2008.06.21(土)公開、映画『西の魔女が死んだ』
「人はみんな、幸せになれるようにできているんですよ」
おばあちゃんは、普通の人とは違う生き方をしていた。
「私の母は、ものを見通す力がありました。ある時、父が海上で遭難して海の中を必死で泳いでいた時、『右!』と言う声がしたそうです。それで父は、右に向かって必死に泳いだそうです。すると暫くして砂浜が見つかったのです」。
その晩、まいは、こんな夢を見た。
暗い海の中を、まいが必死に泳いでいる。でもどっちに向かって泳げばいいのか分からない。その時、「西へ!」と言う声が聞こえ、まいは西へ泳ぎだす。それは、「西の魔女」が自分の救いであるという啓示のようでもあった。
「バラのそばにニンニクを植えておくと、バラに虫もつかないし香りもよくなるの」
宵っ張りの朝寝坊だったまいが“魔女修行”を志す。
魔女修行の基本は、早寝早起き、しっかりご飯を食べ、よく運動し、
自分の事は自分で決め、決めたことはやりとげることだった。
すごく当たり前の事だったけど、実は、まいの一番苦手なことばかり。
「おばあちゃんには、予知能力はないの?」
「わたしには、そんな力はありません。わたしは日々のほんの少しの変化が楽しみなのです。予め知る必要などありません」
「おばあちゃん、大好き!」「 I know. 」
まいは、自然の恵みの素晴らしさに、次第にこころを開いてゆく。
まいは、温室の片隅に咲いていた草を、「ヒメワスレナグサ」と名づけました。大きく育ったら大切に植え替えようと心にきめて…。
ワイルド・ストロベリーの畑:祖父が亡くなって暫くしたある日、裏山の畑に野苺の花がたくさん咲き誇っていました。そして、その日は、祖母の誕生日だったのです。「じゃあ、それはおじいちゃんから、おばあちゃんへのプレゼントじゃない」、「その通りです。あの人は私の誕生日を一度も忘れたことがありませんでしたよ」。おばあちゃんは、思わず畑にひざまずいて泣いたそうです。
「おばあちゃん、人は死んだらどうなるの?」
「そうですね、おばあちゃんが信じている話をしましょう」
「死ぬということは、魂が体から離れることです…」
「じゃあ、魂が離れたら、まいに教えて。約束だよ」
「あっ、別に急がなくてもいいよ」
おばあちゃんは、にっこりと微笑みました。
中学に入学した「まい」は、友達との関わりから不登校になり、祖母の家に預けられる。幼い頃に、ハーフであることで苦労した母親は、感受性の強い娘を“扱いにくい子”と夫に話す。まいは、その言葉にも傷ついた。そんなまいを、祖母は優しく包み込んでくれた。
母は、まいのために暫く仕事を休む。何を最優先させるべきかを考えて…
※ NHK「ハゲタカ」、とても良かった。受信料を喜んで払えるものだった。
威圧的な存在感、不気味な雰囲気で、まいを混乱させ、祖母との不仲の元になる。
「おばあちゃんは、わたしよりゲンジさんの方が大事なんだ!」
祖母との別れの時、「おばあちゃん、大好き!」と言えなかったまい。
いつまでも、寂しそうに見送る祖母…
「おばあちゃんは私に冷たい仕打ちをした。でも私のしたことは、その何倍もヒドイことだった。おばあちゃんは、わたしを許してくれるだろうか…」。 祖母、危篤の報せを受け、母と共に祖母の家に向かう車の中で、まいは今さらながらに、二年間の音信不通を後悔するのだった。
◇ 原作:梨木香歩 「西の魔女が死んだ」
発表から今日に至るまで十数年もの間、愛され読まれ続けてきました。第44回小学館文学賞、第28回日本児童文学者協会新人賞、第13回新美南吉文学賞受賞と数々の賞に輝く名作です。
◇ 長崎俊一監督「西の魔女が死んだ」
主演は、アカデミー賞女優シャーリー・マクレーンの愛娘で、日本映画デビューを飾るサチ・パーカーと、半年にも及ぶオーディションで選び抜かれた13歳の期待の新星・高橋真悠。
少女はおばあちゃんとの生活のなかで、自然と触れ合ううちに、「強さ」「優しさ」「希望」といった「生きる楽しさ」を再発見していく。
◇ サチ・パーカー(1956年生まれ、本名:サチコ、Stephanie Sachiko Parker)
母は女優のシャーリー・マクレーン、父は映画製作者のスティーブ・パーカー。米国生まれだが、2歳から12歳までを東京で過ごし、学習院初等科に通っていた。流暢できれいな日本語を話す。両親ともに親日家としても知られ、「サチコ」という名前も「 blessed child(祝福された子) 」を意味することから、当時渡米中だった小森和子により命名された。本作では、50代のパーカーさんが老けメークでおばあちゃんになりきり、心の底から孫を優しい愛情で包み込むおばあちゃんを好演しています。
“西の魔女”と呼ばれる、ちょっと不思議な祖母を演じたパーカー。役作りについて聞くと「撮影前に原作を読み、おばあちゃんの歩き方や座り方、話し方を研究しました。元教師という設定なので、マナーについてもいろいろ勉強しましたね。でも清里に着いて、おばあちゃんの家を見た瞬間、すーっとキャラクターが入り込んできたんです」。
劇中で、おばあちゃんはまいに“魔女修行”と称し、料理や掃除、洗濯といった日々の営みを伝授する中で“手作り”の素晴らしさも教えているが、パーカーの生活スタイルも、良い意味で“オールドファッション”だと言う。「電子レンジは持っていないし、料理も最初から手間ひまかけて作るようにしています。今の時代には難しいことかもしれないけれど、その瞬間瞬間を家族と過ごすことがとても大切だと思います」。
パーカーは、父親(『青い目の蝶々さん』の製作者スティーブ・パーカー)と奥日光にある加仁湯という秘湯をよく訪れたそうです。「まいのように、私は父から自然の素晴らしさを学んだのです」。 この作品に出会う前は、感情的で心配性だったと語るパーカー。だが、おばあちゃん役を演じて心境に変化が現れたのだとか。「迷った時に、おばあちゃんのセリフを思い出せば、『それはそれ、これはこれ。心配しなくても大丈夫よ』と言われているような気がして、元気になれるんです。そしていつかは私も魔女になれると思っています。今、一生懸命修行してるんですよ(笑)」。
「おばあちゃんは覚えていてくれたんだ」。まいは、思わず「おばあちゃん、大好き!」と、つぶやく。すると、台所の方からさわやかな風が吹き渡り、「 I know. 」と吹きすぎてゆきました。台所には、まいが使っていたマグカップが置いてあり、そこには「ヒメワスレナグサ」の花が大切に植えられていました。
※ 山梨県清里で、撮影。
手嶌 葵 (てしま・あおい) 『 虹 』
VIDEO
映画 「西の魔女が死んだ」 テーマ
丘に咲く野の花 足もとで揺れた
雨のあと光が 心まで届いた
空には生きている 叶える虹が微笑む
胸にはかけがえのないもの 守ることを
透き通る思い すべて愛を育てて
空には生きている 叶える虹が微笑む
胸にはかけがえのないもの 守ることを
なくさない 私のたからもの かがやく
この胸に かがやく
岐阜 TOHOシネマズモレラ岐阜 058-320-5770
13:00〜15:05、Screen6、観客数約20名ほど。