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今にして思へば楽し吾が命 若き時節は何故に苦しき 古くから言われるように … 渋柿の 渋がそのまま 甘みかな と言う風情でしょうか。
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◇ NHKドラマ「奇跡の人」を観て 【放送:2016年4月24日(日)〜6月12日(日)】 『奇跡の人』は、2016年4月24日からNHK BSプレミアムで放送されているドラマで全8回。脚本は岡田惠和によるオリジナル、主演はロックバンド・銀杏 BOYZ の峯田和伸で、本作が連続ドラマ初主演となります。 本作は、あの『奇跡の人』のヘレン・ケラーと彼女の家庭教師アン・サリバンをモデルにしつつ、サリバン先生を男性に変えて、ラブストーリーを軸に据えるなど、大胆に翻案されています。 なによりも、知性豊かで厳格な教育者であるアン・サリバンの立ち位置を根底からひっくり返して、 峯田和伸が演ずるところの亀持一択という、知性の欠片も無いと言えば言い過ぎだが、事実どうしようもない箸にも棒にも掛からぬダメ男が、鶴里 海という「三重苦」の少女のお世話をするという設定なのである。 峯田和伸と、鶴里 海の母親役の麻生久美子とは、実に13年ぶりの共演となる。「ダメ男」亀持一択が、海の母・鶴里花に恋をするところからドラマは始まります。 脚本は、ドラマ『若者のすべて』『ビーチボーイズ』『最後から二番目の恋』などを手掛け、映画『世界から猫が消えたなら』なども担当する人気脚本家・岡田惠和さんだ。 脚本 - 岡田惠和 音楽 - 井筒昭雄 題字 - 峯田和伸 演出 - 狩山俊輔 田部井稔 プロデューサー - 大倉寛子(AXON) 制作・著作 - NHK AXON ◇ ドラマは世界を変えられないけど … 脚本家・岡田惠和(49分・連続8話) 脚本家になって25年が過ぎましたが、「奇跡の人」は初心に戻ったつもりで書かせていただきました。初期衝動というか、自分はこんなドラマが書きたくて、この仕事を目指したのだということを思い出させてくれるドラマでした。一言で言うとすれば「人の強い思いこそが、奇跡を呼び起こす」ドラマ。まっすぐで熱くて、笑って泣けて、そして観ていただいている方の心に小さな奇跡を起こすようなドラマに仕上がっていると思います。 ドラマは世界を変えられないかもしれないけど、人の心は動かせるかもしれない。そんなちょっぴり青臭い願いを込めて、気合い入りまくりの執筆でした。峯田さん、麻生さん、宮本さんを中心に素晴らしいアンサンブルで、なんだか観たこともない新しいドラマの世界が出来上がっています。 二話以降も。是非、楽しみにしていただきたいと心から思います。自信作です。 ◇ 真摯に、そしてロックのように … 演出・狩山俊輔 取材の中で実際の盲ろう児の女の子と会う機会がありました。彼女も劇中の海と同じように目が見えず、耳も聞こえません。ブランコと唐揚げとポテトチップスが好きでとても好奇心旺盛な女の子です。印象的だったのはとてもよく笑う事。盲ろうは音のない暗闇の世界などと表現されますが、彼女は不自由はあるもののしっかりとこの世界を生きていました。 このドラマに登場する海ちゃんは、彼女のように世界を知るキッカケがまだ訪れていない女の子。そして、サリバン先生とは似ても似つかぬバカな男・亀持一択との「世界を知る」ためのバトルを、真摯にそしてロックンロールのように大胆に描いていきたいと思います。 ◇ ◯◯くん、あーそーぼーっ! 制作統括・河野英裕 このドラマは、ひとことで言うと「腐りかけのダメ男が、がんばる話」です。よくある話です。しかしそのシンプルさの中に、ヘレンケラーとサリバン先生の実話「奇跡の人」をヒントに、様々なテーマを注ぎ込んで、濃密で刺激的で、よくあるようだけど見たことないもの、を目指しました。 プロデューサーの仕事は「◯◯くん、あーそーぼーっ」と、みんなの家を回って、叫んで、ドアから出てきてくれるのをワクワクと待つ小学生みたいなものです。そしてみんなが集まって、夢中で遊ぶ。その結果、奇跡のようなドラマが生まれたと思っています。 スタッフ・キャスト全員で、一生懸命作りました。少しでも多くの人に、見ていただきたいと願っています。そして長い時間、このドラマが残ってくれたらと … 。よろしくお願いします。 ◇ 「バカ」にイイ男 制作統括・後藤高久 奇跡という言葉はうさん臭くて嫌いです。私には今までの人生で、一度も信じた奇跡が起きなかったから … 。しかし、主人公の一択を見て、奇跡は<信じる努力を続けられる人>にだけ起こるのだと知りました。一択みたく「バカ」のように能天気に奇跡を信じること! が、案外これがムズカシイ。だって誰も「バカ」にはなりたくないし、「バカ」にされたくもない。 でもドラマを見続けているうちに、「バカ」も捨てたもんじゃない!と思えてきます。峯田さん演じる「バカ」な一択がとんでもなくイイ男に見えてきます。これぞ脚本の岡田さんマジックの真骨頂。日曜の夜はドラマを見て「バカ」になって、ぜひ人生の奇跡を起こしてください! ◇ 登場人物の紹介(役名 → 役者) 亀持一択 → 峯田和伸 山形県出身。小学生の頃から要領が悪く中学・高校と覇気のない青春時代を送る一択にとって、唯一の友はロック。何となく上京し、何となくミュージシャンを目指すも、成功することも女性にもてることもなく三十代終盤になってしまった。本当に私みたいにうだつの上がらないダメ男なのだ。 一択は海の「先生」になり、暗闇の先にある「世界」を伝えることができるのか? そして一択は、花への愛を貫いて「家族」となることができるのか? 鶴里 花 → 麻生久美子 社会に反抗的な青春時代を過ごした花は、いわゆる元ヤンキー。数年前に夫の正志が突然姿を消すも、それでも正志の祖母・咲の面倒を見ながら、目と耳に障害のある娘・海を懸命に育てている。冷たい世間との戦いに疲れ果てた花は、バカな一択と巡り会って救われるのか? それとも? 鶴里 海 → 住田萌乃 生まれたときから目と耳に障害があり、7歳になった今も話すことができない。自分の気持ちを表現する術を持たない海だが、一択との触れ合いを通じて微妙な変化が現れる。『マッサン』でエリーの長女を演じた子役。 鶴里正志 → 山内圭哉 花が初めて恋に落ちた男。怖いもの知らずの暴れん坊だが、心根はいい奴。わが子の障害をなんとかしようと躍起になったが、ある日突然家を出て、以来帰って来なくなった。 福地 正 → 浅香航大 将来は日本を背負って立つ官僚を目指す、さえない大学生。福祉行政に詳しく「フクシくん」と呼ばれるが、どことなく上から目線でなんだか鼻もちならない。自分に批判的な佳代にいら立っているのだが … 。 佳代 → 中村ゆりか 絵画を学ぶ美大生。ほとんど人づきあいをせず創作に打ち込んでいるらしいが、一向に作品が出来上がる気配がない。何かと「フクシくん」の言動が気になって、ついついケンカしてしまう。 ケンカが二人を取り持つ大きなご縁に … 。 馬場三太 → 勝地涼 一択が唯一、心を許せる呑み友だち。「腐った世界と戦うために何をなすべきか?」をいつも自問しているという自称詩人だが、この9年間まったく詩を書きあげたことはない。一択と同様に、人生ロックに感ず。 八袋 → 光石 研 戸倉アパートの古株だが極度の人見知りのため、誰も彼のことを詳しく知らない。仕事は街頭で靴磨きをしているらしい。後に、彼の特技・レスリングが一択を男にすることになるかも … 。 一択の祖母 → 白石加代子 高校を卒業しても実家でブラブラしている孫の将来を案じ、無理やり東京に放り出した。「一生に一度でいいから、人の役に立つことをしろ」と、一択に厳命したのだが … 。一択にとっては、最良の理解者なのだ。 都倉風子 → 宮本信子 「都倉アパート」の大家さん。「大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然」が口癖で、住人たちにとっては厳しくも頼りになるゴッド・マザー的存在だ。花と海の手助けをしたいと、柄にもなく奮起した一択の心意気に感じ入り、借家を追い出された花親子をアパートに迎え入れてやる。 ◇ わたしたちはみんな、こうやって、大きくさせて頂いてきたんだ … 何らかの障害があろうとなかろうと、わたしたちはみんな、こんなふうにお母さんに育てられてきたんだ。子を育てる母親の苦労など、わたしなどには到底わかりもしないが、その並々ならぬ御苦労だけは想像できると言うものだ。そして吾が妣が、どれほど私のために心を砕いてきたかを、今さらながらに思うのだ。世の中に、母ほどありがたいものはありません。報いを求めぬ無私の愛ほど、尊いものはありません。 一択であれ、正志であれ、風子であれ、佳代であれ、八袋であれ、有縁の人たちが、皆その分に応じた愛を注いで、やさしく見つめることができれば、私たちの世の中は、見違えるほどにやさしい愛に満ち溢れるのではないだろうか。夢物語と一笑に付すことはたやすい。でも、そんな事でいいのだろうか? わたしたちは決して、無味乾燥の世界を求めている筈がない。誰でもが心に潤いを求めるものではないだろうか。 ならば先ず、身近な人にやさしく接してみよう。昨今言われるが如きの「ネット炎上」は、徒に人の心をいたぶるものであり、あとには虚無の風が吹くばかりだ。 明6月12日の日曜日が最終回です。とても名残惜しいドラマです。 映画「ROOM」と同じような強い印象を受けた。私が子ども時代にどのように生育してきたのか、再び確認できたような、嬉しい気持ちにひたっています。 目は見え、耳は聞こえても、世界の意味を理解できなかった子ども時代。わたしは、なんなんだろうと、密かに思い悩んだ子ども時代。これは、絶対に人に知られてはならない自分だけの「秘密」なんだと、思い込んでいた子ども時代。他人(ひと)とは違うことを絶対に知られてはならないと思い詰めていた子ども時代。 その時のわたしに再会できるとしたら、「あなたはあなたのままでいいんです」と囁きたい。
Speaking words of wisdom Let it be
※ 子どもの頃、口喧嘩の際に「お前の母さんデベソ」と、よく言ったもんだった。 ある時、自分の母親にも「お前の母さんデベソ」と、言ったことがある。さすがに自分自身おかしいかなと、頭の中に「?」が渦巻いた。 その頃の私は何故なのか、鬼瓦に強い関心を持っていた。鬼瓦は、棟の端などに設置される板状の瓦の総称で、多くは鬼の形相をデザインする。 わたしは訳もなく、母親のことを「鬼瓦!」と言っては、不満をぶつけていた。 ある時、母が「鬼瓦」って何なの、と尋ねたことがあった。わたしは答えることが出来なかった。わたしはただ、訳の分からないものに心ひかれていただけで、おそらく「鬼瓦」の現物も見てはいないと思う。 そんな私が小学校の6年間毎月、母に手を引かれて内弟子として鬼子母神を参詣した。 「鬼子母神」、鬼の形相の悪鬼羅刹が仏さまに諭されて改心、その後は子どもを守護するようになる。 「鬼瓦」と「鬼子母神」、この「鬼つながり」に、特に意味はない。 |
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葉桜や身に添ふものは風ばかり ながらへて葉桜となる意気地なし
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◇ 映画 「砂の器」 と 「ROOM」 との共観性 先日、「ROOM」と言う映画を観た。心が激しく揺さぶられ、涙した。(4/8) そして、かねてより私の心の奥底に、深く濃い陰影を落としていた映画「砂の器」の心象風景の意味を諒解した。
そこは、完全に閉塞された小さな「部屋」であり、全世界であった。
映画監督・原田眞人の評:母が子を世界に送り出した瞬間、屈指の名作が生まれた。繊細で知的かつスリリングな演出と演技。魂の解放を扱った映画の最高峰だ。
「最初に車が止まった時に飛び降りなさい!」
悪意の誘拐犯は、不況下の影響で既に失業していた。それを知らされた母親は、いつか自分たち親子が小さな「部屋」の中で、人知れぬまま餓死する様を脳裏に浮かべた。 ・・ 座して死を待つよりも ・・ 、ワンチャンスの賭けに母子の命運を全て託す決心をする。自分の息子に「死体」を演じさせ、誘拐犯に息子を「外の世界」へ捨てさせるのだ。「体を転がして、巻かれた敷物から出るの!」「助けをもとめて!」 世界はかくも広大だった。恐ろしいまでに膨大であった。心が壊れそうだった。 理解できぬ事柄が一時に、余りにも大量に、心の中に一気になだれ込んできた。 【追記】2016/04/27:再度鑑賞 誘拐犯に拉致監禁されて7年、その間に生まれた男の子ジャックは5歳の誕生日を迎えていた。決死の覚悟で死地を脱した母子は、その後しばらくはメディアにさらされた。母親は極端にナーバスになり、ジャックとの母子関係も不安定になる。特に母親自身が、その両親との関係で軋轢を作りだしてしまう。 「外の世界」になじめないのは、ジャックだけではなかったのだ。 母子二人は、「ROOM」を再訪する。 「縮んでしまったの?」。 ジャックはこれまでの5年間、全世界だと思っていた「ROOM」の余りの小ささに驚く。おもだった備品は、既に証拠品として警察が搬出していた。がらんとした部屋は、なおさらに小さく感じられた。 ジャックは言う。ドアが開いているなんて「ROOM」じゃない! 母親は言う。「閉まっていた方がいいの?」 ジャックが言う。 「NO!」 母子の再生がゆるやかに動き出す・・・
Speaking words of wisdom Let it be
余りにも過酷だった父子の半生。ライを患う父を支えながら、各地を流浪する息子・秀夫。 昭和の前半、差別の意識は今よりも遥かに苛烈なものだった。行く土地土地で邪険にされ、石を投げつけられた。お地蔵さんへの供物で飢えをしのぐような、あてもない遍路の旅路。 後に秀夫は、自身の過去を完全に抹殺する。それはまた、父の遺志でもあったのだ。 息子に父の汚辱を負わせたくないという、切なる親心だった。 絶対に人に知られてはならぬ親子の「秘密」を、秀夫は周到に抹殺したのだった。 筆舌に尽くしがたい辛酸を味わった父子、その半生は思い出したくもない過去であった筈だ。父はやがて入院して、療養生活に入った。そして、息子には絶対に自分の居場所を教えないで欲しいと強く願う。 だが、少年・秀夫は、父に捨てられたとの思いを強く抱いた。父への思い止み難く、秀夫は親切に面倒を見てくれた巡査の家を出奔するのだった。 誠実この上ない元巡査を、親子ぐるみでお世話になった大恩ある元巡査を、作曲家・和賀英良となった秀夫は、殺害するに至る。それも、あまりにも惨たらしい方法で---。 事件発覚後、捜査は怨恨の線で進められるが、元巡査には褒められるべき点は多々あるものの、人に恨みを受けるような人物では全くなかったのだ。捜査陣は怨恨を捨てた。 ここから、犯罪に至る動機にこそ、その人間性が顕在化するという清張の作風が遺憾なく発揮されるのだ。 知らず、「人間の業」と言う言葉を想起する。ひたすらに悲しい響きがある。水上勉の「飢餓海峡」と双璧をなす作品だ。まさに人間とは、「悲の器」なのか。 「ROOM」では、外の世界を知った少年が欣喜雀躍として生を謳歌する。対して母親は、完璧に自分だけの存在だった息子が、急に遠くへ行ってしまったような疎外感に気落ちする。母親は、監禁状態の頃の濃密な親子関係を懐かしむ。 「砂の器」では、最も過酷な時期こそ人生の喜びであったと回想するに到る。父・千代吉は、永遠に忘れられぬ旅でしたと、最後に描いた絵の裏側に書き遺した。和賀英良はその文言に号泣し、「父さん、なんで僕を捨てたんだ!」と絶叫する。いちばん悲惨で過酷な時代こそが、その人間を創りだしていた。傍目にはどれほど辛そうでも、当事者には相応の充足感があったのだ。 私の人生にも、「砂の器」や「ROOM」にも比すべき時代があったやに思われるのだ。 「ROOM」を観て、そのことに気付いた。古稀を目前にして、それに気づくことができて大いに喜んでいる。わたしの人生に感謝できる。 鐘楼にあひよる母の下駄音が 今もなほ吾が胸に響くなり ・・・ 合掌 BGМは、ピエトロ・マスカーニ 作曲『 Intermezzo 』(間奏曲)
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