今日の出来事ロジー

7月19日は、 河合隼雄 の命日です。

[ オリヲン座 ]

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 前のページ | 次のページ ]

『 SUPER 8 』 (2011年)

 映画 『 SUPER 8 』  [ 2011年6月24日公開 ]

   J・J・エイブラムスがスピルバーグへのオマージュをこめた作品

 監督にTVドラマ『 LOST 』シリーズのヒットメーカー、J.J.エイブラムス。製作には巨匠スティーブン・スピルバーグという最強タッグが生み出したSF大作。 舞台となるのは、ちょうど少年だった頃のJ.J.が8mm 映画作りに熱中していた1979年 … 。

イメージ 1

 そんなノスタルジックな空気の中で、ちょっと間が抜けているけれど憎めない少年たちが偶然に秘密を知ってしまい、冒険に出るストーリーは『グーニーズ』や『スタンド・バイ・ミー』を髣髴とさせ、町に次々と異変が起こっていく恐怖は『未知との遭遇』を想起させる。 そして作品の根幹には『 E.T.』のスピリットをも感じさせる。

イメージ 2

 本作は、J.J.も大好きだったスピルバーグ作品のエッセンスが、山ほど詰まっている。そして『クローバーフィールド/HAKAISHA』で見せた“主役は最後の最後まで見せない”J.J.お得意の恐怖演出も冴え渡り、懐かしさと新しい世代の映画作法が融合した、世代を問わずに楽しめるエンターテインメント作品になった。


 映画 『 SUPER 8 』予告編



 キャスト(役名)

 エル・ファニング (Alice) 13歳
 ジョエル・コートニー(ジョー)15歳
 カイル・チャンドラー (Deputy Lamb)
 ロン・エルダード
 ノア・エメリッチ (Colonel Nelec)
 ガブリエル・バッソ (Martin)
 ケイティ・ロウズ (Tina)
 ザック・ミルズ (Preston)

イメージ 3

 スタッフ

 監督 J・J・エイブラムス
 製作 スティーヴン・スピルバーグ
 J・J・エイブラムス
 ブライアン・バーク
 脚本 J・J・エイブラムス
 撮影 ラリー・フォン
 美術 マーティン・ホイスト
 音楽 マイケル・ジアッチーノ
 編集 メアリー・ジョー・マイキー メリアン・ブランドン

イメージ 4

 STORY

 1979年夏、米オハイオ州。保安官の父と暮らす14歳の少年ジョーは、製綱所での突然の事故で母親を亡くし、心に深い悲しみを抱えていた。ある夜、親友チャールズの8ミリ映画を手伝うために、夜中にこっそり家を抜け出して仲間たちの所へ向かうジョー。仲間の中には密かに想いを寄せるアリスの姿もあった。

イメージ 5

 アリスが父親に内緒で無免許運転してきた車に乗り込み、駅に到着した6人の少年たち。「クウォリティーが上がる」とのことで、列車の通過に合わせて撮影を始める。すると突然、車が列車に突っ込み大事故が発生する。あたり一面は炎に包まれ、轟音が鳴り響く中、取り残された8ミリカメラが映したものは、貨物コンテナの中から強大な力で外へと出ようとする“何者か”だった。

イメージ 6

 緊急出動で事故現場に到着した軍の回収部隊は、落ちていた8ミリフィルムの空箱を発見。極秘事項が何者かに目撃されたと知り、大捜索を展開する … 。 現場から逃げ帰った少年たちは、絶対誰にも言わないことを約束するが、彼らの周りでは次々と不可解な事件が起きはじめる。突然の停電、町中の犬が姿を消し、多くの車のエンジンが消え、9人が行方不明となった。平穏な町の姿は一変した。。

イメージ 7

 一体何が起こっているのか? 事故現場から思わず持ち帰った白い謎のキューブが、不思議な動きを始めた。 少年たちは、真実を探しに行くことを決断する。そして、永遠に忘れることのできない未知との遭遇を目撃するのだった。

イメージ 8

 実は、米軍の貨物列車の積荷はエイリアンとその先進的な金属素子であった。秘密軍事施設“エリア51”から輸送中の貨物列車に乗用車で体当たりした男は、国家機密を暴き、虐待されているエイリアンの“救出”を試みた元エリア51の研究者であった。

 映画 『 SUPER 8 』予告編


 ※ ラストシーンで、ジョーがエイリアンを宥めることば、「人間だって、悪い奴ばかりじゃない」。 少年の無垢の魂に触れて、エイリアンは人間への復讐をやめる。そして、膨大な量の金属を収集して宇宙船を構築するや故郷の星へと還る。その時、最後にエイリアンが求めた金属は、ジョーの優しい母親の写真がある彼のロケットだった。 エイリアンは母の無償の愛を抱いて、母なる星へと旅立った。 (【locket】と【rocket】とを掛けてるかな … )

イメージ 9

 ※ エンドロールが出始めたところで、何人かの観客が席を立った。ややしばらく経つと、画面の左端に、作中に子どもらが撮影していた8mm 映画が映し出される。コマ落ちの昔風な映像だ。退出しようとしていた観客の足も止った。 J・J・エイブラムスの遊び心も面白い。

イメージ 10

 ※ 2011/07/01(金)13時50分〜15時50分 東宝モレラ岐阜
 『 ノルウェイの森 』 (2010年)

 愛すること、生きることの意義を静かにかつ激しく、
 そして限りなく美しく描いた究極のラブストーリー

イメージ 1

 1987年に刊行された村上春樹の小説「ノルウェイの森」。 自殺した親友の恋人だった直子と大学の同窓生・緑との間で揺れ動く主人公ワタナベの青春のもがきを描いた究極の恋愛物語に、多くの人々の心が動かされ、時代が動かされた。画期的な赤と緑の装丁も話題となり、当時はその本を持つこと自体が一つのステイタスにもなった。そんな20世紀を代表する小説は21世紀になった今も読み継がれており、その累計発行部数は1000万部を突破し、日本の国内小説累計発行部数歴代第1位の記録を更新し続けている。更には、その小説世界は日本だけでなく世界をも魅了しており、現在までに36言語に翻訳されて各国で熱狂的なファン(ハルキスト)を生み出している。村上春樹は現在「世界でもっとも有名な日本人作家」と言っても過言ではない。

 そして、出版から20年以上の時を経て「ノルウェイの森」が遂に映画化を果たす!

 監督は『青いパパイヤの香り』『夏至』などの作品で叙情性溢れる映像美で人間の機微を静かに、しかも温かく描くことに定評のあるトラン・アン・ユン監督。 1994年にパリで原作を読んで、「力強く繊細であり、激しさと優雅さが混沌としていて、官能的かつ詩情にあふれている」と、その世界観に魅せられたトラン監督は、世界中のどんな監督よりも映画化を熱望した。

 そのトラン監督の熱意が、ずっと不可能と思われていた「ノルウェイの森」の映画化への扉への鍵となったのだった。そして、スタッフも撮影には候孝賢監督やウォン・カーウァイ監督の作品の他に日本でも『春の雪』や『空気人形』などを手掛けた世界からリスペクトされるアジアの巨匠、マーク・リー・ピンビン、音楽にはカリスマロックバンド・レディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドなど、日本映画の枠を越えた国際色豊かな面々が揃った。さらに、主題歌は何とあのビートルズ! 世界配給の邦画としては史上初の快挙だ。

 そして、キャストには主人公の「ワタナベ」に、作品ごとに印象を変える演技派俳優・松山ケンイチ、ワタナベが恋に落ちる女性「直子」には、圧倒的な演技力で国際映画祭の常連女優・菊地凛子、新たにワタナベの前に現れる女性・緑に本作が映画デヴューとなる期待のミューズ・水原希子らを迎え、原作のイメージは受け継ぎながらも新しい「ノルウェイの森」を誕生させている。

 The Beatles 『 Norwegian Wood 』 (This bird has flown)


 本作には愛と性、生と死、男と女、動と静、強さと優しさ、刹那と永遠、ビートルズとドアーズなど様々な要素が溢れている。そのように様々な要素がそれこそ森のように茂っているために、多くの人の心を惹きつけ、またその人達の心の中に何かの種を残していくことだろう。人が人を愛することは美しく素晴らしいことだが、人が人と生きていくのは生半可なことではない。そこには脆さもあれば、醜さもある。そして、愛したその人を失ってしまうこともある。

 どのような強さも優しさも、その哀しみを癒すことは出来ないだろう。でも、それでも人はまた誰かを愛し生きていく。たとえ、それが世界の涯てに落ちることになっても。そして、そこからまた新たな強さと優しさを現出させていくのである。それこそが本作で紡ぎ出される、生きていく上での強さであり優しさの在り様なのである。どうかそんな世界の涯てでも存在し続ける強さと優しさのひとつの姿をこの映画で目の当たりにして欲しい。それはきっとあなたの心の中に永遠に続く美しい森を残してくれることだろう。

 1987年に小説が刊行され、1994年にトラン監督がその小説に出会い、2004年に村上春樹とトランが出会い、2008年に映画化が決まり、2009年に撮影が始まり、2010年に映画が完成し公開される。これは一つの事件であって、一つの確かな奇跡である。

 予告編 『 ノルウェイの森 』


 ※ 直子の自死、遺された者らの蘇生、そして、ラストシーン …
 緑「いま、どこにいるの?」
 ワタナベ「あれっ、ボクは今、何処に居るのだろう?」

 生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く
 死に死に死に死んで死の終りに冥し (空海『秘蔵宝鑰』)

 生きてきて、生きてきたけど、わからない、わからないことも、まだわからない。
 死んでみる、死んでみたけど、わからない、わからないことも、まだわからない。

 三界の狂人は狂せることを知らず
 四生の盲者は盲なることを識らず   (空海『秘蔵宝鑰』)

 不狂の狂、不盲の盲、もとより識らず、三界は吾が愛しの家郷ならずや。

イメージ 2
 ※ 2010年12月11日公開 東宝モレラ岐阜、1月12日、12:20〜14:45
 ウイークデイにしては、いつになく客足が良かった。
 このような映画こそ、ひっそり淋しく観たかった … 。


 ◇ トラン・アン・ユン監督

 1962年12月23日、ヴェトナムのホーチミン市近郊の街ミー・トー(My Tho)生まれ。75年にヴェトナム戦争の戦火を逃れ、一家でフランスに亡命。フランスの映画学校に学ぶ。長編第1作『青いパパイヤの香り』(93)で第46回カンヌ国際映画祭カメラドール賞受賞、第19回セザール賞第1回監督賞受賞、そして第66回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートを果たし、一躍世界の注目を集めた。続く第2作『シクロ』(95)は、第52回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)を獲得。

 『夏至』(00)も第53回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品、わずか3作にして国際映画祭の常連となる。静かな官能性を孕んだ豊潤な映像美によるリリカルなストーリーテリングに定評がある。

イメージ 3

 (問)原作との出会い、そして映画化へと至る経緯を聞かせてください。

 原作を読んだのは1994年にフランスで出版された時です。すぐに魅了され、映画化したいと思いました。しかし、周囲から芳しい反応が得られなかったため、半ば諦めかけていたところに、暫くしてアスミック・エースの小川真司プロデューサーから連絡がありました。まず、僕と小川プロデューサーは映画化の方向性について徹底した議論を重ね、その後、村上春樹氏に会いに行くことになりました。そこで彼から言われたのは、『まず脚本の第一稿を見せてほしい』ということです。それで、第一稿を書き上げ、村上氏に提出しました。戻ってきた脚本にはたくさんのメモが貼ってあり、例えばそこには原作にないセリフなども書かれていて、その意見に対し第二稿をまとめ、以降は特に村上氏からの要望もなく、自由に脚本を書き進めていきました。おそらく、村上氏は僕が原作を掴んでいると感じたのでしょう、結果、このように映画化が実現したのです。

 (問)あなたが感じた原作の魅力とは、どの点にありましたか?

 村上氏の作品は読者に親密さを感じさせるメカニズムを持っていて、私も読んだ瞬間に親密な感じを抱きました。それが第一の理由だと思います。また、『ノルウェイの森』は若い世代のラディカルな内面を、登場人物の体験を通して見事に描いた素晴らしい作品です。自分の人生の定義を探し求め、それを受け入れていく、そして同時に愛に目覚め、その感情に真摯に向き合っていく姿が描かれています。それは村上氏が言うように、彼らをとても危険な場所へ誘っていきます。しかし、私が魅かれたのは、まさにそのような青春の渇望だったのです。さらに魅かれた理由を挙げるなら、それは官能性です。すべてが登場人物の性的な行動と関連していて、視覚的にはその部分を決して下品に描くことなく、同時に快楽だけでない性の感覚を観客に与えられる、適切なバランスを見付ける必要がありました。

イメージ 4

 (問)日本人キャストの起用、日本での撮影は当初から想定していたか?

 僕にとって、この作品を日本人でないキャストを起用し、日本以外の場所で撮る選択肢はあり得ませんでした。なぜなら、僕が原作の中で気に入ったのは、日本らしい文化や日本人らしい佇まいなどだったからです。もちろん日本語で撮影することは、大きな困難の一つではありましたが、その点は小川プロデューサーにカヴァーしてもらいました。

 (問)キャスティングで重視した点はどこでしょうか?

 常にキャスティングで重視するのは、その役者の人間性です。特に、一度も芝居をしたことのない人物の場合、その人が映画の世界観にどれだけフィットしているか、役柄にどれだけ適しているかということを見るのです。その次に、もちろん役者としてどれだけの可能性を秘めているかを見極めます。

 (問)ワタナベ役に松山ケンイチさんを起用した理由を教えてください。

 最初にオーディションのビデオを観た時、実は彼を起用したいとは思いませんでした。でも、何か特別なものを感じたので、一度彼に会おうと考えたのです。会った瞬間、彼しかいないと思いました。それは、先ほどお話しした人間性が理由です。ただ佇んでいるだけで、彼の人間性が発揮されている瞬間がある。素晴らしい俳優です。

イメージ 5

 (問)直子役の菊地凛子さんはどうでしたか?

 『バベル』を観て、彼女はこの役柄に相応しくないと思っていたのですが、オーディションだけでも受けたいという彼女の強い意志があり、オーディションのビデオを観て彼女だと確信しました。実際、最初に会った彼女の印象は、繊細な若い女性のものでした。後日、その時彼女は殺人鬼を演じる映画(『ナイト・トーキョー・デイ』)の撮影中で、合間を縫い女の子らしい姿になって僕に会いに来たと知り、凄い女優だと再確認しました。

 (問)緑役に水原希子さんを起用した理由はどこにありましたか?

 緑のキャスティングは難航して、その過程でたくさんの女性と会いましたが、彼女に会ってすぐに魅了されました。彼女を見て、人が感じるのは、絶対的な優しさです。それは緑に必要不可欠なものだったので、彼女を選びました。

 (問)日本でのプロダクションに際し、日本語のセリフやコミュニケーション
     など、言葉や慣習の違いをどうやって克服したのでしょうか?

 たとえ言語が違っても、そのセリフが適切な芝居によって表現されたかどうかはわかります。だから、こちらが求めた領域に達するまで、役者には何テイクも芝居を行ってもらいました。非常に難しいシーンでは、セリフのイントネーションなどが適切だったかを小川プロデューサーに確認して、さらにテイクを重ねるかどうか判断しました。自分の知らない言語で作品を作ることは、実は非常に楽しい経験なのです。セリフ自体がまるで音楽のように聞こえてきて、次第にミステリアスになっていく、フェティッシュな感覚を味わいました。
 ◇ 「 FLOWERS フラワーズ 」

イメージ 1

 「 FLOWERS フラワーズ 」


イメージ 2

 〔出演〕 蒼井優 竹内結子 田中麗奈 仲間由紀恵 鈴木京香 広末涼子

イメージ 3

   大沢たかお 平田満 真野響子 塩見三省 長門裕之

イメージ 4

 娘と母、父と母、夫と妻、姉と妹、母と子をテーマに昭和初期から現代までを
 三つに分け、それぞれの時代を生きた六人の女性の姿を描く。監督は小泉徳宏。

イメージ 5


 資生堂 TSUBAKI 「 2009 春 」 篇



イメージ 6

 昭和初期から平成まで三代にわたって時代を生き抜いた6人の女性にスポットを当て、自分らしく生きる彼女たちの姿を描く。日本映画界を代表する6女優、蒼井優、鈴木京香、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、広末涼子が共演し、それぞれの時代の日本女性を表現する。四季折々の風景や時代ごとの街並みなど、日本の美しさを伝える絵巻物的世界を楽しめる。

イメージ 7

 昭和11年、進歩的な考え方の凛(蒼井優)は、親同士が決めた結婚に悩み続け、式当日に花嫁姿のまま家を飛び出してしまう。 やがて、昭和30年代 … 。 凛は3人の娘、薫(竹内結子)、翠(田中麗奈)、慧(仲間由紀恵)を授かっていた。 娘たちもまた、高度経済成長を遂げる時代を懸命に生きていく。

イメージ 8
 ※ 慧(さと=仲間由紀恵)は心臓が弱く、二人目の妊娠の際には、医師から出産をやめるよう助言される。慧の夫も、妻を気遣い反対した。だが、それでも慧は産んだのだ。生まれた次女は佳(けい=広末涼子)と名づけられた。佳は言う、「生きてるだけで楽しいよ。お母さんに感謝だよ!」。 佳の母は、二人目の出産を決意する時に、こう言ったのだった。「私はこの子に世界を見せてあげたいの」。


 「 FLOWERS フラワーズ 」 予告編


 ※ 広末涼子は、なぜか女性に人気がない。でも、彼女の女優としての資質には、余人に替え難いものがある。それは天賦の才であり、蒼井優と同様に今日の邦画界に欠くべからざる存在と言える。画面におけるリアリティーと言う共通項を持ちながら、かたや嫌われ、かたや好かれる。それがまた、人間の面白いところなのだ。
 ◇ 『 マイ・ブラザー 』 (2010年)

イメージ 1

 デンマーク映画『ある愛の風景』を、トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマンらの共演でリメイクした、家族のつながりを描いた作品。 家族にも言えない秘密を抱えてしまった帰還兵とその妻、そして二人の娘と帰還兵の弟と、兄弟の父親が、それぞれの人生を抱えながら、支えあい、憎み合い、愛し合う物語り。 監督はジム・シェリダン。戦争がもたらす悲劇と家族の絆が胸を打つ。

イメージ 2

 映画のオープニングで、銀行強盗をしでかし服役を済ませた弟のトミー(ジェイク・ギレンホール)が出所する。兄のサム(トビー・マグワイア)は彼を温かく迎える。サムの妻グレース(ナタリー・ポートマン)は、内心の怯えを隠しながらトミーを歓待する。だが父親はトミーに、あからさまに冷淡な視線を向け、故意に挑発するような言葉をぶつける。トミーを歓迎するはずのディナーは、惨憺たるものになる。 父親が、トミーに悪意の言葉を吐く。「お前が死んで嘆き悲しむ者がいるのか」。 父もまた、兵役でのダメージをひきずっていた。

イメージ 3

 トミーが出所して数日後、サムはアフガニスタンに出征する。夫の帰りを待ちわびるグレースの下に訃報が届く。絶望の淵にあるグレースと二人の娘を慰めてくれたのは、サムの弟・トミーだった。 そんなある日、死んだはずのサムが帰還する。まるで別人のように変貌して … 。

イメージ 4

 アフガンでの捕虜がどれほど苛酷なものなのか、想像もつかないが、サムは戦友を殺すことを強要される。サムは、どんなことをしてでも家族の下に帰りたかった。勇敢な戦士のプライドを捨ててでも … 。 だが、故国に帰還したサムは、家族とは隔絶した存在だった。 何のために、あんな思いをしてまで生きて帰ってきたのか … 、サムの絶望と孤独は癒しがたいものだった。

イメージ 5

 家族は完全に破綻して、末娘が驚くべき虚言で父親のサムを恫喝する。一家を絶望が覆い尽くす。だが、そこからこそ家族の再生が始まる。落ちるところまで落ちた時の、愛の癒しが、家族をやさしく包みはじめるのだ。

イメージ 6


 映画 『 マイ・ブラザー 』 予告編 2010年 アメリカ

 ※ ジム・シェリダン監督作品


 映画 『 ある愛の風景 』 予告編 2004年 デンマーク (日本公開2007年)

 ※ スザンネ・ビア監督作品

 ※ TOHOシネマズ モレラ岐阜 2010/06/04 14:30〜16:25

『 告白 』 (2010年)

 ◇ 映画 『 告白 』

イメージ 1
 2009年の本屋大賞に輝いた湊かなえの同名ベストセラー小説を原作に、教え子に愛娘を殺された中学校教師の復讐を描くミステリー。 『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督がメガホンを取り、事件にかかわった関係者たちの告白体によって真相を明らかにする、緊張感あふれるドラマ作り。 松たか子が狂気を体現するヒロインを熱演し、木村佳乃が息子を溺愛するだけの母親を好演する。

 とある中学校の1年B組、終業式後の雑然としたホームルーム。教壇に立つ担任の森口悠子(松たか子)は、生徒らの喧騒に全く無関心に、静かに語り出す。 「わたしの娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではなく … 、 このクラスの生徒に殺されたのです」。教室は一瞬、静まりかえる。 担任の衝撃的な告白から物語は始まっていく……。 犯人はAとB、教室内には犯人捜しのメールが飛び交う。 そして、たった今、AとBは、HIV感染の血液を混入した牛乳を全部飲み干してくれましたと、もの静かに語るのだった。


 小説 『 告白 』の構成

イメージ 2
 第一章「聖職者」(『小説推理』 2007年8月号)

 市立S中学校1年B組、3学期の終業式の日。担任・森口悠子は、生徒たちに間もなく自分が教師を辞めることを告げる。原因は“あのこと”かと生徒から質問が飛ぶ。数ヶ月前、学校のプールで彼女の一人娘が死んだ。森口は、娘は事故死と判断されたが本当はこのクラスの生徒2人に殺されたのだと言う。犯人である少年「A」と「B」を告発し、警察に言うつもりはないが、彼らには既に復讐を仕掛けたと宣戦布告する。

イメージ 3
 第二章「殉教者」(『小説推理』 2007年12月号)

 2年に進級したB組の空気は陰鬱だった。「少年A」の渡辺は学校に来ていたが、「少年B」の下村は一度も姿を見せていなかった。そんな状況下に赴任した、やたら熱血教師のKYな新任教師・寺田良輝の愚行が、クラスを絶望的に破綻させてゆく。

イメージ 4
 第三章「慈愛者」(『小説推理』 2008年3月号)

 下村が母親を殺してしまう。下村の姉・聖美は、弟が起こした事件の背景を知ろうと、母親の日記を読み始める。そこには、弟が母親を刺殺するまでの経緯が、息子を溺愛する一方的な母の思いと共に綴られていた。

イメージ 5
 第四章「求道者」(書き下ろし)

 母親を刺殺した下村は、少年刑務所の壁に映る幻覚を見ていた。彼が共犯者である渡辺と出会い、愛美を殺し、さらに母親を殺害するまでの苦痛に満ちた暮らしを、フラッシュバックという形で追体験する形で、物語を読み解いてゆく。

イメージ 6
 第五章「信奉者」(書き下ろし)

 主犯である渡辺が、愛美を殺すに至る経緯を母親への遺書という形で語る。

イメージ 7
 第六章「伝道者」(書き下ろし)

 森口悠子から渡辺へ、携帯電話で救いようのない最後通告がなされる。「これが私の復讐であり、あなたの更生の第一歩だと思いませんか?」 … 。

イメージ 8


 ◇ 登場人物

 森口悠子(松たか子)

 1年B組の担任。安定した職に就きたいという思いから教師になる。結婚目前に妊娠を知るが、恋人(桜宮正義)のHIV感染が発覚する。 「子どもは産んで欲しい」「子どもの幸せを最優先に考えたい」という彼の頑なな態度のため、未婚の母となる。

イメージ 9
 一人娘の愛美を理不尽な理由で、渡辺と下村に殺されたと知るや復讐の鬼と化す。桜宮の血液を渡辺と下村の牛乳の中に混入しようとするが、桜宮により阻止される。下村への復讐は成功したが、渡辺は全く懲りていなかった。森口は、渡辺の悲しい生い立ちを知り、渡辺の弱点は母親だと知る。そして、母親を絡めた残酷な復讐を仕掛ける。


 渡辺修哉(西井幸人)

 1年B組の男子生徒。「少年A」として森口に告発される。幼い頃から母親に電子工学などを学んだ。両親が離婚し、父親の元で暮らしている。幼少期に母親から虐待を受けていたが、母親を溺愛しており、家を出ていった母親に注目されようと様々な発明品を作る。そのうちのひとつ、『びっくり財布』、実は『処刑マシーン』が全国大会で特別賞を受賞する。 直樹に対して、「君は明らかに出来損ないだ」と言い放ち、直樹の人格を崩壊させる。


 下村直樹(藤原薫)

 1年B組の男子生徒。平凡ながら幸せな家庭に育つ。あるきっかけから修哉と仲良くなる。「少年B」として森口に告発され、クラスメイトに復讐されるのを怖れ、2年から不登校になる。愛美を直接殺害した犯人。 森口の一人娘に対して、修哉は始めから殺意を持っていたが、直樹は始めは全く殺意を抱いていなかった。


 直樹の母親(木村佳乃)
イメージ 10
 息子を異常なまでに溺愛しており、息子が不登校になったのは森口による告発が原因であると、学校に訴え、事件の発生原因そのものを、森口の責任であるとする。 「そもそも職場に不用意に娘なんか連れてくるからこの事件が起きた」と持論を展開するモンスターペアレント。息子を殺して無理心中するつもりが、息子に殺される。


 寺田良輝(岡田将生)
イメージ 11
 2年B組の担任になった新米熱血教師で、桜宮正義に心酔する。生徒にも学生時代からのあだ名「ウェル〔良〕テル〔輝〕」と呼んで欲しがる。生徒を親身になって考えているような行動をとるが、自分の行動を抑えられず、自己満足を優先させる性格。 森口は、その性格を利用して彼をコントロールし、下村を責め苛む。 自己陶酔に浸っていた寺田だが、下村が母親を殺害した時の警察からの取調べで、同席していた美月に、「直樹君を追い詰めたのは、良輝先生です」と糾弾される。


 北原美月(橋本愛)
イメージ 12
 2年B組の委員長。下村とは幼なじみで、家も近所だった。下村が不登校になって、ウェルテルと共に下村の家へノートなどを届ける役目を負わされる。ルナシーという少女の殺人者に憧れ、毒薬などを密かに集めている。 寺田教諭は、自分をウェルテルと呼ばせるために、美月のあだ名を尋ねる。美月は、いやいや「ミヅホ」と答える。これからは君を「ミヅホ」と呼ぼうと、明るく叫ぶ寺田。他の生徒らが「ミヅホッ、ミヅホッ」と囃し立てる。実は「ミヅホ」とは、「美月のアホ」の意味だった。 渡辺修哉に殺される。

 ※ シナリオが大変良く出来ている。演出も手堅い。だが、楽しく観られる映画では絶対ない。始めから心に鎧をつけて観なければならない、そんな映画だった。それでも、観てしまった。観終わった時、ささくれ立つ様な感情はなかった。ラストの爆破シーン、修哉の悔恨の表情に、この映画の観客は救われる。もしも、ラストの空前絶後の感動的爆破シーンがなければ、私はこの映画を観たことを後悔したかも知れなかった。やはり、大スクリーンの映像と大音響は、60億の細胞膜を波立たせてくれる。

 ※ TOHOシネマズ モレラ岐阜 2010/06/10 14:35〜16:30


 ◇ 松たか子「告白」アカデミー賞“日本代表” (2010.9.9)

 松たか子(33)主演の映画「告白」(中島哲也監督、公開中)が来年開催の第83回米アカデミー賞外国語映画賞部門の「日本代表作品」に選ばれたことが8日、分かった。日本映画製作者連盟が発表した。 同作は、教え子に娘を殺害された中学校教師(松たか子)の復讐劇で、日本では6月5日に公開されて評判を呼び、現在観客動員数292万人、興行収入37億円を突破中。 今後は世界各国の代表作の中から、来年1月中旬に同部門候補作5本が選ばれる。最優秀作品が発表される授賞式は、2月27日に米ロサンゼルスで行われる。

 ※ シネコンで一日一回程度の上映だが、今も観客動員中とは驚いた。

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 前のページ | 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
10/31まで秋の行楽キャンペーン実施中

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事