判例等

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特許庁HPの審査基準にリンクする形で、進歩性のケーススタディが公開されています。
 
審査官を説得して特許を取得する観点から、特に使えそうなのが、
・平成20年(行ケ)第10096号
です。
 
以下、判決文の引用です。
『ところで,出願に係る発明の特徴点(先行技術と相違する構成)は,当
該発明が目的とした課題を解決するためのものであるから,容易想到性の有
無を客観的に判断するためには,当該発明の特徴点を的確に把握すること,
すなわち,当該発明が目的とする課題を的確に把握することが必要不可欠で
ある。そして,容易想到性の判断の過程においては,事後分析的かつ非論理
的思考は排除されなければならないが,そのためには,当該発明が目的とす
る「課題」の把握に当たって,その中に無意識的に「解決手段」ないし「解
決結果」の要素が入り込むことがないよう留意することが必要となる。
さらに,当該発明が容易想到であると判断するためには,先行技術の内容
の検討に当たっても,当該発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうと
いう推測が成り立つのみでは十分ではなく,当該発明の特徴点に到達するた
めにしたはずであるという示唆等が存在することが必要であるというべきで
あるのは当然である。』
 
審査官を説得するのに、使える場面がありそうです。
 
住友教郎
 

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訴訟での注意事項

訴訟での注意事項メモ

・審査基準は法規範ではない。審査基準をベースとした主張は原則NG。
・書証は、期日に裁判官に提示して初めて証拠となる。
・審決取消訴訟は、特許庁の手続の続きではなく、特立した訴訟手続である。引例等の証拠も改めて提出しなければならない。
。結論に影響しないような細かい主張をたくさん書き連ねるのは、NG。書けばいいってもんではない。逆効果である。結論に影響するところを的確簡潔に突くべし。

2009年12月、中野哲弘裁判長(知財高裁第二部)の講義を受けました。
有意義でした。
私は、審決取消訴訟の経験が有りません。
やってみたいな。

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周知技術

「引用文献を挙げるまでもなく周知技術である」
との文言を含む拒絶理由通知が、相変わらず多い。

周知技術とは、当業者に広く知られた技術である。

 現行審査基準には、
 『「周知技術」とは、その技術分野において一般的に知られている技術であって、例えば、これに関し、相当多数の公知文献が存在し、又は業界に知れわたり、あるいは、例示する必要がない程よく知られている技術をいい、』と記載されている(第二部第2章新規性進歩性1.2.4参照)。

公知技術(本願出願前に公開等されている技術)は、不特定多数の者に知られうる状態に置かれたのにすぎないものを含みうるのに対して、周知技術は、現実に、当業者によく知られているものでなければならない。

公知技術同士の組み合わせについては、その組み合わせが当業者にとって容易であるか否かの判断が問題となる。なぜなら、膨大な公知技術の中から、その組み合せに係る公知技術を選択することに困難性が認められうるからである。これに対して、ある技術(公知技術)に周知技術を組み合わせることは、当然に成功が約束されている選択にすぎず、通常は、当業者にとって容易である。

 現行審査基準「第二部第2章新規性進歩性」の、「2.5 論理づけの具体例」には、『(1)最適材料の選択・設計変更、単なる寄せ集め」の具体例として、

 『例1:赤外線エネルギーの波長範囲が略 0.8より1.0μmの赤外線波を用い送受信を行うことは、従来周知の事項であると認められる。そうすると、緊急車の運転伝達装置にこれを適用することを妨げる特段の事情も窺えない以上、これを引用発明 1の運行伝達に適用することは、当業者にとって容易に想到し得たことと認められる。(参考:平 9(行ケ) 86、阻害要因がなければ適用容易とした例)』

 との記載がある。組み合わせについて特段の阻害要因が見いだせない限り、公知技術に周知技術を組み合わせることは当業者にとって容易である。

 さらに、複数の周知技術が存在する場合であって、それら複数の周知技術と公知技術との組み合わせを困難とするような特段の事情が存在しない場合、これら複数の周知技術と公知技術とを組み合わせることは容易である(平成18年(行ケ)第10081号「多色LED照明装置」事件)。

 周知技術か否かは、進歩性の判断において極めて重要である。よって審査官には、「周知技術」と認定した根拠を、しっかりと示して欲しい。

その業界でポピュラーなハンドブック、教科書又は汎用技術専門書に記載されている事項は、その1つの文献のみであっても、周知技術であると認定されうる。これに対して特許文献に記載の事項が周知技術と言えるか否かは、具体的事情を勘案して判断される。

周知技術であるためには、本願考案の技術分野と周知例の技術分野とが同一又は類似の技術分野に属することが、少なくとも必要である(「タイヤの自動判別方法事件」(東京高裁昭和63年5月24日判決、昭和61年行ケ第12号)。

周知か否かの判断には、文献の数も参酌されうる。上記審査基準における「周知技術」の定義では、「相当多数の」とされている。周知性の判断においては、文献数は通常複数であり、3件以上であることが多い。

 近年の知財高裁判決で周知技術か否かが争点になったものを検索してみると、平成19年(行ケ)第10426号、平成20年(行ケ)第10141号、平成20年(行ケ)第10253号、平成20年(行ケ)第10334号、平成20年(行ケ)第10422号、平成20年(行ケ)第10236号等が挙がる。これらのほとんどが、3件以上の引例によって周知技術を認定している。

 もちろん、平成18年(行ケ)第10159号(「ポジ型レジスト組成物」)が指摘するように、周知性の認定において必ず文献の数が問題となるわけではない。たとえ単数の特許文献であっても、具体的事情によっては周知性有りと判断されうる

周知性の判断のための具体的事情として、『その技術が[従来技術]として先行文献に記載されている』ことが挙げられる(平成20年(行ケ)第10236号「アクティブマトリックス液晶ディスプレイデバイス」事件)。

周知性の判断においては、その周知文献の公開日は古い方が有利である。周知性を示すための引例が単数であって且つその引例の公開日が本願出願日と非常に近い(1年未満の差しかない)ことに基づいて、周知性が否定された判例がある(「牛乳等の液体容器事件判決」東京高裁昭和50年7月30日判決 昭和48年(行ケ)101号;「半導体装置事件判決」東京高裁昭和51年2月5日判決 昭和43年(行ケ)91号)。

以上を纏めると、周知技術か否かの判断は、次の通りである。ある引例が周知技術であると判断されるためには、その引例と本件考案とが同じ技術分野に属することが必要である。そして周知技術か否かの判断は、基本的には案件毎の具体的事情(引例中での記載内容等)に依る。また周知性が認められるためには、通常、複数、それも3件以上の引例が必要である。一方、本願考案の出願日に近い公開日の引例のみでは、周知性が立証されないおそれがある。

 拒絶理由通知において「周知技術」を認定する際には、審査基準のいうように、「相当多数」の引用文献を挙げて欲しいものである。

 住友

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 特技懇254号で、阿部寛主席審判長が、審決取消事件についてコメントしておられます。(120〜134頁)↓

 平成20年度第4四半期では、取消率が33.3%(特実、査定系)及び35.5%(特実、当事者系)となっているそうです。いずれの取消率も前年度を上回っているとのことです。この取消率の増加は、最近の特許庁での進歩性判断が厳しすぎたことを反映しているのだと思います。

 ここで紹介されている審決取消事例を見る限り、
 (a)判決で取り消された審決における進歩性のハードル
と、
 (b)私が実務で日々経験している審査における進歩性のハードル
とは、ほぼ等しいです。従ってこれらの判例は、日々の拒絶理由通知よりも、進歩性を緩く判断しています。

 進歩性無しの論理付けがあいまいな拒絶理由通知は、このところ増えています。その多くは、「設計事項」あるいは「周知技術」といった文言を含みます。進歩性無しの論理付けを明確にするよう、常に要求する必要があります。

 ここで紹介されている判決には、「引例には、本願発明の示唆がない」、「容易相当性の判断では、非論理的思考は排除されなければならない。」「技術的課題が相違するので、容易想到性は認められない。」「契機ないし動機付けとなる記載や示唆が無いので、容易想到性は認められない」等、我々にとって心強い判示が含まれています。現行審査基準では軽視されている印象がありますが、進歩性判断の基本は、やはり、「教示」、「示唆」、「動機付け」にあるでしょう。

 阿部主席審判長は、審決の不備を素直に反省しておられます。特許庁の審査官も、審決取消判決を素直に参酌してくださるものと思われます。拒絶理由に対する反論の際には、ここで紹介されているような審決取消判決を具体的に挙げるのも、一つの手です。

 今回挙げられている判決の中でも、特に下記の判決は、拒絶理由通知に対する反論時に使えそうです。
 ・平成20年(行ケ)第10096号(発明の名称:回路用接続部材)
 ・平成19年(行ケ)第10258号(発明の名称:溶融金属供給用容器)
 ・平成20年(行ケ)第10026号(発明の名称:動的な乗物)
 ・平成20年(行ケ)第10205号(発明の名称:ポリマー組成物及びその製造方法) 

住友教郎

 

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大阪地裁 平成21年4月7日判決

争点の一つは、請求項1の文言解釈でした。
【請求項1】(一般式(A)は、省略)
(A)シリコーンゴムに、下記一般式(A)で示されるシランカップリング剤で表面処理を施した熱伝導性無機フィラーを分散させて成り、
 (B)熱伝導性無機フィラーが熱伝導性シリコーンゴム組成物全量に対して40vol%〜80vol%であることを特徴とする熱伝導性シリコーンゴム組成物。

原告の主張は、
 上記(B)の「熱伝導性無機フィラー」は、上記(A)の「熱伝導性無機フィラー」ではない。即ち、上記(B)の「熱伝導性無機フィラー」は、シランカップリング剤で表面処理したものに限定されない。
 というものでした。

 上記(B)の熱伝導性無機フィラーには、「前記」とか、「上記」とか、「当該」とか(つまり、the)は記載されていないですが、その無記載に頼るというのは、いかにも危なっかしいですね。請求項1全体の文脈からしても、原告主張というよりむしろ、
 ・単なる「前記」の書き忘れだよね
 って感じに思われます。

 しかも、明細書や出願経過からしても、原告主張の解釈を裏付けるものはなく、むしろ『「前記」書き忘れ』解釈を容認されてもしかなたい記載や主張がされていました。原告敗訴は、妥当でしょう。

 もし、上記原告主張のような趣旨でこのような請求項を立てるとすれば、普通は、請求項の文言上で手当をしないといけません。万一、上記のような請求項にするとしたら、明細書中で必死になってフォローすることになりますが、やはり、危なっかしいですね。
 請求項の文言でしっかり手当をしておくべきでしょう。

 じゃあどうするか、まあなんでもいいんですが、最も簡単な方法でいくなら、

(A)シリコーンゴムに、下記一般式(A)で示されるシランカップリング剤で表面処理を施した熱伝導性無機フィラー(F1)を分散させて成り、
(B)熱伝導性無機フィラー(F2)が熱伝導性シリコーンゴム組成物全量に対して40vol%〜80vol%であることを特徴とする熱伝導性シリコーンゴム組成物。

というふうに、符号みたいなのをつけてしまえばよいでしょう。
 あとは明細書中で、
 「熱伝導性無機フィラー(F2)は、熱伝導性無機フィラー(F1)以外の熱伝導性無機フィラーを含む。即ち熱伝導性無機フィラー(F2)は、シランカップリング剤で表面処理されていないものをも含む。・・・・」
 などと適当にフォローしておけば十分かと思います。

 上記のような符号による区別は、バケ分野ではよくやりますよね。私の場合、実は機械分野でも結構使っています。長ったらしいネーミングを避けたいときとか、よいネーミング(非限定的なネーミング)が浮かばないとき等に使います。機械分野の審査官には、ちょっと違和感があるかもしれません。しかし、変なネーミングで意図しない限定解釈を招いたり、長いネーミングで翻訳代が嵩んだりといった弊害を防止できますので、問題ないと思っています。

 住友











「前記」を書き忘れるなんてことはよくあるわけですから、、

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