授業の合間に、談話室でお父様へのバースデーカードを書いている女子がいた。
ふとパソコンから顔を上げて、彼女を見ると。
タオルハンカチに顔を埋めて、泣いていた。。。
「うわっ!どーしたんだっ!Sっ!!」思わず叫んだアタクシ。
「・・・ひっく。だって〜、あたしなんか今まで親に心配かけるだけかけて・・・絶対にこれから親孝行しても返しきれないんですよ〜。思い出したら、情けなくて涙が止まらなくなった〜〜ひっく、ひっく」
いかん、却って号泣させてもうたっ。
ちょっぴり天然だが、Sの頭は切れる。
やれと言われたことは、きっちりこなしていく真面目さが心地よい。素直な子である。
警察官の父を持ち、恐らくは大抵のご家庭よりも厳格な躾を受けてきたと思われる。
ただ、彼女には左耳がほとんど聞こえないというハンデがあった。
・・・だから、友達の言ったことが聞こえないことがある。
現在も、知っているのは母親から伝えられたアタクシだけ。
時々、「もうっ!Sったら天然にもほどがあるっ!」と同級生に突っ込まれていることがあり。
高校生くらいになれば、そうやって流すこともできるが。
小学生の頃なら、果たしてどうだったのか・・・。
彼女は、教室で後ろに人が座っていることに耐えられない。
試験などの時に相談されたこともある。
「後ろに人がいると怖い。好きな席に座っていいですか?」と。
だから、いつも一番後ろの角の席にいる。
自習中もイヤホンをつけて、携帯プレーヤーで音楽を聴いている風を装っている。
「あのね〜完全な親孝行なんかできるわきゃないんだよ」と言った。
「・・・ど〜してですか〜」とS。
「だってさ、親は子供のためにいつでも死ねる準備ができているんだよね」
「・・・。」
「特に、母親は幾つになっても子供は自分の体の一部分だっていう感覚が抜けてないから、きっとそういうシチュエーションになったら、迷わず逝くよ」
「え〜〜〜。これ以上は、困るぅ〜。」
「昔、私が母に言われたのは。親孝行しようと思ったら、その分を自分の子供を育てることに向けろってことだった。それが何よりの親孝行だって。」
「・・・そうなんだ。」
「うん、そうなの。そっちのほうが嬉しいんだって。何よりの親孝行なんだってよ」
「そうか。どうしても親の方が先に逝っちゃうんですもんね。その親にしてもらったことを、子供にしてやればいいんですよね」
やはり、鋭い。すんなり理解してくれた。
できることには限界がある。
でも、少し違った方法でできることもある。
できないできないと嘆くよりも、できることを見つめていく方が時間を有効に使えるということ。
立ち止まらないで済むということ。
Sの立ち直りは早かった。
お陰で、来週は遠足を兼ねた牛の乳搾りに行くハメになった。。。(゜o゜)