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平成25年9月15日(日)今日:バレンティン56号本塁打は阪神ファンがキャッチ。
< ヤクルト 9―0 阪神 > (15日・神宮球場)
新記録はバレンティンらしい鮮やかなアーチだった。一回1死二塁。榎田の外角の真っすぐを叩いた当たりは左中間スタンド中段に吸い込まれた。 「今までで最高の感触だった」。打った瞬間に本塁打と確信したバレンティンは両手を上げ、スタンドに入るのを見届けて力強く拳を握ってから、ゆっくりと走り出した。
左中間席に飛び込んだバレンティンの56号のボールを手にしたのは静岡県袋井市から訪れた阪神ファンの会社員、成岡祥さん(26)。球場に到着して席を探していたところ、歓声が上がって、白球が目の前に転がってきたという。マートンが好きという成岡さんは「動転して(阪神の)応援も、気もそぞろでした」。ボールはバレンティンに渡り、成岡さんはサイン入りのバットなどをプレゼントされ、笑顔だった。
本日9月15日、ヤクルト・バレンティン選手が本塁打記録を更新しました。
日本のプロ野球界で「聖域」とも言われた1シーズン55本の本塁打記録が、49年の時を経てついに更新されました。 成し遂げたのは地球の反対側の小さな島で育ち、来日3年目のウラディミール・バレンティン選手(29)=ヤクルト。かつては、記録を破らせないための四球連発にファンからも批判が集まったが、真っ向勝負の日々が続いた末の「偉業達成」に、時代の変化を感じるファンも多かった。
台風が近付いて試合ができるか危惧される中、熱心なファンで埋まった神宮球場。バックネット裏には、12日に急遽初来日した母アストリットさん(64)の姿も見えた。2011年にヤクルトに誘われて来日を決めた時も何も言わず、「僕が決めたことを一生懸命に応援してくれた」とバレンティン選手が振り返る「最大の理解者」だ。 その瞬間は、いきなりの第1打席だった。夜空にバレンティン選手らしい放物線が描かれ、観客は総立ちに … 。ヤクルト名物のビニール傘を振って応援していたアストリットさんも、立ち上がって両手を大きく広げてガッツポーズ。周囲から「コングラチュレーション」と次々と言葉をかけられ、握手攻めに遭った。
スタンドのどよめきもなかなか収まらない状態が続いた。 「すごい!」「びっくりした」。王貞治さんの本塁打世界記録「756号」も球場で目撃したという群馬県桐生市の図書館館長、小泉仁彦さん(57)は「警戒されて打たせてもらえないのではと思っていたので、とにかくびっくりした。歴史的瞬間を2度も目の前で見られて感無量です」と大喜び。ただ、長年の野球ファンの一人として、日本球界の記録が塗り替えられたことには「本音はちょっと悔しい。これも時代ですかね … 」。
一方、阪神ファン歴約40年の東京都府中市の会社員、田中宏之さん(52)は「素直に祝福したい。今はビジネスの世界もグローバル。バレンティン選手は日本に来て、素晴らしい成果を出した」。大リーグで活躍するイチロー選手らの名前を挙げ「日本人が活躍しても向こうの人は悔しいとは言わないでしょう。日本でもそうならなくては、日本球界はメジャーに勝てないし、強くならない」と話した。
◇ ヤクルト・バレンティンが56、57号
バレンティン外野手が15日、阪神戦(神宮)の一回、榎田から左中間に今季56号となる2ラン本塁打を放ち、シーズン最多本塁打のプロ野球新記録を達成。バレンティンは三回には2打席連続となる57号左越えソロ本塁打を放った。 バレンティンは11日の広島戦で55号を放ち、1964年の王貞治(巨人)、2001年のタフィー・ローズ(近鉄)、2002年のアレックス・カブレラ(西武)の3人の最多記録に並んでいた。 バレンティンはオランダ・キュラソー島出身。米大リーグのマリナーズなどをへて、ヤクルト入団。1年目の2011年、12年と2年連続でセ・リーグの本塁打王を獲得している。
※ 是非とも60の大台に乗せてほしいものだ。プロ野球界がひと皮剥けた。
◇ 阪神がバレンティンと真っ向勝負する理由(わけ)
阪神は13日のヤクルト戦(神宮)に3―2で勝利し、連敗を4で止めた。注目の“55発男”ウラディミール・バレンティン外野手(29)にも虎投手陣は真っ向勝負を挑み、4打数無安打と封じ込んでの白星だ。とにかく虎はバレから逃げない。作戦面以外での敬遠はしない方針だが、これには1985年の、あの“事件”が関係していた … 。
6回2失点で今季8勝目をマークした先発のスタンリッジはバレンティンを中飛、三振、右飛に封じ「今日の目標は1つだけ。バレンティンに56本目を打たれないことだった。逃げようと思わなかったし、歩かせようとは考えなかった」と力強く振り返った。後を受けた久保田もバレンティンに真っ向勝負を挑み、投ゴロ。「逃げないで思い切っていけ!と言ってある」と、中西投手コーチの完勝だった。
虎はバレから逃げない方針だが、この裏にあるのは1985年に起きた“ランディ・バース敬遠事件”だ。 当時、バースは54本塁打で巨人とのシーズン残り2試合に臨んだが、真っ向勝負したのは最初の試合(10月22日、甲子園)に先発した江川だけで、後の投手は逃げまくり。10月24日の後楽園球場での最終戦ではストレートの四球が4度もあるなど、まともに勝負してもらえなかった。 ある球団関係者は当時を振り返りつつ、こう話す。「アレがなければバースは55号を打っていただろう。阪神の関係者や選手は全員同じ思いだ。だから、同じことが起きたらウチは絶対に逃げてはいけない。アレを認めることになるからね」。
もしも、ここで虎投手陣がバレンティンから逃げれば、巨人がバース氏から逃げた行為を阪神が認めることになる。それは虎戦士全員が心に秘めている思いだ。あの時のライバルと同じことをしては、レジェンドであるバース氏に顔向けができないと … 。 同じ助っ人の立場のスタンリッジはなおさら、その思いが強かったのだろう。14日に先発する藤浪晋太郎(19)について話が及ぶや「攻めてくれると思います。そう(藤浪に)言います」ときっぱり。 バレンティンに真っ向勝負を挑み、そしてしっかりと抑える。それこそが虎の誇りだ。
◇ 今日の誕生花・ススキ(イネ科)
花言葉は、「活力」。
三日月の頃より肥ゆる子芋哉 子規
※ 十五夜には里芋を供え、芋名月と云う。
欄干に寄りて無月の隅田川 虚子
※ 「無月」は、中秋の名月が雲で見えぬこと。「雨月」は雨で … 。
別れ路芒の向きに歩み出し 本多 脩
照れば金日かげれば銀芒かな 下村梅子
をりとりてはらりとおもきすゝきかな 飯田蛇笏
皓々と月渡りゆくすすき原 折々しろき波たたせつつ 鳥海昭子
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