今日の出来事ロジー

7月19日は、 河合隼雄 の命日です。

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 『ワンダフルライフ』(AFTER LIFE)HP
 http://www.kore-eda.com/w-life/index.htm

 1999年 118分 ビスタサイズ 監督:是枝裕和

 死んだ人の思い出作りを手伝う職員達の一週間を描いた作品。
 小説『ワンダフルライフ』(是枝裕和著)は早川文庫より発行。


 ◇『ワンダフルライフ』あらすじ
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 月曜日。木造の建物の事務所に、職員たちが集まってきた。所長の中村、職員の望月、川嶋、杉江、アシスタントのしおり。彼らの仕事は、死者たちから人生の中で印象的な想い出をひとつ選んで貰うこと。そして、その想い出を映像化して死者たちに見せ、彼らを幸福な気持ちで天国へ送り出すというものだ。そう、ここは天国への入口(リンボ)なのである。今日も、22人の死者たちがリンボの施設にやってきた。職員たちは、彼らへの面接を開始する。

 火曜日。死者たちは、それぞれに印象的な想い出を決めていく。それらは千差万別。戦時中、マニラのジャングルで米軍の捕虜になった時に食べた白米の味を選んだおじいさん。子供を出産した瞬間を選んだ主婦。幼少時代、自分を可愛がってくれた兄の為にカフェーで・赤い靴・の踊りを披露した時のことを選んだおばあさん。パイロットを目指してセスナで飛行訓練した時のことを選んだ会社員などなど。だが、中には想い出を選べない人もいた。渡辺という老人は、自分が生きてきた証になるようなものを選びたいと言うが、それが何か分からない。伊勢谷という若者は、あえて想い出を選ぼうとしなかった。

 水曜日。今日は、想い出を決める期限の日だ。望月は担当の渡辺に彼の人生71年分のビデオを見せることにした。ビデオで人生を振り返り、想い出を選んで貰おうというのだ。だが、それでも渡辺は決めかねている。学生時代、就職、結婚…、ヒントを出していく望月であったが、渡辺は全部そこそこの人生だと言うばかり。そんな時、望月はモニターに映った渡辺の妻・京子の顔に一瞬目を奪われるのだった。

 木曜日。職員たちと撮影クルーの入念な打ち合わせの後、スタジオにセットが組まれ、撮影の準備が進んでいく。

 金曜日。撮影の日である。渡辺も漸く想い出を選ぶことが出来た。それは、最後に妻と映画を観に行った帰りの公園のベンチでの風景だった。

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 土曜日。いよいよ、上映会の日だ。死者たちは、再現された自分たちの想い出の映画を観て天国へと次々に旅立って行った…。こうして今週の仕事を終えた望月。ところが、彼は渡辺のビデオの片づけをしていて、渡辺からの手紙を見つける。そこには望月こそが、京子が渡辺と結婚した後も決して忘れることのなかった死んだ許嫁であると気づいていたことや、彼女の望月に対する愛を知っていたからこそ、嫉妬心から一番大切な彼女との日常を想い出として選べなかったこと、しかし望月と出会い、彼の優しさに触れたことでそれを乗り越えられたことなどがしたためられていた。

 だが、望月が京子とのことを渡辺に黙っていたのは、渡辺に対する優しさからではなく、他人と関わることを避けてきた自分が傷つきたくなかったからだと認識していた。実は、この施設で働く職員は皆、想い出を選べなかった死者たちで構成されており、先の大戦で京子の愛を確信するまでに到らないまま彼女と死別した望月は、彼女との想い出を選べないでいたのである。だが、望月は渡辺の残した手紙を読んである決心をする。しおりと一緒に、既に亡くなっていた京子のフィルムを探し出しそれを観る望月。そこには、出征前の望月と過ごした公園のベンチでの一時が写っていた。それを観た望月は、短い生涯だった自分が他人の幸せな想い出に参加していたことを知り、それを幸せと感じることが出来るのだった。望月は、中村の許可を得て、人の幸せに参加できた自分を想い出として撮影して貰うことにした。

 日曜日。望月の撮影がされた。ただベンチに座っているだけの望月を撮影するクルー。そして上映が行われ、彼は天国へと旅立って行くのだった。

 月曜日。新たな一週間の始まりだ。望月の代わりに職員となったしおり、そして結局想い出を選ばないままの伊勢谷がアシスタントとして川嶋の下につくことになった。今日も、死者たちがリンボの施設の玄関を潜る…。



 映画『ワンダフルライフ』REVIEW/COMMENT
 Last Update : 2003/11/04(初出:装苑)
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 是枝裕和監督の『ワンダフル・ライフ』は、一風変わった「幽霊譚=ゴースト・ストーリー」である。

 どことも知れぬ場所にぽつんと立つ古ぼけた建物に、死んだばかりの人々がやってくる。そこは「この世」と「あの世」の中間地点に位置する、とある施設。彼らはここで月曜日から日曜日までの一週間を過ごすのがきまりなのだ。水曜日までに、自分の生きた人生に思いをめぐらし、もっとも大切な思い出をたったひとつだけ、選び出すことを彼らは求められる。そして土曜日(金曜日?)までに、その思い出は施設の職員たちの手によって「映画」に撮られ、日曜日(土曜日?)には上映会が行われる。その映画を見ながら、最良の記憶とともに、彼らは正式に「あの世」へと旅立っていく。

 死んだ人といっても、老人もいれば若い人もいるし、すぐに思い出を見つけられる人もいれば、なかなか決められない人や思い出せない人、あるいは、過去を掘り返すことを拒否する人もいたりする。職員たちは「思い出探し」のカウンセラーみたいなもので、彼らとじっくり話し合いながら、もっとも素晴しい「記憶」を「映画」にできるよう、誠実に取り組んでいく。

 物語はこんな施設での、ある一週間を、ゆっくりとしたテンポで描いていく。何人かの「幽霊」たちが、思い出を見つけようとしていくエピソードが、並行して語られていくのだが、非常に興味深いのは、それぞれの役柄を演じている俳優たちに混じって、素人がたくさん起用されているということだ。彼らが語る「人生でもっとも大切な思い出」は、脚本に書かれたフィクションではなく、彼ら自身の、ほんとうの思い出なのである。

 セスナ機に乗って雲を間近に見た時の思い出。夏休み前日、通学中の都電のなかで抱いたワクワクする想い。兄に買って貰ったワンピースを来てお遊戯を踊ったこと…。この映画のいくつかの部分では、出演した素人の人々への実際のインタビューがそのまま使われている。その意味では、これは一種のドキュメンタリーでもあるわけだ。しかも、この映画のなかでは、そんなほんとうの思い出も、物語の枠組みのなかで、「幽霊」たちの「映画」に撮られることになるのである。

 こんな風にして、この映画では、フィクションとドキュメンタリーとが、いや、もっと詳しくいうと、事実と記憶と現実と想像とが複雑に、しかし穏やかに混じり合って、きわめてデリケートな世界を作り上げている。「時間」から置き去りにされたかのような「幽霊」たちの世界を舞台にしてはいるが、是枝監督が描こうとしたのは、ファンタジックなおとぎ話ではなく、私たちがこうして生きている「時間」のほうであり、誰もが胸の奥に隠している「ワンダフル・ライフ」の思い出についてなのである。

 一瞬ごとに、「今」はすぐさま過去になっていく。それは何だか悲しいことだ。けれども反対に、思い出はそれがいつのことであっても、いつでも、今すぐに、思い出すことができる。思い出した時、そこに「過去」が生まれる。そこには記憶違いや美化が含まれているかもしれない。しかし、それで何がいけないのだろう。大切なことは、実際にどうだったか、ではない。いま、まさに頭の中で点滅している思い出が、いったいどのようなものであるのか、なのだ。

 映画という発明の素晴しいところは、いろいろなやり方で、「時間」を映し出すことができる、ということだろう。この映画を見終わった時、きっと多くの人が、自分自身の「ワンダフル・ライフ」について、問い直してみるに違いない。そしてそれは、グルリと回って、思い出を刻一刻と紡ぎ出していく「現在」について、想いを馳せることにも繋がっていくだろう。私も、そうだった。

 主人公である施設の若い職員を演じるモデルのARATAは、とても好演していると思う。淡々とした物腰が、ナイーヴな役柄に似合っていて、印象に残る。内藤剛志、寺島進、新人の小田エリカ、谷啓らの演技も素晴しい。派手な映画ではないけれど、見逃して欲しくない作品だと思う。
(Last Update : 2003/11/04)(初出:装苑)


 「ワンダフルライフ」 是枝裕和




 ◇ もうひとつの『ワンダフルライフ』(フジTV)
   2004年4月13日〜6月29日(火)21:00〜21:54(平均視聴率12.5%)
  (元プロ野球選手が成績不振の少年野球の監督を務めるストーリー)

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