如何ならむ初山歩みの麻衣

理想がないものは、自己内で理と理が対立して、結論が出せない。

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[プロパガンダ]


●伊勢崎さんが投げかけたのは、ある思考実験。次のような状況で戦争を支持しないと言い切れるかどうか。

ちょっと想像力を働かせて、A国(我々)とB国がある。
A国とB国には国境問題がある。ちょっと緊張しているんですけど、そんな時にA国の中で大規模な爆発事故が起こって、一般人が大勢亡くなる。でも誰がやったか判らない。
A国の大統領は国民に向かって10ケ条の声明を発表することにした。

【戦争プロパガンダ10の法則】 [A.ボンソビー、英1871〜1916]
1.我々は戦争をしたくはない。
2.しかし敵側が一方的に戦争を望んだ。
3.敵の指導者は悪魔のような人間である。
4.我々は領土や覇権の為ではなく、偉大な使命の為に戦う。

こう言う言い方をする。国民に向けて大統領が言ったとします。
B国に向けて戦争をやるってことを支持しますか?(伊勢崎)
今の私だったら嫌です。(ローズ)
5.我々も誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為に及んでいる。
6.我々の大義は神聖なものである。
7.敵は卑劣な兵器や戦略を用いている。
8.芸術家や知識人も正義の戦いを支持している。

それ言われちゃうと、段々と最初は反対をしていても、そう言う言葉をかけられたら変わって来ると思います。
洗脳されてそのまま消えていくと思います。(ローズ)
9.我々が受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大。
10.この正義に疑問を投げかける者は裏切り者かスパイである。

怖くなって何も言えなくなってしまいますね。段々と。(ロ−ズ)
何か、国全体が目指す方向に少しでも異論を差し挟む者が居たら、そいつを許せない。同胞であっても許せない。敵以上に憎む。そんな感じ,判ります?(伊勢崎)
判りますね、はい。
今でも自分がこの質問をされて、この言葉を投げかけられたら、洗脳されちゃうんだなと。巧く国民の傷ついた心の隙間に入って、そこから洗脳してってるんだなと。(ローズ)
それがプロパガンダです。(伊勢崎)
【心の隙間に入る言葉は恐ろしい】[ザヘル・ローズ]

●この10ケ条は第一次世界大戦でイギリス政府が行ったプロパガンダを分析したものである。戦意形成のメカニズムが浮き彫りにされていると伊勢崎さんは指摘する。
最終的には国民が扇動されてしまって、傷つくのも国民で、夢を失ったり、一人ぼっちになったりになってしまうのも一般人なんですよね。(ローズ)
その心の隙間に入って来る、効果的なメッセージを作り、尚且つそれを喧伝する。(伊勢崎)
私たちも気をつけると言うか、言葉だけですぐ動いてしまってはいけない。(ローズ)
そうなると好いですよね〜。(伊勢崎)
そうならないんでしょうね〜(ローズ)

よくあの正義による戦争で、正義があるからこそ起きてしまった戦争ってあるんですけど、先生は正義に対する戦争ってどう思われますか?(ローズ)
一番簡単な正義って言うのは、悪いことをした人間を罰するってことですよね。若しくは悪い国を罰すると言う事ですよね。それが一番正義になりやすいですよね。(伊勢崎)
この正義って、見方によって、人によっては自分たちが思う正義って違うじゃないですか。私から見て、この人は正義だけど、この人から見たら正義でも何でもなかったてのがあるので。正義って何なんでしょう。(ローズ)
正義に一定の基準はないっていうことなんですよ、つまり。
僕は昔、身近に経験したことがあって。シエラレオネって言う国で。内戦の処理、和平に僕は直接的に関わったんですけど。銃を下して政治交渉するのは良いことでしょ?
平和的解決ですね、でもそんなに簡単じゃないんですよ。
戦争中彼らはいっぱい殺して居る訳です。でもしかし、銃を置いた後に罪を裁くよ、って言ったら、銃を下すと思います?(伊勢崎)
下さないかなあ。(ローズ)
なかなか下してくれないですね〜。だから殆どの場合、許しちゃうんです。シエラレオネの内戦では50万人殺されました。50万人ですよ。
許すだけじゃなくて、その反政府ゲリラのリーダーを副大統領にする。(伊勢崎)
ヒーローみたいなもんですね〜(ロ〜ズ)
それで〜停戦合意を勝ち得たんですね〜。それが和平のきっかけになったんです。
ある意味で正義を犠牲にしたんです。平和の為に。
正義そのものはなくちゃ困るけれども、その正義は非常に脆弱なものである。危ういものであるって言うのが、多分真実の姿じゃないですかね。(伊勢崎)
正しい正義ってのは絶対にないし〜、自分の中にしかないものだと思う。
自分の中に止めておけばいいものを、押しつけようとする。その押しつけが一つの戦いなんですよね。(ローズ)
正義と言うのは、いろんな言葉に置き換えられるでしょ。
正義は人道主義かも知れない。正義は民主主義かも知れない。しかし、民主化されてない国を強制的に民主化する。その為の戦争になっちゃうかも知れない。
それが正義の為の戦争になっちゃう訳 ですね〜。人道と言う事、非人道的なリーダーが納めている国、その政権をやっつける為の戦争。この人道と言う事も戦争の理由になっちゃうんですね。人道主義もね。それが恐ろしいとこですね。(伊勢崎)
【正義に一定の基準はない、脆弱なもの】[伊勢崎賢治]

●この対話でね〜、戦争の原因がこれだから、これをすれば解決できるんだって、スパッと行くのかと思ったら、大変なんだと認めるのは〜。
○10ケ条の話を聞いていて、自分だったらどうするだろうって考えて。怖いですね〜。人の心って簡単に洗脳できるし〜。核兵器以上の力を持つって言う、あのナイフ一本で、ルワンダでは虐殺ってありましたけど〜。いかに自分の心を見つめるかってことがとっても大切だな〜って思いましたし〜。考えても、考えても結論に行きつかない話ですね〜。
●70年前一人の先人がこんな言葉を残した。
「我々の決断の大部分は、実際には我々自身のものではなく、外部から我々に示唆されるものである」
社会心理学者のエイリッヒ・フロム 「第一次世界大戦後のドイツ国民が全体主義に傾倒していく心理を鋭く分析した」
「私たちは自分の決断は、自分自身が下していると信じているが、それは大きな幻想に過ぎない。
実際には孤独の恐ろしさや自由の重みに耐えかねて、他人に歩調を合わせている」(エイリッヒ・フロム)
フロムは人間の危うさに警鐘を鳴らした。

どうしても理解できない、自分が苦しい時に相手のことまでは考えられない。私自身もそうだったし、そこで生まれてくる憎しみをどうやって抑えるかってのは、誰かが教えてやらないと判らない。
私はたまたまなんで、殆どの子供たちは孤児になっても、誰も引き取ってもらえなくて、住む世界もない、食べる物もない、どうなるかと言うと犯罪に手を染めるか、ほんともししたら、他の国でテロリストになってしまうかも、そこから来ているんですよね、実際は。そう言うところから直していかないと、終わらないんですよ、戦いは。(ローズ)
我々の仕事って、過去の経験から叡智というものを引き出して、それを未来につなげるってところが使命ですよね。戦争用語に「叡智」が使われなかったら、学問の意味がないですよね。(伊勢崎)

●あらゆる善良と思われている一人一人の中にも、まかり間違えば、洗脳されれば、教育されれば、どんどん、どんどん、相手を懲らしめたいとか、そういうものがある。我々の中にも「悪」というものがあると言う事を知らない。知らないと言う事を知らないから、あいつらが悪いんだって言う風に行っちゃうのかな。

性悪説とか、善とかより熱狂です。時を得た熱狂ですね。熱狂は本質的なものかな。(伊勢崎)
人は何時でも凶器になりうる、私自身も実は、心一つ間違えたら凶器になってしまう。怖いなって思ってしまったんです。(ローズ)

                      NHK 探究Q より (抜粋)

私は思う

同じプロパガンダでも主張する人によって、その意味は違ってくると思う。

つまり国民に協力を求める為なのか、それとも自分の考えで洗脳するt為なのかである。

前者は実情を説明し国民の理解を求めるが、後者は自分の考え方で国民を染めてしまう。

一方、国民の方はこの両者の違いを見分ける力が必要である。

その方法はすでに述べた。http://blogs.yahoo.co.jp/sw5491/65004692.html

更にプロパガンダに乗せられて、一時的熱狂にわが身を忘れてしまう国民性という問題だ。

わが国では”バスに乗り遅れるな”という悲しい習性が残念ながら今も残っている。

それと、正義に一定の基準を求めるのがおかしいのであって、脆弱なのは人間である。

万人にとって正義はそんなに都合のよいものではない。正義ではないものを正義と主張するのが間違っているもだ。
正義はある。

[貧困の問題]

私は戦争とか紛争もそうなんですけど、争いが無くならない理由の一つとして、貧困がそうであると思うんですね。
貧困があるからこそ、戦争が起きてしまったり、紛争が続いてしまうと思うんですよ。(ローズ)

僕もそうだと思います。貧困、別の言葉で言うと格差ですね。
で〜格差それ自体は否定できないと思うんです。全てのものが平等と言うのは社会主義や共産主義になってしまいます。今のところ否定されておりますから、この社会では。
自由競争主義ですから。競争がある限り、ある程度の格差は生まれる訳です。

しかし格差が広がり過ぎて、底辺に居る人たちが、暴力を受けていると同じような状況になる、これを構造的暴力と言うんですけどね。あまりにも格差が広がり過ぎて生死に関わる状況ですね。
これを構造的暴力と言います。そうならないように歯止めをかけなきゃならない。それはやはり貧困対策を地道にやって行かなくてはならない。教育を施さなきゃいけない。全てが繋がっている。

それには時間が掛ります。僕が今やっていることは、そんなに時間を待てませんので、今この瞬間、何の罪もない一般市民が死んでいる訳ですよね。パキスタンやいろんな所で。これをなんとか止めたいって気がするんですよ。出来るだけ早期に、意見の対立はあるだろうけれど武器を使ってやるんじゃなくて、民主的な議論をして頂きたい。
それを目的に僕は今、動いているんです。(伊勢崎)

                【貧困対策だけでは今犠牲になる人を救えない】[伊勢崎賢治]


すごく貧しい所なのに、小さい子たちに武器を持たせたりするじゃないですか。この武器自体を排除したらどうなんですか?(ローズ)

それは学問的に言うと、武器がなくなれば戦争がなくなるかって言う問いを受けたとすると、僕は、そうじゃないと言わざるを得ないです。
ルワンダという国。(伊勢崎)

あっ私、ルワンダで思ったのは、あの大きな包丁。何と言うんでしょ。マシェティ。
あれをばら撒いた、使わせる為に。(ローズ)
だから家庭で道具として使えば包丁なんですよ、でも武器として使える訳ですよ。ただの棒もそうですよ。マシェティは農業の為の器具ですからね。
ご存じの通りルワンダの犠牲者は100日間で80万人殺されたんです。広島・長崎、原爆の被害者より多いんですよ。つまり大量兵器を使わずに、近代兵器を使わずに、ただ家庭の道具だけで、人間が鼓舞されると、扇動されると、人間が人間を殺すと言う仕組みが作られてしまうと、人間が核兵器以上の破壊力を示す。
だから武器がなくなれば、核兵器がなくなれば戦争がなくなると言うふうには言えない。・・・やっぱり人間です。(伊勢崎)

                      【戦争をするのは武器ではなく人間】[伊勢崎賢治]



■■インタビュー■■  [なぜ戦争はなくならないのか]

★僕はエゴじゃないかなと思ってる。欲求と言うか自分の国の領土を広げたいとか、お金とか、それ〜がいたちごっこじゃないですけど。
★戦争する国は、あの〜他の国の社会が判らない。
★あの〜、自分一人だったら〜、自分の中で完結すれば平和で居られる。他者が存在するってことは、どうしても相容れない違う部分ってのがあるので〜、どうしてもぶつかる面が出てくると思う。
★世代が変わるからね、私は戦争を知っているんですけれども、それが伝承しきれていない、次の世代にね。
★国の上に立つ人が委譲しているので、国を動かせるのはその人しか居ないので、・・・
☆でも結局偉い人でやってるから、ウチラ何も関わってない感じもしちゃわない?
☆だから上の人たちだけで〜、何かやってるから、実際あんまね〜知らない。
★他人ごとだよね〜、って考えるよねみんな。上の人ばっかりって。
☆遠い存在すぎる、戦争って。

●先ほどの年配者の方が、僕たちがやった事が伝わってないんだという事をすごく言って。僕たちは戦争が何故なくならないんだろうと言うけど、何かやはりそこら辺の問題の遠さと言うのが世界で戦争に本当に巻き込まれちゃっている人との間の若干の温度差があるのかなっと。
○若干どころじゃなく。相当あると思います。

あの、戦争の原因としてリーダーのエゴ、政治家のエゴの話をしましたけれども、それは全て民意が同時に形成される訳ですよね。強いリーダーと言うのはどう見られるかってのを気にしますし。強いリーダー、民意のサポートがあるリーダーを強いリーダ^と言います。それを知っているのがリーダーですからね。その民意がどう作られるかってのを、ちょっと考えたいと思います。(伊勢崎)

N                         NHK 探究Q より (抜粋)

私は思う
国連は安全保障理事会だけじゃ無い筈だ.
どう言う成り行きでこんなにもささやかな援助しかできないのだろうか?
「功利主義」の考え方は、人の命を金額で表すという間違いを犯していると聞く。
しかし世界中の、親を失った子供の悲しさの総量をリアルタイムで国連の議事場に表示したら良いのではなかろうか

俳優のユスチノフがこんなことを言っています。

「第四次中東戦争が引き起こしたエネルギー危機は、一応1974年半ばまでには収まりましたが、これを契機に北海の油田開発とか代替エネルギーの研究が急がれることになります。
度重なる中東戦争のあおりを受けてヨーロッパの願う恒久平和の理想は再び揺らぎ始めたように見えました。
国際連合もかっての国際連盟と同様、大国の一致協力が基盤になっていました。その基盤が崩壊すれば、本来の機能を失います。
しかし、これまで国連は、国連でなくては出来ない有益な仕事をして来ています。
ここジュネーブとニューヨークにはユニセフ、つまり国連児童基金と言う機関があり、私もその活動にはできるだけ参加しています。
新しく生まれて来る次の世代の健康を守るのは私たちの役目と言えます。ユニセフはじめ国連の機関には国籍を超えて働く人々が沢山います。私はそう言う人たちの活動にいつも感心して来ました。
所で、その活動を行うには莫大な費用が掛ると聞いていますが、各国政府、及び団体、個人の協力に負っています。
私は敢えて言いますが、世界の国々が児童の福祉に掛ける一年分の経費は、軍事費の僅か2時間分にしか過ぎないのです。
もってその実情がお判り頂けると思います。
お粗末なものです」(ピーター・ユスチノフ)

                     NHK 「ヨーロッパ」激動の29世紀 より

何故戦争するのか

人間は何故戦争をするんですか?
何時も子供たちが戦争によって家族を失ってしまったり。
どうして、こんなに世界は進歩しているのに。
その反面で武器によって人を殺めるのか。
犠牲になるのは子供じゃないですか。
この戦争がなくならないのを、理由を是非ちょっと今日は知りたいと言うか、意見を聞かせて欲しいです。
(ザヘル・ローズ)

難しいですね、ただ自分に対してでも説得力のある原因の一つとして、基本的に、あの〜経済的にね。戦争ってのは儲かるんですね。(伊勢崎賢治)
それは武器を売るとか、武器を作ったりする人たちですか?(ローズ)
それも、その一つで、しかし我々一般人もそうかもしれません。例えば戦争というのは破壊ですよね。都市が破壊される、そうすると、それを又作らないといけませんでしょ。
すると経済活動が営なまれる、建設ということでね。
労働力も吸収されますから、それによって恩恵を被る人がいっぱい出てくる訳です。
(伊勢崎)
【もうかる人がいるから戦争はなくならない】[伊勢崎賢治]

先生は紛争が起きている多くの国に行かれてます、
その中で争いが絶えない一番の原因って何だと思いますか?(ローズ)
それはやはり、指導者でしょうね。全てのリーダー、指導者にはエゴが有ります。
全ての人間にはエゴがあると同時に、僕が経験した破たん国家というのは全てリーダーの問題ですね。(伊勢崎)
リーダーがちゃんとしていない?
何時も納得出来ないのが、どうしてトップは、同じ国で血のつながった人たちなのに、
ちょっと上に立つと、すぐ力で人を抑えようとする。
よく同じ国の人たちに出来るな、と言うのがすごく心が痛いんですよね。
で、その争いの一番の原因と言うのが、ちゃんとしたリーダーが作られていないと言うことですか。(ローズ)
か、あるいはリーダーを作るシステムが無いのか。(伊勢崎)
どう言うシステムが必要なのですか?(ローズ)
そこは難しい、民主主義という言葉を使わなければいけないでしょ?民主化されれば好いシステムが作られる、好いシステムのガバナンスのシステムが出来る。世界中の国が、民主化されれば紛争がなくなるだろうと言うふうに信じたい。しかしその考えを押し進めて行くと。無理にでも民主化されていない国を民主化しようと言う考えが出てくる訳ですね。
で、戦争が起こる訳です。(伊勢崎)
【無理な民主化も戦争の原因となり得る】[伊勢崎賢治]

                以上、NHK  探究Q なぜ戦争するのか より(抜粋)

私は思う
1.「もうかる人がいるから戦争はなくならない」はその通りだと思う。
現に、先の大戦で焼け野原となった日本が急速に復興出来たのは朝鮮戦争のお陰でした。
残念ながら事実です。
だから、それで好いのだとは言えない。
何故ならば、それは受益者だけの論理だからだ。セメタリーがいかに美しかろうと。

2.「無理な民主化も戦争の原因となり得る」は民主的リーダーではない者がリーダーになるから無理が生ずるのだと思う。
歴史を振り返れば、みなそうだ。
為政者になった時、反対者や抵抗者を力ずくで処理してしまう。
それは、その方が手っ取り早いし、責任者としてのストレスに耐えられないからだ。
別の表現をすれば、覇道でトップになるのが人間の常だからだ。
しかし、それは先人が否定した政治です。
真のリーダーは反対勢力の理解者でも有らねばならない。
それは偏らない価値観を持てるだけの知性を必要とする。
つまりちゃんとしたリーダーたる者は歴史に裏打ちされた、正しい教育を受けている必要があると思う。
従って民主主義は決して最高の政治形態ではなく、何時でも全体主義や専制、ポピュリズムになるし。
その国民のレベルによって変態するものであるが、それでも一番ましな政治形態なのだと思う。
結果はその国民がとることになる。

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ゴー・ストップ事件

{風が変わった}

ゴー・ストップ事件 昭和8年6月17日  大阪天六交差点。

信号は赤だった。
しかし兵士は止まらなかった。
「こっちらの取り締まりは憲兵がするんや、お前らの言うことなんか聞けるか」
「兵隊さんは振り切って逃げようとしました。巡査がうなじを掴むと、兵隊さんはナニスルンヤと言って手をどけようとしたんで、兵隊さんの上着のボタンが全部外れてしまいました」。
派出所内で乱闘。
野次馬の一人が憲兵隊に通報。(以上が曽根崎署の調査概要)

粟屋仙吉(大阪府警察部長)は戸惑っていた。
「どうして今回にかぎってこんな些細な事件を大きな問題にしようとするのか?第四師団側の狙いが判らない」。
もし彼が普通の警察官僚なら問題はそうこじれなかったかも知れない。謝罪すればそれでまるく収まるからである。
しかし粟屋は普通の官僚ではなかった。彼は神に祈った。これから始まるであろう苦しみに耐えるために。

未だ警察からの謝罪がないことにしびれを切らし、井関隆昌(第四師団参謀長)は記者会見を行なった。
「事件は単に兵士と巡査の間に起こった暴発的な問題ではなく、『皇軍』の威信に関する重大な問題である。」
粟屋(東大法学部卒、柔道五段のモサ、宗教はキリスト教、断然禁酒主義)の反論は、「陳謝の必要なし」とはねつけ『軍隊が陛下の軍隊なら警察も陛下の警察であります。』
脅迫や嫌がらせが続いた。

これに怒ったのが第四師団長寺内寿一。警察対軍隊全面対決。
井関の言。「師団側が問題にしているのは我々軍人の威信が傷つけられたと言う一点ですよ!警官の処置が正しかったと言うのなら円満解決という訳には出来ませんなあ!」。両者激突。

井関の発表した声明文の一部。「現役軍人を単なる民衆として取り扱うのは正当ではない。その理由は、現役軍人は軍の統帥権内にあるものであって、単独に外出しているからとて、統帥権外にあるのでは断じてない。従って万一不幸があった場合には所轄憲兵隊に通告され、引き渡されるべきとなっている」。
つまり陛下の股肱である皇軍には一般市民と同じである警察権の執行を認めないと言うのである。
これが師団側の本音だった。

粟屋は頑としてゆずらなかった。軍人が犯罪を犯しても構わないということを警察が認めるのか。
両者の話し合いは決裂した。そして師団側は法廷の場に持ち込んだ。
大阪地検の捜査記録によれば、その結論はこうである。
「警官が交通違反者を連行するのは当然の処置にして、職務執行の必然的結果である。更に一般市民と軍人を分ける法的根拠は存在せず、傷害事件の事実関係は水掛け論に終わり、その真相判明せず」。
事件は解決の兆しすらないまま時は過ぎていった。

昭和八年十月、福井県で恒例の陸軍特別大演習が行われた。
そのおりのこと、陛下が陸軍大臣荒木貞夫にこうお尋ねになった。
「大阪の事件は一体どうなったか」。
荒木はその一言に恐懼した。この恐懼は電撃となって第四師団側に伝わった。恐れ多くも事件について心を痛めて居られたのである。
事件から154日目、新聞はゴー・ストップ事件円満解決と報じた。

粟屋は生前ゴーストップ事件について、あまり多くを語ろうとはしなかった。唯一、兄に宛てた手紙が残されている。
「いかに飛ぶ鳥を落とす軍部に対しても、悪くないところは謝らぬと言う態度にて最後まで終始し、断固として居丈高になった態度をどう納めてよいのか苦慮を極めるまで頑張りました。その間、如何なる迫害も、失脚も、ピストルも、全て覚悟して進みました。何らの引け目もありません。」
軍部という巨大なものと戦った男の言葉だった。

11月18日夜、ついに警察側大いに譲歩し、師団側の要求を大部分容認。尚、付帯条件として大阪府警察部長は管内警察官に対し、現役軍人に非ありたる場合に、その取り扱いを慎重にすべき旨、通牒を発す。
(和田検事正が司法省に提出したゴー・ストップ事件報告書)

ありゃ〜負けですよ。警察の負けですよ。あの内容は。喧嘩両成敗、引き分けじゃない。結局、警察が負けたんですね。
粟屋さんですか、がまあ〜涙を飲んで〜その〜譲歩したということでしょうか。
だという風に見るべきじゃ〜ないでしょうかね〜。
(江口圭一 愛知大学法学部教授)

信号は赤である。
市民たちは青になるのを待っている。しかし兵士たちが道を渡って行く。
市民たちは憤慨し巡査の顔をうかがう。しかし巡査は動けない。手を出すことが出来ない。

その時、
ふっと時代の風が変わった。

非常に高潔な人格に支えられた官僚が多かった時代だと思うんですね。
国を憂えて、このままではどうなるのかと、高い知識と高い志の中で判断してゆくという、そういう素晴らしい官僚が戦前居たことは確かなんです。
粟屋さんというのはやはり、
こう言う軍部台頭というのは,いずれ日本を不幸な道へ引っ張り込むんじゃないかと、言うことを肌で感じられる非常に徳のある官僚だったんじゃないかという気がするんですね。(大谷昭宏)

                                (「驚きももの木20世紀」より)



私は思う。
例え結果に影響を与えなかったとしても、官僚の中にこのような高い知性をもった高潔な人格が居たことは、日本人として大いに誇るべきだと思います。
現在も同じく立派な官僚が居られますが、その他大勢と同列の扱いを受けて『勇退』させられて居られるのを見て非常に残念に思います。
高級官僚の進退には国民の意見を取り入れるべきではないでしょうか?

何故戦争へ

[日本人は何故戦争へと向かったのか]

誰だって戦争をやろうって思っているやつは居ないんだね。
不思議だね。
どうしてあ〜ゆう事になったのかねえ。 (木戸)


松岡は、日本には非が無いと主張した。その強気の裏には列強への期待があった。

「判ってくれるだろう」 (松岡外相)


今回の証言テープから伝わってくるのは、自分たちの行動は特別ではない」という日本側当事者の楽観です。

「満州事変」
「当時の姿勢はですよ、列国も大体そんなものなんですよ、どこの国も
あんまり大したことないんですよ、みんなやってるんですから」
(片倉衷 関東軍参謀)


「兵隊を動かすことを満州に限定するなればだ、国際的にはそ〜心配することはない。
国際連盟というものは言論でワーワー騒ぐのであって。
力をもってやって来るというようなことはない。」
(鈴木貞一 陸軍省幹部)


しかし、こうした希望的な解釈は後の戦争へと繋がる国家の判断に大きく影響して行きます。


外務大臣の内田裕哉はイギリスの妥協案を拒絶します。
日本の民衆は満州国の建国に熱狂。政府はこの国内世論を優先するあまり、
イギリスの提案すら顧みることはなかったのです。


求めている熱河作戦ですが、行動は満州国の内部すなわち長城の東側に限定するよう厳命しております。」
(荒木貞夫 陸相)


政府は関東軍の要求をはねつける事ができなかった。


そうは言っても熱河は満州国の中だ。説明すれば連盟も判ってくれるだろう。(内田外相)


軍との摩擦を避け、内側の事情を優先した選択だった。その一方、世界の出方については更にあまく見ていた。


日本はイギリス等、列強の政治の潮流を読み誤ったと思います。
帝国主義から民主的な政策へ、まさに中心は移りつつありました。
日本政府は未だ列強が古い通念にとどまっていると考えたのでしょう。
              (アントニー・ベスト教授 ロンドン大学:英外交史)

「国家の前途を思い、率直に申し上げる。
ものは八分目でこらえるのが良い。一切の行きがかりも残さず連盟に手を引かせるなど
出来ないことは最初から政府も御承知の筈である。」          (松岡)                       



経済制裁は恐慌から立ち直っていない日本には致命的でした。
にも関わらず誰も関東軍に作戦を撤回させようとしません。寧ろ、その代わりに外務省が場当たり的に持ち出したのが連盟脱退論でした。


以上
NHK「日本人はなぜ戦争へとむかったのか」より

私は思う
今も同じだ。
間違った事をやって悪いと思わない。
どんなに最低な奴でも、自分を当たり前として他人を評価する。
物事が対処できなくなっても、希望的観測で無責任な事を言って責任を逃れる。
狭い視野で、せつな的な目先の問題解決しか考えない。(理念で判断せず、目先の結果を想定して対処する。)

要するに、知性というものが欠如した「アクタレ」に国家を牛耳られているのではないか?
「オマエラ戦争やるぞ、逆らうな!」と宣告されても逆らえないのではないか?
この国民は。

・・・相手が相手なら。


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