![]() 「植草一秀の『知られざる真実』」
2019/04/18 「白アリ退治なき消費税増税はおかしい」は何処へ?
第2309号 ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019041814331753878 ──────────────────────────────────── 安倍内閣が消費税増税再々延期の方針を固めつつあると見られる。 狙いは次の衆参両院選挙での改憲勢力3分の2確保である。 5月20日に2019年1−3月期のGDP統計が発表される。 1−3月期の実質GDP成長率はマイナスに転落する可能性が高い。 そうなると、2018年度はプラス成長が2四半期、マイナス成長が2四半期 ということになる。 年度の成長率はゼロから+0.5%の間の極めて低いものになる可能性が高 い。 本年1−3月期の数値が著しく悪化すれば,年度の成長率がマイナスになるこ とも完全には否定できない。 すでに個人消費が著しく停滞し始めている。 消費税率が10%になるなら、引き上げ前の駆け込み消費が出るはずだが、そ れ以上に消費全体が抑圧される可能性が高い。 自民党の萩生田光一幹事長代行が、4月18日のインターネット番組で、消費 税増税に関し、6月の日銀短観が示す景況感次第で延期もあり得るとの考えを 示したと報じられている。 消費税増税再々延期は現実に可能性のあるものだ。 かねてより「リーマンショックのようなことがあれば」消費税増税を延期する 可能性があることが表明されてきた。 問題は「リーマンショックのようなこと」の判定基準だが、これまでの経緯を 踏まえれば基準はないに等しい。 1回目の延期を発表した2014年11月18日の総理大臣記者会見で安倍首 相はこう述べた。 「来年(2015年)10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月 後、さらに延期するのではないかといった声があります。 再び延期することはない。ここで皆さんに、はっきりとそう断言いたしま す。」 ところが、2回目の延期を発表した2016年6月1日の記者会見で安倍首相 は次のように述べている。 「そうした中で、内需を腰折れさせかねない(2017年4月の)消費税率の 引上げは延期すべきである。そう判断いたしました」 「今回、『再延期する』という私の判断は、これまでのお約束とは異なる『新 しい判断』であります。」 「信なくば立たず。国民の信頼と協力なくして、政治は成り立ちません。」 最後の「信なく場立たず」の発言の意味が不明である。 安倍首相は「信なくば立たず」の意味を知らずに発言した疑いが強い。 「訂正云々」を「ていせいでんでん」と読み上げて何の疑問も持たない人物だ から,約束を破って「信なくば立たず」と発言したことの意味を考察するのは 時間の無駄かも知れない。 安倍内閣は2016年5月の伊勢志摩サミットで、世界経済の状況がリーマン ショック前の状況に似ていると訴えたが賛同者はいなかった。 客観的に見ても、リーマンショック後の状況には類似する部分があったが, リーマンショック前の状況には似ていなかった。 それでも,これを根拠に消費税増税を延期したのだから、延期に理由はいらな いということになる。 GDPの低迷、日銀短観での業況判断DIの悪化を理由に消費税増税再々延期 を発表する可能性は十分にある。 こうした状況に、財務省が警戒感を強めている。 OECD(経済協力開発機構)が4月15日に、日本の消費税率を26%にま で引き上げる必要があると提言したのも、財務省の舞台回しによるものと推察 される。 財務省には森友学園事案で安倍首相を守ったとの意識が強く存在する。 森友学園への国有地激安払い下げの経緯をすべて明らかにしていれば、安倍内 閣は総辞職に追い込まれていた。 末端職員の自殺者まで出しながら、財務省は事実を隠ぺいした。 だから財務省は、安倍首相が財務省に対して増税実施で恩義に報いるべきだと 考えていると思われる。 しかしながら、安倍首相の側は、安倍内閣が検察当局を支配して、虚偽公文書 作成や国有地激安払い下げの背任事案をすべて無罪放免にしたとの意識を有し ているだろう。 このことで安倍首相は「借り」を返したと考えているとも考えられる。 最終的に安倍首相が増税延期を決めれば、財務省に手立てはない。 ただし、増税延期が確定した場合には、財務省が安倍首相夫妻の関与を示す新 証拠を表に出す可能性はある。 神経戦が続く。 日本経済の停滞感は日増しに強まっており、消費税増税強行は不況への移行の 発射ボタンになる。 増税強行で安倍内閣が退陣に追い込まれるのは「毒をもって毒を制する」こと を意味するから、ひとつの選択肢にはなり得るが、この可能性を認識して安倍 首相が消費税増税再々延期に進む可能性がある。 反安倍自公勢力はこれを前提に選挙戦術を構築する必要がある。 野党が消費税増税中止を訴えても、安倍内閣が消費税増税再々延期を公表する と、野党の主張はまったく響かぬものになる。 安倍内閣与党が衆院総選挙で議席を維持してしまうリスクが高まる。 野党陣営は消費税減税を公約に掲げるべきだ。 いきなり消費税率ゼロと打ち出しても、主権者国民がついてこれない。 日本の主権者は、「財政危機説」という洗脳状態を解かれていないからだ。 市民の多くが日本の財政が深刻だとしたり顔に自説を説く。 消費税増税で財政再建を進めるべきとの主張を口にする主権者は驚くほど多 い。 この点については、かつての民主党も同じだ。 財務省の情報操作で洗脳状態に陥っているのだ。 そもそも、民主党の凋落は菅直人氏が消費税増税に突き進んだところから始 まっている。 2009年8月総選挙で、民主党は 「白アリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」 と主張して大勝した。 これをもっとも声高に訴えたのが野田佳彦氏である。 天下り根絶は私が菅直人氏に提言してから、菅直人氏が声高に主張し始めた政 策課題である。 その後、菅直人氏が天下り根絶を強く主張するようになった。 2009年8月15日の街頭演説で野田佳彦氏は次のように声を張り上げた。 「野田佳彦の白アリ演説」 https://bit.ly/2VTx927 「シロアリを退治しないで、消費税引き上げるんですか? 消費税の税収が20兆円になるなら、また、シロアリがたかるかもしれませ ん。 鳩山さんが4年間消費税を引き上げないと言ったのは、そこなんです。 シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。 そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。」 2009年8月総選挙で、民主党は「白アリ退治なき消費税増税を封印する」 ことを公約とした。 日本の主権者はこの方針に賛同した。 これに反発したのが財務省である。 財務省は鳩山由紀夫首相に対して人物破壊工作を仕掛けた。 税当局を動員したのだ。 横で見ていた菅直人氏は寝返った。 2010年6月、権力を簒奪すると、党内論議を経ずに、消費税増税を掲げた のだ。 「白アリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」と声を張り上げた野田 佳彦氏は「白アリ退治」を完全放棄して消費税増税に突き進んだ。 「消費税増税」に突き進むことが首相就任の条件とされたのだろう。 2012年8月、野田民主党は自民党、公明党と結託して消費税増税を決め た。 これが民主党崩壊の主因である。 野田佳彦氏は消費税増税封印の公約を守るために離党して新党を結成した正統 派集団=国民の生活が第一=未来の党が政党交付金を受領することを阻止する ために、2012年12月の総選挙を断行。 小沢新党を破壊するとともに大政を安倍自民党に奉還した。 しかし、消費税増税は財政再建のため、社会保障拡充のために実施されたもの ではなかった。 消費税増税は、ただひたすら、法人税減税と所得税減税のためだけに実施され てきたものなのだ。 この税制変更が日本の格差拡大の最大の原因になっている。 庶民の生存権さえ奪い去る、過酷な税制が消費税制なのだ。 格差社会を是正することを是とするなら、税制を見直すべきである。 消費税廃止と最低賃金1500円実現で、日本社会は根底から変わる。 格差問題は著しい改善を示すことになる。 財務省は消費税増税を主張しながら、天下り根絶=白アリ利権除去に、一切協 力しない。 このような財務省の言いなりになる野党勢力を主権者は支援できない。 野党勢力が消費税廃止の方向を打ち出さずに、安倍内閣が消費税増税再々延期 の方針を打ち出すなら、現在の国会議席構成はそのまま維持されることになる だろう。 『政治』 ジャンルのランキング
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