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◇ ジャッキー・ロビンソン(1919年〜1972年)(Jackie Robinson) フィラデルフィア・フィリーズとの3連戦中にロビンソンが最初の打席に向かう際、人種差別的な嘲りと侮辱の言葉が彼に襲いかかって来た。「自分の耳が信じられなかったよ。まるで巧みな指揮者の合図に合わせるかのようにフィリーズのダグアウトから憎悪の言葉が飛んできたのだから」と、彼は言っている。巧みな指揮者とは、フィリーズ監督、ベン・チャップマンだった。チャップマンは自他ともに認める黒人嫌いだった。 その時だった。ドジャースの選手の一人がダグアウトから乗り出すと、フィリーズ側に向かって叫んだ。「おい、聞けよ、臆病者ども!」「お前達、どうして言い返せる奴に向かって野次を飛ばさないんだよ!」。さらにもう一人の選手も叫んだ。「お前達のチームが口と同じくらい野球が上手かったらもっと強いチームになれるのになっ!」。 フィリーズの悪辣なやり口が、逆にロビンソンをチームの一員にしてくれた一瞬だった。 ロビンソンが守備についている時、観客から憎悪のこもった野次が浴びせかけられた。「南部の紳士がどうして黒人なんかと一緒にプレーできるんだ?」。その言葉を受けてチームメイトは、行動をもって答えた。ロビンソンに歩み寄り、彼に親しく話し掛け、そして、彼の肩に腕を回した。観客は、それを見て黙ってしまった。 殆ど全てのチームの選手がロビンソンを潰そうとした。彼が守備についているときは、誰もが彼の足をめがけてスライディングした。誰もがそれを当然のことだと思ってい。ある時、ロビンソンが激しいスライディングを受けて、足から血を流してのたうちまわっているを見た相手チームの選手は、その考えを改めた。ロビンソンの血の色も、自分と同じ色をしていたからだった。 ロビンソンを快く思わないチームの一つが彼を試合に出さないようにする為に、ストライキをしようとした事がある。これを知ったコミッショナーは激怒して声明を出す。「ここはアメリカなのだ。どんな人種であろうとも平等にプレーする権利があるんだ。メジャーリーグは全面的にロビンソンを支持する」。そして、ストライキに関わった人間を全て出場停止にすると言い、ロビンソンを守った。 今日、メジャーでは外国人枠すらなくなり、世界の全ての人種が活躍している。それは、ジャッキー・ロビンソンがたった一人でメジャーリーグに渦巻く人種差別、侮蔑と偏見に対して、勇気と信念をもって立ち向かった事に始まるのだ。 1956年、ジャイアンツへの移籍話が持ち上がるが、ジャッキーはドジャースにこだわり、ドジャースにいられないならばと、翌年の1月に引退する。1962年には1939年のルー・ゲーリッグ以来となる、有資格初年度での野球殿堂入りを果たした。 引退後は実業家として活躍し、また黒人差別撤廃のため政治活動にも力を注いだ。さらに長男のジャッキー・ロビンソン・ジュニアが麻薬中毒で亡くなったため反麻薬活動にも積極的に参加。1972年10月53歳で逝去する。 ※ 日本のプロ野球でプレーする外国人選手に42番をつけている選手が多いのは、日本人にとっては、42=死に番として忌み嫌われる数字であるのに対して、メジャーリーグでは今や着けることが出来ない栄光の偉大な背番号だからだ。最近では、日本人でも「42」を付ける選手が何人か存在する。 ◇ 黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンをたたえて(2007年7月15日) ホワイトハウスのサウスローンで15日、元MLBブルックリン・ドジャースの選手である故ジャッキー・ロビンソン氏のレプリカユニフォームを掲げるブッシュ大統領。 有色人種の選手がメジャーリーグへ参加する道を切り開いた同氏の功績をたたえ、ティーボール大会を開催。選手全員が彼の背番号「42」をつけたユニフォームを着用した。 ※ 2007年はロビンソン氏がドジャースでメジャーデビューをしてから60年目。 ◇ イチロー、背番号「42」でロビンソンデーに復帰(2009年4月15日) イチローが背番号「42」で復帰する。胃潰瘍のため故障者リスト入りしていたマリナーズ・イチロー外野手(35)が、本拠地でのチーム練習に合流。今季初戦となる15日(日本時間16日)エンゼルス戦には1番右翼で先発出場する見通し。同日はメジャー初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンのデビュー記念日で、イチローもロビンソンの永久欠番「42」を付け、残り2本に迫った張本勲(元ロッテ)の通算3085安打に挑みます。 メジャーリーグの記念日に、イチローもメモリアルヒットを狙う。復帰する15日エンゼルス戦は、黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンのデビュー記念日。昨年までは希望する選手が全球団の永久欠番「42」を付けたが、今年からは全選手が付ける。日米通じプロ18年目で初めて「51」番を背にせず、伝説の「42」番で、残り2本に迫った張本の日本プロ野球最多安打記録3085本、さらに記録更新にチャレンジする。 開幕から8試合を経過しての復帰になるイチロー。メジャー史上初の9年連続200安打達成にはいきなりのハンディとなるが、イチローのとらえ方は違う。「僕が日本でやってきたことの強みっていうのが出ると思いますね。130試合の中で僕はやってきているので130プラス24という計算が僕にはできる。162マイナス8っていうふうにはとらえない僕がいるんで。まだエクストラ(余分)であるっていう感覚を常に持ってますね」。 オリックス時代の1994年に日本球界初となるシーズン200安打を122試合目に達成。この時、年間の試合数は130試合だった。単純にメジャーの年間試合数162だけを見れば失った8試合は決して小さくない。だが、130試合で成し遂げたあの時の経験は必ず生かせる。 ◇ イチロー“バッシング”、「セルフィッシュ」 WBCのストレスによる出血性胃潰瘍で、開幕ベンチから初めて外れたイチロー(35)。15日に戦列復帰するが、地元・シアトルでは「スーパースター」への期待と失望が渦巻く。 シアトル・マリナーズが「胃潰瘍」によるイチローの15日間の故障者リスト入りを発表したのは4月3日のこと。イチローは東京ドームであったWBC1次ラウンド前後から、「(みぞおち付近に)痛くはないが、だるい感じがあった」と話していたというが、突然の故障に衝撃を受けた「侍ジャパン」の面々からは、ねぎらいの声が多数寄せられた。なかでも実感がこもっていたのが、3年前の第1回WBCの優勝監督、王貞治氏だった。 「僕は胃癌だったが、イチローは胃潰瘍だろ。良かったよ、彼はまだ薬で治るんだからね」。王さんが胃の全摘出手術を余儀なくされたのは周知の通り。今回のWBCで病魔に蝕まれたのは、代表監督の原辰徳監督ではなくイチローだった。これは背負ったモノが監督より重かった、という何とも笑えないエピソードとして語り継がれるかも知れない。 しかし、米国の野球ファンの捉え方は大きく違っていた。イチローの胃潰瘍は「同情論」では済まされない重大事と指摘する向きがある。ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜をはじめ、多くのトップ選手がシーズンを優先してWBCを辞退した中、率先出場したイチローの姿が「これ以上にない皮肉な光景」に映ったと見るのだ。 「数年前から、イチローは『チームリーダーの役割を果たしていない』『個人主義がすぎる』とチームメイトから批判されてきた。今回、『日本代表ではリーダー的役割を果たした』と大きく報道されているだけに、チームメイトだけでなくマリナーズの地元ファンも歯痒い思いをしている」と現地関係者は見ている。 イチローが「セルフィッシュ(自分本位、自己中心的)」と批判を浴びてきた事実は日本であまり報じられないが、地元や大リーグファンの間では有名な話。大リーグでは、スーパースターほど「チームの勝利を最優先する」という自己犠牲に近い考え方が一般的というだけに、「セルフィッシュ」は不名誉な表現であり、「ジコチュー」と言う非難の言葉と殆ど同義。 2001年のアメリカン・リーグ西地区優勝以来、マリナーズはプレーオフにも進めない低迷ぶりだが、8年連続200安打の大リーグタイ記録、2004年にはシーズン最多安打の大リーグ新記録262安打をマークしたイチローだけは常に脚光を浴び続けている。2008年から5年で総額110億円の複数年契約を交わし、名実ともに「スーパースター」の地位を確立した。 イチロー、“ Zen Face ”を捨てて … 「セルフィッシュ」批判がバッシングに変化するのは時間の問題だった。キャンプインしたイチローがついに、いつもの『禅フェース』を脱ぎ捨てて、自分を批判し嫉妬し続けるチームメイトに対して「自分の行動を常に説明しないといけないのか」と噛み付いた。 これは、イチローがWBCに出たこと、そして最後のイニングでヒットを打って大スターの貫禄を見せつけたことに、チームメイトからやっかみ半分の不満の声が上がり、イチローも興奮して反応したものだった。 「嫉妬し続けるチームメイト」から見れば、ポーカーフェースで自分を見せようとしないイチローは親しみにくい存在であり、「侍ジャパン」ではリーダーシップを存分に発揮しながら、マリナーズでは決して見せようとしない姿勢への怒りがこめられているのかも知れない。 ウェブサイトの過激な反応 4月8日付の地元ニュースサイト「シアトルEPI」がこう伝える。「米国の高年俸の大リーガーは『シーズンに集中するため』にWBCを欠場した。なぜイチローはそうしないのか、という質問に、『母親に指図される子どもじゃあるまいし、そんなことを質問されること自体が時間の無駄だ』と答えた。だが、マリナーズファンにとっては、その結果が、胃の痛みからくる故障者リスト入りというのでは到底、納得できない。 イチローはこの休養を生かし、マリナーズのチームメイトが感じている彼への嫉妬を解きほぐし、よりアメリカンな態度で接することでチームメイトとの関係改善を考えればよい」。 WBC辞退でシーズンに万全を期した他球団のスーパースターと違い、イチローはWBCで故障して帰ってきた。プレーオフ出場を逸し続けている弱小チームならではの、鬱屈した不満が噴き出しつつある。 今季からニューヨーク・メッツに移籍したマリナーズの「元守護神」、プッツは『シアトルタイムズ』紙の取材に対し、元チームメイトのイチローに対してこんな不満をぶちまける。「毎年、200安打のことばかり議論するのは疲れる。イチローはもっと他に話すことがあるはずだ」。イチローはどうやら、マリナーズにあって「四面楚歌」なのではないか。そして、WBC出場前から彼の胃はストレスに耐えかねていたのかも知れない。 ※ あと3本で、イチローに通算3085安打のプロ野球記録を抜き去られる野球評論家・張本勲氏は、自らの経験から語る。「35歳を過ぎると気持ちは逸るが、体がついてこなくなる。バネとスピードでずっとプレーしてきたイチローには相当つらい筈。今のイチローは気持ちも体力もいま一つの状態だなと心配しています。今年の200安打は難しいと思いますよ」。 孤立無援のイチローが、幾多の困難を跳ね除けて200安打を打てば、9年連続のメジャー新記録となり、米野球殿堂入りは確実と言われる。「セルフィッシュ」に徹して偉業を成し遂げるのも、これまたプロにあらずや。 |

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