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ギャグ

最近つねにバッグの中に入っている小説がカフカの三点セット『変身』『審判』『城』で、ちょこちょこ読み返している。カフカってまず、ギャグ・センスが天才的だなぁと感心させられる。ドストエフスキーもギャグが才気走ってるけど、案外、そのユーモア・センスの部分が言われてない気もする。それは多分、それらギャグが、単なるギャグの水位に止まってなくて、何か不気味でもあるから、もっともらしい意味付けで解釈されてしまうんだと思う。そうなると、元々のギャグの面白味があまり語られない。でも実際は、爆笑モンのギャグが満載されている。まずはギャグをギャグとして受け止めてみたい。今になると分かるんだけど、中原昌也が『子猫の読む乱暴絵日記』とかでやってるギャグって、カフカ→ベケットのギャグの流れを汲んだ遠い残響で、だからあれほど「最後の文士」などと言う格別の称号でちやほやされているのだと思う。やはりその、思考がずっこける瞬間というのがギャグで、ダイナミックにずっこけるにはまず、それなりの運動が必要なんだと思う。前提として、密度の濃い矛盾が渦巻いているはずだし、そのの緊張からの解放でもあるんだと思う。文学とギャグはすごく相性がいい。出鱈目さというのも、本当のところ、単なる出鱈目さだけではギャグにならなくて、出鱈目が出鱈目に収まらない水準というのがある。宮沢賢治とか、浅井健一とか、ゴダールとか、って、すごく脈絡ない自分勝手な並べ方だけど、こういう人もギャグのレベルが物凄く高い。何かしらを信じている人、つまり核心がある人もいるし、そもそも核心がなんだかよく分からないことがギャグになっている人もいる。何かを信じる凄さがギャグになってる人と、何かを皮肉ることがギャグになっている人がいて、両方兼ね備えている人もいる。ゴダールの映画史1・2って、カナダの大学でゴダール教授が教鞭とってるのを、そのまま採録したホンなんだけど、何を言ってるのか、何を言いたいのか、本当に分からないことがギャグになっている。とにかく物凄い出鱈目な教授だ。というか、実は何を言いたいのか大体分かるんだけど、ああいう出鱈目な水準で言葉の使い方をする人ってまずいないと思うし、でもそれが、本当に出鱈目なんじゃなくて、なにかゴダールなりに、ゴダールの文法に従って言っていることはびしびし伝わってくる。結局、気狂いが何か叫んでる、という水準での凄みになっている。たぶん誰もあんまり言わないけど、高橋源一郎も出鱈目を追求している一人で、その出鱈目さが凄いんだよな、と言われることからすら遠ざかろうとする、もっと徹底した出鱈目をやろうとしてるんだけど、結局それが、誰からも見向きされない失敗作を書き続けるという結果になってしまっている。勿論、本人は意識的にやってるんだけど。というか、高橋源一郎って、物凄くゴダールに憧れてる人なんだけど、ギャグっていうのは、どっかで安心感がないといけないんだなぁとも思う。つまりそれは何だかんだと言って、広義での理解に収まってくるんだろうか。例えばゴダールがいかに意味不明と言っても、言っていることに耳を傾けると、いかにもゴダールらしい言い回しだ、とか、そのくらいのことは分かる。

「言ってる意味は分からないが、いかにも○○らしい言い回し」

というのはつまり、その○○らしい、という感覚までは理解されている、ということだと思う。どうしてそういうことが起こるかと言えば、やはり、その人はいつもそのように言ってきたわけで、それを聞き続けてきた経験から引き出される感覚なんだろうけど、つまり、出鱈目と言ったって、○○らしいという水準での感覚的な理解はされていて、それが安心に繋がるのだと思う。あのベケットですら。つまり、そのレベルで彼らは保証されているのだ。でも、よく考えると、「言ってる意味は分からないが、いかにも○○らしい言い回しだ」なんて言われるなんて、これはとんでもない芸の境地で、普通はその前に、「言ってる意味がよく分かる。いかにも○○らしい考えだ」というところで片付く。たぶん高橋源一郎がやろうとしているのは、「言っている意味が分からない。高橋源一郎らしさが何なのかももう信じられない」か、「言ってる意味はよく分かる。けど高橋源一郎らしさって何だっけ?」という境地なのかもしれないが。それがどういうことまでは、とりあえずこの記事では不問にしておこう。

って、この記事のタイトルで読んでくれた方がいたら、全然期待外れな内容だったかも。

閉じる コメント(3)

どうも。こんにちは。カフカの『変身』を初めて読んだとき、朝起きたら虫になっていたというあの冒頭から「!!」仰け反ってしまいました。これも相当跳んだギャグだと私は思っていたんですけども。小説の三点セットいいですね、私もやろう。

2006/3/8(水) 午後 0:24 かえで

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米。

2006/3/8(水) 午後 0:24 かえで

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いやぁ、ホントそう。あの虫ってのが奇天烈で最高。審判とか城も、カフカのギャグは超一級品で、とても笑わずには読めない。その笑いがまた、深層心理を貫くような無気味なものでもあって。こういうギャグがどうして成立するのか、最近はそんなことばっかり考えてます。

2006/3/8(水) 午後 3:05 [ sun*o3*59 ]


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