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記載不備拒絶に対する反論に使える判例
①平成20(行ケ)10484
②平成19(行ケ)10147
③平成21(行ケ)10004
 
①判決言渡平成21年9月29日
平成20年(行ケ)第10484号審決取消請求事件
『確かに,数値限定に臨界的な意義がある発明など,数値範囲に特徴がある発明であれば,その数値に臨界的な意義があることを示す具体的な測定結果がなければ,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できない場合があり得る。しかし,本件全証拠によるも,本件優先権主張日前に「Snを主として,これに,CuとNiを加える」ことによって「金属間化合物の発生が抑制され,流動性が向上した」発明(又はそのような発明を容易に想到し得る発明)が存したとは認められないから,本件発明1の特徴的な部分は,「Snを主として,これに,CuとNiを加える」ことによって「金属間化合物の発生が抑制され,流動性が向上した」ことにあり,CuとNiの数値限定は,望ましい数値範囲を示したものにすぎないから,上記で述べたような意味において具体的な測定結果をもって裏付けられている必要はないというべきである。』

②平成20年3月27日判決言渡
平成19年(行ケ)第10147号審決取消請求事件
『加えて,本件明細書の発明の詳細な説明には,本件特許発明のワイヤの径サイズ(「0.06〜0.32mmφ」)については,通常使用されるワイヤサイズに基づいて規定し,層除去の範囲(ワイヤ表面から「15μm」の深さまで)については,実使用による使用済みワイヤの片側最大磨耗が15μmであることを確認したことに基づいて規定し,内部応力の範囲(「0±40kg/mm 」)は,実使用による使用後のワイヤに小波の発生がなく,フリーサークル径の減径が大きくなかったことを確認したことに基づいて規定したことが記載されていること(上記イ(ア)e)に照らすならば,本件特許発明の内部応力の範囲(「0±40kg/mm 」)は,その上限値又は下限値に格別の臨界的意義があるわけではなく,ワイヤの表面層の内部応力の絶対値が小さい数値を規定したものと理解される。』

③平成21年9月3日判決言渡
平成21年(行ケ)第10004号審決取消請求事件
『これに対し,本件明細書には,上記課題を解決するための手段として,ベールの頂面における内接矩形内に位置する部分の少なくとも90%が,平坦な板から約40 mm 以下離間する程度に,ベールの頂面及び底面が平面であるようにすること,フィルタートウのパッケージ包装材を気密にシールするとともに,少なくともベールが梱包された後に外圧に対して少なくとも0.01barの負圧がベールにかかっている状態にすること,負圧の制御方法の記載があることが認められるのであって,本件発明1につき,当業者において,本件明細書の記載により,その課題との関係での数値限定を付した技術的意義を理解できるものと解され,そうすると,数値限定を付した場合の効果(実施例)と,このような数値限定を満足しない場合の効果(比較例)との十分な記載がないから,本件発明1の技術的意義が十分に記載されているとはいえないとの理由のみで,本件発明1及びこれを引用する本件発明2ないし26が特許法36条4項1号の規定に適合しないとした本件審決の判断も首肯し得ないものといわなければならない。』

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使える判例

 平成22年(行ケ)10162 
 平成23年2月24日 判決言渡
 
 最近の進歩性容認傾向を示す判決の一例と言えるでしょう。

 以下の判示があります。
 
 『このように、本件発明1と引用発明1は、貼りボールに縫いボールの特徴を取り入れようとする点では共通するものの、技術的着眼点は、本件発明1が飛距離等であるのに対し、引用発明1では外観であって、異なっている。また、貼りボールの外観を縫いボールに近付けるための手法としては、甲3の1に従来技術として記載された「縁端を装飾した皮革片を、空気袋に直接貼り付ける」手法、本件発明1のように「折り曲げ部」を設ける手法等、種々の構成が考えられるところ、引用発明1においては、上記のとおり「隆起部分」に着目した構成を採用したものであり、甲3の1の記載によっても、本件発明1のような、縫いボールと同様の深く狭い溝を形成するという思想は窺われないのであって、そのことに伴い当然のことながら、引用発明1と本件発明1とでは、採用された構成も異なっている。』
 
 『−−−。そうすると、仮に、引用発明1の皮革片の周縁部分に「折り曲げ部」の構成を採用した場合、「折り曲げ部」において相当程度大きな角度で曲げられることになり、それよりも内側の部分は平坦に近い状態になってしまうから、大きな隆起を形成することができなくなり、引用発明1の「隆起部分」の形成という目的に反することになる。』
 
 引用文献との課題(技術思想)の相違が重視されています。
 いわゆる阻害要因についても十分に参酌されています。
 
 審査官に読んで欲しい判決の一つです。

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使える判例

 進歩性主張に使えそうな判例。
 
・平成20年(行ケ)10906
・平成19年(行ケ)10238
・平成20年(行ケ)10096
・平成20年(行ケ)10155
・平成20年(行ケ)10431
・平成20年(行ケ)10300
・平成20年(行ケ)10261
 
 「実務家のための知的財産権判例70選」(弁理士クラブ知的財産実務研究所編)2009年度版及び2010年度版より。

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平成20年(行ケ)第10235号(共沸混合物様組成物)
 
 「しかしながら,本件発明は,訂正前と同様,共沸混合物様組成物に関するもので
あって,本件訂正明細書の発明の詳細な説明に記載された発明の技術的意義につい
ても,訂正前と実質的な変更はないものというべきであるが,本件訂正による特許
請求の範囲の減縮は,発明の用途を限定するとともに,ペンタフルオロエタンとジ
フルオロメタンからなる組成物の組成範囲を減縮することを目的としてされている
ものの,後段記載の部分がそのまま維持されたこともあって,前段記載と後段記載
の矛盾関係が発生したものといえる。
 そうであれば,本件訂正後の本件発明は,発明の用途や組成範囲が限定された点
を除けば,本件訂正前の発明と基本的に同一であるが,本件訂正明細書の発明の詳
細な説明を参照しつつ,上記のような矛盾が生じないように解釈すべきであるから,
「空調用又はヒートポンプ用の冷媒としての組成物であり,約35.7〜約50.
0重量%のペンタフルオロエタンと約64.3〜約50.0重量%のジフルオロメ
タンからなり,32°Fにて約119.0 psia の蒸気圧を有する共沸混合物のよ
うな組成物」(ここで「共沸混合物のような組成物」とは「共沸混合物のように挙
動する組成物」であるという意義)であると解するのが相当である。
 すなわち,本件発明の後段における蒸気圧の記載は,「真の共沸混合物」が有す
る属性を記載したものにすぎないと解すべきであって,本件訂正明細書の発明の詳
細な説明を参照した当業者であれば,本件発明が上記認定どおりの組成物であると
理解することができるものと認められる。
 そして,前記アで検討したとおり,本件訂正明細書には,本件発明の特徴につい
て記載されており,当業者がこれらの記載を見れば,本件発明が「空調用又はヒー
トポンプ用の冷媒としての組成物であって,約35.7〜約50.0重量%のペン
タフルオロエタンと約64.3〜約50.0重量%のジフルオロメタンとからなり,
『32°Fにて約119.0 psia という真の共沸混合物の蒸気圧を有する,共沸
混合物』のように挙動する組成物」であるものと理解し,その旨実施することがで
きるものと認められる。
 したがって,本件発明の前段記載と後段記載とは実質的に矛盾するものではなく,
両者が矛盾するものであると解釈し,これを根拠に本件発明につき実施可能要件違
反があるとした審決の認定判断には誤りがある。」
 
 やや特殊な事例ではありますが、
  ・実施例のみならず明細書全体から発明を把握し、その発明に基づいて記載要件を解釈すべき
との当たり前な考え方を審査官に教えるために、使える場面があるかもしれません。
 

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平成21年(行ケ)第10144号(「テアニン含有組成物」:特開平9−12454)
 
「前記(1)の記載によれば,自律神経系の作用と中枢神経系の作用は区別して認識されるのが技術常識であり,証拠を総合するも,自律神経系に作用する食品等が,当然に中枢神経系にも作用するという技術的知見があることを認めることはできない。
そうすると,自律神経系に作用する引用例1発明は中枢神経系に作用する引用例2発明とは技術分野を異にする発明であることから,当業者は,引用例1発明に引用例2発明を適用することは考えないというべきであって,両発明を組み合わせることには阻害要因があるというべきである。」
 
一見似ているが、「似て非なる技術」がある。
やはり、技術の把握が大切。
 
 
 

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