の人生なのにまるでモノクロ映画に出演している自分を観ている様な、そんな味気ない毎日だった。
だがお前と出会い、一緒にいて、面倒だが少しずつ日々が面白く感じ始めた。
すると徐々に日々が色を取り戻すように..、お前を中心にそこから全ての物が鮮やかに彩色されていくように感じた。
そしてお前はいつも真ん中で輝いていた。
何故そう感じたのか俺にもよく解らない。
だがお前が姿を消して俺は、
俺は...」
キリコは自分の頬をザキの頬に擦り寄せる様にして言った。
「お前が好きだ」
ザキの目が大きく見開かれ、直後に瞼に留まっていた涙がぽろぽろと零れ始める。
その涙を胸元に擦りつける様にキリコの背中に腕を廻し、ぎゅっと抱擁に応えて顔を上げると、軽く啄むように2、3度キスをした。
そして正面からキリコを見詰め、零れる様な笑顔で問い掛けた。
「オレと一緒の『好き』でいいのか?」
キスをねだる様な顔をして、瞼を伏せるザキの唇は改めて見詰めるとつくづくふっくらと官能的だ。
その官能に誘われるようにしてキリコは自らの唇を寄せていく。
ザキの唇はすぐに開き、悪戯っ子のような舌先がキリコの唇の左下から右上を辿るようにくるりとなぞり、淡い刺激を送ってくる。
その刺激に思わず口を開いたキリコは、再び自分の咥内に訪れたザキの舌の感触にあの夜の出来事を思い出し、自らの舌をザキへと差し出した。
熱い。
技巧も何も知らない、ただ自分以外の誰かと粘膜を触れ合わす事が、何故こんなにも愛しく思う衝動を突き動かすのだろう?
その答えが知りたくて、キリコはやがて自らの意思でザキの舌へと絡んで行った。
深く絡んだ舌先が紡ぎ出す唾液が嚥下されずに頬を伝う。
「んんっ」
やがて苦しそうに呻いたザキが顔を背けた。
「ぷはっ」
ザキの唇が離れ、初めてキリコも自分の息が上がっている事に気付いた。
「...ふっ」
真っ赤な顔をして肩で息をする互いを観、どちらともなく笑いが込み上げ、二人は笑った。
「オレ達、料理して泣いたり、キスして息が切れたり、どうしようもねぇな」
「早く服を着ろ。 風邪をひく」
笑い過ぎて涙を浮かべるザキの肩にタオルをかけ、キリコは椅子に置いてあった服をザキに渡して椅子に座った。
「バーコフも最後まで秘密を守れってんだよな、全く男らしくねぇヤツ」
文句を交えて喋りながら制服を着ていくザキの手が、ネクタイを締める段になって止まる。
「キリコ、締めてくれ」
甘えるようにネクタイを渡してくるザキに、キリコは呆れて苦笑しながら立ち上がった。
「お前、毎朝ネクタイはどうしていたんだ?」
鏡の前でザキの後ろに立ち、脇と首から腕を廻してネクタイを締めながらキリコは訊ねた。
「ばあやがやってくれてた」
「俺はばあやの代わりか、 それともばあやが俺の代わりか?」
結び目に上にくる一端を差し込みながらキリコは鼻で笑うように言った。
鏡に写るザキの目がいつもの様に邪気の無い光を放つ。
「ばーか、ばあやの代わりになるようなヤツは居ねぇよ。母親よりもオレの事、解ってくれてるからな」
そして鏡の中のキリコを熱く見詰め、続けて言った。
「お前の代わりがどこにも居ねぇように」
見詰められ、視線に応えながら結び目を襟元まで上げたキリコは、ノットの仕上がりを微調整して整えた。
そして真顔に戻り、無理とは解ってはいても訊かずにはいられない一言を呻くようにして発した。
「お前...縁組は断れないのか」
それは問いというよりは願望だった。
鏡の中のザキが瞬時に笑顔を無くし、キリコから視線を逸らす。
だが直後に笑顔を取り戻すと答え始めた。
「それは...無理だ。 ばぁやが職を失う。もう年寄りだから新しい勤め先はねぇだろ?
親も路頭に迷っちまうし。 ばぁやの他にも使用人が沢山いるしな。
それにオレ、なんでだかあの借金肩替りしてくれるおっさんに気に入られちゃってるみたいでさ、バランシングやらせてくれるって言うし。
姉ちゃんをあんなおっさんとこへ行かせるくらいなら、オレが行った方が寝覚めが悪くねぇ」
すらすらと口をついて出てくる言葉が、ザキの覚悟を物語っている。
一体幾晩、悩み、泣いて、辿り着いた覚悟なのだろう?
コイツはまだほんの15歳だと言うのに、 こんなに細く小さな躰で一体幾つの人生を助けようとしているのだろう?
キリコは先程から小刻みに震えている華奢な肩に腕を廻した。
「...平気だよ、オレ。 あんなおっさんの言いなりになんかならねぇし。
とっととバランシングプロデビューして借金返済、独立してやるんだ」
そしてキリコに向き直る。
「だからさ」
邪気の無い瞳がキラキラと光を放ち、ぽろぽろと涙を零しながら言った。
「だから、オレが自由の身になったら、また逢ってくれるか?」
「ああ、ザキ」
震える小さな躰を優しく抱き寄せ、キリコは答えた。
「必ずだ」
「オレ、オレ、メルキアを選んで良かった、
キリコに逢えて、良かった...」
消え入るように呟いたザキはキリコの背中に廻した腕に力を込める。
その時、ドアがノックされた。
「キリコ、ザキ、SPが待ちかねているぞ、支度はまだか」
バーコフの声が束の間の逢瀬の終焉を告げにきた。
To be continued
written by Sad illustration by sunko
Sad&SUNこ
Sun:「 トウトウ ジカイハ サイシュウカイネ Sadネエサン・・」
Sad:「 な・なにキカイ的になってるの
Sun:「 ギャグフウインサレタラ シャベリモ オボツカナクテ・・・」
「 ダッテココノ ブログ ギャグトエロデ ナリタッテルモンデ・・」
Sad:「(クリック・クリック)・・あ・・本当だわ・・
「ふ〜〜 まったく・・困った人ね・・
「ではでは わたくしが代わりに・・」
「次がいよいよ 最終話です
キリコとザキ・・愛し合う二人を待つ 運命は・・
幸せの女神 は二人に微笑むのか・・・
次回 『 COLORS 最終回 』 是非 最後までおつき合いくださいませ m(_ _)m 」
Sun:「フリーズ・・・・」
※キスの画・・私的にめいっぱいエロく描いてみました・・(・∀・;)ゞ
本当はもっと爽やかに描けばいいんでしょうけど・・
ごめんね〜ww 爽やかがどうやら苦手みたい・・
え?もっとエロく描けって?? ・・・精進しますm(_ _)m
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今回は私・・ちょっと勉強しました・・開眼したかも?(((*゚∀゚*))
「COLORS」
第8話
「キリコ、ちょっと来てくれ」
闘技場に着くと待ち兼ねたという顔をしたゴダンに呼ばれ、キリコは選手控室へと連れて行かれた。
控室の中は痛々しいほど足にテーピングとアイシングを施された大将に、部員達が出場を辞めるよう説得する声で騒然としている。
「駄目なのか」
「ああ、限界だ。
これ以上無理をさせたらプロを目指すあいつの将来は保証できん」
「残念だ」
短く答えるキリコの肩を掴み、ゴダンが言った。
「無理を承知で言う。
ザキに出て貰うよう説得してもらえんか?
今日は準決勝だ、副将まででなんとか抑えられる。
だが明日の対戦相手はバララント、イプシロンだ。
イプシロンは副将では歯が立たん」
ザキ、と言う言葉が胸を抉る。
僅かだが自分の動悸の早まる様に、改めてザキの存在の重さを思い知りながらキリコは答えた。
「それは、無理だ」
「校長からも優勝するよう厳命されているんだ、何とかならんか!?」
困り果てた面持ちでゴダンは喰い下がる。
「まるで連絡が取れないんだ。 諦めてくれ」
俯き、控室を出て行こうとするキリコの背中にゴダンは尚も言葉を掛けてくる。
「頼む、なんとか連絡を取る努力をしてくれ!」
『そんな事とっくの昔にやっている...!』
心の中で叫びながらキリコはドアを閉め、報道部席へと歩み始めた。
その時、ふいにひとつのアイデアがキリコの頭を過った。
いくら籠の鳥でもネット環境くらいはあるかもしれない、だとしたら...。
踵を返し、控室に向かったキリコは勢いよくドアを開け、ゴダンに言った。
「今日は無理だが明日はザキを呼び出せるかもしれない。
その代わり、大将は絶対出場するな。
そしてなるべく痛々しい姿で目立つ様に見学してくれ」
「お、おう。 わかった。 だがそれで本当にザキが来るのか?」
「わからん。
だがアイツは愛校精神に厚いヤツだからな」
「愛校精神?」
「とにかく今日の試合には全力を尽くしてくれ」
ゴダンの予測通り苦戦はしたものの、準決勝はメルキアの勝利に終わる事が出来、キリコは選手のインタビュー草案と写真を受け取って記事の作成に取り掛かった。
明日の対戦校 バララント学園とイプシロンの紹介、
優勝は校長以下在校生と卒業生、または父母の悲願である事、
怪我に倒れた大将を庇い部員が一丸となって本日準決勝を勝ち取った事、
だが大将を欠き、明日の首位奪還は叶うのか?
といった内容を愛校精神煽る文面で、テーピングだらけの大将が見学する写真を交えてアップした。
この時期のWeb新聞は、生徒募集の為に学校紹介のホームページにも引用される。
特にバランシングの大会開催期間は卒業生の希望により、全てが引用され、誰もがアクセスできる。
キリコはそこに望みを賭けた。
翌日、決勝戦は昨年度の優勝校であるバララント学園で開催された。
満場の流麗な闘技場に両校の選手が入場、礼を終え、互いの陣営に戻ったが、ザキは姿を現さず、連絡も未だ入っていない。
「やはり来ないか...」
あせるゴダンと部員以上に焦れるキリコの気持ちをよそに、試合は次鋒戦までを同点で終えそうな雲行きだ。
『諦めるべきか』
スタンドから一向に開かない扉を見詰め、両膝の上に肘をつき、祈るような格好に手を組んだキリコは足元に視線を落とした。
その時
「キリコ」
スタンドの階段を早足で降りてきたバーコフがキリコの耳元で言った。
「すまんが届け物を選手控室へ運んでくれ。 5分後に裏口に届く予定だ」
「届け物? よその学校なのに?
だが試合を観ないと記事が書けない。」
「試合は俺が観るから行って来い。
この荷物は時間指定、受取人指定でな。 お前じゃないと受け取れん。
早くしろ、副将戦までに選手に必要なものだ」
時間、受取人指定の荷物...。
まさか...?
バーコフの言葉を最後まで待たずに勢いよく立ち上がったキリコは、裏口に向かって走り出していた。
『5分後だと? くそ、この学校、敷地が広すぎる...』
全速力で走り校舎を回り込むとやっと裏口が視界に入る、と同時に停車していた黒い車から誰かが飛び降り、こちらに向かって勢いよく走り始めた。
「キリコ!!」
「ザキ..? ザキ!」
キリコに向かい転がるように駆け寄ってくるのは、待ち望んでいたザキの姿だった。
「キリコ! 逢いたかった、キリコ!!」
臆面もなく叫びながらザキが胸に飛び込んでくる。
誰かと逢い、抱擁する事をこんなにも望んだのは初めてだ、と思いながらキリコは抱きついてくるザキの力より遥かに勝る勢いで、その小さな躰を抱き締めた。
「ザキ、やはりお前が届け物か」
「うん、オレだ
お前って結構策士だな、あんな記事書きやがって...。
あんなん見たらもう居ても立ってもいられなくなって、オヤジを脅した。
行かせなきゃ死んでやるって無理やり出場を認めさせたんだ。
まぁ監視付きだけどな」
我に返り周りを見回すといかついSPが2名、車から降りてバランシング用の槍と防具類をキリコに渡した。
「急げ、もう中堅戦が終わる頃だ。」
キリコはザキとともに闘技場を目指し、走り出した。
闘技場の裏まで迎えに出ていたバランシング部員とともに、選手控室へ入り、キリコも手伝い、慌ただしく着替えを始める。
車を降りてから闘技場までの広い敷地を全力で走った直後に試合なんて出来るのか、とキリコは心配したが、ザキは着装防具をひとつひとつ身に着けながら精神統一をしているのか思いの外 呼吸の整いは速い。
最後に額当てを着け、閉じていた瞼をゆっくり開けた時、そこにいつもの無邪気な瞳はなく、仄かに闘志を宿した瞳が静かに煌めいていた。
スタンドへ戻る時間が無い為、バランシング部員とともにキリコも陣営の袖へ入ったその時、主審が選手交代を認め、ザキが入場した。
開始線まで進み、主審の「始め」の声でザキが槍を構えた時、イプシロンの顔色が変わった。
一旦、槍の刃先を交え、試合は滑るように流れていく。
ザキはイプシロンの流派を新派と言い、メルキアは古代流派と言ったが、ザキはそのどちらにも当てはまらないとキリコは思った。
体格差があるにも関わらず、ザキはイプシロンのパワーもスピードも物ともせずに滑らかな動きで次々と攻撃をかわし、間隙を縫っては反撃に打って出た。
対するイプシロンの防御も鮮やかなもので、両者の動きは舞の様に美しく、観客の誰もが勝敗の行方を固唾を飲んで見守った。
緊迫した空気の中、制限時間いっぱい互角の勝負でこのまま延長戦になだれ込むか、と誰もが思ったその時、一瞬の隙を突いてザキの槍がイプシロンの喉元で止まった。
「勝負あり! メルキア!」
主審の旗がメルキアに上がる。
割れんばかりの歓声の中、礼をした後に握手を交すザキの耳元でイプシロンが言った。
「あの構え...、あなたはドロカ家のザキ様ですね。
こんなところで何をなさっているのです?
どうしてメルキア高校に?」
きょとんとした顔でイプシロンを見詰めたザキはくすっと笑い、小声で言った。
「やっぱりお前の眼は誤魔化せねぇか。
対戦したのはほんのガキの頃に一回こっきりだったのにな...。
頼むからオレだって事、内緒にしておいてくれ」
他には聴こえないよう囁くように頼み込むザキに、事態を把握したのか、イプシロンは言った。
「承知しました。 では...
シャワールームは私専用の控室がございますのでそちらをお使い下さい。
こちらへ。 ご案内致します。」
群がる勝者、敗者インタビューを断りながらイプシロンはザキの先に立ち、控室へと進んだ。
案内される途中、すれ違いざまにバーコフを見つけたザキは、イプシロンの控室を来賓扱いにしてもらう旨を説明し、SPにシャワーを浴びる時間を貰う事と、キリコに着替えを運んでもらうように、と伝言を頼んだ。
「こちらです」
案内された控室はイプシロン専用の部屋で、広くはないがシャワールームも併設されている。
イプシロンのお陰で施工された闘技場とはいえ大したVIP振りだ、とザキは感心した。
「ザキ様と再び槍を交える事ができて私も嬉しい。
私は他の者のシャワールームを使います。
その後ミーティングがありますから暫く戻りません。
何しろ負けましたからね。
夜を徹する長さになる事は請け合いですので、お帰りの際、鍵は守衛に渡して下されば結構です。
ごゆっくりお使い下さい。」
その時ドアがノックされた。
イプシロンが出るとザキの制服を抱えたキリコが立っていた。
「青い髪...。 君はキリコ・キュービィか?
敵校ながら君の記事はいつも核心を突いてなかなか興味深い。
今日の記事も楽しみにしている。
ミーティングがあるので私はこれで失礼するが、ザキ様がお待ちだ、中に入りたまえ」
キリコを中へ招き入れると同時にイプシロンは自分の荷物を持って部屋を後にした。
「すごいなバララントは。 イプシロン専用の控室か」
「キリコ」
赤い顔をして立っているザキの後ろに回り、着装の後ろファスナーを下ろしながらキリコは言った。
「とにかくシャワーを浴びてこい。 汗を掻いただろ。 風邪をひく」
「う、うん...」
「SPが一時間で迎えに来ると言っていた。 あんまりゆっくりするなよ」
「一時間!? せっかちだな〜! そんなんで湯あみができるか!
いいんだよ、待たせときゃ!」
着装を床に脱ぎ散らかし、素っ裸になったザキは汗に濡れた髪を掻き上げ、腹立たしげに言うとシャワールームに向かって大股に歩き始めた。
「待て」
怒りに大きく前後に振る腕を掴み、キリコがザキの動きを制した。
急に動きを制され、驚いたように振り返って見上げるザキの腕を引き、キリコは言った。
「湯あみじゃない、シャワーだ。 話もしたい、素早く浴びろ」
「え...、話...」
躰ごと振り返ろうとするザキの背を優しく叩き、キリコはザキをシャワールームへと押し込んだ。
To be continued
written by Sad illustration by sunko
Sad&SUNこ
Sun:「うう・・ううう・・
Sad:「何を泣いてるのSun子さん」
Sun:「可愛かったのに・・ココナもフィアナさんもティアニアちゃんも・・
Sad:「それはアナタが悪いんでしょ? BLなんだから男子校に決まってるじゃない・・」
Sun:「くすん・くすん
『ローマの休日』じゃなかったの??」
Sad:「『ローマの休日&『風と木の詩』よ
Sun:「ふっふふ・・
Sad:「おお!!こ・これは!!
Sun:「わが町の図書館で全巻レンタよ〜
Sad:「す・すごい図書館ね・・
Sun:「そりゃもう〜」
「おばちゃんの全巻借りに図書館の
お姉さんも 苦笑いさ・・
Sun:「ではでは 勉強の成果を見て〜〜
Sun:「ジルベール風 ザっきゅん
Sad:「おお!!
Sun:「応用させてみました〜」
Sad:「やっと・・
やっと解ってくれたのね
Sunこさん・・
長かった・・長い道のりだった・・」
Sun:「風と木・って事でじんわりと
「でもSad姐さん・・ひとつ問題が・」
Sad:「え?なに??」
Sun:「これ・・もうボトムズじゃない
※今回の本編の画のイプシロンとキリコの二人ですがSad姐さんの文に反して?ちょっとライバル心のある二人に描いてみました 文とかみ合わないかもしれないけど 久々ライバルの二人を描いてみたくて・・(・∀・;)ゞいろいろご迷惑おかけしますm(_ _)m
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この前はちょっと脱線しちゃってごめんね ごめんね〜〜
では 本編 どぞ!
「COLORS」
第7話
程なく目覚まし時計が起床時間を告げ、キリコが目覚めた時、隣にザキの姿は無く、それは登校しても同じだった。
どこを探してもザキの姿は見当らず、3時限目の休憩時間にやっと捕まえたバーコフに事情を聴くと、今日は風邪で休むと連絡があったとの事だった。
「それよりお前、バランシング部のレポ、ザキが居なくて大丈夫か?」
「もともと独りでやっていたから問題はないが。...バランシングの連中は困るかもしれんな。ザキの様子は悪いのか?」
やはり昨夜風邪をひかせてしまったかと自責の念に駆られ、キリコはザキの状態をバーコフに訊ねた。
が、バーコフにも詳細は不明だと言われ、そもそも謎の多いザキについて唯一事情を知っていそうなバーコフを問い詰めてみよう、と思ったところに4時限目の開始を告げるチャイムが鳴り響いた。
教室へ戻るよう促されたキリコの背に、反対側の廊下を曲がろうとしたバーコフが一言投げかけてきた。
「キリコ、ザキの事はもう詮索するな」
詮索?
それはどういう意味だ?と問おうと振り返ったがバーコフの姿は既に無く、疑問を残したままキリコも自分の教室へと急いだ。
授業が終わり、闘技場の報道部用に割り当てられたスペースにキリコが到着すると、既に写真部の連中も機材のセッティングを初めていた。
スタンドには本日試合の無い学校が敵状視察に訪れ、観客の中には他校の応援の女生徒や入学希望の親子連れの姿も混じり、華やかな雰囲気に溢れかえっている。
やがて試合が始まり、昨年首位こそは逃したものの、もともと実力のあるメルキア高校の戦績は下馬評通り圧勝に終わった。
両校の挨拶が終了し、キリコは試合の流れに沿った記事の作成に入った。
選手の取材記事と写真部の撮影した写真を元に記事を起こし、他校の戦績も合わせての構成で当日中にアップする為、作業は時間との勝負で多忙を極める。
その間、何度となくザキの携帯へ連絡を入れるが繋がらず、だがそれは「風邪で寝込んでいる為」と自分に言い聞かせ、キリコは作業に専念した。
しかしそれからもザキとは連絡がとれず、不信感を募らせたキリコは4日後の昼休み、ついに顧問でありながらも何故か最近キリコを避けているバーコフを捕まえ、問い質した。
「いくら風邪をひいたからってこんなに連絡がとれないのは明らかにおかしい。一体ザキに何が有ったんだ?」
「流感にでも罹ってんだろ、俺は知らん」
とはぐらかすように、だがキリコの眼は観ない様にしてバーコフは言った。
その態度は明らかに何かを隠している事を物語っている。
「教えろ、バーコフ。お前が面倒を見ろ、と言ったから俺は言いつけを守った。今度はお前が俺の言い分を聞く番だ。あいつは休み始める前の晩、明らかに様子がおかしかった。そもそもあいつは一体何者なんだ?」
胸倉を掴むようにしてキリコはバーコフを問い詰める。
「制服は鉤裂きだらけ、肌には引っ掻き傷があって、まるで何かから逃げてきたみたいだった。
それに泣...。
とにかく、何か問題を抱えていたんじゃないのか?」
「放せ、キリコ、苦しい...!」
胸元を圧迫するキリコの腕から逃れようとバーコフはもがく。
だがキリコの力は緩まるどころか、ギリギリとバーコフを追い詰めていく。
「言え、バーコフ!」
真剣なキリコの眼差しについにバーコフは降参した。
「分かった...! 頼む、話すから手を放してくれ、苦しい...」
漸くキリコの手元が緩まり、バーコフは慌てて空気を吸い込むと、激しく咳込みながら悪態をついた。
「全くお前は加減ってモノを知らねぇ...、年長者は敬えってんだ」
「いいからさっさと話せ。 早くしないと午後の授業が始まる。逃げようとするなら今度は俺と一緒に授業をサボってもらう事になる」
さすがにそれは教師としてバツが悪い、と言う様な顔つきをして、バーコフは机の上に腰を下ろし、話し始めた。
「まぁ、...よくある話なんだがな。 あ〜、ザキは実はある貴族のご子息なんだ」
「貴族...」
裕福な家庭の息子、とは思っていたが貴族とまでは思いが寄らず、キリコは目を見張る。
「だがある時父親が友人に騙され、多額の借金を作り没落の憂き目に遭ったらしい。
そこに奇特な資産家が現れ、ザキの姉と結婚することで負債を肩代わりすると申し出があった。
しかし体の良い政略結婚を拒んだ姉は駆け落ちし、当時から名手としてその道では有名だったバランシングの腕を見込んだ資産家は将来、ザキをプロの選手に仕立ててひと山当てようと目論見、今度はザキを養子に欲しがった」
「そこでもちゃんと教育は受けられるんだろう? 養子なんだし、第一好きなバランシングも続けられるなら悪い話には思えないが」
「バカ、籠の鳥になるってこった。 養子ともなれば尚一層だし、男を養子に欲しがるなんてヤツはその殆どがゲイかバイだ。
しかしザキにも親にも姉を駆け落ちさせてしまった手前、これは断れない申し出だった。
諦めたザキが希望した養子縁組を受入れる条件はただ一つ。
学校生活を体験し、対等に遊ぶ友人が欲しい、という事だった。
もともと帝王学、経営学と普通に通学していたのでは学べない教科の履修もあり、学校へは行ってなかったらしいからな」
籠の鳥。 バイ。 ゲイ。
それは男に体を求められるという事か?
学校へは行っていない。
だから遣る事為す事全てのピントがずれ、ラーメンもジェラートも食べ方を知らなかったのか。
バーコフの言葉に、それまでのザキの行動の謎が全てに於いて、すとんと腑に落ちてくる。
「だが、この願いは駆け落ちした姉と同様に逃亡の恐れあり、と却下された。しかしザキの面倒を幼いころからみてきた乳母が不憫に思ったんだろうな。古い知合いを何人か介して俺のところへ暫く預かって欲しい、と相談があったんだ。 勿論親にはお忍びでな」
こいつ、俺に下駄を預けて一体いくらでこの仕事を請け負ったんだ?と訝しむキリコの視線を無視し、バーコフは説明を続けた。
「その間、親達は血眼になってザキを捜しまわったらしい。ウチがWeb新聞のサイトを持っているように最近はどこの学校もサイトを持っているからな。どこかのサイトでザキの姿が映っていたか、あるいはバランシングに詳しいヤツがいるとかいう話でも載っていたのか・・・。
とにかくメルキアに居るとばれ、あいつは連れ戻されたんだよ。
一度は軟禁された部屋の窓から逃げ出し、お前のところへ行ったんだがお前に迷惑がかかると思い直し、早朝に俺のところへやってきた。
鉤裂きや擦り傷は大方逃げ出す時にでもこさえたんだろうよ。」
それがあの晩だったのか、とキリコは合点がいった。
「もう、...出られないのか?」
呻くようにキリコは訊ねた。
「さぁな。 連絡はいつも一方的だったから、それ以上の事は俺にもわからん。大人の事情に振り回されるザキは不憫としか言い様が無いがな」
隠し事を吐露してほっとしたのか、バーコフは漸くキリコに向き直って言った。
「ただ、お前の事を話している時は本当に楽しそうな顔をしていたよ。お前には感謝している、とも言っていた。嘘で固めた経歴でメルキアに編入した、それだけがあいつの真実なんだろうな。…お前との事は良い思い出になるんじゃないか」
キリコは胸に、熱い何かがこみ上げ、それと同時に大きな空洞が開く様な、鋭い刃物で抉られる様な、そんな痛みに襲われていた。
あの小さな「ありがとう」はそんな想いを込めた感謝の言葉だったのか。
それを自分は背中で受け流した。
自責と狼狽に言葉を失い、沈黙する教室に予鈴が鳴り響いた。
「...もう勘弁しろキリコ、昼飯を喰い損ねる」
立ち尽くすキリコを置いて教室を出て行こうとするバーコフは
「お前もちゃんと喰えよ。 今日の試合の取材も忘れるな」
と言い置き、教室を出て行った。
貴族の息子、没落、養子縁組、政略結婚、ゲイ...
その言葉のどれもが物語の中にしか存在しないものだと思っていた。
実際に身近に聞いてもピンとこない。
だがそれらは確実にザキの身に起き、これから起こる事なのだ。
赤い瞼が、長い睫毛が、華奢な首筋が可愛いと思った。
仔猫みたいに頼りない体重に驚いた。
くるくると躍動する瞳と態度に眼が惹きつけられ、いつのまにやら絶えず姿を追っていた。
なのに自分は縋りつく、あの瞳に応える事をしなかった。
何故、震えるあの肩を抱きしめてやらなかったのだろう?
どうしてあのたどたどしいキスに応えてやれなかったのだろう?
あいつは俺を真っすぐに見据え、好きだと言った。
だが俺は何も答えず、やり過ごしただけだった。
あいつの存在はこんなにも俺の中で大きくなっていたと言うのに。
俺はあいつが言った通り...
卑怯者だ。
チャイムが鳴り、午後の授業も終わり、準決勝の行われる闘技場へ向かっても尚、キリコの胸は空洞のままだった。
To be continued
written by Sad illustration by sunko
Sad&SUNこ
Sun:「この前のコメントでわかったんだけど ここって男子校なのね
Sad:「今更ナニをいってるのSunこさん」
Sun:「いやもう・・あのコもあのコもあのコも描いちゃったんだけど・・
Sad:「もう〜〜直しなさいよ 私の中じゃコンセプトは 『風と木の詩』 なのよ」
Sun:「え??風と木・・そうだったんだ〜〜
私の中の男子校は・・・・
妄想モード・・・
キリコ 土手で葉っぱをくわえ寝転んでる そこへお調子者のバニラが・・
「キリコ!大変だ!!ザキが隣町の番町に連れて行かれた!!」
「なに?・・・ 『こいつを返して欲しけりゃ一人で裏山へこい・・』 くっ!!ザキ!!」
「ふふふ・・さあこいキリコ・・今度こそ貴様を叩きのめしてやる!!」
「この卑怯者!キリコがお前らなんかにやられるものか!!」
「ふん!クチの減らないガキだ!もう一度痛めつけてやろうか?」
そこへキリコ登場・・「待て!卑怯者め!ザキを放せ!!」
隣町番長に殴りかかろうとするキリコに・・
「待て!そこまでだ!!ふふふ・・こいつがどうなってもいいのか?」
「ザキ!!」
「キリコ!!俺にかまわず こいつらを叩きのめせ!!」
「・・・ザキ・・・わかった・・俺は手を出さない・・その代わりコイツを放してやってくれ・・」
「ふん!そうはいかねぇ・・まずはお前を叩きのめしてからだ!!」
バキ!ボコ!!ゲシッ!! ・・ ボコにされる キリコ
「キリコ!!キリコ!!くそー!!」
ザキ 隣町番長の腕を噛む
「ギャァァ!!イテテテ!!この野朗」
ひるんだ番長にザキ金ケリ
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」
ザキ番長から逃げ出し・・
「キリコ!」 「ザキ!!よし!! じゃあ二人でコイツらかたずけてしまおう!!」「おう!!」
ボロボロになりながらも 隣町番長軍団を全滅させた二人・・
「ふ・ふふ・・キリコ・・お前・・すげぇ顔してるぞ・・」
「ふ・・ザキ・・お前こそ・・」
顔を見合わせ笑いあう二人・・「あはははは」
「よし!学園に帰るか・・皆が待っている・・」
「おう!」 ザキ・・にっこり
お互い肩を抱き合い 歩く二人を デッカイ夕日が紅く照らすのだった・・ 完!!
Sad:・・・・・・・「いつの時代のテイストよ・・・Sunこさん
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またまた あせった〜〜ww
「COLORS」
「とにかく傷の手当てをしてやるからその前に風呂に入ってこい。 家の人はこの事は知っているのか?」
家、と言う単語にザキは撃たれた様に顔を上げ、一瞬何かを睨む様な眼つきをしたが、キリコの視線に気付くと
「家の者は平気だ」 と抑揚無く言った。
『イエノモノ?』
その表現に怪訝そうな顔をするキリコにはっとしたザキは取り繕うように
「いや、ちょっとオヤジと言い争いして飛び出て来ちまったんだ。頭の堅ぇオヤジでさ・・・。
大丈夫、今日はもう帰らないって、向こうには言ってある」
と、言いながら服を脱ぎ、渡されたタオルを持ってバスルームへと入っていった。
泊っていくよう言ったものの、高校生のアパート暮らしに客用の布団など置く余裕はない。
少し考えてからキリコは居間のテーブルを壁際へ寄せ、スペースを作った。
夏用のタオルケットを床に敷いて毛布を上掛けに、と簡易夜具を作っているところにザキが風呂からあがってきた。
「これを着てそこへ座れ」
キリコは洗濯済みのTシャツとトランクスを渡し、ザキをベッドに座らせて傷の消毒に取り掛かった。
「デカパンだな」
「お前が細すぎるんだ。」
トランクスのゴムが自分には緩いのを楽しむようにして弄び、ザキは笑った。
「全くお前はここへ何をしに来ているんだ? お前のせいで使った事のないこいつがフル稼働だ」
あちこちにできた傷に絆創膏を貼り、頬に塗った傷薬を救急セットへ放り込むと、キリコはパタンと蓋をしたそれをクローゼットへと仕舞った。
「何度もごめん...」
渡されたスウェットを穿きながらザキは謝罪の言葉を述べた。
「謝るくらいなら寝ろ。 もう遅い。 事情は明日聴く。お前はベッドを使え」
「え...」
灯りを消し、ベッドルームの扉を閉め、キリコは隣室の床に敷いた毛布へと潜り込んだ。
が、暫くして時計と携帯をベッド脇へ置いていた事を思い出し、もう眠っているかもしれないザキを起こさないようにそっとベッドルームの扉を開けた。
音を立てない様に気遣いながらサイドテーブルに置いてある時計と携帯に手を伸ばすと、突然ザキがその手を取った。
「キリコ、床は冷える。 ここで寝ろ」
一瞬、どきっとしてキリコは目を見張った。
「...いや、大丈夫だ。 それに客を床に寝かすわけにはいかない。」
「何言ってるんだ、オレもここで寝るよ」
「?...」
「一緒に寝ようって言ってるんだ。あんなとこで寝て風邪でも引いて寝込んだら、一体誰が記事を書くんだよ?」
『一緒に寝る、だと?』
ご令息様がそんな事、良いのか?と驚き、手を取られたままザキを見る。
が、当のザキはにこにこしながら悪戯っ子の様にきらきらと輝いた瞳で見詰め返してくる。
「いや、それは」
「四の五のゴチャゴチャ言ってねぇで、ホラ!」
ぐいっと腕を引っ張られ、バランスを崩したキリコはなだれ込むようにしてベッドへ倒れ込んだ。
するとすかさず体勢を入れ替えたザキがキリコの頭に枕を投げつけ、得意気に言った。
「枕投げだ、ホラ、お前の負けだぜ!」
これがやりたかったのか、と悟ったキリコは
「...枕投げはこんなんじゃない。 だが今日は特別ルール、三本勝負で応じてやる。
これで同点だ」
と半身を起こしたザキに素早く枕を投げつけた。
と同時に枕を掴み、引き寄せようとするが、意外にも後ろへと倒れ込んだザキは機敏な動きで枕を掴んで放そうとしない。
「放せよ、キリコ! 投げられないじゃねぇかよ〜!」
と足をバタつかせ、枕を死守しようとする。
「ガキめ...寝るぞ」
「あ、ガキって言ったな、この野郎! 勝負を投げる気か!?」
喚くザキと枕から手を放し、キリコはベッドへ横になった。
「なんだよ 面白くねぇな 不戦勝なんて勝った気がしねぇんだよ、全く...」
ぶつぶつ文句を言いながら、ザキは背を向けているキリコの頭の横に渋々枕を置く。
そして不満気に横たわろうとした直後、素早く枕を手にしたキリコにそれを頭に投げ付けられた。
一瞬の沈黙の後にキリコが口を開く。
「2対1。 お前の負けだ。」
「おま..っ、卑怯者!!」
投げつけられた枕をキリコの顔に押し付け、ザキは思い切り悔しそうに叫んだ。
「ザキ、苦しい、やめてくれ。 不戦勝が嫌だって言ったのはお前だ」
「だからって!? だからって!? こんなん、アリかよ!?」
手は放したものの、ザキの顔は怒りで真っ赤になっていた。
キリコは苦笑しながら言った。
「そんな真剣に怒るなよ。わかった、じゃあ夏に部で合宿があるからその時にホンモノの枕投げを教えてやる」
「夏...」
「だからもう寝ろ。 試合は明日からだ。 忙しくなるぞ」
枕の半分に頭を載せ、キリコは寝る体勢を整えて眼を閉じた。 が、ザキはなかなか身体を横たえようとしない。
「何してる? 早く布団に入れ。 風邪をひく」
促して、漸く背中にザキの冷たい背中が滑りむのを感じた。
言わんこっちゃない、冷えてる、と思うと同時にその背中が小刻みに震えている事に気付いた。
「ザキ、お前」
「...」
「一体何が有ったんだ?」
身体を起こし、背を向けて泣いているザキの肩に手を掛け、キリコは問い掛けた。
「オレ...、オレは...」
肩を引かれ、仰向けになったザキはキリコを真っ直ぐに見詰めて言った。
「お前が好きだ、キリコ」
「ああ。 俺もだ」
「え...?」
即座に応えられ、ザキは眼を見開く。
「お前を見ていると飽きない。 興味が尽きない。 面白い」
一瞬、明るくなった表情がにわかに曇り、涙がぽろぽろと零れ出した。
「...そんなんじゃ、違う、オレの好きはお前のとは違くて...」
「違う? 何がだ?」
「何がって・・・」
言い淀むザキを促すようにキリコはその顔を覗き込んだ。
見詰められ、思わずと言った様に伏せた眼許を見ると涙が睫毛を束ね、その長さを強調する。
ああ、こいつはまるで仔猫みたいだ。
落ち着きが無く、いつも躍動していて可愛らしくて、面白い。
今は伏せて見えないその瞳は絶えず色々なものに興味を持ち、キラキラと多彩な光を放って魅力的だ。
そして今もどう答えようかとフル回転で考えている、 本当にコイツは何をするにもいつも一生懸命で健気だ。
初めて会った時、俺に愛校精神が無いのかと訊いてきたが、その熱さは俺には無い、見習うべきところなんだろう...
長い様にも短い様にも思える答えを待つその刹那、キリコの頭には様々な想いが交錯していた。
と、ザキが決心したようにキリコに向き直る。
「じゃあ...、じゃあお前はオレにキスができるか!?」
キリコが眼を見開いた。
「え...?」
予期せぬ質問に固まるキリコをザキは一瞬睨み付けた。
そしてその首にするりと腕を廻し、固まったままのキリコを抱き寄せ、口付ける。
「ザ...」
驚くキリコの咥内へ不器用ながらも躊躇無くザキの舌が侵入する。
絡み付くぬるりとした粘膜の感触に抵抗する余裕すら与えられず、ザキの唇は始まりと同様な唐突さでキリコのそれから離れていった。
自分から仕掛けたキスに呼吸困難に陥ったのか肩で息をしながら涙を溜め、ザキはキリコを挑む様な瞳で見詰めている。
「俺は...」
こいつがそんな意味で自分を見ていただなんて、と混乱するキリコは次の言葉を見付けられず、ただザキを見詰める事しか出来なかった。
「ふ...っ」
突然ザキが口の端を上げてニヤリと笑った。
「バーカ、こんな芝居に引っかかってんじゃねーよ、上級生の癖に恥ずかしいヤツ」
と言い、腹に手を当て、転がって笑い始めた。
「お前...!タチの悪い芝居をする暇があったらとっとと寝ろ!」
笑い続けるザキに背を向け、今度こそキリコは寝入ろうとした。
「ありがとう・・・」
なかなか治まらなかった笑い声が小さくなり、沈黙が訪れそうになった頃、消え入りそうな声でザキはそう呟いた。
そしてすぐにキリコの背中で寝息を立て始め、それを聴いたキリコは小さく溜息を吐き、二人は漸く互いの体温を背に感じながら、遅い眠りに就いたのだった。
To be continued
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Sad&SUNこ
Sun:「今回はまたまた 焦ったわ〜Sad姐さん(・∀・;)ゞ」
Sad:「・・・いつも 焦ってるわね Sunこさん(* ̄ー ̄*)」
Sun:「実はヤフーにログインできなくなって〜(@∀@*)」
Sun:「例のパソコンのキーボードをテープで貼ってある関係で・・
テープ貼ってある「Z]がパスワード大文字で使われてるんだわ〜ww」
Sad:「ややこしいパスワード使ってるんじゃない?」
Sun:「そうそう・・ややこしいの〜 だから「パスワード変更」しようとしたら・・」
Sad:「したら??」
Sun:「・・別人になってしまった・・(・∀・;)ゞ
新規加入しますか?って・・しなかったけど・・」
Sun:「自分のブログ検索なんて初めてしたわ〜 恥ずい〜c(*>ω<*)ゞ」
「「お気に入りに登録」とかもできた・・すれば良かったかも(((*゚∀゚*))」
「で・『いつも見てま〜す♪』とか『面白いですぅc(*>ω<*)ゞ』とかコメしたり〜ww」
Sad:「・・・そ・それはやらせ・・・(-_-‖」
Sun:「や〜〜wwやらせではないよ〜〜 (* ̄m ̄)・・実は私の中には24人の私が潜んで・・」
Sad:「た・多重人格〜〜〜ぅぅぅ ((;゚Д゚)ガクガクブルブル」
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