|
厚生労働省が20日初公表した「相対的貧困率」は、2006年で貧困率は15,7%で先進国の中でも極めて高い水準だそうである。
"相対的貧困率の公表について[厚生労働省]"
→URL:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/10/h1020-3.html
結構、衝撃的な内容ではあるが、これをもって「社会保障給付を増やさなければならない」とか「年金給付水準を上げなければならない。」って話はちょっと違うような気がする。
「相対的貧困率」は、全人口の可処分所得の中央値の半分未満しか所得がない人の割合。主観が入り難く国際比較し易い批評ではある。しかし、貧困度合いを示す指標とは言い難く、むしろ、所得格差の度合いを示すジミー係数に近い意味づけである。つまり、日本の格差社会度合いが先進国でもトップクラスになったと言うことになる。
"相対的貧困率の計算式[厚生労働省]"
→URL:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/10/dl/h1020-3a-02.pdf
では、何で、日本はこんな格差社会になってしまったのだろうか?。これを考える前に、まず、どうやって、日本が『一億総中間層』社会を築いたのかを考えてみたい。
戦後の混乱期から80年代まで、政府は一貫して、企業優遇政策を実施してきた。この企業優遇政策が、『一億総中間層』社会を実現したのだ。ホントに不思議な話である。今よりも、企業に偏重した政策を実施したのに、所得格差は拡がらずに、均等社会が生まれたと言うのだから皮肉な話である。
個人的には、時の政府が個人所得に高累進性税率を適用して、企業から社員・株主への資金流出を抑えることで、企業の利益が再生産投資に向かうようにした影響と見ている。企業収益を配当や給与として経営者(株主)・従業員が分配すると経営者(株主)・従業員は高額の所得税を負担しなければなず、経営者(株主)・従業員は配当・給与所得での分配を減らし、配当・給与所得外での分配を増やすことなる。配当・給与所得外での分配とは、企業年金給付や退職金の後払い賃金と福利厚生費や交際費等の経費支出である。後払い賃金は退職後にならないと実現化しないし、福利厚生費や交際費等の経費は個人支出を減らす効果しかない。見た目の給与所得格差は、消失することになる。だた、気を付けなければならないのは、実質の生涯所得には大きな格差があり、これが未実現状態であるから所得格差が見えなくなっている点である。格差が実現化するのは退職後である。
現在の格差社会は実は高齢化により未実現状態であった所得格差が実現化した結果あり、各種統計資料を見る限りにおいて先の小泉ー竹中路線の経済政策に起因するものとは考え難い。原因は、『一億総中間層』社会を実現した政策にある。この政策は高額所得者が所得税負担を逃れ、老後資金を貯蓄することを加速させたと考えられる。この一方で、老後の資金の手当てを考えれば所得税を負担できる状態でない世帯に所得税等の税負担させ、老後資金不足世帯を多発させたとみている。
今後も、その社会人人生の大半を高累進性税率の中で過ごした世代が退職するに従い「相対的貧困率」は悪化すると考えられる。退職世代の所得格差は非常に大きく、また、どのくらい相対的貧困世帯が増えるのかを予想するのは相当難しそうである。安易な社会保障のばら撒きをで解決しようとすれば相対的貧困世帯の増加に財源の見直しを迫られることになる。年金等の給付水準の切り下げとセットでなければ財政が破たんしそうな気がする
|