旧 東京倶樂部★CLUB TOKYO:平成館

こちらは実質閉鎖しております→新住所:http://mangotokyo.livedoor.blog/

全体表示

[ リスト ]

映画『鳳凰〜わが愛』

イメージ 1

【2007年/中国・日本/121min.】
1920年代中国、恋人・鳳兒にちょっかいを出してきた男に殴りかかり投獄されてしまった劉浪。
周囲に馴染まず、反抗的な彼は、脱獄を試みたばかりに、15年のはずが終身刑に。
そんな劉浪に届いたのは、鳳兒の死の知らせ…。
哀しみに暮れる劉浪が出会ったのは、周紅という名の女囚。
暴力夫を殺害し、この刑務所に来た女であった。
人生に絶望するふたりは、徐々に互いを心の支えにするようになっていく。
長老・老良頭も、ふたりの仲を温かく見守るが、なにぶんにもここは刑務所、ふたりには自由など無い。
そしてある日、女囚房の移転が決まる…。


つい先日閉幕した第20回東京国際映画祭のオープニングナイトで上映された日中合作映画
監督した金・(ジヌ・チェヌ)監督の映画作品は観たことがない。
同監督が手掛けた田中麗奈主演のドラマ『美顔』は2〜3度観たが
ちゃんと続けて観ていなかったこともあり、取り分け面白いとは思わなかった。
私と限らず、一般的な日本人には、馴染みの薄い監督なのでは?
その割りには、派手な宣伝。
それはひとえに中井貴一様(&角川)のお蔭か…?!
中井貴一は主演するのみならず、本作品で初めてプロデューサー業に乗り出している。
プロデューサー陣には他に、高秀蘭(シャーリー・カオ)の名も。
侯孝賢(ホウ・シャオシエン)の『悲情城市』や
陳凱歌(チェン・カイコー)の『さらば、わが愛〜覇王別姫』を世に送り出した敏腕プロデューサー。
だが、『幻遊伝』というシクジリがあることも忘れてはならない(苦笑)。

金監督が、この作品を撮ろうとしたキッカケは、ある新聞記事を読んだこと。
それは、1970年代に刑務所の中で愛を育んだ男女を紹介したもの。
この話を映画化するにあたり、監督は、時代設定を1920年代〜1940年代に変更。
どうでも良い事だが、あの時代の中国の囚人服って
背中に分かり易く“囚”という文字がプリントされているのね(笑)。
変化し続ける中国激動の時代を背景にすることで
変わることのない男女の愛を、より絶対的なものとして、浮かび上がらせたかったのであろう。
舞台は刑務所という閉ざされた場所ではあるが
外の世界で、争いが起きたり、政権が変わったりする度に
刑務所の中でも、優位に立つ者、不利になる者が入れ替わったり
壁の肖像画が変わったりする。
でも、歴史モノとして観ると、やや物足りない。

…が、ラブストーリーとして観ても、私はロマンティストではないせいか
主人公の男女に、素直に共感することが出来なかった。
私には、刑務所の恋が、“ひと夏の恋”のように思えてしまったのだ。
夏のヴァカンスに海辺で出会ったステキな彼、ひと月後に東京で再会したら
「ゲッ…、ただのショボイ男じゃん…(絶句)」みたいな(失笑)。
つまり、特殊な状況下、限定された場所で出会った男女が、それぞれ日常に戻り、夢から醒めた時
その愛に疑問を感じないだろうか?!という事である。
刑務所で出会うのは、右を向いても左を見ても、受刑者ばかり。
でもシャバに出れば、犯罪歴の無い人からも選り取り見取りだからねぇ〜(笑)。

劉浪が実は日本人という設定も、唐突で、少々無理矢理な感じがした。
満州建国の折り、釈放されたくて、「私は日本人!」と主張するも、信じてもらえず
そのお蔭で、その後抗日の時代も生き延びる事が出来るのだが、そこら辺の描き方が浅い。
いっそ、そんな設定、無くても良かったのでは…。

主要な登場人物は3人。
劉浪役に中井貴一、周紅役に苗圃(ミャオ・プウ)、そして刑務所の長老・老良頭役に郭涛(グォ・タォ)
中井貴一って、多分少し中国語喋れるでしょう?
テレビで喋っているのを見て、丸暗記ではなく、自分の言葉で話しているように思った事がある。
でも、今回は吹き替え
投獄され、短く刈り上げられた頭で登場した時
毛量が少なく、地肌が光って見えたのには、ちょっと驚いた(苦笑)。
まぁそんなのはどうでも良い事で、熱演である。
あの極寒の地で過ごすだけでも、ご苦労な事だと思った。
この3人の中で、1番良かった!
苗圃は、やたら良い評判ばかりを耳にするが、今回の役柄からはピンと来なかった。
郭濤は、『クレイジー・ストーン〜翡翠狂騒曲』のヒット以来、売れっ子で大忙しなのに
金監督と中央戯劇学院時代からの知人だったのが縁で、この出演を引き受けたらしい。
実年齢では、中井貴一より若いのに、映画の中ではずっと年長の役を演じている。
最後なんてもう翁(オキナ)状態…。

ついでに“鳳凰”について触れておく。
ヘビとトリは相性が良く、結び付くと鳳凰になるという伝説があるらしい。
老良頭が、巳年生まれの劉浪と酉年生まれの周紅の相性を占う時に、こう説明するのだ。
巳年生まれの皆さん、酉年生まれのお相手を探し、共に鳳凰となって飛び立って下さい!

ラストシーンに関しては具体的に触れないが
張曼玉(マギー・チャン)×黎明(レオン・ライ)の『ラブソング』と何とな〜くダブった。


金監督は1969年生まれであるが
いわゆる中国第6世代の作風を期待して観ると、「あれれ…?」ということになる。
当初は唯我独尊の映画を撮っていた第6世代の監督達も、年齢を重ね、人生と向き合い
温かみのある作品を作るようになってきている、と金監督自身も語っている。
私好みの作品ではなかったが、演者としてもプロデューサーとしても、中井貴一の頑張りは認めたい。
そもそもなぜこれを観に行ったかというと、前売り鑑賞券の値段が千円ポッキリだったのだ。
映画館により多くの人に足を運んでもらうよう努力しているのかなぁ〜、とちょっぴり感動。
今はこの映画自体より
中井貴一が書いた<日記2『鳳凰 わが愛』中国滞在録>という本の方に興味あり。

開く トラックバック(1)


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事