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東京新聞「こちら特報部」より
外国人労働者の受け入れ拡大のため、政府が今国会での成立を目指す入管難民法改正案。)安倍晋三首相は「移民政策はとらない」と繰り返すが、事実上の「移民」社会となっている現状の追認なのは明らかだ。
与野党双方から批判が噴出する中、人権侵害が相次ぐ「外国人技能実習制度」を残した制度設計が問題視されている。
影響を受ける外国人労働者や支援者は、どう見ているのか。(石井絶代美、中山岳)
左腕のシャツをまくると、肘から手首にかけ十数㌢の傷があった。
骨が折れ、九月に手術したばかり。
ミヤンマーから来た技能実習生の男性(二三)は「痛くて物を持てず、働けない。
この先のことを考え、常に落ち着かない」と打ち明ける。
二〇二六年から千葉県の建設会社で、とびの仕事をしているが、日本語はあまり話せない。 通訳を介して政府の改正案について尋ねると、「外国人の労働環境が今よりもっと良くなってほしい」と短く答えた。
主な業務は、手すりなどの資材を地上から、上階にいる先輩に投げ渡すこと。 「早くしろ」とせかされ、少しでも遅いと「死ね」「バカ野郎」と罵声が飛んだ。 胸のあたりを蹴られることもあった。
ミャンマーのエージェントに約五十万円を払い、借金が残っている。
母国の一般的な会社員の年収の約四倍。
弱音は吐けなかった。
今年五月、建設現場で風で倒れそうになっていた鉄の階段を片付けた際、左腕を強打した。 病院の受付で「労災保険を使いますか」と聞かれたが、意味が分からず「会社に聞いてください」と答えた。
会社側は「仕事中のけがではない」と主張。
相談を受けた「在日ビルマ市民労働組合」のミンスイ会長(五八)が協力関係にある労働組合に連絡。
「労働時間内の出来事で、どう見ても労災だ」という指摘を、会社の担当者はあっさり認めたという。 「現状は問題だらけなのに、政府はほったらかしにして受け入れ拡大をするのか。外国人労働者は『使い捨て』ではない。増やすからには、まずは一つ一つの問題を把握して、それを解決していかないと」とミンスイさんは憤る。 ミャンマー出身で中古車販売会社で働き、日本語が堪能なミンスイさんは実習生からよく相談を受ける。 今年八月に電話してきた岐阜県内の縫製会社で働く女性は午前九時〜翌午前一時まで働くことが度々あり、休みは月二回だけ。 残業代の時給はわずか四百円で、未払いもあったという。
突然航空チケットを渡され、帰国を強要されそうになった人もいる。
三重県の建設会社で一五年五月から約七カ月溶接の仕事をした元実習生のミャンマー人、ディパココさん(三五)の場合、会社が用意した狭い部屋で五人で暮らしていた。疲れて帰っても、風呂は順番待ち。 「ぐっすり眠ることもできない。ストレスがたまり、体は休まらなかった」と振り返る。
検討されている政府の改正案は介護、農業、漁業、建設などの十四業種で新たな在留資格を導入する内容。 三年間の経験がある実習生は、日本語試験などを受けずに新たな在留資格「特定技能一号」に移行できる。
在留期間は五年で、家族の帯同は認めない。
日本語と技能の試験に合格して「特定技能二号」に移行すれば家族の帯同が認められ、永住できる可能性はある。 ただ、ミンスイさんは「技能実習制度は単純作業の連続。丁寧に詳しく日本の技能を教えるというのは名ばかりで、使い捨てられる労働力になっている。今のままでは技能も熟練しないし、日本語の上達も難しい」と断言する。
二〇一七年の外国人労働者数は、過去最多の約百二十七万八千人。
そのうち技能実習生はベトナム、中国などの約二十五万七千人に上る。
日本人の配偶者など「身分に基づく在留資格」(約四十五万九千人)、留学生のアルバイトなど「資格外活動」(約二十九万七千人)に次いで三番目に多い。
技能実習制度は一九九三年、途上国の外国人が日本の技術を習得し、母国の経済発展に役立てる名目で始まった。 現在の在留資格は最長五年で、受け入れ先は農業、漁業、建設業など七十七職種に広がっている。
だが、受け入れ先で単純労働を強いられるケースや、違法な長時間労働、賃金未払いが後を絶たない。
最近も、昨年七月に来日し、日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)で配電工の技術を学ぶはずだったフィリピン大技能実習生二十人が、パイプ運びなどの単純作業をさせられている疑いが発覚した。 日立はこの二十人に解雇を通告し、法務省などが笠戸事業所を検査している。
受け入れ企業などへの監督を強めて罰則を盛り込んだ新法が昨年十一月に施行されたが、問題が解消されたとは言い難い。 厳しい待遇に耐えかねて失踪する実習生も相次いでおり、一二年の約二千人から、一七年には七千人を超えた。
NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク(移住運)」は、今回の政府の入管難民法改正案に対する意見書で、「技能実習制度は、実際には人手不足対策に利用され、さまざまな人権侵害を引き起こした」と廃止を求めている。 烏井一平代表理事は、十月三十一日に参院議員会館で開かれた院内集会で「多くの実習生に低賃金や長時間の労働をさせる『奴隷構造』は変わっていない」と訴えた。 政府案については、技能実習制度で問題になっている悪質な伸介業者(ブローカー)を排除する仕組みが不十分と指摘。
特定技能一、二号の対象となる一部職種で派遣労働を認めている方針も批判し、「受け入れる外国人労働者が、雇用の調整弁として利用される。
派遣を認めれば、派遣会社が高額なマージンを取る仕組みができ、新たな利権ができる」と危ぶむ。
外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表の指宿昭一弁護士は、新設される特定技能一号の対象となる外国人が、家族を帯同できない点を問題視する。 「安倍政権が『移民政策でない』と強弁するための、へ理屈にすぎない。家族も含
めて受け入れ支援する仕組みをつくらないと、外国人は安心して働けない」課題が山積みに見える改正案だが、外国人労働者の声は生かされているのか。 法務省入国管理局総務課企画室の財津依人・法務専門官は「法務省として外国人労働者からのヒアリングはしていない。今回の制度は外国人だけの事情ではなく、国内の業界の労働力不足の事情もあり、必要になっている」と説明する。 新たに在留資格を得る外国人の雇用に関しても、厚生労働省外国人雇用対策課の鈴木博・課長補佐は「具体的な雇用管理の仕組みは、決まっていない。法案の国会提出後に詰めていく」と話すばかりだ。
国の姿勢について、外国人労働者を支援するAPFS労働組合(東京)の山口智之執行委員長は「労働力が必要という経済界と、移民に反対する与党保守派の双方に配慮した結果、その場しのぎで制度作りが進んでいる」と批判する。 「技能実習制度の問題を放置して労嘲環境を改善しないまま、新たな在留資格の制度に組み込むのは、外国人労働者の人権を軽視している表れだ。外国人労勘者と日本人がどう共生するか、国民的な議論が必要なはずなのに置き去りになっている。このまま法改正するのばあまりに拙速だ」 ◆
この外国人労働者をどのような制度にするか。
問題は日本人そのものの雇用制度ともからみ、複雑且つ日本の文化論にも波及することになるが、絶対に避けなければならないのは派遣会社の利権に繋がるようなことだが、自民党政権下、特に安倍政権では無に等しい法律になることは避けなければならない。
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2018年11月01日
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