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◇ 芥川賞は津村記久子さん「ポトスライムの舟」 第140回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日夜、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に津村記久子さん(30)の「ポトスライムの舟」(群像11月号)が決まった。 津村さんは2005年にデビュー。昨年末、野間文芸新人賞を受賞。芥川賞は連続して3回目の候補で栄冠を射止めた。受賞作は、契約社員として働く工場の低賃金を補うため仕事を掛けもちする30歳前の独身女性が主人公。 津村さんは、「働いていたから書けました」と喜びの表情。厳しい条件で働く人へのエールを求められると、「自分の小説なんて全然まだ生ぬるい。そう言う方々の代弁をしているとは思えません。自暴自棄にならないで、しのいで欲しい」などと話した。 受賞作は、奈良県の工場で働く契約社員の女性が主人公。いくら働いても薄給しか手に入らない生活に嫌気がさしていた頃、世界一周旅行のポスターを見てお金をため始める。そんな彼女とその友人の家庭生活を織り交ぜつつ、仕事や結婚に揺れる三十歳前後の女性たちの日常を淡々とした筆致でつづる。「女性は会社に勤めても首を切られやすく、結婚生活もだんなに恵まれるかどうかで変わる。社会に出て成功しなかった女性として主人公を描きました」。 「ポトスライム」は観葉植物の名。主人公にとってポトスライムを育てることは些細だが、仕事に忙殺される中で忘れた大事な営みとして描かれる。「若い新芽を見て、生きていることを実感します。いろんな境遇で楽しく生きている同世代の女性を書きたい」。 土木関係の会社の事務職。昨年の野間文芸新人賞に続く受賞だが、今後も兼業を貫く積りだ。「会社勤めをしていなければ、書けない小説もあるから」。大阪市で母と弟の三人暮らし。三十歳。 芥川賞選考委員の宮本輝さんは「つつましやかに生活している女性たちの日々がてらいのない文章で描かれている」と評価した。 ◇ 直木賞に、「悼む人」と「利休にたずねよ」 直木賞に天童荒太さん(48)の「悼む人」(文藝春秋)と山本兼一さん(52)の「利休にたずねよ」(PHP研究所)が決まった。 天童さんは1960年、愛媛県生まれ。1996年、「家族狩り」で山本周五郎賞。2000年に「永遠の仔」で日本推理作家協会賞を受賞。直木賞は今回で3度目の候補だった。受賞作は、人の死に軽重を付ける現代社会に、一石を投じた問題作。 天童さんは、「重く辛いものを抱える読者に届くような、懸命に生きている人と一緒に歩いていく作品を書きたいと思っていました」と語る。 山本兼一さんは1956年、京都市生まれ。出版社、編集プロダクション勤務を経て、2004年、「火天の城」で松本清張賞。 受賞作は、千利休がなぜ茶道を大成し、秀吉に弁明せず死を受け入れたか、秘められた恋に触れつつ描いた歴史小説。 山本さんは、「今の混沌とした時代を強く生きるために、私は時代小説を書く」と、今の時代への強い思いを語った。。 贈呈式は2月20日午後6時、東京・丸の内の東京会館で行われる。副賞各百万円。
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