先見できるか?

これからの世界を予測するのに有用な記事やブログを紹介・・・
必要な時間は「1000億×
1000億秒」です。1万年計算しても、到達しません。

 それでもスーパーコンピュータを多数並列につないで計算速度を上げ、
偶然に頼って暗号を解くマイナー(鉱脈堀りが原義)という協力者がい
ます。経費は、コンピュータ使用料、電気代、人件費です。報酬は、解
いたBTCですが採算に合うかどうか。

【マインニング】
暗号を解くと、現在は12.5単位のBTC(時価で約2500万円)が与えられま
す(これがマイニング)。この報酬は1年ごとに半減し、西暦の2140年に、
2100万BTC達した時点で終了します。2017年4月の発行量は1320万枚で、
2140年の上限の63%です。BTCのマネーサプライ量は、今、上限の63%と
理解してください。

 開発するマイナーたち(大手が10社でシェア90%)は、ビットコインの
分散サーバーを持ち、認証の協力者です。マイナーには人件費と電気代
が安い中国が多い。ビットコインの新規供給が少なく、希少性があるた
め、価格が上がったのです。

▼今、フィンテックが熱い

BTCが先鞭をつけたブロックチェーンの暗号の仕組みは、現在、「フィン
テック(金融テクノロジー)」として、三菱UFJグループやSMBCに限らず、
世界の銀行が研究し、開発に奔走しています。

近い将来、銀行がBTC風ものを開発することも確定しています。その場合、
たとえば、「1万円=1単位の仮想通貨」として固定されるでしょう。こ
れは、リアルマネーの代替になるという意味になります。20世紀までの
紙幣は次第に少なくなって行くでしょう。

 20世紀のアナログ情報(画像、音声、音楽、文字)が、デジタルの信号
になったような変化です。アマゾンのような仮想店ができた変化と類似
しています。銀行システムに頼らず、電子メールのように個人から個人
へ送金ができるデジタル暗号になるということです。

電子メールができたあとも、郵便はなくなっていません。しかし郵便で
の個人情報の伝達量は減っています。これが、今後の仮想通貨とリアル
通貨の関係を示唆します。

■4.ビットコインは今後どうなるか

 読者の関心は、日本人の買いで200万円に高騰したBTCが、今後、上がる
のか下がるのかでしょう。上がるには3つの条件が必要です。

【BTCが上がる3条件】
(1)使える店舗が増え通貨の条件である一般交換性を確保すること。
(2)マネーロンダリングや資本規制(外貨交換の制限)の障害として、
政府が禁止しないこと。
(3)個人投資家の買いが増えること。

 使える店舗は、増える傾向です。中国のように元の外貨交換を規制する
国では、禁止されることはあるでしょう。日本・米国・欧州では、政府
は禁止しないとみています。

長期的には、現在の通貨を、価値が目減りするマイナスの金利をつける
こともできる仮想通貨に変える考えをもっているからです。残る問題は、
投資家による買いが増えるかどうかの予想です。

 BTC風の仮想通貨を、世界の銀行が開発した場合、BTCの希少性は薄れま
す。そうすると価値変動のリスクが高いBTCへの投資は、次第に減って行
く可能性があります。BTCの高値は、それまでの命のようにも思えます。

【銀行系の仮想通貨】
2018年、2019年は大丈夫でしょうか。銀行系の仮想通貨が出ると予想さ
れる2020年ころは危ない。価格が下がっても老舗のBTCがなくなるという
意味ではない。価格のボラティテリティ(価格変動率)が低い通貨に変
わって行くことです。

株式市場でも、上場会社が増えると、投資資金の集中は減ります。これ
と同じことが、銀行系の仮想通貨の登場で起こるでしょう。

銀行系の仮想通貨は、1つの銀行が始めると、ごく短期間で、クレジット
カード会社のように増えていきます。

BTC風の仮想通貨は、ゼロ金利が経営を圧迫している銀行が、競って開発
するからです。仮想通貨は、近い将来、リアルマネーのクレジットカー
ドのような機能を果たすことになるでしょう。店舗は、クレジットカー
ドのように、使える仮想通貨の看板を表示する風景。

 IMFのラガード専務理事は、IMFの通貨(SDR:政府と中央銀行のみが使
う通貨バスケット:1SDR=166円)をブロックチェーンにし、仮想通貨に
するという構想も述べています。リアルマネーが多く仮想通貨に代わっ
たとき、預金という概念も変わるので、中央銀行と銀行そして金融業が
どう変化するかは、別のテーマです。

今も所在は不明で、開発者とされるサトシ・ナカモトはノーベル賞を超
える発明で、金融の世界を変えました。ビットコイン風の仮想通貨の時
代を拓(ひら)いたからです。

【後記】
1995年からインターネットと結びついた情報処理技術は、2015値からは
AIも参加する時代になって、やはり世界を大きく変えます。仮想通貨も、
インターネットの中で可能になっています。

メール・マガジン自体も、情報処理技術の利用で誕生したものです。考
えて見れば不思議です。情報は0と1の信号の長い連鎖だからです。仮想
通貨もこれです。0と1は、電気スイッチのON-OFFに置き換えることがで
きます。コンピュータハードは、膨大な数のスイッチの集合です。音楽
や動画すら、デジタルの0と1になっています。

現在の、情報を、保存したプログラムで処理するコンピュータ原理を発
明した、万学の天才フォン・ノイマン(1903〜1957)は、「世界は0と1
の信号で写し取れる」と言っていました。惜しむらくは、53歳で亡くな
ったことです。

この記事に

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            2017年12月11日:  Vol.376

      <Vol.376:ビットコインは、今後、どこへ行くのか>

          テーマ領域:仮想通貨の仕組みと将来予想

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  <Vol.376:ビットコインは、今後、どこへ行くのか>
              2017年12月11日:無料版

【目次】

1.世界1になった、日本人のBTC取引額
2.通貨として認めない立場
3.偽造を防ぐブロックチェーンの技術的な仕組み
4.ビットコインは今後どうなるか

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■1.世界1になった、日本人のBTC取引額

2017年11月中の、日本でのBTCの取引額は、10兆7562億円(1日平均3580
億円)と大きくなっています。取引所はビットフライヤーです。1000種
も開発されている仮想通貨のうち、時価総額は1位のトヨタより大きい
30兆円に膨らみ、全部の仮想通貨の価値の50%を占めるのがBTCです。2
位はイーサリアムで15%、3位がリップルで6%です。

ビットフライヤーには、三菱UFJやSMBC、みずほ等の大手銀行が出資して
います。今日の買いはBTCの1単位で202.6万円、売りは187万円でした。
https://bitflyer.jp/ja/

比較のために示すと、わが国の株式の売買額は1日約3兆円、月間60兆円
です。日本ではBTCだけで、東証の株の1/6の売買高になっています。9月
以降のわが国の個人投資家(700万人)は、株は売り越して、ビットコイ
ンを買っています。

買う人が増えたのは、仮想通貨法で通貨として認めたこともありますが、
アマゾンのような取引所のサイトでウォレット(ビットコインの財布の
ソフト)をダウンロードするだけで、クレジットカードで買うことがで
きるからでしょう。およそ10分もあれば、終わります。手軽さは、リア
ルマネーに対する仮想通貨の利点です。

【日本と米国】
現在、世界で強い関心を示しているのは、日本と、17年12月10日にシカ
ゴ市場に先物が上場される米国です。ユーロ圏(19か国)では、注目さ
れてはいません。統一通貨のユーロ自体、自国では発行していないので
(中央銀行のECBはどの国にも帰属していない汎欧州です)、感覚的には
仮想通貨のようなものだからかもしれません。

10月からの、日本での熱狂には、どんな理由があるのか。

【原因の2つ】
日本で買いが増えた原因は、外貨のFX(外為証拠金取引)で、個人の売
買額が世界1という素地があったからでしょう。海外メディアからはミセ
スワタナベと呼ばれるFXの個人投資家が、株価が上がっていた10月ころ
から、成長する外貨の新種や金と同じと見なし、BTCを買ったからです。
50万円を超えてからは、金の代替物と見なす人も増えてきました。

FRBが2017年10月からは出口政策(増発したマネー量の縮小)に向かって
いるのに、日銀は今後も、いつまで行うかわからない量的緩和(通貨の
増刷)を続け、ベーマネーの量が増え続ける円は、いずれ下がるのでは
ないかという予想も絡んでいるようです。FXを行っている人が、ビット
コインを多く買っていることが、この不安を示しています。

■2.通貨として認めない立場

通貨の機能は、3つです。
一つは「商品購買力の価値の保存機能」。貯蓄される通貨には、購買力
の保存機能がなければならない。
 二番目は価値の尺度となること。商品の価格を計る機能です。
 三番目が、商品との一般交換性です。どの店舗のどの商品も、通貨で購
買できなければならない。

【店舗】
価格変動の大きなBTCは、3つの機能を満たしているとは言えません。 使
うことのできる店舗、レストランもまだ少数で金額も少ない。ビックカ
メラや、中華街の聘珍楼(へいちんろう)では、1か月にわずか数回です。
中国人が多いということでもない。17年5月で、ビットコイン使える店舗
は、全国1700店でしかありません。

総店舗は100万店です。使用できる店舗は少ない。ただし、リクルートが
展開する「モバイル決済 For Air レジ」では、店舗が希望すればビット
コインを使えるようにする予定であり、そうなると一挙に、全国26万店
にふえます。

といっても、話題づくりの目的で店舗側が実際に希望し、使用可能にな
るのはまだ5000店くらいと見込まれます(2017年)。しかし、2018年、
2019年になれば、急速に増えるとみています。オリンピックのころは、
仮想通貨を使うのも、一種のクレジットカードのように普通の風景にな
るかもしれません。

1単位200万円の時価のビットコインで1万円の商品を買うときは、0.005
ビットが店舗に移り、ウォレットの残りが0.995ビットになります。受け
取る商店も、取引所ですぐに円に交換せず、保存すれば「値下がりのリ
スク」を抱えます。ただし同じ確率で、値上がり益も見込めるでしょう。

 BTCには、通貨の3つの機能がまだ十分でない。このため、通貨ではなく、
投機的商品と見ている人が多い。買う人も、店舗で使うためではなく、
転売の利益を目的にしているからです。投資銀行のゴールドマンサック
スやJPモルガンは、「詐欺的な通貨」と批難しています。

【分散管理の通貨】
中央銀行のように、価値(購買力)を安定させて維持する機関はない。
価格は、取引所での日々の売買で決まります。何らかの原因で売りが増
えると、数か月の短期で数万円と、数十分の1に下がるリスクもあります。

■3.偽造を防ぐブロックチェーンの技術的な仕組み

ビットは、0と1の情報の最小単位をあらわす言葉です。BTCの正体は、暗
号を交えた電子信号であり、紙幣やクレジットカードのような形はあり
ません。

【ウォレットをダウンロードして、BTCを入れる】
携帯電話やコンピュータのウォレットが、BTCの財布です。その台帳とし
て、BTCの協力者(マイナーという)のコンピュータディスクに、同じ暗
号が分散して記録されています。同じ台帳の多数分散保存が、ビットコ
インの特徴です。

【ブロックチェーンで認証】
ビットコインでは、所有者が使うたび、送金するたびに、新たな母ロッ
クチェーンの暗号がついて、それが世界の多数のディスクに、台帳とし
て分散して保有されます。この分散コンピュータ全部と、ブロックチ
ェーンが一致したとき、使われたものが真性のものとして認証されます。

不一致があれば認証されず、偽札です。この仕組み、つまりPeer To
Peerでの台帳の分散保有が、偽造はほとんど不可能という通貨の条件を
つくっています。

【銀行預金や電子マネーは、中央集権の管理】
銀行の預金やイオンで使える電子通貨のワオン、JRのスイカの管理の仕
組みを示すとBTCの意味も分かるでしょう。

 銀行預金では、個人の通帳に残高記録されています。通帳と同じものは
銀行のコンピュータにあります。リアルマネーの預金の台帳は、銀行の
本部にあるコンピュータ内一カ所です。

 ATMに銀行カードとパスワード入れ、預金口座から送金すると、預金口
座と当時に、台帳の残高もマイナスされます。台帳は、個人が不正に書
き換えることはできません。中央で台帳を管理する仕組みにより、二重
送金を防いでいるのです。

ワオンやスイカも、銀行と同じ仕組みです。個人の電子マネーの残高と
同じ台帳が本部にあり、使うときは両方の残高が一致しなければならな
い。この一致をコンピュータ用語で「認証」と言っています。

 認証されないと使えない仕組みです。ネットでの不正使用が起こりやす
いクレジットカードとは違う、中央の台帳による認証の仕組みが、電子
マネーにはあるのです。

 1万円札や100ドルは、われわれの「紙幣の情報のアナログの記憶」によ
って認証され、使われています。コピーはできますが違いをわかる人が
多いからです。

【紙幣の偽造】
ドル紙幣になじみのない人も多い海外で流通する100ドル紙幣には、以前
から、偽造が多いといわれます。有名なものは、北朝鮮が作ったとされ
る精巧で、人の目ではほとんど見分けがつかないスーパーノートです。
北朝鮮内では、ドル作りは、米国を攻撃する正義の産業でした。資本主
義を、「搾取の仕組み」として認めなかったからです。紙幣は偽造が容
易なので、世界にドルをばらまく米国FRBは、ドル紙幣の偽札を、常に恐
れています。

このため米ドルには、将来、偽造のできないビットコイン風のものにな
る可能性もあるのです。ビットコインがドルになるということではない。
米国FRBが仮想通貨を発行するということです。

 2003年のイラク戦争のとき、米国CIAがイラクのディナールの偽札を大
量に作ってインフレを起こし、イラク経済を混乱させています。古来、
偽札は、相手国の経済を破壊する兵器の一環として、戦争で使われてき
ました。日本軍も、歴史の教科書から消えていますが、中国への侵略の
とき、中国で元を偽造していました。

歴史的に言えば、紙幣の偽造と乱発のため、錬金術では偽造できない金
が、珍重されてきたのです。金は、法域(国家)から離れた無国籍通貨
になり得るからです。

20世紀が、紙幣の時代になったのは、偽造を難しくする印刷技術の高度
化のためです。本物と見まがうマネが容易な時代には、紙幣は使うこと
はできませんでした。紙幣を可能にしたのが印刷とは、知らない人が多
いでしょう。偽金作りは、通貨の根本にある問題だったのです。

▼BTCでの、通貨認証の仕組み

ビットコインでの画期的な発明は、世界中に分散された多数のサーバー
で、ブロックチェーンの台帳を同時保存し、使われたとき、リアルタイ
ムで認証する仕組みです。

 AさんからBさんに送金されたとします。BTCを入れたスマホで、店舗で
使うときも、送金と同じ仕組みです。

送られたBTCには、送ったAさんの固有アドレスと、送られたBさんのアド
レスが自動的につきます。これがつながったものがブロックチェーンと
言われるビットコインの履歴です。

 履歴情報は、世界の協力者のディスクに、同時に保存されます。さかの
ぼって変更することはできません。ブロックには10分ごとに、新たな情
報が付けられています。読み取りの桁を区切る「ハッシュ値」も変更さ
れて解読をできなくしているのです。この偽造の不可能さがBTCを通貨に
したのです。

 銀行のように、本部のサーバーの台帳を、勝手に書き換える不正はでき
ません。取引所も台帳の書き換えはできません。世界中の分散サーバー
の元帳のブロックチェーンと一致しなければ、真正のものとして認証さ
れないからです。

▼ビットコインのサプライの増加は、マイニングによる

 数字で5桁のパスワードは、100万種類(10の5乗)しかない。1秒間に
10万種の4桁の乱数を出力するコンピュータなら、10秒で解くことができ
ます。暗号を10の30乗、つまり30桁の数字にすればどうか。1秒間に10の
10乗(1兆回)の計算ができるスーパーコンピュータの「京」でも、10の
20乗という想像を超える秒数がかかります。必要な時間は「

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不動産の2022年問題

不動産の「2022年問題」とは?

今から5年後に起こるであろう、「2022年問題」をご存知でしょうか。

端的に言うと、都市圏にある農地の一部が放出されて膨大な数の住宅が建築され、不動産価格が下落するのではないかと言われている問題です。

これは「生産緑地問題」とも言われることがあり、生産緑地法に基づいています。

1974年、市街化区域内の宅地化を促す目的で生産緑地法が公布されました。この法律により大都市圏の一部では農地の「宅地並み課税」が行われ、都市近郊の農地のほとんどが宅地化されることになりました。

その後、1992に同法が改正され、一部自治体が指定した土地の固定資産税は農地なみに軽減され、また相続税の納税猶予が受けられる「生産緑地制度」が適用されました。

生産緑地とは、住宅の建築が可能な市街化区域内の面積500平米以上の土地のことで、生産緑地の指定を受けると建築物を建てるなどの行為が制限され、農地としての管理が求められます。

生産緑地制度が適用されたのは首都圏・近畿圏・中部圏内の政令指定都市、その他の一部地域です。

都市部の住宅地の中に、時折ぽっかりと畑があり、「なぜこんな場所に農地があるんだろう?」と感じてしまうような場所に遭遇したことはないでしょうか。これらはほぼ生産緑地です。

東京都だけで「ドーム724個分」の生産緑地

では、これの何が問題なのか。

1992年の改正により、生産緑地の指定から30年後が経過すると、所有者が農業を続ける意志がない場合、市区町村の農業委員会に土地の買い取りを申し出る事が可能となります。

つまり、それが2022になるわけです(それまでは所有者が死亡したり病気などで農業に従事できなくなったなどの場合しか買い取り申し出はできません)。

法律では、市町村は特別な事情がない限り時価で買い取らなければならないと定めていますが、主に財政負担が難しいという事情から、今まで買い取るケースはほとんどどありませんでした。

市町村が買い取らない場合、市町村の斡旋によって買い手を探すわけですが、生産緑地として買う人(つまり営農する人)がいなければ、この生産緑地指定が解除されます。

生産緑地が解除されると、従来は固定資産税が宅地の1/200分のとして減額されていたものが、軽減が無くなり一気に跳ね上がります

生産緑地の所有者の多くは高齢者と見られ、農業を継続できない人もいるでしょう。かといって少なくとも500平米はあるため、その固定資産税が宅地並みになればあまりに高額となる。

そのため土地の維持ができず、売却などで一斉に手放す所有者が続出する可能性があるわけで、それを大きなビジネスチャンスとして虎視眈々と狙っているのがハウスビルダーやマンションデベロッパーです。

では、そのような土地がどのくらいあるかというと、平成26年のデータによると、

      生産緑地(ha)   東京ドーム(4.6ha)個数換算
埼玉県   1,824.80   397
千葉県   1,188.51   258
東京都   3,329.80   724
神奈川県  1,404.10   305
愛知県   1,206.02   262
大阪府   2,100.40   457

つまり、東京都だけでもドーム724個分の生産緑地があることになります。

もちろんすべての生産緑地が解除されることはないですし、土地開発の際には道路用地も必要なので宅地の有効面積はもう少し小さくなりますが、もしこの土地に新築一戸建てが建築されれば、東京都だけでも25万戸以上の戸建てが供給されることになります。

これが賃貸アパートや賃貸マンションの集合住宅であれば、賃貸物件の供給戸数も一気に増えますから、需給バランスを大きく歪めることになりかねないのです。

埼玉県羽生市の悲惨な事例

それをすでに経験した地域があります。かつてNHKでも特集された埼玉県羽生市です。

市は2003年、人口増を見込んで、住宅建設が原則不可となっている市街化調整区域の農地に住宅を建築できるよう条例を定めました。その結果、市街地から遠く賃貸には向かない立地に新築アパートが乱立し、おびただしい空き家を生んでしまったというのです。

政府もこの問題を認識しており、都市農地の保全を推進する姿勢を示し、生産緑地制度の改正も視野に入れているようですが、生産緑地を優遇しすぎている現状にも問題があると指摘されているなど、有効打となるかは不透明です。

そこでカギを握るのは、自治体の構想力とリーダーシップではないでしょうか。

一例として、パナソニック、野村不動産、横浜市が20153月から取り組んでいるスマートシティプロジェクト「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」が挙げられます。

ここは生産緑地ではありませんが、横浜市港北区綱島地区にあるパナソニックの工場跡地を活用し、次世代エネルギーシステムの導入をはじめ、さまざまな先進技術の導入による都市型スマートシティの構築を目指すプロジェクトです。開発を進めるのはパナソニック、野村不動産の2社を主幹事とする合計10団体ですが、横浜市も参画して進められています。

これは特殊な例かもしれませんが、介護施設や保育所を運営する企業、ショッピングモールを運営する企業、あるいはコンパクトシティなどの計画都市を、自治体がリーダーシップを持って街づくり構想を持ち、所有者や企業に働きかけることが必要です。

公園や通学路への転換、家庭菜園事業などといった用途は限定されますから、誰かが音頭を取らなければ土地は利益追及の不動産業者に売り渡され、ハウスビルダーの草刈り場となるでしょう。

結果、不動産価格や賃貸物件の賃料が大きく下落しかねないわけです。

個人はどう備えるべきか?

都市部の生産緑地は、通常は駅徒歩10分圏内にあるような立地は少ないため、本来は収益物件としては適さないことがほとんどです。

さらに昨今は投資物件への過大な融資が行われていることが問題視されており、金融庁も金融機関への通達や検査等によって引き締めの方向へと舵を切っています。

そのため金融機関サイドも、賃貸需要が見込めにくい場所への融資は控えるようになるはずです。

また、マンション在庫もだぶついていますから、マンションデベロッパーも売れ残りを恐れ、優良立地以外には触手を伸ばさないでしょう。

つまり、生産緑地跡に集合住宅が無法地帯のように乱立するという状況は想定しにくいと考えられます。

また、立地重視・資産価値重視の家選び・投資物件選びをしたい人にもあまり関係ないと言えるでしょう。

そもそも都心部や駅近には生産緑地はまず存在しないので、地価にしても賃料にしても、都心や駅近では2022年問題の影響はさほど大きくないと想定されます。

影響を受けるとすれば、ファミリータイプのアパートや戸建ての購入を考えている人たちや、すでに所有している投資家になります。

2022年問題」の影響を最も受けるのはファミリー向け物件

ファミリーはを持っていることが多いため、駅から離れても賃貸としての需要はあります

それはアパート建築メーカーもわかっており、そういうプランを地主に提案しますから、ファミリー向け賃貸アパートが増え、空室増加、賃料の下落圧力が高まるという事態は想定されます。

賃貸アパートを借りる人にとってはメリットですが、所有する人にはリスク要因です。

同様に、一戸建ても駅徒歩○分といった概念はあまり通用せず、デベロッパーやハウスビルダーは広い土地を買い取って区画整理し、分譲戸建てとして売り出すでしょう。

すると、低廉な新築戸建てが乱立する可能性は高く、将来家を買う人は安く買える一方、すでに所有している人にとっては自宅の資産価値の下落が待ち受けています。

それはイコール、戸建て賃貸をしている投資家にとっては直接的な競合になるリスクとなります。

戸建て賃貸は、いったん入居が決まれば比較的長い期間の入居が期待できる一方、一般の戸建てより低コスト・ローグレードな仕様であることが多いため、魅力度で負けやすい。

現状で賃貸が決まっていても、いったん退去されるとリフォーム費用がかさむにもかかわらず、なかなか次が決まらないという事態になる可能性は否定できません。

とはいえ、自治体や業者の動きも地主の判断も私たちにはコントロールできず、どうなるかはわからない。ではコントロールできることは何か。

不動産投資家であれば、やはり立地上不利な物件を手放していき、2022年以降の環境変化を観察することではないでしょうか。

むろん、賃料を下げる余力を生めるよう繰り上げ返済を続けるとか、設備やデザインの見直しによるリフォームといった競争力を上げる努力も必要とはいえ、立地は変えることができません。

自分が売りたいときには、みんなも売りたがっているので、なかなか売れない状況になるのが通常です。

2022年以降になって慌てても選択肢が狭まるだけ。だから「売れる時に売っておく」という判断も必要です。

この記事に

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       ビジネス知識源(本誌は、無料版です)
【良質な経営・ビジネス・IT・経済・金融・知識の提供を目標に】
              2017年4月14日:  Vol.369

      <Vol.369:騒然としてきた世界を、事実から読む>

           テーマ: 極東戦争への歴史的危機
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
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          Systems Research Ltd.吉田繁治 41624部
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おようございます。日本では桜が見納めの時期というのに、世界が、一挙に、騒然としてきました。韓国と日本は、地政学的な危機の可能性の、直前にあります。

避けることができるかどうか。入手できた事実をもとに考えます。焦点になるのは、北朝鮮がもつ核兵器、サリン、ミサイルです。(無料版が、約2ヶ月とだえたことをお詫びします。)

新着のニュースでは、米国は、シリアの反政府組織(ISISと言われる)の空港などの、59発のクルーズミサイルでの爆撃に続き、今度は、ISIS(イシス)の拠点とされるアフガン東部に、超大型の爆弾を投下しました。

(注)クルーズミサイル(巡航ミサイル):長距離を低く飛ぶため、敵国のレーダーにかかりにくいが、100%避けることはできない。

【アフガンの爆撃:4月14日】
アフガン爆撃に使われたのは、「GBU-43/B」で大規模爆風弾兵器とされています。核に準じる大規模破壊の威力があり、実戦に使われるのは、初めてです。投下された地域は、ナンガルハル州の、ISISの支配地域です。(Bloomberg:4月14日:午前6時)

【シリアへのミサイル攻撃:4月7日】
電撃的だった米国のISISの爆撃は、「シリア反政府組織が、国際法が禁じるサリンを使って攻撃した」というものです。サリンは、トルコの保健相が犠牲者から確認したという。

ただしプーチン大統領のロシアは、「米国が言うISISのサリンの使用は嘘であり、トルコが持ちこんだ西側の、(攻撃の理由を作るための)自作自演」としています。そして、国連の安全保障委員会でも、米国のミサイル攻撃に対し、不当だと反論しています。

【ロシアと西側】
ロシアは、シリアのアサド現政権を支えるため、派兵しています。一方、西側(米国、英国、ドイツ、オランダ等)は、アサドへの反政府組織とのつながりがあります。

米国は、公式にはこれを認めていませんが、「アラブの春の民主化を支援する」とは言っています。ISISを、民主化運動とするには、無理があるからです。

【ドルトムントのバステロ:4月13日】
昨日、ドイツのドルトムントの自爆テロで、バスが襲われました。サッカーチームが乗っていて、選手1人が重傷を負っています。香川選手も同乗していましたが、無事という。

ドイツで人気あるチームの襲撃なので、騒然としています。「ドイツのシリア派兵」を糾弾する、イスラム系と見られる文書が残されていたという。

【ペテルスブルグ:4月3日:自作自演の説】
4月3日には、プーチン大統領が滞在していたペテルスブルグの地下鉄車内で、自爆テロが起こり、14人犠牲者が出ています。

犯人は、キルギス出身のロシア人とされますが、当人も死亡しています。イスラム系の自爆テロかどうか、裏付けはまだありません。

ロシアが、軍事力強化の世論を喚起するために起こしたロシア保安局(FBS)の自作自演だ、というメディアの観測もあります。第二次座残酷だったチェチェン戦争に至り、エリツィンに代わってプーチン氏が大統領の座を獲得する前に起こった、モスクワの連続テロに、プーチン氏の関与があったことは、2014年に明らかになっているからです。

【シリアへのロシアの関与】
シリアのアサド政権の支援では、ロシアは、レバノンの武装組織ヒズボラを使い、イラン・イスラム革命防衛隊の部隊も、利用しています。

シリアの内戦では、ロシアと西側が介入して入り乱れているため、錯綜しています。秘密警察出身のプ─チン氏にとって、諜報を流し、陰謀を画策するのはお手のものでしょう。それが仕事だったからです。

【中国の人工島】
シリアへのミサイル攻撃は、習近平国家主席が、フロリダの別荘へ行き、トランプ大統領と会談をはじめた直後でした。

中国と米国では、貿易の問題以外に、フィリピンに近い南シナ海の、人工島(南沙諸島の北西)での対立があります。至近のフィリピンに、2014年から再び米軍が駐留していることも、緊張に関係しています。

かつての、ソ連の核ミサイルがもちこまれていたキューバの規模を小さくしたものです。米軍は、これを海上封鎖しようとしていると言われます。米国と中国に軍事衝突があるとする識者も多い。(注)当方は、ないと見ています・・・。

【北朝鮮の核爆弾】
金正恩(きむ・じょんうん)委員長の北朝鮮が、核をもつことは、事実です。イランにも、技術提供と売却をしたという。

ただし核爆弾は、長距離弾道ミサイルに搭載されないと、米国に対する有効性は薄い。韓国と日本の米軍基地と、国土に対しては、現在の短距離のスカッド型、通常ミサイル(ノドン)は届きます。

米中首脳会談の直前を狙って、北朝鮮が4発の長距離弾道ミサイルの打ち上げ実験をし、示威をしています。60キロ飛んで、日本海に落ちています。

【中国への依頼】
これに対し、トランプ大統領は、「中国は北朝鮮の問題に対処できる」、「中国が対処しなければ、米国だけでも、完全に対処できる」と言っています。古い浪花節のような独特の節をもつ国営放送は、悪の国アメリカの壊滅を叫んでいます

このため、米国にとって下田の黒船のように、空母(原子力船のカール・ビンソン)と巡洋艦で北朝鮮を威嚇し、経済封鎖することはあっても、軍事的な戦闘の選択肢はないと見ていますが。当方の見方は、希望的な観測にすぎるでしょうか。

【金正男の暗殺:2月28日】
金正恩の異母兄、金正男氏(きむ・じょんなむ)は、マレーシア空港で、神経系を麻痺させるVXガスとされるもので暗殺されました。暗殺されたのは、刺客をひどく恐れていた金正恩の影武者という説もありますが、おそらく、本人でしょう。

金正男がしていた腹への入れ墨が見えなかったことが、影武者と言われる根拠です。全身の入れ墨は簡単には消えないからです。

異母兄の存在は、情報統制により、北朝鮮の国民には、知らされていません。金正恩の指示で暗殺が行われたとすれば、その目的は、自分の暗殺を恐れたからでしょう。

金正男がいなければ、血筋の後継者がいなくなるので、自分の暗殺は避けることができると考えたからかもしれません。国家主席も承継で得た人は、主席という地位は、父からの遺産の相続と同じという考えをしているからです。

日本にとって、核を持つ北朝鮮に対する、米軍(集団自衛権で自衛隊も同じ行動をとります)の軍事攻撃は、危険です。韓国や日本に核爆弾が飛んでくるかもしれない。このときは、通常ミサイル(ノドン)で原発を狙うことも想定できるからです。

原子炉と、停止中ではあっても使用済み燃料のプールは、全電源が破壊され、数時間の注水ができなくなると、東電の当時の発表とは違いメルトダウンからメルトスルーしていた福島第一がそうであったように、使用済み核燃料であっても、核爆弾と同じになるからです。

放射線が出ると、補修作業者が近づけなくなるので、シビアアクシデントに発展します。冷却水で燃料の温度を制御し、すこしずつ核反応を起させているからです。

原子炉と全電源の破壊は、通常のミサイルで可能です。ロシアで起こった自爆テロでも危険です。

【Behead】
米国は、斬首を意味するBeheadという言葉を、金正恩委員長に対し、使っています。映画でも見ることがある特殊で激しい訓練をした部隊シールズ(SEALs)を沖縄に派遣し、極秘で北朝鮮に送り込んでいます。

2011年のウサマ・ビン・ラディンの、パキスタンでの暗殺もシールズが行っています。

米国と中国が、金正恩氏の体制を守る約束して妥協すれば、戦争には至らない可能性も残っています。

【Beheadの部隊はシールズ】
シールズの部隊を乗せているC・チャンピオン(2100トン)は、沖縄に一時寄港し、北朝鮮に向かっています。核ミサイルを載せた大型原子力空母のカール・ビンソン(9万トン:乗員5000人)と、隊列を組む巡洋艦も、北朝鮮に向かっています(4月13日)。

【焦点は、実験された長距離弾道ミサイル】
米国は、北朝鮮の長距離弾道ミサイルが完成する前に、軍事工場と設備を破壊する必要に迫られています。

4発の実験をした長距離弾道ミサイルが完成すると、核を搭載したものが、米国まで届くからです。

【迎撃ミサイルの有効性には限界がある:ロイター】
米国は、迎撃ミサイル(MD計画で開発)で打ち落とせるとしていますが、その実際の効果は、未定のままです。

イージス艦が発射できる「SM3」、地上からのものは「PAC3」と言われます。両方とも、日本の自衛隊も装備しています。

しかしロイターは、イージス艦のSM3が1000Kmの高さまで到達するのは不可能とし、地上からのPAC3で迎撃するしかないはずだと報じています。わが国の自衛隊幹部も、この見解を言っています。この迎撃は、拳銃の弾を、別の拳銃の弾で撃ち落とす感じのもので
す。

弾道ミサイルの速度は、上昇のときは遅くても、落下が始まると、最高速度はマッハ20(音速20倍)に達します。発射直後の上昇の中でないと、PAC3では追いつけないという説もあります。

われわれが、イージス艦とともに期待している迎撃ミサイルが、被害の少ない海上で、弾道ミサイルを打ち落とせると見ることは、できないようです。最高が1000kmに達しないからです。

地上からのPAC3も100%の期待はできないということが、正解でしょう。北朝鮮の平壌から東京までの直線距離は、約1300kmでしかない。韓国は、全土が至近です。


【自衛隊の迎撃は3発まで:自衛隊】
自衛隊と自民党は、3発のミサイルなら落とせるが、4発以上が同時にきたら無理だという。

北朝鮮は、全部が動くかどうかは別にして、700から1000発のミサイル(使いやすい液体燃料)を保有しています。日本の全域を射程に収めることができるノドン(中距離ミサイル)が45%です。ノドン用の移動式発射台は、最大で50両あるという(米国防省)。

ノドンでも射程距離は1300kmから2000Kmで、その命中精度は半径190mから2500mです。飛距離にたいし、999/1000の精度です。液体燃料で、移動が可能なノドンにたいして、日本は射程内です。万一ノドンが日本に向けられた場合、7分から8分で到着します。

【化学兵器2000トン】
北朝鮮は、確認されたところでは、世界最大級の2000トンの化学兵器(薬品)を備蓄しています。

シリアのサリンも、北朝鮮のものと言う説があります。(注)ことがことなので、露骨で直截な言葉をお許しください。2000トンの化学兵器は、2億人に人命被害をもたらすと言われます。ミサイルに搭載されるサリンについては、昨日、安倍首相も触れています。

ノドンに、神経を麻痺させる化学兵器が搭載されると、迎撃ミサイルで打ち落とすことができても、被害は拡散します。

局地的に言えば、核兵器と同じですが、被害が悲惨として国際法が禁じるサリンやVXガスの化学兵器です。解毒剤はありますが、至近の韓国や日本に打ち込まれたらひどい事態になります。核兵器よりひどいかもしれない。

【イージス艦:米国防省】
自衛隊の、迎撃ミサイルSM3搭載のイージス艦は、4隻です。米軍は、日本の周辺で、10隻のイージス鑑を配備しています。

しかし、威嚇を超えた全面戦争では、日本の国土と人命の被害はどの程度かは別にして、避けられないと思えます。

【長距離弾道ミサイルの耐熱性の問題】
ノドンのミサイルは完成していても、落下のときの温度が、外壁のセラミックが焦げるスペースシャトルのように、数千度になる長距離弾道ミサイルは、耐熱材料の問題から、北朝鮮は開発できていません。

北朝鮮は「耐熱性を確認」と発表していますが、その確認には落ちたミサイルを日本海から回収し、検証せねばならない。北朝鮮はこれを行っていないので、長距離弾道ミサイルの耐熱性は未定とみなければなりません。

一般的な推論では、長距離弾道ミサイルに核を搭載して、核反応を引き起こせるかどうか。ここまでは行っていないとみるのが正しいでしょう。

耐熱性がないと、音速の20倍の速度で落下するとき、流れ星や隕石のように、空中で燃え尽きます。核爆弾を搭載していたら、数千度の高温により燃焼したとき、核反応がどうなるかは、わかりません。

ただし、核ミサイルが爆発したとき出る放射線では、ヒロシマやナガサキのように、核物質の残留が短期です。福島第一のように、数十年、数百年にわたって、致死量の放射線を出し続けることはありません。

【トランプ氏は、いままでは、有言実行:4月13日】
トランプ大統領は、昨日、「北朝鮮が、新たな核実験をするだろうと確認できたということだけでも、攻撃する」と、踏み込んでいます。

理由は、防衛する迎撃ミサイルの精度が、まだ確率的なものだからでしょう。

トランプ大統領の言葉は、当選以来、今まで、「有言実行」でした。開戦には、議会の承認が要りますが、それは、開戦したあとのことです。

現段階では、シリア政府軍によるサリン使用の証拠がまだない爆撃にも、議会の承認は難しいとみられています。未承認でもミサイル発射という過去の事実は、消えません。

【軍事施設の壊滅の可能性】
北朝鮮が、ミサイルを発射する前に、北朝鮮の核とミサイルの軍事施設を壊滅できるのかどうか。焦点は、そこに絞られてきました。しかし、北朝鮮側からのミサイルの発射がないまま、全軍事施設の壊滅することは、難しいでしょう。

そうすると、論理的に言って、われわれはシールズのBeheadの戦略に期待するしかないでしょう。

スイスのように、全国民が隠れることができる核シェルターをもたないわれわれには、核兵器から、生命を守る手段は、数分の直前に予想される落下地点から逃げるしかありません。化学兵器も、着弾付近から逃げるしかない。

マンホールや、都市の地下鉄、地下街、大深度地下が有効です。開戦前に、地下鉄や地下街までの行路を調べ、確保しておきましょう。核兵器の放射能は短期ですから、直接浴びなければ、なんとかなります。

あくまで念のためですが、インターネットで調べればすぐ分かります。知っている人とそうでない人には、逃げ惑う人で混乱が起こるとき、差が出ます。

米軍(2.8万人)の基地がある、至近の韓国にとっては、切実でしょう。ただし、約1000Km離れた日本にも、ほぼ同じ数の駐留があります。

安倍首相は、昨日、「北朝鮮は、サリンも搭載できるミサイルをもつ」と明かし、集団自衛権で米軍と共同行動をとるとしています。北朝鮮にとって、日本も、米国と同じです。

北朝鮮が勝つこと万一もない。しかし開戦されれば、日本の被害はあるでしょう。

開戦に至らず、中国の習近平国家主席が、瀬戸際作戦をとっている金正恩委員長を、押さえることができる可能性は、残っています。

ところが、どんな理由か、金正恩委員長は、前任者までの恒例だった中国訪問を、就任以来していないのです。しかし、中国が「押さえ」を行うことができれば、トランプ大統領は、手を出さないでしょう。これも、米軍の空母か、特殊部隊のシールズが、軍事行動を起こす前までの猶予です。

【後記】
100年スケールの歴史で見ても、大変なことになってきました。米国と北朝鮮の、「威嚇(こけおどし)のブラフ」だけとは見えなくなってきたからです。昨日(4月13日)は、日経平均も、急落しています。

北朝鮮から石油とマネーを遮断する、海上封鎖で済めば、幸いです。それに期待しましょう。ただし・・・その海上封鎖に対し、北朝鮮が、ミサイルを撃ち込むか、攻撃をすれば、結果は同じことになります。

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  <Vol.368:トランプ政権の政策とその展開>

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<Vol.368:トランプ政権の政策とその展開>
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【目次】
1.TPPの目的
2.EU(欧州連合:28か国)は、自由貿易圏
3.NAFTAの設立
4.自由貿易のもとになった、リカードの比較生産費
5.比較生産費説の効果
6.TPPからの脱退
7.NAFTAとTPPからの離脱と、懲罰的な関税はどんな結果をもたらすか
【後記:新刊の案内】

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■1.TPPの目的

TPPは、日本経済の成長のための輸出入の促進策として、異次元緩和と並ぶ、政府の最重要政策でした。米国が離脱したことで、意味がなくなっています。(注)残されたのは二国間協定。

新大統領は、北米圏の自由貿易協定であるNAFTA(カナダ、メキシコ)の見直し(事実上の廃止)も言っています。「鎖国」ではありませんが、海外からの輸入を減らすために、「20%の高い関税」を課すという。

【関税の意味は、国家の存立に至る】
黒船(軍事力)で脅威を受けていた明治政府にとって、輸入に自国の意思で関税を課す「関税自主権(1907年:明治40年〜)」は、国家の主権存立の基盤でした。

明治39年まで輸入税は5%でしたが、価格に関係がない従量税だったため、太政官札(政府紙幣)の増刷のため高かったインフレの明治初期には、関税は事実上、ゼロ%でした。

18世紀からの産業革命により、工業製品の価値(品質÷価格)で優れていた米欧は、経済の面で、日本を植民地にしたのです。

海外の製品は無関税で輸入され、日本の金と美術品は、国際標準と比べて安かったため、略奪的に米欧に流出しています。

【ソ連の崩壊で冷戦が終わった、90年代からの新自由主義】
1990年代からは、経済学的な「新自由主義」の思潮により、グローバリズム(国際主義)が推進されていた世界に、新大統領は米国優先(=雇用の回復)の旗印のもとに、保護主義という「復古の棹(さお)」をさします。

トランプの経済認識が1980年代までのものだからです。「トランプ革命」という人もいますが、革命は主権を根底から覆すことですから、それにはあたらない。しかし本人が意識する以上に、世界経済への影響は大きい。

NFATAの廃止を言うトランプに対し、打撃を受けるメキシコは、「同じ率の報復関税」を言っています。

2016年の対米貿易収支では、中国が$2507億(30兆円)、日本が約6兆円の黒字です。

▼事実認識の誤りに基づく発言

トランプ発言は、70%が事実認識の誤りからの扇動であるという指摘があります(反トランプのNYタイムズのファクト・チェック)。

【日米の関税は、アンフェアではない】
自動車は、日米貿易の不均衡の最大テーマです。日本からの輸出には、2.5%の関税が課されています。しかし日本の米国車の輸入に対しては0%です。日米の関税では、米国のほうがアンフェアです。

【しかし日本車の米国内でのシェアは40%】
米国の、2016年の自動車販売台数(1755万台)では、(1)GM 18%、(2)フォード15%、(3)トヨタ15%、(4)フィアット・クライスラー13%、(5)ホンダ9%、(6)日産9%、(7)現代4%です。

年間2800万台の中国についで、販売数で2位の米国で、日本車の合計シェアは40%です。(注)日本国内では、中国の1/5.6の497万台の販売(16年)です。

性能がよく故障が少ないため、中古車の価格が高い。これが2年で車を変える米国での、人気の理由です。中古車が高いと、差額で新車が安く買えるからです。日本車は新車が仮に100万円高くても、トータル費用では安いからです。

【現地生産が多い】
日本メーカーの工場は、米国に13カ所です。現地生産は380万台。欧州で170万台、アジアで950万台、世界では、米国の総自動車販売に匹敵する1800万台が、日本メーカーの、2000年代で大きくなった現地生産です。

日本からの対米輸出は、160万台(2016年)と少ない。米国の雇用を使う現地生産が、380万台と2.4倍も多いのです。

貿易摩擦と、国内コストを上げた円高を主因に、2000年代には、生産と輸出の構造が変わっています。(90年代から始まった、世界の産業のグローバル化)

日本での米国車の販売シェアは0.4%でありほぼゼロです。トランプ氏は、関税でのアンフェアではなく、輸出入の「結果」を言っています。

原因が何であれ、輸入車の米国販売は、米国の雇用を奪うから「ノー」ということです。このため輸入に対しては、20%くらいの懲罰的な関税を課すという。

【日本の製造業の変質】
平均的に言えば、東証一部に上場している大手製造業の売上の約50%は、海外生産と輸出です。自動車や家電産業では、ほぼ70%です。

このため、円安・円高で、大きな影響を受け、「円安→日経平均高」、「円高→日経平均安」というマネー構造が作られています。円安になると、海外生産分の大手製造業の売上と利益が、円ベースでは増えて、円のコストは減るからです。円高では逆です。

日本にとって、20年の日米貿易摩擦を経た1990年代からのグローバル化は、海外生産の増加でした。

【3度の貿易摩擦】
・1960年代は、日米繊維戦争と鉄鋼、
・1970年代は、家電と自動車産業、
・1980年代は、半導体での貿易摩擦でした。

日米の貿易摩擦が、1990年代の、内需振興策としての公共事業(10年で400兆円)を生んだのです。米国が、日米構造協議で年40兆円の公共事業を、日本政府に要求したからです。政府は、いつも米国に従います。

この公共投資によって国債残が400兆円増えました。現在の「国債危機と異次元緩和」の原因は、日米貿易摩擦にさかのぼれることがわかります。

輸出を非難されたわが国の製造業は、海外に直接投資をし、金融業は証券投資を海外に対して行い、生産も海外で行ってきたのです。

このため、1990年以降の26年間で、対外資産は948兆円(直接投資151兆円、証券投資797兆円)と、GDPの1.8倍にもなっています。直接投資と証券投資は、海外への円の流出でもあるので、日銀がマネーを増発してもデフレになる構造ができあがったのです。

対外資産の増加は、海外(特に米国)の雇用増加でもあるのですが、トランプ氏はこの事実も無視しています。米国の貿易赤字が一方的に、米国の雇用を奪うと考えているからです。これは、1990年代からの、世界のグローバル経済化の進行を無視した考えです。

【経常収支が黒字続きだと、対外債権が増える】
米国のような経常収支の赤字国に対しては、資本の輸出(円売り/ドル買い)が必要です。

日本は米国の証券(国債、デリバティブ証券、株)を買い続けています。経常収支の黒字分は、資本収支では赤字(マネーの国外流出)になるからです。

その累積が、前記の米国を主とする対外資産903兆円、対外負債580兆円、対外純資産323兆円です。対外投資は、「ドル買い/円売り」として、円の海外流出(ドル買い)でもあるので、国内が需要不足でデフレになった主因でもあります。(日銀資金循環表:16年9月末)

米国債や債券の購入というマネーの流れで、米国に行ったジャパンマネーは、米国の需要になっています。貿易黒字が、対外資産になるというのが、これです。

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