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木札の制作工程の続きです。
今回は文字彫り以降、ヤスリがけと塗装作業を紹介いたします。
⑪ まずはヤスリから。
最初に400番の紙ヤスリを全体にかけて
いくのですが、注意点としては彫刻面に
あまりヤスリをかけないようにしましょう。
彫刻面をヤスリで削り過ぎると文字の淵
が丸まりシャープさが損なわれます。
それに真っ直ぐ刻みを入れキレイに
仕上がっているように見えても、深い位置
ではズレが生じている場合があります。
削りすぎると文字の淵の位置が崩れて、カタチが悪くなってきてしまうんですね。
修正作業に時間がかかってしまうので、軽くヤスリをかける程度に抑えます。
私の場合、まずは側面や小口部分にしっかりとヤスリがけ
その後、使い古したヤスリ面で彫刻面を磨いています。
⑫ 400番が終わったら今度は水研ぎです。
1000番、そして1500番の順に耐水性の
紙ヤスリを全体にかけていきます。
この時私は木札を水にしっかり濡らしてから
ヤスリをかけるのですが、これは本来の耐水
紙ヤスリの使い方ではありません。
なぜそうするのかはまた後で説明します。
二種類の耐水紙ヤスリがかけ終わったら
しっかりと流水で削り粉を洗い流します。
私は使い古しの歯ブラシの先などで洗い
ますが、この時にあまりチカラをいれて
ゴシゴシと擦らないコト。
細かい部分を破損してしまう可能性が
あります。
全体が洗い終わったらキッチンペーパー
などでしっかりと水気を取り、日の当らない
場所で乾燥させます。
時間に余裕があれば一日置いておいた方が
しっかり乾燥できて良いですね。
さて、先ほど後回しにした耐水紙ヤスリについてですが
ヤスリの説明書きを見てみると 『水を多く含んだ状態では使用しないで…』
みたいな事が書いてあったりします。
耐水紙ヤスリは軽くヤスリに水をつけ、粉が周りに飛び散らないようにというコトを考えられて作られた商品。
水を含んだ木を磨くためのモノではないのです。
ではなぜ私が木札に水を含ませて磨いているかと言いますと…
何となくそのほうが水に強くなるような気がするのです
人の肌は長く水につけるとふやけますね。
木も同じように水を含むと膨張したり、表面が荒れてバサバサと手触りが悪くなります。
横の写真は水研ぎ後の乾燥させた木札。
よく見ると文字の淵が所々膨れたり歪んだり
していますね。
水研ぎをしてあるので木札表面はキレイに
整っています。
乾燥後の文字の歪みはもう一度ノミで削って
淵をキレイに揃えていきます。
⑬ ヤスリ後の調節
一度ふやかしてからまた削ってカタチを
整える事で、完成後に万が一水に濡れて
しまった場合でも文字に影響が出にくく
なるのです。
ちなみに水研ぎせずに完成させた木札は
水に濡れると手触り悪く、文字も淵が歪み
見栄えも悪くなります。
木札は身に付ける場合が多いという事を
考えると、濡れてしまった時の事も配慮して
おかなければなりません。
今回の木札は文字がそれほど複雑では
ないのでそれほど時間はかかりませんが、
文字によってはかなり大変
水研ぎをする事で作業工程がかなり増えて
しまうのですが、その一手間を惜しまない
事が出来を左右するのではないでしょうか。
水研ぎ後の修正も終わり、キレイな仕上がり
になりました
⑭ いよいよ文字の塗装に入ります。
使用する塗料はうるし科植物を原料とした
もので、本来は手作りルアー用のもの。
塗装後の見た目が本うるしに近い事と、
ルアー用という事で耐水性に優れている
点がポイントです。
チューブ入りで絵具感覚で使用出来るのと
かぶれの心配が無いのがありがたい
使用する筆は一番細い00号。
一度塗装した木札をホコリが付かないように箱に入れて一日置き、翌日二度目の重ね塗りをします。
実際にはもう少し早く重ねて塗っても問題ありませんが、しっかり乾かないうちに塗り重ねてしまうと中が
いつまでたっても乾かず、シワが寄ったり凹んだりしてしまいます。
やはり余裕をもって一日置いておく位が丁度いいのではないでしょうか。
⑮ 再び水研ぎ
二回塗り重ねて乾燥後、三回目を塗る前に
再度水研ぎをして塗装面を整えます。
使用するのは2000番の耐水紙ヤスリ。
どうしても塗る作業の時にホコリが付いて
しまったり、筆の毛が抜けて貼り付いてしまっ
たりします。
そういうゴミを取り除き、乾燥させます。
⑯ 最後の調整
水研ぎ後、乾燥させたら木札のチェック
塗装が上手くいっていない部分の修正を
していきます。
木札のように細かい彫りに塗装をすると
文字の淵に塗料が染み込んで滲んだ様に
なってしまったり、はみ出してしまったり…
赤丸が修正すべき場所です。
今回もかなり修正点が見つかりました
画数の多い文字ほど塗装後の修正も
増えてしまいます。
塗料の粘度を調節したりと色々対策はする
のですが、なかなか上手くいかないですね。
またまたノミの出番です。
はみ出てしまった個所は塗料を薄く削り取り
淵もキレイに整えて色が染み込んだ場所を
削り取り仕上げます。
この時のポイントとしては、やりすぎて
せっかく塗り重ねた塗料を剥がしてしまわ
ない様に気を付けましょう。
⑰ 三度目の塗装
修正が終わったら最後の塗装です。
一度や二度ではイマイチだった塗装面の
ツヤも、三度目となると満足のいくものと
なってきます。
ここで滲みやはみ出しといった失敗をすると
またノミで修正 → 塗装となってしまうので
焦らずしっかりと集中して塗装をします。
箱の中で一日乾燥。
翌日全体をチェックして、問題がなければ木札の完成となります
今回の木札は一カ所気になる部分があった
ので、もう一度修正&一部塗装。
ようやく完成となりました。
なかなか良い出来になったと思います。
もともと木札は秩父に戻ってきてから制作
する様になったのですが、最初の頃と比べる
とずいぶんと上達しましたね〜
今でも一番最初に制作した木札は手元に
ありますが… 酷い出来です
小さくシンプルなものではありますが、
数をこなして技術を磨き続ければ洗練され
た素晴らしい作品となっていくのでしょう。
そういう意味では私の木札はまだまだですね。
次回は 『木札制作の今後』 について、お知らせしたいと思います
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よく紹介されている木札ですが
その完成までには、このような時間と手間が
掛かっていたのですね。
さすが職人さんの仕事と言う感じです。
ぽっちです。
2012/3/10(土) 午後 10:20 [ ken ]
水研ぎの事 やはりプロならの技術ですね。
しかし・・こんなに手間がかかるものなんだと、改めて感心しました。
ぽち
2012/3/10(土) 午後 11:42
kenさん、こんばんは。ポチありがとうございます。
省略しようと思えば出来るんでしょうが… やはり今回の工程がベストだと思います。
でもなかなか理解してもらえず『高い』と値切られたりするコトも(涙)
値段設定は難しいですねぇ。
2012/3/12(月) 午前 0:00 [ 鈴木木彫刻工房 ]
soraさん、こんばんは。ポチありがとうございます。
木札だからといって手を抜く事は出来ませんからね。
おかげで赤字がどんどん増えて大変です(汗)
水研ぎは自分ではそう感じているのですが… 実際にはどうなんだろ?
ヤスリをかけると白っぽくなってしまうのは欠点ですね。
2012/3/12(月) 午前 0:14 [ 鈴木木彫刻工房 ]
プロの職人の仕事に対する誇りを感じます。作業工程の多さに驚きました。 ポチ
2012/3/12(月) 午後 6:41
絨毯-肥松さん、こんばんは。ポチありがとうございます。
どれだけ安い小品でも、ウチの作品には変わりがないですからね。
自信を持ってお渡しできるレベルのものを作るには、手間を惜しむ事は出来ません。
おかげで苦労してはいますが(汗笑)
2012/3/12(月) 午後 8:25 [ 鈴木木彫刻工房 ]
まぁ、凄い段取りですねぇ。
「木札を作ってみよう」と簡単に仰るけど・・・やっぱり私は読んで見て、疑似体験する事にします〜(汗)
「水研ぎ」と言う大事な工程があるなんて知りませんでした!
ポチ☆
2012/3/16(金) 午後 8:26
とよこさん、こんばんは。ポチありがとうございま〜す♪
サイズの割に木札は工程が多くて複雑かもしれませんね。
以前、同期の彫刻家へ子供の誕生祝いに木札のプレゼントをした事があります。
自分も制作して販売してみたいと言うので作り方を教えたのですが…
こんな手間のかかるモノは無理!って言われちゃいました〜(汗笑)
2012/3/17(土) 午前 0:31 [ 鈴木木彫刻工房 ]
手彫り素晴らしいですね。
実は今自分でも手彫りで木札を自作しようと
色々探してる最中にここにたどり着きました。
そこで質問なんですが筆はどんな毛の材質の物を使用してますか?
出来れば教えて頂きたいです。
2015/7/9(木) 午後 1:28 [ kum***** ]