東京倶樂部★CLUB TOKYO

ようこそ、東京倶樂部(クラブ・トウキョウ)へ♪ (こちらからの訪問はしておりません。)

全体表示

[ リスト ]

映画『陽もまた昇る』

イメージ 1

【2007年/中国・香港/116min.】
≪瘋≫
中国南部の小さな村。
奇妙な夢に出てきた刺繍の靴を買ったのに、それを失くしてしまい、気が触れた母。
息子の東方は、たったひとりの肉親、母に振り回される。

≪戀≫
老唐と関係を持ちながら、彼の友人・小梁に秘かな想いを寄せる女医の林。
色目を使い、接近してくる林に、戸惑う小梁。

≪槍≫
妻と共に、大都市から南部の村に下放された老唐。 ふたりは小隊長・東方に迎えられる。
老唐は、小梁からもらった銃を使い、毎日村の子供達と猟に出るが、その間妻は…。

≪夢≫
駱駝にのって、新疆の砂漠を行く東方の母と老唐の妻。
分かれ道に当たり、ふたりはそれぞれの方角へ…。



2008年第21回東京国際映画祭、アジアの風部門で上映されたものを鑑賞。

『鬼が来た!』で中国当局から、映画制作禁止処分を受けた姜文(チアン・ウェン)
実に7年振りに発表した監督作品第3弾。
姜文は、監督としても俳優としても、好き。
本作品は、2007年ヴェネチア国際映画祭に出品された時から、観たいと思っていた。

今回、プロデューサーである英皇利雅博(アルバート・リー)が来日し
上映終了後ティーチインを行ったので、その時に聞いた話を交え、感想を残す。



本作品は、姜文の過去の作品、『太陽の少年』、『鬼が来た!』と合わせ、3部作と括られる。
3作品の共通点は、全て姜文本人の体験に基づいていること。
この『陽もまた昇る』は、姜文が、中国南西部に居た頃を重ねた、非常にパーソナルな作品らしい。

…とは言うものの、本作品は、葉彌(イエ・ミー)による小説<天鵝絨>の映画化である。
原作小説を知らないので
この映画のどこら辺が、姜文にとって、どう“パーソナル”なのか、見当がつかない。



映画は、ハッキリ区切られている訳ではないけれど、4つの部分から成る。
中国南部の村を舞台に、気の触れた母とその息子を描く≪瘋 (気ちがい)
北京を舞台に、男性教師と、彼に想いを寄せる女医を描く≪戀≫
第1話の村に下放されて来た男と彼の妻、そして気の触れた母の息子を描く≪槍 (銃)
最後は、これまでの話より遡ること約20年、砂漠を行くふたりの女、それぞれの愛を描いた≪夢≫


ティーチインで、他の観客の意見を聞いていると
多くは、“姜文らしい、死のイメージが強い、ダークな作品”と感じているようであった。
確かに、全編を通じ、死のニオイは付きまとうけれど
私は、それ以上に、不可思議な御伽噺の世界に迷い込んだかのような錯覚に陥った。
特に4つ目のパートは、エキゾチックで
音楽の雰囲気や使い方の影響でか、エミール・クストリッツァ監督作品をも思わせた。


その音楽を担当したのは、日本の久石譲
利雅博プロデューサーと久石譲は
以前別の香港映画で一緒に仕事をして以来 (別の香港映画って?『西遊記リローテッド』…?)友人関係。
元々姜文は、中国の作曲家に依頼するつもりで、7〜8人を試したが
納得いくものに出会えないでいたところ、久石譲が公演のため北京に。
そこで利プロデューサーを介し、ふたりは知り合ったそうだ。

鮮やかな色が溢れる美しい映像も、印象的。
撮影指導には、『ルアンの歌』、『藍宇』などの楊濤(ヤン・タオ)
中国作品は勿論のこと、ウディ・アレン監督作品等にも参加している趙非(チャオ・フェイ)
そして台湾の李屏賓(リー・ピンビン)の3人が名を連ねている。



キャスティング。 まずは女優陣。
老唐の妻を演じた孔維(コン・ウェイ)は、知らなかった女優。
利プロデューサー曰く、若く才能あふれる、これからの人。
狂った母親に扮しているのは、プライベートでは姜文の後妻さん、周韵(ジョウ・ユン)
女医の林に扮した陳冲(ジョアン・チェン)は、いつもと違って、コミカルな演技。 エロ面白い(!?)。
今まで彼女に抱いていたイメージを覆した。

女優のキャスティングより、ずっと意外に感じたのは、ふたりの香港男優。
狂った女の息子・東方に扮した房祖名(ジェイシー・チャン)
モテモテ中年・小梁に扮した黄秋生(アンソニー・ウォン)
おおよそ、今までの姜文監督作品のイメージからは、想像のつかない面子に思えるけれど
利プロデューサーの話では、利がこの作品に関わる以前に、姜文自身が決めていたのだという。
黄秋生は、経験豊かで、姜文が以前からずっと一緒に仕事をしたいと願っていた俳優。
房祖名は、イノセントな雰囲気が、東方役にピッタリ!とキャスティング。
ただ、そう聞いても、これは香港の英皇が手掛けた作品なので
そーゆー事情からのキャスティングなのでは…、と疑う私。
仮にそーゆー諸々の事情が無かったとしても
商業的な事を考慮して、香港のメジャーな俳優を配役したのではないだろうか。




第1〜3部は文化大革命末期
第4部はそれから遡ること20年、とかなり具体的な時代背景を設定してはいるが
その時代をストレートな表現で描いた作品ではない。

一番印象に残ったお話は、3番目の≪槍≫
映画を観る前は
原作小説のタイトル、中国語でヴェルヴェットを意味する<天鵝絨>が何を指すのか分からなかったけれど
ヴェルヴェットはここで登場する。
村から一歩も出たことがなく、ヴェルヴェットなどというシャレた物を知らない、房祖名扮する東方が
ある事情から、それがどのような物なのか、どーーーしても知りたくなってしまうのだ。
それが例え身の破滅に繋がろうとも…。
お話も面白かったし、演じる房祖名も良かった。
房祖名は、スターの息子らしいギラギラ感が無く、素朴で無垢な印象。
パパとは異なる個性で、自分自身の世界を築き始めているように感じた。

かなり感覚的なもので、具体的に好きな理由を挙げるのは難しいけれど、好みのタイプの作品であった。
スクリーンから、圧倒される“何か”を感じる。
過去の姜文監督作品と比べると、華もある。
実際、お金も、過去の作品より、ずっとかかっていそう。
大陸の姜文と香港の黄秋生、今まで想像したこともなかった、好きなオヤジふたりの競演も嬉しい。

この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

開く トラックバック(0)


.


みんなの更新記事