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◇ 映画 『 告白 』 2009年の本屋大賞に輝いた湊かなえの同名ベストセラー小説を原作に、教え子に愛娘を殺された中学校教師の復讐を描くミステリー。 『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督がメガホンを取り、事件にかかわった関係者たちの告白体によって真相を明らかにする、緊張感あふれるドラマ作り。 松たか子が狂気を体現するヒロインを熱演し、木村佳乃が息子を溺愛するだけの母親を好演する。 とある中学校の1年B組、終業式後の雑然としたホームルーム。教壇に立つ担任の森口悠子(松たか子)は、生徒らの喧騒に全く無関心に、静かに語り出す。 「わたしの娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではなく … 、 このクラスの生徒に殺されたのです」。教室は一瞬、静まりかえる。 担任の衝撃的な告白から物語は始まっていく……。 犯人はAとB、教室内には犯人捜しのメールが飛び交う。 そして、たった今、AとBは、HIV感染の血液を混入した牛乳を全部飲み干してくれましたと、もの静かに語るのだった。 小説 『 告白 』の構成 第一章「聖職者」(『小説推理』 2007年8月号) 市立S中学校1年B組、3学期の終業式の日。担任・森口悠子は、生徒たちに間もなく自分が教師を辞めることを告げる。原因は“あのこと”かと生徒から質問が飛ぶ。数ヶ月前、学校のプールで彼女の一人娘が死んだ。森口は、娘は事故死と判断されたが本当はこのクラスの生徒2人に殺されたのだと言う。犯人である少年「A」と「B」を告発し、警察に言うつもりはないが、彼らには既に復讐を仕掛けたと宣戦布告する。 第二章「殉教者」(『小説推理』 2007年12月号) 2年に進級したB組の空気は陰鬱だった。「少年A」の渡辺は学校に来ていたが、「少年B」の下村は一度も姿を見せていなかった。そんな状況下に赴任した、やたら熱血教師のKYな新任教師・寺田良輝の愚行が、クラスを絶望的に破綻させてゆく。 第三章「慈愛者」(『小説推理』 2008年3月号) 下村が母親を殺してしまう。下村の姉・聖美は、弟が起こした事件の背景を知ろうと、母親の日記を読み始める。そこには、弟が母親を刺殺するまでの経緯が、息子を溺愛する一方的な母の思いと共に綴られていた。 第四章「求道者」(書き下ろし) 母親を刺殺した下村は、少年刑務所の壁に映る幻覚を見ていた。彼が共犯者である渡辺と出会い、愛美を殺し、さらに母親を殺害するまでの苦痛に満ちた暮らしを、フラッシュバックという形で追体験する形で、物語を読み解いてゆく。 第五章「信奉者」(書き下ろし) 主犯である渡辺が、愛美を殺すに至る経緯を母親への遺書という形で語る。 第六章「伝道者」(書き下ろし) 森口悠子から渡辺へ、携帯電話で救いようのない最後通告がなされる。「これが私の復讐であり、あなたの更生の第一歩だと思いませんか?」 … 。 ◇ 登場人物 森口悠子(松たか子) 1年B組の担任。安定した職に就きたいという思いから教師になる。結婚目前に妊娠を知るが、恋人(桜宮正義)のHIV感染が発覚する。 「子どもは産んで欲しい」「子どもの幸せを最優先に考えたい」という彼の頑なな態度のため、未婚の母となる。 一人娘の愛美を理不尽な理由で、渡辺と下村に殺されたと知るや復讐の鬼と化す。桜宮の血液を渡辺と下村の牛乳の中に混入しようとするが、桜宮により阻止される。下村への復讐は成功したが、渡辺は全く懲りていなかった。森口は、渡辺の悲しい生い立ちを知り、渡辺の弱点は母親だと知る。そして、母親を絡めた残酷な復讐を仕掛ける。 渡辺修哉(西井幸人) 1年B組の男子生徒。「少年A」として森口に告発される。幼い頃から母親に電子工学などを学んだ。両親が離婚し、父親の元で暮らしている。幼少期に母親から虐待を受けていたが、母親を溺愛しており、家を出ていった母親に注目されようと様々な発明品を作る。そのうちのひとつ、『びっくり財布』、実は『処刑マシーン』が全国大会で特別賞を受賞する。 直樹に対して、「君は明らかに出来損ないだ」と言い放ち、直樹の人格を崩壊させる。 下村直樹(藤原薫) 1年B組の男子生徒。平凡ながら幸せな家庭に育つ。あるきっかけから修哉と仲良くなる。「少年B」として森口に告発され、クラスメイトに復讐されるのを怖れ、2年から不登校になる。愛美を直接殺害した犯人。 森口の一人娘に対して、修哉は始めから殺意を持っていたが、直樹は始めは全く殺意を抱いていなかった。 直樹の母親(木村佳乃) 息子を異常なまでに溺愛しており、息子が不登校になったのは森口による告発が原因であると、学校に訴え、事件の発生原因そのものを、森口の責任であるとする。 「そもそも職場に不用意に娘なんか連れてくるからこの事件が起きた」と持論を展開するモンスターペアレント。息子を殺して無理心中するつもりが、息子に殺される。 寺田良輝(岡田将生) 2年B組の担任になった新米熱血教師で、桜宮正義に心酔する。生徒にも学生時代からのあだ名「ウェル〔良〕テル〔輝〕」と呼んで欲しがる。生徒を親身になって考えているような行動をとるが、自分の行動を抑えられず、自己満足を優先させる性格。 森口は、その性格を利用して彼をコントロールし、下村を責め苛む。 自己陶酔に浸っていた寺田だが、下村が母親を殺害した時の警察からの取調べで、同席していた美月に、「直樹君を追い詰めたのは、良輝先生です」と糾弾される。 北原美月(橋本愛) 2年B組の委員長。下村とは幼なじみで、家も近所だった。下村が不登校になって、ウェルテルと共に下村の家へノートなどを届ける役目を負わされる。ルナシーという少女の殺人者に憧れ、毒薬などを密かに集めている。 寺田教諭は、自分をウェルテルと呼ばせるために、美月のあだ名を尋ねる。美月は、いやいや「ミヅホ」と答える。これからは君を「ミヅホ」と呼ぼうと、明るく叫ぶ寺田。他の生徒らが「ミヅホッ、ミヅホッ」と囃し立てる。実は「ミヅホ」とは、「美月のアホ」の意味だった。 渡辺修哉に殺される。 ※ シナリオが大変良く出来ている。演出も手堅い。だが、楽しく観られる映画では絶対ない。始めから心に鎧をつけて観なければならない、そんな映画だった。それでも、観てしまった。観終わった時、ささくれ立つ様な感情はなかった。ラストの爆破シーン、修哉の悔恨の表情に、この映画の観客は救われる。もしも、ラストの空前絶後の感動的爆破シーンがなければ、私はこの映画を観たことを後悔したかも知れなかった。やはり、大スクリーンの映像と大音響は、60億の細胞膜を波立たせてくれる。 ※ TOHOシネマズ モレラ岐阜 2010/06/10 14:35〜16:30 ◇ 松たか子「告白」アカデミー賞“日本代表” (2010.9.9) 松たか子(33)主演の映画「告白」(中島哲也監督、公開中)が来年開催の第83回米アカデミー賞外国語映画賞部門の「日本代表作品」に選ばれたことが8日、分かった。日本映画製作者連盟が発表した。 同作は、教え子に娘を殺害された中学校教師(松たか子)の復讐劇で、日本では6月5日に公開されて評判を呼び、現在観客動員数292万人、興行収入37億円を突破中。 今後は世界各国の代表作の中から、来年1月中旬に同部門候補作5本が選ばれる。最優秀作品が発表される授賞式は、2月27日に米ロサンゼルスで行われる。 ※ シネコンで一日一回程度の上映だが、今も観客動員中とは驚いた。
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