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この本を初めてみたとき、「やっぱりこういう本が出てきたか」という感じを受けた。このところ雑誌でもテレビでも、何でもかんでもエコ。そんなに地球に優しくしたいなら、新しい家電を買ったり、車に乗るのを止めればいいのに、と思ってきた人も多いと思う。何かイメージ先行で妙な感じですよね。
この本は、環境問題の専門家が、現在声高に騒がれているエコロジー運動の一つ一つについて、本当に有効なのか、Q&Aの形で答えている。例えば、スーパーのレジ袋。今はエコの敵のように言われているあの袋も、実は石油を成分別に利用する中で、他に使い道のない部分を有効利用して作られているという。レジ袋を止めて、エコバックを使うほうが資源を余計に使うという指摘には説得力がある。
これで思い出すのは、7,8年前のダイオキシン騒動。どこかの野菜にダイオキシンが残っているという報道で、生産者が訴訟を起こしたりしたが、あの騒ぎはどこへやら。この本の中でも書かれているが、結局のところ人体に悪影響を及ぼすような問題はなかった、ということに落ち着いたようだ。僕の勤務先でもずいぶんお金をかけて、「ダイオキシンが発生しないような高温の焼却炉」を購入した。騒ぎが一段落してみると、振り回されたのは消費者と生産者で、儲けたのは焼却炉に代表されるゴミ処理関係の業者だけだった。
筆者によれば、エコロジー運動の多くには、こういった利権が絡んでいるという。僕たちは、冷蔵庫やテレビを引き取ってもらうのにリサイクルのための料金を数千円支払っているが、引き取られた家電製品の約半分はリサイクルにまわされることなく闇に消え、おそらくは他の国に売られているという。リサイクルに回されないなら、あの料金はいったい何なのか?お役所や企業が出しているリサイクル率は、「処理をする業者に回された数」で計算されていて、そのあとどうなったかは関知していないという。これは大きな問題ではないだろうか!?
この本の中で取り上げられているものの中には、「方向性としては間違っていないが、有効性がない」という命題も含まれている。「日本だけでCO2削減を一生懸命やっても、世界的には目に見える効果はない」というのがその代表だ。でもこうした課題と、ダイオキシンのような問題とを一緒くたにして論じるのに」は、ちょっと引っかかるものがある。今後の政治情勢や技術進歩によって変わる可能性があるからだ。
この本は、前半の切れ味の良さに比べると、後半がちょっと読みづらくなる。筆者は、お役所や企業からかなり疎んじられているようで、その裏返しからか「エコを隠れ蓑にして旨い汁を吸っているやつら」に対する義憤と、自分の主張が聴きいれられない恨みとが行間から滲み出てくる。「日本人の義はどこにいったのか?」のような記述は、むしろ筆者の主張が正しく伝わるのを妨げているような気がするのだが。
でも最近のランキングを見ると、本書はベストテンに入る売り上げを記録している。筆者にとっては(これは僕の思い過ごしかもしれないけど)、実はこの本を出したことが、自分の主張を伝えるベストの発信法だったといえるかもしれない。
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ロジカルな本ではなさそうですね。
エコの問題は難しいですよね。一度手に入れたメリットを手放すほど、人間はできている生き物ではないと思います。しかも、自分(ある国)だけが推進したところで効果はでないですし。解決策は技術革新しかないのかなー と思いつつ、技術革新依存はそれはそれで間違った方向にも行きそうです。
2008/8/19(火) 午後 11:02 [ きりん ]
ホントに、物事の全体像を見渡すのは難しいと思いました。でも少なくても、「エコ」のひと言だけで済むものではない、という視点は持つべきだと思いました。
2008/8/19(火) 午後 11:31
おはようございます。環境問題のブログを書いています。武田邦彦工学博士の記事を書きましたので、トラックバックをさせていただきました。
廃棄物処理業者はダイオキシン対策に数千万円から数億円規模の設備投資を余儀なくされて、減価償却費を含めて大損失を被っています。製造メーカーにとっても各焼却炉のメンテナンスまで行なう必要があったので殆どが利益を得ていません。
また、廃プラスチック類を焼却すると高温度で焼却することになり、炉の耐用年数が大幅に短くなります。さらに、年間のメンテナンス費用が数千万円から数億円規模の莫大な増加を強いられることになります。
2008/9/14(日) 午前 9:40
ダイオキシン類の排出量はとても減りましたが、水質のダイオキシン類は減っていませんね!
これは、底質にダイオキシン類が多く蓄積しているためです。
日本のダイオキシン類の99.99%は底質に蓄積しているとダイオキシン類専門の偉い先生にお聞きしました。
ダイオキシン類が無害だと本当に思う人は、東京湾のアナゴなどを娘さんや息子の嫁に食べさせてください。
障害のある赤ちゃんが生まれます。
水俣のチッソは昔からダイオキシン類を垂れ流ししていました。水俣湾の底質汚染が雄弁に語っています。
水俣病は水銀とダイオキシン類の複合汚染による世界一の公害です。
2010/7/29(木) 午後 9:35 [ 環境のよい不動産が好き ]