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第救話
するがレスキュー
「戦場ヶ原先輩!」
私は、以前何度か口にした事が有る、其の発音を口から発した。 センジョウガハラセンパイ 私にとって、私がどの様な氣分でも発するだけで、気分が高まり、鼓動が早く成り、ドラマの中に自分をワープ出来る呪文、其れが其の言葉で有った。 其の言葉は、以前も今回も軽い気持ちで発した事等一度も無かったし、又、無い。 私と戦場ヶ原先輩の間にどうしても顔を付き合わせないと行け無い共通点等無い。私と、戦場ヶ原先輩が同じ中学校に通って居た頃も同じだ。 共に、運動部の星(スター)だった処(ところ)で、特別星と星が話合わ無くては成ら無い事等存在し無い。私と戦場ヶ原先輩が会わ無いと成ら無い運命は無い。
互いの運命線は、触れる事は、無い。絡ま無い筈(はず)の運命線を腕力で絡める時の呪文が「センジョウガハラセンパイ」で有った。 又現在でも変わら無い…変わって無い筈だ。筈だ。希望的観測だ。戦場ヶ原先輩と言う星を見る私の希望的天体観測なのだ。 が、私の天体望遠鏡は、巨大な蟹の丈夫な挟みで、挟み壊されて仕舞った。 「戦場ヶ原先輩?私の苗字を呼んだのかしら?其れとも、此れからこの場所が戦場に成る事を予測した、比喩的予言なのかしら?」 戦場ヶ原先輩は、私の口にホッチキスを差し込んで来た。 私は、戦場ヶ原先輩の呟きに耳を澄ませて居た為に、戦場ヶ原先輩の「素早い愛」に、盾を用意為る事が出来無かった。 否、私が耳に気を集中して居た事を差し引いても戦場ヶ原先輩の其の素早い動きに私は、果たして対処出来たのだろうか? とか言っても戦場ヶ原先輩からの愛の攻撃に盾を作る気などサラサラ有りはし無い。 一応、変態だと思われ無い為に、盾を準備する振りは、する必要が有るだろうと考えて居ただけだ。 私の生半可な、其の盾準備精神は、バスケットボールで鍛えた私の胴体視力に拠って発動する筈だった。 一瞬にして私が所持して有った二つの「筈」に糸が掛からずに、私は、取り付け損なった。 私の弓は、私が戦場ヶ原先輩のハートを射る為のキューピットの弓矢は、準備し損なった。 損なわ為(さ)れた。 他でも無い、目の前で鋭い目をして私の口に真っ直ぐ腕を伸ばして居る戦場ヶ原先輩に拠って。 「あら、私が知って居る人に、話し掛けられたのかと思ったのだけれど、間違いだった様ね。 見た事も無い人だったわ。 貴方、誰ですか?」 私は、知って居る筈の人に、誰ですか?と聞かれて、「センジョウガハラセンパイ」の呪文が力を失った呪文で有る事を悟った。 と同時に、私は、自分の記憶が何かの間違いなのだと感じた。私と此の目の前に居る人は、見知らぬ人。私は、全く見知らぬ人に親しげに呼んだのだ。 恥ずかしい!…ってそんな事無い…筈。 どうして、同じ公立中学校を卒業した人に話し掛けただけで、恥ずかしいんだよ! 何も恥ずかしい事は私は、して無い筈(はず)。 私は、自分の記憶が事実と違うのかも知れ無い。
怪しい異りに、私は、自意識が可笑しく成った。 私が見て居る目の前の人物は、本当に「センジョウガハラセンパイ」ななだろうか?
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