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東京新聞の「山谷えり子」研究
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高市早苗総務相らとネオナチ団体代表とのツーショット写真に続き、山谷えり子国家公安委員長兼拉致問題相が、ヘイトスピーチ(差別扇動表現)で知られる「在日特権を許さない市民の会(在特会)」元幹部との関係を取りざたされている。

安倍内閣と極右団体の相性の良さには驚くばかりだが、現閣僚の中でも、右派勢力の周で絶大な人気を誇るのが山谷氏なのだ。
「過激な性教育」批判や靖国神社参拝…。
安倍晋三首相のそばには、山谷氏の姿があった(佐藤圭、林啓太、沢田千秋)

「山谷えりこ姐が拉致担当大臣、国家公安委員長という重職にご就任された」
NPO法人「教育再生・地方議員百人と市民の会」(事務局・大阪府吹田市)が最近、会員らに配信した
メールマガジンの冒頭部分である。
 
同会は、男女共同参画社会を攻撃するなど右派的な教育観を掲げる。
同会のホームページ(HP)によると、山谷氏は同会の顧問だ。
 
山谷氏の初入閣がよほどうれしかったのか、メルマガでは、両者の親密な関係を誇示する軽口も飛び出す。
 
いわく「たまたま先ほど公安のお巡りさんと電話をした。
俺をぞんざいに扱ったら即国家公安委員長にチクるぞ!と言ったら、それは御勘弁を!と言って笑った」。
 
「俺」とは、同会事務局長で在特会元関西支部長の増木重夫氏という人物だ。
山谷氏は二〇〇九年二月二十二日、増木民ら在特会関連団体関係者三人と一緒に写真に納まっていた。
山谷氏はこの日、松江市内で開かれた「竹島の日」の記念行事に出席して講演もしていた。

増木氏は、共同通信の取材に「写真撮影時は在特会の関西支部長だった」と認める一方、「当時(の在特会はヘイトスピーチなど排斥活動をしていない。
 
私は在特会がそういう活動を始めたときに距離を置いた」と主張している。
しかし、額面通りには受け取れない。
在特会に詳しいジャーナリストの安田浩一氏は「在特会の活動スタイルは、〇六年十二月の設立当時も今も変わらない」と指摘する。
 
実際、増木氏以外の在特会関連団体関係者二人は写真撮影から十カ月後の〇九年十二月、京都朝鮮第一初級学校(京都市、現・京都朝鮮初級学校)の授業を街宣活動で妨害し、威力業務妨害などの容疑で逮捕されている。
増木氏自身も、在特会とは別の排外主義グループの活動を支援し続けている。
「増木氏は、在特会などの排外主義グループと政治家との橋渡し役だ。
 
在特会から離れたのは人間関係の問題。
別の付き合いは継続しており、在特会的なメンタリティーは失っていない」 (安田氏)
山谷氏は十八日の記者会見で、問題の写真について「在特会の人とは知らなかった。
政治家なのでいろんな方といろんな場所でお会いする」などと釈明した。
だが、増木氏は「山谷氏とは十五年ほど前に、(百人の会の)顧問をお願いしてからの付き合い」としている。
 
増木氏の人となりを本当に知らなかったのか。
「こちら特報部」は二十四日、山谷氏の事務所に対し、顧問就任の経緯などについて文書で質問したが、秘書は「今回は回答を控えさせていただく」と取材を拒否。
 
理由を尋ねても「回答は控える」の一点張りだった。
 
そもそも山谷氏とは、どんな経歴の持ち主なのか。
山谷氏のHPなどによると、フジサンケイグループのフリーペーパー編集者などを経て、一九八九年の参院選に旧民社党から立候補したが、落選。
 
民主党候補として臨んだ二〇〇〇年の衆院選で初当選を果たした。
 
〇二年には民主党を離脱して旧保守新党の結成に参加。
〇三年衆院選で落選したものの、〇四年参院選には自民党から比例代表に出席して返り咲いた。
 
山谷氏は当初こそリベラルに振る舞ったが、すぐに「右旋回」している。
例えば夫婦別姓問題。女性国会議員の有志約五十人が〇〇年九月、夫婦別姓を
選択できる制度の導入など
盛り込んだ民法改正案の推進を当時の森喜朗首相に
申し入れた際には、民主党や共産党、社民党の議員らとともに名を連ねた。

ところが、日本最大の右派組織とされる「日本会議」の専門委員会「日本女性の会」に参加すると、やがて主張が逆転。
 
民法改正の動きを「家族解体法案」などと攻撃した。
ジェンダーフリー批判の急先鋒の山谷氏は、右派的な思想信条を共有する安倍首相との関係も深めていく。
 
自民党が〇五年に立ち上げた「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」では、安倍座長、山谷事務局長でコンビを組んだ。
母乳育児などを推奨する
「親学」普及でも安倍首相と手を携えた
 
第一次安倍内閣では、首相補佐官として首相肝いりの教育再生会議を取り仕切った。
山谷氏は歴史認識でもごりごりの右派だ。
米ニュージャージー州などに設置されている日本軍慰安婦の記念碑の撤去運動では先頭に立った。
安倍首相の靖国神社参拝も全面的に支持する。
ジェンダー問題に詳しい山口智美・米モンタナ州立大准教授は「山谷氏は、保守系の運動家や地方議員の間で最も人気がある。
 
メールを気軽に返信するなどの気安さが受けているようだ」とみる。
その山谷氏がついに大臣の座を射止めた。
 
ところが就任早々、在特会元幹部との関係が物議を醸す始末である。
何と言っても、適性が疑われるのが国家公安委員長職だ。
 
国連人種差別撤廃委員会は八月末、ヘイトスピーチを法律で規制するよう勧告した。
委員からは、ヘイトデモ時の警備についても「警察は加害者(デモ参加者)の側で取り締まっているのではないか」と疑問視する声が相次いだ。
前出の安田氏は「国家公安委員長が、在特会などのヘイトデモを容認していると受け取られるのは異常だ」と指弾する。
拉致問題相も同様だ。有田芳生参院議員は「在特会は、在日コリアン差別を正当化するために、北朝鮮による拉致問題を利用している。
 
在特会関係者と一緒に写真を撮って『知らなかった』=では済まされない」と強調する。

最後にもう一点、あまり注目されていないが、山谷氏は防災相も兼務する。
安倍側近の右派政治家という観点から見ると、改憲論議との関連は見逃せない。非常災害対策は、どことなく自民党の憲法改正草案にある「緊急事態」を想起させ
る。
外からの武力攻撃や大きな自然災害があった時、首相が緊急事態を宣言すれば、政府に法律と同じ効力を持つ政令を制定する権懐を与えるなどの内容だ。
 
青井未帆・学習院大教授(憲法)は「非常事態で自衛隊を動かす場として今最も現実にあり得るのは災害現場だ。
保守色の強い山谷氏を防災のトップにすえることで、現行法の下でも自衛隊が動きやすい環境の整備を狙っているのかもしれない」と警戒する。
 
【デスクメモ】
二十一日、「在特会の生みの親」と呼ばれる活動家の西村修平氏が催したシンポジウムをのぞいた。
「在特会によって定(おとし)められた愛国運動と日章旗とのタイトルからも分かる通り、かつての同士を敵視する小(わいしよう)化ではないのか。
立ち向かうべきは、在特会的な空気である。(圭)
 

転載元転載元: country-gentleman

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