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先日、7,8年ぶりにプロ棋士に教えてもらう機会があった。
子供の頃から目をかけていただいているK先輩(内科の先生)のとりなしで、K先生が定期的に稽古をつけてもらっているS九段に教えてもらった。健康上の理由もあって、バリバリ第一線ではないが、今も現役で前の週には女流のタイトル経験者をしりぞけている実力者。
場所は、日本棋院の八重洲囲碁センター。
ここは、通りをはさんで向かい側のビルから数年前に移転してきたのだが、前の場所こそ、僕が初めて囲碁を学んだ思い出の場所だった。
小学校4年で初めていった囲碁教室。周りはサラリーマンの叔父さんばかりで、母に手を引かれていった教室で連戦連勝!(大体子供は上達が早い)褒美にビルの地下の洋食屋で食べさせてもらった『シャリアピンステーキ』は、今に至るまで僕の好物の一つだ。
閑話休題。
移転してからは、この場所に初めて足を踏み入れた。碁会所はどこも勝負を争う熱気と、同好の士が集まる暖かい雰囲気が混じり合っている。
そこのセミナールームで、S九段との手合いが設定された。お稽古なので、勝敗は度外視でこちらの先番5目の逆込み。K先生と二人の二面打ちが始まった。
さすがに若い頃、大竹、林らと『四天王』と一時よばれただけあって、お稽古でも才気煥発な手を放ってくる。こちらも久しぶりに時間制限なく力いっぱい打てるのが嬉しい(9割方はこちらが考えていたが)。
序盤早々、上手のさばきが決まって、こちらの勢力圏内で大威張りにはびこられた。それで気分が良くなった先生、中盤で決め損なう。後から振り返るとどうやらこちらが逆転していたよう(そういえば活躍していた時にも、「途中まではS九段の名局」みたいな碁が多かったような-----)。そこから僅差で終盤にもつれ込み、最後は実力の差がでて終局。でも先逆で3目負けは、お稽古で二面打ちとはいえ善戦と言えるのではないかと満足。
その後、S九段を囲んでの会食。お酒が飲めなくてもS九段は終始ご機嫌だった。「僕が打ったあの手は、他の人には思い浮かばないでしょう!あれが見られただけでも、あなたは今日来た甲斐があった。」と自分の良い手を話し続けるのは、さすがにかつてのトッププロ。ティーチングプロになりきれないのは、ご愛嬌。
でも僕にとっても、とても楽しいひと時だった。このところ碁を打つのは、インターネットでばかり。いつでもどういう状態でも(寝巻きでビールを飲みながらでも)囲碁を打てるのは、とても便利ではあるけども、じっくり時間をかけて打って、その場で打った碁を振り返る、というのは、やはり碁の王道。とても贅沢な時間を過ごしたと感じられた一日だった。
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