旧 東京倶樂部★CLUB TOKYO:平成館

こちらは実質閉鎖しております→新住所:http://mangotokyo.livedoor.blog/

全体表示

[ リスト ]

イメージ 1

【2009年/フランス・香港/115min.】
2007年3月、啓蟄が過ぎた頃の南京。
教師として働く女性・林雪から、浮気中の夫・王平の尾行を依頼された羅海濤は
浮気相手が江城という青年であることを突き止める。
勤め先に乗り込まれ、林雪から散々罵られた江城は
王平からの連絡を一切断ち、気持ちが晴れない。
そんなある晩、クラブでちょっとした諍いを起こしたのをキッカケに、羅海濤と出会い、意気投合。
縫製工場で働く李靜という恋人がいながら、江城にも惹かれてゆく羅海濤。
羅海濤、江城、李靜、3人で過ごす時間が増えていくが…。


第10回東京フィルメックスで鑑賞した特別招待作品は、前作『天安門、恋人たち』
中国政府から5年の映画制作禁止処分を受けた婁(ロウ・イエ)監督最新作。

なにぶん謹慎処分中に(?)外国資本で撮っているため、本作品も中国では当然地下電影。
しかし、2009年第62回カンヌ国際映画祭では
本作品で脚本を担当した梅峰(メイ・フォン)が脚本賞を受賞の快挙。

私は婁が好きだし、同志片も好き。 婁が撮った同志片なら、観たいに決まってるじゃん…!
しかも、上映終了後には、今年フィルメックスで審査委員長も務める婁監督のQ&Aも有り。(→参照



同性愛者の青年・江城(♂)、彼の恋人で妻帯者の王平(♂)、夫の浮気に気付いた王平の妻・林雪(♀)、
林雪の依頼で王平を尾行する羅海濤(♂)、そして羅海濤の恋人・李靜(♀)。
まだ肌寒い中国南京を舞台に、この愛憎半ばする男女5人を描いた揺れるラヴストーリー
敢えて同志片と限定せず、広く“ラヴストーリー”とする。
婁監督自身が、「人と人との間に起こるささやかな事を描いた純粋なラヴストーリー」と語っていたので。

鑑賞しながら、かつてKさんが言った言葉を思い出す私。
私もKさんも、同性愛者に対し、何の偏見も無い。 お好きな人とお好きなようにどーぞ、って感じ。
しかしゲイに寛容なKさんが、なぜかバイセクシャルに対しては批判的。
Kさん曰く、「潔くない、どっちかにしろ」
その時は、そんなものかしらぁ〜、くらいに思ったが
本作品を観て、“バイよりゲイの方が潔い”説を、妙に納得 (バイの皆様、ゴメンなさい…)。

物語の主人公・江城と深く関わる男性ふたり、王平と羅海濤には、それぞれ女性のパートナーが居る。
相手の気持ちが自分だけに向いていないと知ったふたりの女性は勿論のこと、
そんな事を気にする素振りさえ見せない江城もまた、実はそれは強がりで、深く傷付いていたのでは…。
王平と羅海濤も非常に苦しんだ事は見てとれるけれど
私の目には、オトコひと筋の江城の愛が、最もピュアで打算の無い愛に映った。


俳優は、過去に出演作を観たことのない人たちばかり。
余計な先入観を持たずに見ることができ、新鮮だったし、映画がよりリアルなものに感じられた。

この春、ムービープラスでカンヌ中継を観た時は、
記者会見で熱く語る羅海濤役の陳思成(チェン・スーチョン)がずっと映っていたので
私はてっきり彼が主人公なのかと思っていた。
その時の陳思成の印象は、“無駄にホットな田舎の久保田利伸”…。
どうしても婁監督作品のイメージに合わなかった。
今回映画を鑑賞するにあたり、あの男に2時間耐えられるだろうか…、と不安にもなったが
実際には、問題ナシであった。

正確には、陳思成以上にイイと思える俳優が出ていて、そちらが主人公だったので
陳思成が気にならなかったのかも知れない。

私を魅了したその俳優とは、江城役の秦昊(チン・ハオ)
章子怡(チャン・ツィイー)、劉(リウ・イエ)、袁泉(ユアン・チュアン)らと同じ、
中央戯劇学院 表演系 96級出身。
何度も見たことのある卒業写真 (↓)を、今回改めて見てみたら、あらら、居た居た、秦昊が。
イメージ 2
               中央戯劇学院 表演系 96級の面々
後列中央に 中列中央に赤いTシャツの章子怡 前列左端に袁泉の姿も


日本でも、アイドルの当たり年、’82年デビューのアイドルを“花の82年組”などと呼ぶが (^-^;)
中央戯劇学院96級もまた随分人気俳優を輩出しているようだ。
秦昊は、他で見るとそうでもないけれど
本作品では、まるで私のご贔屓・張震(チャン・チェン)を思わせる表情を見せるから、ポーッ… ♥ ♥
右胸に、スタアとして致命的とも思える、大きなアザが有るのだけれど
それさえも、欠点ではなく、神秘的に見えてしまう (↓)。

イメージ 3


なかなか精悍な顔立ちの秦昊だが、ボブのウィグをつけ、ゲイ・クラブのディーヴァとして
周杰倫(ジェイ・チョウ)のドラマティックな歌曲、<迷迭香>を歌うシーンは
あまりにも調子っぱずれで、衝撃的ですらあった。
音痴もあそこまで極めたレベルだと、通常、吹き替えるか、カットしてしまいそうなものだが
そこを敢えてそのまま使った婁のワケの分からぬ感性にシビレる私。
オリジナルの<迷迭香>はこんな感じ (↓)。 アンニュイな、ないとくらぶぅ〜な雰囲気。





私を魅了したもうひとりは、女優で、李靜役の譚卓(タン・ジュオ)
語り出したら止まらなくなるので、彼女については、こちらから。
譚卓扮する李靜の勤め先は、コピー商品を作る縫製工場なのだけれど
将来を見据えた経営者が、パチから正規品に方針転換しようとするところに、過渡期中国の今を垣間見る。

あっ、陳思成の名誉のために言っておくが、彼は学生時代から優秀で、注目されていた人物で
今回のメインキャストの中では、今現在中国で一番の売れっ子のようである。




内容ではなく、単純に絵的にではあるが
所々で王家衛(ウォン・カーウァイ)監督作品とイメージが重なった。
男ふたりが並んで車に乗っているシーン等数シーンは『ブエノスアイレス』
(そこに李靜も加わると、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』風の絵になる)、
羅海濤が下着姿でチャチャを踊るシーンは『欲望の翼』を彷彿。 意図的? それとも偶然…?

今回のフィルメックスで観た作品の中で、最も気に入った。
同志片 (…もとい、ラヴストーリー)の傑作がまたまた生まれた。
グッと来たシーンも沢山有る。  特に、ラストの、王平が江城に朗読する回想シーン、良過ぎマス。

悔やまれることがひとつ。 作中要所要所で引用されている郁達夫(1896-1945)の作品を
私は1冊も、いや、それどころか1ページも読んだことがないのだ。
とても興味が湧き、取り敢えず<春風沈酔の夜>から読んでみようと、帰宅後早速調べたが
…ガーン、日本語翻訳本が出ていない…。

私が映画を観たあの日の時点で、日本での配給は決まっていないとの事であったが
その内一般劇場公開が決まり→それに伴い郁達夫の小説も発売、などという流れは、期待し過ぎか…?



● なお、上映終了後行われた婁監督によるQ&Aについては、こちらから。

【追記 : 2010年7月18日 
郁達夫の小説<春風沈酔的晩上>については、こちらから。

【追記 : 2010年7月19日
来日した主演俳優ふたり、秦昊陳思成が行ったQ&Aにつては、こちらから。

【追記 : 2010年7月28日
映画『スプリング・フィーバー』2度目の鑑賞の記録 (小説からの引用部分等について)は、こちらから。

閉じる コメント(6)

思い切ってこの映画を観に行って良かったです。
最初は、ロウ・イエ監督独特のドキュメンタリータッチの撮り方に生々しさを感じすぎてしまいましたが、彼ら5人の思いの先が見えなくて、どんどん画面に釘付けになってしまいました!
男性だから・・・っていう思いが彼らにはあったのか、江城に女性のパートナーを紹介するのは、本当に可愛そうでしたねー。
私も、秦昊と譚卓を好きになりました。秦昊は他の方も「レスリーのジゴロの雰囲気をまとい、チャン・チェンの面影」という感想で、私もそう思いました♪あれはジェイ・チョウのこんなにいい歌だったんですね!あの場面、もっとブルーベルベットのイザベラ・ロッセリーニみたいだったらなんて思いましたが、それだとわざとらしすぎたかしら?歌の下手さは衝撃でした(笑)
郁達夫の作品、読むともっと入り込めたかもしれないですね!
あの朗読にあわせた漢字の表記も良かったです。
蓮の花のように漂いながら・・・心に残る映画になりました。
TBさせてくださいね。

2009/12/14(月) 午後 10:42 かりおか

顔アイコン

言葉で表現するのは難しいですが、妙に魅かれる作品でした。
私も感想を書こうと思いつつ、やはり郁達夫の小説が気になった事と鑑賞前に参加することができた「シネマ塾」でのお話と照合していたら余計書けなくなってしまいました。
「春風沈酔の夜」の日本語訳ですが単独のものはありませんが、他の小説と選集という形で過去2回ほど日本語訳版が出版されています。(現在は絶版…図書館、古書店にはあるかと)

作品中では張震に雰囲気が少し似ていた秦昊、とても魅力的に江城役を演じていましたよね。他の作品の彼も観てみたいです。

2009/12/15(火) 午前 2:02 [ c.k ]

顔アイコン

かりおかさん: そういえば、ドキュメンタリーは苦手だと仰っていましたね。
私はドキュメンタリーも好きだからなのか、ハンディカメラで被写体に迫っていくような
あのリアルな映像は、最初からグッとくるものが有りました。
その生々しい映像に、ぜんぜん生々しくない漢字の表記が、詩的で美しく、私も気に入りました。

歌唱シーンは、衝撃映像ですよね(笑)。私、あれ、OKです(多分少数派 ^_^;)
張藝謀や陳可辛のようなタイプの監督だったら、まさに『ブルーベルベット』のような
完璧でドラマティックなシーンを演出すると思うのですが
驚愕のあんなシーンを見せ逃げ(?)するなんて
有り得ない…、婁カッコイイ〜!って思っちゃいました(笑)。
買い被りでしょうか。今頃婁本人は、失敗した…、と悔やんでいたりして…。(^∀^;)
TBありがとうございます♪

2009/12/15(火) 午後 8:47 mango

顔アイコン

ポン太さん: 日本語訳の選集は、やはり絶版でしたか。
ちょっと調べたら、“只今お取り扱いありません”と記されていたり
古本にプレミアが付いているようだったので、そんな気はしたのですが…。
誰か日本で影響力のあるアイドルとか政治家が「愛読書は郁達夫」とでも言ってくれたら
再版されると思いますが(笑)、その可能性は限りなく低いですね…。
本当は、すぐに小説を読み、ある程度郁達夫を知った上で
映画が一般公開された際、再度鑑賞したかったのですが、叶いそうになく、残念です…!

2009/12/15(火) 午後 9:01 mango

顔アイコン

映画は未見です。面白そう。
今DVDをずるずる引き出し「迷迭香」を再鑑賞。そこからまたずるずると周杰倫を聞いて観て… いいなあ。武道館コンサートいつだったっけ?

2014/9/3(水) 午後 10:32 [ 二胡ちゃん ]

顔アイコン

二胡ちゃんさん:
万人ウケするタイプではないと思うので、誰にでも勧められる作品ではありませんが
私個人的には大好きな一本です。

2014/9/6(土) 午後 8:36 mango

開く トラックバック(1)


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事