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今までに昨年末には太鼓木札、そして2年ほど前にはだるま木札の制作過程を軽くご紹介しました。
しかしウチの工房で一番注文の多いのは文字が主体の木札です。
せっかくなので今回は全ての工程を写真付きで細かく紹介いたします。
『これさえ見れば誰でも木札が制作出来る
とても長く写真も多くなりますが、最後までお付き合いください。
今回彫るのは多分今までで一番多く制作している 『本町』 木札です。
① まずは彫る文字をパソコンで印刷。
私はお客さんから指定が無い場合、字体を
勘亭流に統一しています。
理由は一番彫りやすいから。
線が細くなりすぎないのがポイントです。
② 木札の幅のサイズに切ったトレース紙に
文字を書き写します。
私が制作している木札は横幅2.6センチ・3.5センチ・5センチの三種類が基本。
彫る内容によっては2.6〜5センチの間で制作しています。
今回の木札は横幅2.6センチ、ウチで制作している木札の中で一番小さいサイズです。
長さは文字数で変わってきます。 今回は6.5センチ。
③ 2.6センチ幅で製材してあるケヤキ材をノコギリを使って
必要なサイズで切り分けます。
ケヤキ材は三種類の幅の板を木工所にお願いして大量に
作ってもらい、必要な長さに切って使っています。
板は変化しづらい柾目板に加工。
4センチなど用意していないサイズの場合は5センチの
板を切って幅を狭くしています。
④ 曲尺で切り分けた木札の小口面(断面)の直角を出し、
平ノミで綺麗に削ります。
⑤ 木札にトレース紙を貼り、間にカーボン紙を
挿んで文字を書き写します。
この時、文字によっては少し修正を加えて
彫りやすくします。
例えば線が細すぎて塗りづらいと思われる
部分や、細かくて欠けやすそうな場所など。
⑥ 紐を通す穴をドリルで開けます。
板が割れないようにハタガネで挟み
真っ直ぐ精確な穴が開くように気合いを
入れてやるのですが…
たま〜に失敗してしまいます
彫刻前の準備段階が終わり、ようやく彫りに
入っていきます。
今回使用するノミの本数は17本。
文字のみの木札でしたらだいたい15〜25本
ぐらいのノミで彫っています。
⑦ まずは細かい丸ノミ&裏丸を使い、文字の先端部分
などの小さい丸みを刻んでいきます。
木札に限った事ではありませんが、時間短縮のため
手に持ったノミで刻める部分はなるべく一度に全て
刻んでしまった方がいいですね。
後で修正する可能性も考えて、書き写した線のほんの
少し内側を刻んでいきます。
その後は全体を刻んでいくのですが、木目とは
直角になる方向に走る線を優先して刻みを
入れていきます。
始めに木の繊維に沿って刻みを入れてしまうと
木札のような細かい彫りの場合、その後に
すぐそばを刻んだ拍子にノミの圧力で木が
欠けてしまう事がよくあります。
少しでもトラブルを避けるためには木目の方向
を考えて、彫る順番を決めていかなくてはなりません。
⑧ 刻みが終了したら、刻みの角にあたる部分
に斜めのスジを付けていきます。
ウチの木札の文字は基本的には
『カマボコ彫り』 という彫り方をします。
カマボコ彫りで文字を彫る時には、必ず
必要になる作業ですね。
これで彫りの第一段階が終了
ここまでは大きなミス無くきてます。
今回はそれほど細かい部分が無いので難易度はかなり
低い方ですね。
同じ町名でも工房のある番場とかだと大変
刻みだけでも多くの時間をとられてしまいます。
最近は人名でも難しいものが多いので苦労しますね
ちなみに今までで一番数多く彫った木札の文字は…
多分 『美』 か 『子』 のどちらかかなぁ
それでは文字を彫り下げていきましょう。
⑨ 文字を彫り進めていきます。
先ほどウチでは木札はカマボコ彫りが基本と
書きましたが、彫る内容によっては文字の
周りを彫り下げる浮き彫り(陽刻)の場合も
あります。
カマボコ彫りは文字の中を彫るので陰刻。
写真を見ると分かりますが、斜めにスジを
入れた事で彫った後のこっぱが取り除きやすくなっています。
ざくざく勢い良く彫り進めていきま〜す。
しかし細かい部分や入り組んでいる場所などは
削り落してしまわないように注意しましょう。
今回の木札でいうと、町の田の部分ですかね。
文字の幅が狭い部分などは断面で見ると角が
立ってしまう場合があります。
塗りに支障が出るので角を取るのですが、文章
では説明しづらいので後でまたご紹介します。
⑩ 文字彫りが終了したら木札の面取り。
この後ヤスリ掛けをするのでどうしても必要
というワケではありませんが、あらかじめ
面取りをしておいた方が作業時間の短縮
になるし紙ヤスリの節約にもなります。
木札の文字彫りが終了しました〜
削り残しや傷・こっぱが残っていないかを良く
見て、気になる部分があれば修正します。
本町木札は彫り慣れている事もあって
ここまでは順調。
その後、ヤスリ掛け・塗装作業と進んでいく
のですが…
写真の容量の事もあるので今回はここまで。
次回は完成までご紹介出来ればいいなと
考えています
お楽しみに〜
今回使用した仕上げノミ
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文字を彫るだけでも使用するノミはすごい数になるんですね。
とても参考になりました・・・でも私の場合、とても根気が続きそうには無いですが・・・^^;
2012/3/5(月) 午前 8:12
木の目に応じた 彫る順番。
手当たり次第に 彫りやすいところから・・って駄目なのですね。(^^;
先日のコースターの彫り 何度か挑戦しましたが・・ どこか ああ しまった!と かけてしまった所がある。そのせいだったのかも なんて思っています。難しい・・・
ぽち
2012/3/5(月) 午前 8:51
う〜ん、これさえ読めば・・・って、その気に半分なりましたけど、ムリムリ・・・\(^o^)/
仕上げに紐通し穴・・・じゃないのですね。
理由がわかりました〜♪^^
いやぁ、鈴木さんの文章力、凄いですよ。いつも感心しちゃってますけど、引き込まれて読んでしまいます。
でも、木札はムリムリ〜\(^o^)/
やっぱりお願いして作って頂いて正解でしたね。
大事にぶら下げてますよ〜♪
私の「子」。多いんですね^^
それにしてもこれだけの工程を経て、更に塗りの工程もある訳ですからお値段はもう少し考えても宜しいと思いますねぇ。
次回の「塗り」、楽しみに待ちます。
また雪で寒い日になってしまいましたね。
風邪、インフルにご注意くださいね〜(*^^)v
ポチ☆
2012/3/5(月) 午後 5:46
前々から気になっていたので
今回の記事は大変分かり易くて参考になりました。
機会があれば自分の木札を作ってみたいと思います。
2012/3/5(月) 午後 8:58 [ ken ]
Linfo工房さん、こんばんは。
文字の曲線に合わせたノミを使おうとするとドンドン増えてしまいますね。
あまり気にしなければ数本でも彫れます。
ここまでサイズが小さいと大変なので、表札ぐらいのサイズで慣れるといいですよ。
基本的には彫り方は一緒ですからね♪
2012/3/5(月) 午後 10:02 [ 鈴木木彫刻工房 ]
soraさん、こんばんは。ポチありがとうございます。
木目と彫りの関係は、教室の生徒さんが始めにぶつかる壁でもあります。
私なんかは無意識にこなしている事ですが、初心者にはなかなか理解が難しいようです。
この辺はやはり経験ですかね〜。数をこなしてカラダで覚えないと。
soraさんも諦めずにゆっくり少しずつ学んでいってください♪
2012/3/5(月) 午後 10:11 [ 鈴木木彫刻工房 ]
器用な人の手というのは、やっぱり何んて言うか?切れの良さそうなスカッとした、器用そうな手・指先をしてらっしゃいますね。ってことは、私は・・・ダメだコリャ!
2012/3/5(月) 午後 10:14
とよこさん、こんばんは。ポチ&お褒めいただきありがとうございます♪
紐の穴を始めに開ける一番の理由は、ハタガネで挟む事で横に跡がついてしまうから。
その為先に穴を開けて彫刻後のヤスリがけで跡を消すというワケです。
もうひとつの理由としては彫った後に穴開けをして失敗したらダメージが大きいから(汗)
彫る前ならすぐにやり直しができますからね。
今年は珍しく体調を崩す事無く冬を乗り切れそうです。
でもまだまだ油断はできませんね。
とりあえず雪はこれで終わりにしてほしいもんです(笑)
2012/3/5(月) 午後 10:36 [ 鈴木木彫刻工房 ]
kenさん、こんばんは。
今まではあまり彫ってる手元の写真などは撮っていなかったのですが、昨年の太鼓木札あたりから小さい三脚を使うようになりました。
その方が詳しい彫り方などを紹介しやすいし、見る方も理解しやすいかなと。
ただ作品を載せるだけではつまらないですからね。
kenさんもぜひチャレンジしてみてくださいね〜♪
2012/3/5(月) 午後 10:41 [ 鈴木木彫刻工房 ]
BUNさん、こんばんは。
器用な手にみえますか!? 実際には小さくて指も短いボロボロの手ですよ〜(笑)
でも確かに器用そうというか、凄みのある手をした人というのはいらっしゃいますね。
見ただけで自分の人生を語れる様な… 私もそんな手を目指したいと思います♪
2012/3/5(月) 午後 10:47 [ 鈴木木彫刻工房 ]
何度見ても凄い。。
このブログと出会い
私も趣味としてこんな事が出来たらなと思い
使用しない木をを使いながら体験してみました。
新うるしを使って書くだけの事でしたが
職場でなかなかの好評で
今度は掘りにも挑戦だーと意気込んではいましたが
まーひどいことに・・・
ゆっくり楽しみながら頑張ってみます♪
筆問ですが
尾州に掘り又は削りをした事はありますでしょうか?
会社にあった物を頂いたのですが
木札に適しているのか気になりまして
質問させて頂きました。
2013/4/13(土) 午後 1:48 [ key ]
keyさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私の木札の作り方だと道具がたくさん必要なのであまりオススメ出来ませんが、簡単な文字や絵などでチャレンジしてみると上手くいくかもしれません。
頑張ってくださいね。
質問にある尾州というのは、もしかして尾州ヒノキの事でしょうか?
ヒノキで木札を作る事は可能ですが、細かい彫りには適していないように思います。
柔らかいので彫りやすいけど欠けやすい、というワケです。
ウチのように字を塗る場合も針葉樹系は塗料を吸ってしまうので余計な手間もかかります。
木札は身に付ける場合が多いので、少し堅めの材の方がキズが付きにくく長持ちします。
彫るのは大変ですが…(汗)
練習用にするならヒノキは彫りやすいし良いと思いますよ。
2013/4/14(日) 午前 1:13 [ 鈴木木彫刻工房 ]
字は間違えるは、言葉足らずで申し訳ありません。
まさにびしゅう木曽桧です。
練習用に使いたいと思います。
いつ本番になるのか・・解りませんが(笑)
大変勉強になりました^^
2013/4/14(日) 午後 6:53 [ key ]
***さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
御質問の刀についてですが、基本的に私が木札に使用しているノミは平ノミ・丸ノミ・裏丸・小刀の四種類です。これは普段の全ての仕事にも共通しているコトで、すじ彫りの場合でも使うのはこの四種類になります。
文字は直線や曲線が組み合わさってカタチ作っています。
私の木札の作り方(かまぼこ彫り)だと、この彫り方だからこのノミ…という決まりは特にありません。直線や平面なら平ノミだし、曲線等は丸ノミや裏丸の中から丸みの合うものを選んで使います。
写真の様なかまぼこ彫りだとノミの種類がどうしてもたくさん必要になってしまいます。
例えば薬研彫りなら小刀だけでも彫れますよ。
2013/9/8(日) 午前 2:06 [ 鈴木木彫刻工房 ]
こんにちは。
木彫りを検索していたらこちらのブログを見つけました。
どうしても名前を入れたくてどうやるのか調べていました。
鈴木木彫刻工房様は個人の持っている物に彫る事は可能ですか?
素材はウォールナットです。
ご検討お願いします。
2014/12/27(土) 午前 10:17 [ 柊くんパパ ]
惡羅吉さん、こんばんは。
当店ではお客さんの持ち込みの材料で制作する事も可能です。
ただし木材の状態やサイズによっては制作出来ない事もあります。
よろしければ木材のサイズや彫る文字の内容と数等、詳しい情報も教えていただければと思います。
よろしくお願い致します。
2014/12/29(月) 午前 0:14 [ 鈴木木彫刻工房 ]
> 鈴木木彫刻工房さん
こんにちは。
縦6.5
横3.5
文字=柊龍
素材ウォールナットです。
1点
木札ではありません。
2015/1/1(木) 午後 2:01 [ 惡羅吉 ]