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◇ 映画「オリヲン座からの招待状」 「ありがとう、あなたがいてくれたこと」 原作は浅田次郎氏の「オリヲン座からの招待状」(集英社刊)。日本中を感涙の渦に巻き込んだベストセラー「鉄道員(ぽっぽや)」の最終篇に所収され、長く映画化が待ち望まれていた。そして今、1999年に映画化された「鉄道員(ぽっぽや)」に続く感動作が誕生した。 主演には宮沢りえ、相手役には加瀬亮。脇を固める俳優陣には宇崎竜童、田口トモロヲ、中原ひとみ、樋口可南子、原田芳雄など。京都を舞台に、西陣織、蚊帳の中の儚い蛍など、日本の伝統美を交えつつ、映画館を守り続けたふたりの愛を描くのは、三枝健起監督。 メインテーマには、2007年ニューヨーク・ブルーノートで日本人初の3年連続公演を皮切りに、全米・ヨーロッパ・中東など各国でのツアーを大成功させたジャズアーティスト・上原ひろみ。 2007年10月、第20回東京国際映画祭の「特別招待作品」 11月3日東映系にてロードショー 「わしらの仕事、盆も正月もあらへん。同じシャシン何べんも何べんも観なあかん」 「ええです、そないええ事あらへん」 「おやっさん、ボクに言わはったんや。オリヲン座ほかしたらアカンて」 【CAST/STAFF】 宮沢 りえ(豊田トヨ)、 加瀬 亮(仙波留吉) 中原ひとみ(現在の豊田トヨ) 、原田芳雄(現在の仙波留吉) 小清水一揮(少年時代の三好祐次) 、工藤あかり(少女時代の三好良枝) 田口トモロヲ(現在の三好祐次) 、樋口可南子(現在の三好良枝) 宇崎竜童(先代館主・豊田松蔵、トヨの夫) 監督:三枝健起 製作:「オリヲン座からの招待状」製作委員会(株式会社ウィルコほか) 配給:東映株式会社、支援:文化庁 原作:浅田次郎「オリヲン座からの招待状」(集英社刊『鉄道員』より) 「突然ではございますが、昭和25年の開館以来半世紀以上にわたって地元の皆様に愛され親しまれて参りましたオリヲン座は、誠に勝手ながら今秋をもちまして閉館いたす事と相成りました」。 そんな招待状が、離婚の危機を迎えている良枝(樋口可南子)の元に届いた。その件で夫の祐次(田口トモロヲ)を呼び出すが、祐次の反応は冷ややかだった。立ち去ろうとする祐次の後姿に言葉を掛ける良枝。 「この頃、夢を見るの。こどもの私がオリヲン座にゆこうと一生懸命に走っているんだけど、オリヲン座が見つからないの。約束の時間は迫るし、私はあきらめて立ち尽くしてしまうの。これって、一体どう言う意味なんだろうね…」。 こども時代のふたりは共に家庭環境に恵まれず、近くのオリヲン座で映画を見ることだけが楽しみだった。そんな二人にトヨは金も取らずに映画を見せ、ピーナッツを与えていた。留吉も二人を映写室に招き入れ、やさしくしてくれるのだった。不幸なふたりだが、映写室の小さな窓から見る映画こそが、ふたりに無限の夢と愛を感じさせてくれるものだった…。 昭和30年代、先代館主・豊田松蔵(宇崎竜童)が病に倒れ、その弟子であった留吉(加瀬亮)が、その志を引き継ぎ、先代の妻・トヨ(宮沢りえ)と映画館を守る事になった。古い因習の残る時代、周囲の人々からは師匠のかみさんを寝取った若主人、不義理な女将などと陰口を叩かれる。映画産業が斜陽になり始め、貧乏に耐えながらもひたすら映画を愛し、映画館の灯を灯し続けたふたり。そしていつしか純粋に互いを思いやり、愛し続けていたのだった。 ※ 殴られて血反吐にまみれて降る雪の その冷たさの心地よきかな 「あのな、おばちゃん、内緒の相談事なんやけどな…」 一方で、そんなオリヲン座を一番の遊び場として育った幼いふたりが、やがて大人になり結婚して東京で暮らしていたが、いつしか互いを思いやる心を見失い、別れを決意しているのだった。オリヲン座からの招待状は、そんな二人に何かを予感させる様なものだった。オリヲン座は自分たちの愛の出発点。オリヲン座、そこは優しい奇蹟の宿る場所。「わたしたちが終わるのなら、あそこで終わりたいの」、悲しそうに良枝はつぶやいた。だが祐次は行かないと告げて立ち去る。 「誕生会なんて、いっぺんもしてもろうた事ない、ありがとう」 トヨ(中原ひとみ)の病のため、亡き師匠に託された大切なオリヲン座を閉める決意をした留吉(原田芳雄)は、病の進行著しい妻にどうしても最期の映画を観せてあげたくて、必死の覚悟でトヨを病院から連れ出し、映写室に座らせた。トヨは、優しく見守り続けてくれた留吉に感謝しつつも、オリヲン座を守る為だけに、師匠の恩に報いる為だけに、自分の人生を犠牲にして自分と一緒になってくれたのではないかと、ずっと気に病んでいた。トヨは最後の言葉として、留吉に優しく問いかけるのだった… 。 劇中、上映される映画として『無法松の一生』『二十四の瞳』『ひめゆりの塔』など、名作の映像が流れるなど、和製『ニューシネマ・パラダイス』と言った観も否めない。主演の宮沢りえが愛する人を陰で支える献身的な女性を好演。 「約束を守ったって分かるのは、ずぅーっとずっと先のことですえ」 【インタビュー】 Q:お互いの印象を聞かせてください。 宮沢: この作品はとても想像力をかきたてられる台本だったので、監督やスタッフや加瀬さんや、わたしの想像力をいつも現場でぶつけ合って、試行錯誤していた現場だったんです。わたしは役者さんは普段は何をやってもいいと思うんですけど、ものを作るときだけは誠実だってことが基本であってほしいという気持ちがあるんです。加瀬さんからもそういう思いを強く感じて、刺激になりました。 ※ 古ぼけた八ミリ映写のその中に 留めおきたし変らぬ愛 加瀬: 宮沢さんは、面白い人ですね。いつも愉快に生きてるんだなあという感じがしました。でも多分、1回「登ってみたい」と思うような崖があると、頂上に向かってどんどん挑戦するし、失敗もする。手探りでやっている感じが本当に楽しかったですね。 宮沢: でも、崖の方向を教えてくれるのは加瀬さんなんですよ。「こっちは崖ですけど行けますよ」といばらの道ばっかり教えようとするんです(笑)。で、わたしは単純なんで「そっかあ」ってそっちに行っちゃうみたいな……。 ※ 掌(て)より舞う二匹のホタル寄り添いて 蚊帳の内なる仄かな想い Q:おふたりの愛は、どのように変化していったと思いますか? 宮沢: 個条書きにできないところが、映画のすてきなところなんだと思うんです。観終わった後に、観た人の恋愛観や人生観が、とても変化する映画だと思うんですね。わたしは、そこがとても好きなので、言葉にしたくなくて……。インタビューを受けているのに言葉にしたくないって言っちゃ、ダメなんですけど(笑)。まあでも、そういう微妙で、繊細な心の動きみたいなものが描けていたらいいと思いますね。 Q:留吉とトヨの愛のどのようなところがすてきだと思いましたか? 加瀬: あれだけ一緒にいたから、いろんなことがあったんだと思うんです。でも、基本的にいつもどちらかが側にいることが、とてもすてきだなと思いますね。 宮沢: 普通に見たら、貧乏っていうか、時代の変化に思いっきり乗っていけない2人かもしれません。普通だったら愚痴を言い合う方が簡単なところを、そういう時こそ相手を思いやれたり、優しく接したりし続けた二人が、わたしたちが演じた瞬間にも現れていたと思うんです。原田さんと中原さんが演じられた留吉とトヨも、最後のシーンの中で、本当に相手に対する思いやりを持ち続けていた二人だという感じはするんですよね。時代とか、いろんなものの変化の中でも、持ち続ける気持ちを貫いたことって何かやっぱりすごいなあって。あこがれるというか、すてきだなあと思いました。 「なんや、かなわんなー」 ※ 東急のシネコンで観た。他の娯楽作品が一日6回の上映に対して、「オリヲン座」は一日2回のみの上映だった。日曜日、午前10時35分の第1回上映で観たのだが、観客はわずかに8名のみ。これほどの名画が観客を呼べない悲しい現実。映画の観客動員が往時に復したとは言え、こんな寂しい一面も、また一方の現状なのだ。 そして、そんな今日の映画状況も含めて、今一度この映画を見直すと、さらにトヨと留吉の哀しい愛がひとしお心に沁みてくるのであった。先代館主の松蔵が「観たいじゃねえか」と言った坂妻の『無法松の一生』の軍検閲によるカットシーン、それは無法松が軍人の未亡人に対して、自身の恋情を吐露する場面だった。 無法松のカットされた「愛の告白」は、留吉のトヨに対する想いと相通ずるものだった。オリヲン座の最終上映会の日に掛けられた映画こそが、その『無法松の一生』のノーカット版だった。映写室に座ったトヨは最期の心残りとして、留吉に問いかけるのだった。「わたしと一緒になって、オリヲン座を守ってくれたのは、松蔵との約束を守るためだったのか。そのためだけに、あなたは自分の一生を捧げたのですか」。 場内では『無法松の一生』が上映されている。松が未亡人に自分の気持ちを伝えようとする。留吉は静かに、しかし力強くこう言うのだった。「そんな事はありません。私はあなたが好きだったからこそ今日までやってこれたのです」。その言葉を聞いて、トヨは息をひきとる。そして場内では、祐次と良枝が互いに愛を確かめあっていた。 エンディング・ロールに長く余韻の残る、後味のまことによろしい逸品。 <公式サイトBBSより> 56. ニックネーム:かもめ座 年齢:35〜39 性別:女性 投稿日 2007年11月12日 拝見しました!蛍のシーンが綺麗で、それが切なくも思いました。実は私はこの映画が撮影された実在する映画館の娘です。幼い時から出入りしていたのでとても心地よく感じました。といっても劇場内以外はセットですよね。でも真鍮の手摺り、扉、売店、上り下りすると音が鳴る階段、開始のブザーの音、映写室の温度計など全てが懐かしく感じました。映写室へはあまり入らせてはもらえなかったので、子供時代の二人が少し羨ましくも感じました。古い映画館ですが綺麗に撮っていただけて嬉しく思います。ありがとうございました。 インタビュー&予告編
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