村上春樹

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タイトル「街と、その不確かな壁」

村上春樹の実質的には第三作目となる中編小説。

1980年『文學界』9月号に掲載された。後に発表される『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』へと発展する習作的な小説として位置しているが、村上の意向により単行本や全集にも一切収録されていない作品である。

この作品は、『1973年のピンボール』が芥川賞候補となったことにより、その受賞第一作として発表することを意識して書いたと、村上自身がインタビューで明らかにしている。テーマそのものは以前から暖めていた内容であったが、文体は前二作とは異なり硬く難解なものであり、また物語の結末も本人にとって納得のいくものではなかったようで、村上は後に「あれは失敗」であり、「書くべきじゃなかった」とも語っている。

上記の文章は、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用させて頂きました。

村上春樹が「失敗」と語る作品を読んでみたくて、今年7月に東京都永田町にある国立国会図書館に行きました。
ここは日本で唯一の国立図書館で、日本の出版物を「国有財産」として保管することを目的に存在しています。現存する戦前の出版物も電子資料で閲覧可能です。利用しにくい図書館ではありますが、古い雑誌や記事が欲しいときはここに来るのがベストです。
1980年『文學界』9月号という情報があれば、簡単に探せます。
本を借りたら、欲しい記事を著作権法の範囲内で複写してもらいます。
複写した分のお金を払います。そんなに高くないのでラッキーです。

この小説はインターネットからの複写申し込みができないので、直接国会図書館に足を運ばなければコピーすることができません。
村上春樹さんには申し訳ないけれど、ファンとして、大切に読ませていただきます。
目を通して、失敗作の意味がわかりました。でも、私はこういう作品好きです。

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俗にいう「羊三部作」の続編。
「ダンス・ダンス・ダンス(上・下)」

「羊をめぐる冒険から」4年後、「僕」の新しい冒険が始まります。

村上春樹はこれを執筆した理由として、羊をめぐる冒険を書いた後に「主人公に申し訳ないことをした」という思いを抱いたからと答えているらしい。たぶん、親友である「鼠」を自殺させて、孤独に追いやってしまったことを言っているのではないでしょうか?

主人公は何かに導かれるように、もう一度北海道のドルフィン・ホテルを訪れます。
そして小さな時空の歪みの中で羊男と再会するのです。

羊男とは何か?
村上春樹は「地霊」みたいなものを意識して書いたと述べているそうです。

羊男は“繋がり”について語ります。「それがおいらの役目だよ」と主人公に言うのです。

羊男に出会った後、彼は何の手がかりもつかめないまま映画館に行きます。そこで行方不明のキキと、中学時代の同級生で俳優の五反田君との繋がりを強烈に実感するのです。

「馬鹿みたい」が口癖の13歳の女の子「ユキ」は特別な感受性を持っていました。
ユキには、キキを殺した犯人までわかってしまうのです。それを「感じた」シーンは鳥肌が立ちました。

結局、彼の好きだった人間が5人死にます。
特別な人間と5つの死体について彼は考え、怯えるのです。
彼にはユミヨシさんという思いを寄せる女性がいて、彼女を失うのが怖くて怖くて、最後はどうしようもなく彼女を求めてしまうのです。

「僕は失われたもののために泣き、まだ失われていないもののために泣いた」
果たして、この結末で彼は救われたのでしょうか?
悲しみが増えただけでは? そんな風にも見えますが、彼には新しく得たものもあります。

「踊るんだよ。音楽の続く限り」と羊男は言いました。
彼は、どんなに辛くても、繋がりを求めてこれからも踊り続けるのだろうと思います。
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村上春樹の最初の書き下ろし長編小説。
1985年「谷崎潤一郎賞」を受賞。
春樹はこれを自伝的な小説であると位置づけているらしい。

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上・下)」は知り合いの間でも人気があります。
私が一番“面白い”と思うのは「羊をめぐる冒険」ですが、一番“楽しい”と思うのはこの作品です。

タイトルの通り、この作品は「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」の章に分かれています。世界を異にする「僕」と「私」の視点で、2つの章が交互に進行していきます。しかし、まったく別の世界にある「僕」と「私」ですが、この二人は繋がっているのです。というか同一人物ですね。

「世界の終り」では一角獣のくだりがとても素敵です。
なんだか宮沢賢治の童話をちらっと思い出しました。幻想的で儚くて、いとしい物語です。

「ハードボイルド・ワンダーランド」は地底に住むやみくろのアイデアが面白かったです。地底に入ってからの探検シーンでは、説明が多い割になかなか先に話が進まなくてちょっともどかしい思いをしましたが、それでも見えない敵から逃げ惑う緊迫感は読み応えがありました。

ラストで、世界の終りの意味が明確になります。
「僕」と「僕の影=私」との会話は私をカタルシス(浄化)へと導いてくれました。
読後はしばらくボーとして、浄化された自分の心の変化を噛みしめました。
私にとっては宝物のような作品です。

ノルウェイの森

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1987年「ノルウェイの森」がベストセラーとなり、これを機に国民的支持を得る。
私が持っている文庫は、有名な赤と緑のカバーではありませんが……
ある意味レア?いま本屋じゃ売ってないし?

主人公「ワタナベ君」と「直子」と「緑」。
簡単に説明すると、この三人の三角関係の話になります。
しかし、奥が深い内容です。

昔、バイト先の人と「ノルウェイの森」の話題になって、感想を訊ねたところ、
「なんか、性描写とか受け入れられなかった。意味不明。とにかく普通じゃないよね」
という否定的な返事をもらったことがありました。

でも、私は作家の姿勢として村上春樹の目指す先は正しいと思います。
例えば、自分にとってとても大切な人が苦しんで苦しんで死んでしまったという経験のある人と、本当に大切な人がいつまでもそばにいると信じている人とでは、同じものを読んでも同じように共感することはできないのだということを私は考えました。
この物語に漂う「喪失感」は、かなりリアルです。
エンターテインメントではなく、現代文学として、素晴らしい作品だと思います。

羊をめぐる冒険

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村上春樹、初の本格長編小説「羊をめぐる冒険(上・下)」。
第4回野間文芸新人賞を受賞。
もう、とにかく面白い!!

主人公は結婚していたが、奥さんと別れるところから物語は始まります。
彼は素敵な女の子と出会い、その女の子と一緒に不思議な「冒険」に出かけるのです。

北海道の山奥で暮らしている「羊男」。「羊をめぐる冒険」からはリアルとファンタジーが一体化していいるような作品がポツポツと出てきます。このキャラクターの登場は今後の村上春樹の作品を読んでゆく上ではとても大きな意味があるような気がします。

「羊男」の純粋さや話し方が好きです。
愛すべき存在だと思います。
「どうしてここに隠れて住むようになったの?」
という主人公の問いかけに、少しためらって
「戦争に行きたくなかったからさ」
と答えたときの羊男に私はすごくときめいたのを覚えています。

三部作はこれで終わるのだけれど、「羊をめぐる冒険」から4年後、続編の「ダンス・ダンス・ダンス(上・下)」が発表されます。

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