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私は、落ち込んだ。
憧れの先輩から拒絶為(さ)れたから。 私は、「猿の手」(雨悪魔(レイニーデヴィル)の手)に戦場ヶ原先輩を助けたいと願おうとした。 私が亡くなった母から貰(もら)った道具「猿の手」を使えば、どんな願いも叶(かな)う。 正(ただ)し、私の意に沿(そ)ぐわ無い形で。 其(そ)れからの一年間は、辛(つら)かった。 悩んで居(い)た。 否(いや)、答えは、出て居るのだ。 だが、同じ事を毎日家に帰ると手を洗うと言う習慣の如く(ごとく)、私は、頭脳の中で繰り返した。 「私に戦場ヶ原先輩を助ける事は出来るだろうか。 否出来無いのだ。
私には出来無い。 戦場ヶ原先輩にとって私に願った事は、私が戦場ヶ原先輩に近づか無い事。
私が戦場ヶ原先輩に出来る事は、離れる事だ。 だけだ。
私は、戦場ヶ原先輩に無闇矢鱈(むやみやたら)と、近付いて嫌われたく無い。
私は、戦場ヶ原先輩に好かれたい。」 私は、其の事を、一年間頭の中で考え続けた。 私が戦場ヶ原先輩を助けたいと言う気持ちがどの様な考えに行き着くか、私は、考える前から分かっていた。 分かって居(い)ながらも其れでもやはり考えた。 同じ事を何度も何度も。 365回程考えた頃に其の事件は起きた。 私は、私立直江津高等学校第二学年に進学した。 私が私立直江津高等学校に入学した、理由が無くなった私の高等学校生活は、青(blue)其の物で有った。 其の事件は、放課後に起きた事件だ。別段事件では無い。客観的に考えれば。でも、私は、私にとって客体(きゃくたい)では無い。 主体(しゅたい)だ。 私は、私だ。 第三学年のクラスの担任の先生に、レポートの件でお願いが有(あ)り、私は、第三学年の教室が並ぶ廊下を歩いて居た。 戦場ヶ原先輩がどの教室で暮らして居るかを私は、知ら無かった。 だから私は始め、知ら無い男子女子高校生が楽しく、放課後を楽しんで居るのかと思ったのだ。 が、違った。確かに男子高校生の方は、知ら無かった。 女子高校生の方は知って居た。私が頭の中で何時も(いつも)思い浮かべた其の人物の身体付きと顔が、その女子高校生は、有(ゆう)して居(い)たのだった。 即(すなわ)ち、戦場ヶ原ひたぎ先輩が、私の知ら無い男子高校生と楽しそうに喋って居(い)たのだった。
するがモンキー(西尾維新著作)に続く
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